3階の者だ!!

DEBがお送りするネタバレありのコミックス紹介ブログです。 短編物では一話にスポットを当てて、長編物ではこの後どうなるの?と言うところまで紹介しているつもりです!

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本日紹介いたしますのはこちら、「ハチワンダイバー」第12巻です。
集英社さんのヤングジャンプ・コミックスにて刊行、週刊ヤングジャンプにて連載中です。

作者は柴田ヨクサル先生。
柴田先生や本策の紹介は「柴田ヨクサル」のテーマにてまとめておりますので、ご興味などがございましたら見てみてやってくださいませ。

さて、第11巻では菅田が右角を倒し100万を獲得。
その後すぐそよも鬼将会のアジトに到着し、1万円を賭けた勝負を同時に100人と……100面指しを始めたのでした!

並ならぬ棋力をもつそよですが、流石に100人指し、しかも相手が鬼将会とあっては苦戦は免れない……と思いきや、一気呵成に全員を撃破してしまいます!
その衝撃の現場に文字山が現われ、そよを菅田のいる自分の仕事場へと向かわせます。
当の文字山はそよとともに現われた澄野の実力に興味があるようで、早速一局指すことに。
文字山と澄野、超個性派同士の対決が始まりました!

嵐のような戦いを終え、眠りについていた菅田。
彼が目を覚ますと、
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そよが膝枕をしてくれていました。
慌てる菅田ですが、そよは自分のために粉骨砕身頑張る彼を抱きしめて感謝の意を表すのでした。
今まで地獄のような環境で将棋を指していた菅田は、目を覚ますと
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おっぱいと言う急展開にも程がある展開に、これは夢だろうと考えます。
……「谷仮面」でもこういう流れありましたよね……
ですがそよからこれが現実だと告げられた後が「谷仮面」とはまた一味違います。
胸に顔をうずめてしまい、後戻りできないと(勝手に)思い込んだ菅田は「これは夢と言う事にならないか」となんだかムチャなお願いをします。
そんなムチャな注文を、そよは少し戸惑うものの、「いいですよ 夢って事で」と笑顔で受け入れました。
あまりにも予想外な返答だったのか、菅田はおっそろしいほどにパニクリ、とった行動は何故かキス(しかも待ち)の体勢でした。
いくらなんでもいきなりすぎ!
当然そよは戸惑い、どうしていいのかわからなくなるのですが……
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澄野の手によってキスしてしまうことに!
文字山との勝負をあっさりつけた澄野が作戦会議をしようとやって来たのでした。
澄野や文字山にとっては割りとどうでもいい出来事だったようですが、当人達にとっては衝撃的にも程があるキス。
あまりの出来事に二人は二人以外にとって意味不明の会話を交わし、
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本当にキスがあったのかどうかを確認しあいます。
お互いがキスはあったと確かめると、菅田はなんだかいたたまれない気持ちになって100万を稼ぎに向かう澄野について仕事場を出て行き、そよは「はじめてのキス」の感傷に浸ってその場を動かなくなってしまうのでした。

澄野が100万を求めてフラフラと散策していると、なにやらドラム缶詰にされた文字山のアシスタントと出会います。
なにやら彼らは将棋に負け(しかも相手の飛車落ちで!)、負けた代償に「売られる」ようなのです。
助けを乞われる澄野ですが、どう見てもアウトローな感じのアシを缶詰にした男達は澄野に詰め寄ってきます。
ココは将棋で勝負……
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とならないのが澄野。
「素手のプロ」だと言うアウトローたちとの肉弾戦に突入してしまうのでした!

その後澄野はプロレス技で素手のプロとやらを圧倒し、最後に挑まれた将棋勝負でもバトンタッチした菅田があっさり撃破。
菅田たちは4人そろって上へと向かいます。
次の階では5人1組となって勝ち抜きチーム戦をすることになりました。
ある人物も加わり、5人チームとなって翌日からの勝負に備えることになる菅田たちですが……
1人食事をして鋭気を養うそよの前に、そよから全てを奪ったという、全てのきっかけを作った男が現われるのです!!

今回もハイテンション極まりない本作。
圧巻の100面指しや、川田選手ファン感涙のストレッチプラムが炸裂する大迫力の戦闘シーン、鬼将会のアジトの驚くしかない建設動機などなど見所は満載なのですが、今回の目玉はやはり菅田とそよの関係の変化でしょう。
そよが家族の敵討ちという明確な目的を持っている以上、彼女から菅田に対してどうこうするといった状況は考えづらいのですが(でも恐らくクライマックスにはあるでしょう!)、菅田は明らかに変化を見せています。
澄野に強くなった理由を問われた時に迷い無く「キス」と答えたり、将棋が好きだろと問われたら「スーパーアイラブ将棋 アンド スーパーアイラブそよ」と頬は赤らめながらも真顔で答えたりと、明らかに男前度があがっています。
愛の力でパワーアップというバトル漫画では使い古された感のある演出ですが、柴田先生にかかれば一味も二味も違う何かを感じさせてくれるものになっています。
そんな今まで冴えない男だったはずの菅田に、地下のガードマン的存在だった凛が好意を持ったようで、告白っぽいことをしてくるシーンも。
そよ一筋の菅田は驚きながらも受け流すわけですが……なにやらラヴ要素が増量してます!
脇キャラを大事にする柴田先生ですからきっと今後も凛の出番はあるはず。
対鬼将会とともに、菅田を巡るラヴ☆トライアングルも要注目です!
いや、柴田先生ですからどろどろしたアレにはならないでしょうが!!

圧巻の勢いを放ち続ける将棋&バトル漫画、「ハチワンダイバー」第12巻は大好評発売中です!
とうとう姿を現わしたラスボスに、着々と近づいていっている菅田たち。
熱いテンションを太落ち続けたままクライマックスの接近を予感させる展開に、ますます先が楽しみになるばかりね!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


ハチワンダイバー 12 (ヤングジャンプコミックス)
集英社
柴田 ヨクサル

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「キスありましたか? ...
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本日紹介いたしますのはこちら、「あずまんが大王 3年生」です。
小学館さんの少年サンデーコミックススペシャルにて刊行されました。

作者はあずまきよひこ先生。
あずま先生の今までの著作は「あずまきよひこ」のテーマにて紹介をまとめておりますので、よろしければご覧くださいませ。

さて、「あずまんが大王」の10周年記念企画として出版された新装版もいよいよ最終巻です。
書き下ろしは今までに比べてやや少なめですが、それを差し引いても見所の多い作品になっています。

まず最大の目玉である「補習」。
今まで巻末に掲載されていた補習ですが、今回は夏の合宿(?)のエピソードを描いているためか、時系列的に並ぶ「8月」の次、この本の真ん中あたりに収録されています。
なんといってもこの合宿はクラスが分かれてしまったかおりんの実質最後の活躍(この後の登場は2~3回……)が見られるシリーズでしたので、かおりんファンにはたまらないものになっていることでしょう!
かおりんと大阪と言うあまり見かけなかった気がする組み合わせも描かれています!
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やっぱり扱いはよくないですが!

そして注目の描き下ろし部分。
少なめ、と入ったものの相変わらず4コマではない通常の漫画形態で描かれたエピソードはかなり手が加えられています。
とくにマヤーの登場編である11月では多くのコマが描き足されたうえに構成も変えられており、電撃版には無かったギャグや、
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エピソードの補完などが見られます。
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イリオモテヤマネコをガチで飼うの?それはまずくない?と思った方も実は多いような気がするこのエピソードではそこのところのフォローもされており、より現実的な展開になっています。

他の描き下ろしはタイトル部のカットが主ですが、やはりしっかりと書き直されているのは「水着」です。
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水着の柄がしっかりと描かれ、等身が高くなり……かおりんは貧乳気味に……
かおりんはおいておくとしまして、何は無くとも水着のシーンは描き下ろし!
さすがあずま先生という他無いですね!!
なにせ修学旅行のときのウェットスーツ姿はそのままですので、並ならぬ情熱が計り知れるというものです!

描き下ろしのことばかりに注目してきましたが、本作の最終回にあたるエピソードは今読んでも素晴らしい完成度を誇っています。
終わりを告げる学校生活と、終わらない友情を描いたラストは心温まること必至!
リアルで充実した高校生活を送っていない俺でもなんだかホロリときてしまう、読後感のよいエンディングはまさに必読といえるでしょう!

ちなみに表紙を飾ってきたメインキャストたちですが、1年生の裏表紙にはお父さん、2年生の裏表紙には忠吉さん、そして3年生の裏表紙にマヤーまで描かれています。
それなのにどうして先生達はいないの……?と嘆いているかたもご安心下さい。
表3、裏表紙の折り返し部分にきっちりと描かれています!
芸が細かいです!!
……まあやっぱりかおりんはいないんですけどね……
かおりん、どこまで行っても所詮は脇役なのか……

連載3年間で大きな楔を打ち込んだ、「あずまんが大王 3年生」は大好評発売中です。
今見ても純粋に面白く、気分すっきりと読み終えられる本作はまさにひとつの完成形といっても過言ではありません!
ストーリーのない漫画なんて面白いの?というガチンコな硬派漫画ファンもぜひ読んでいただきたいものです!
また、09年10月27日には10周年記念ムック、「大阪万博」の発売が予定されておりまして、そこではいろいろな漫画家によるあずまんが大王トリビューとが掲載されるとか。
「超こち亀」やら「肉萬」やらで見られた夢の競演が見られるのでしょうか!
今から参加漫画家など、たのしみでしょうがありません!!
それはさておき、とにかく今は本屋さんに急ぎましょう!!


あずまんが大王 3年生 (少年サンデーコミックススペシャル)
小学館
2009-08-18
あずま きよひこ

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ネタ振りから回収まで ...
日常系4コマの元祖。 ...
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本日紹介いたしますのはこちら、「猟奇博士と生贄娘 ドクター&ドーター」第1巻です。
小学館さんのサンデーGXコミックスより刊行、月刊サンデーGXにて連載されています。

作者は陽気婢先生。
陽気婢先生は成年向け漫画などで活躍した後、「眠れる惑星」で全年齢向け漫画でも支持を受け、様々な雑誌で人気を博しているベテラン漫画家です。

さて、本作は科学者の父親とその娘の日常を描いた日常漫画に分類される……と思います。
父親のとんでもない発明に巻き込まれてドタバタした日常を送る、という昔からよくあるような設定と言えばそうなのですが、陽気婢先生ならではの設定が様々に盛り込まれ、凡百の作品とはいろんな意味で一味違った作品になっています。

主人公は14歳の少女、彩乃。
彼女の父親、貴太郎は自称バイオ科学者で、怪しげな発明品を作り続けている、いわゆるマッドサイエンティストです。
ある日彩乃が目を覚ますと
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股間に何か生えてました。
……どう見ても男のアレなソレですが、実はこれ貴太郎の発明品であるバイオ貞操帯!
バイオだけに生きているソレは「入れさせない」と言う本来の目的でなく、攻撃することによって乙女の操を守るのです!
さらに昨日はそれだけでなく、見た目どおり男のアレのに似た機能も持っており、男のムラムラを疑似体験できる仮想オティムティムとして働くのです!
男の心理状況を体験することによって男女間の違いを超越した正しい関係を作り出せる……といった名目で搭載されているその機能ですが……
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当然いやーんなことも起こってしまうわけです!

そのバイオ貞操帯をつけられたのは運悪く彼氏とのデートの日でした。
早く外せと懇願するのですが、なんとソレは彩乃が成人するまで外れない様になっているのだそうです!
どうにもならないままに映画見て食事するだけだから大丈夫だろうと不安を抑えながらもデートに向かう彩乃ですが、なんとその日は彼氏の家に招かれてしまいます!
彼氏の部屋に通され、そのままキスを迫られる彩乃。
とりあえずキスだけなら大丈夫だろうとうけいれるのですが、
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早速やってくれました。
そこに彼氏の母親が乱入してきて、いきなり彩乃が誘惑したのか等といちゃもんをつけ始めてきてもはや何もかもがぶち壊し。
貞操帯のことこそ気付かれなかったようですが、綾乃は逃げるように家に帰るのでした。

家に帰って綾乃は父親にひとしきり怒りをぶつけます。
とりあえず落ち着いたところで食事をしながらバイオ貞操帯の他機能の説明を受けようということになりました。
その昼食は隣に住む従姉妹の同級生、実沙希がわざわざやってきて作ってくれたもの。
料理上手でかわいいうえに気が利く彼女を見て
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なんと貞操帯が反応してしまうのでした!
女なのに女(しかも従姉妹)にときめいてしまった彩乃。
取れない貞操帯に翻弄される毎日を送ることになってしまった彼女の明日はどっちなのでしょうか!

この後、貴太郎に丸め込まれて実沙希にもバイオ貞操帯がつけられていることが発覚し、二人は共通の秘密をえたことでより距離が近づいていきます。
二人のどっきどきどん生活がますます加速!
更に貴太郎のバイオ技術がとある代議業に認められるのですが、それをよく思わない別のバイオ科学者が彩乃たちのバイオ貞操帯を狙ってくると言う事件も勃発!
彩乃の悩み多き日々はまだまだ続くようです!

バイオが少女を守り抜く(?)、「猟奇博士と生贄娘 ドクター&ドーター」第1巻は好評発売中です!
陽気婢先生ならではの味がなんともいえないエロスコメディを存分に堪能すべし!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


ドクター&ドーター 1 (サンデーGXコミックス)
小学館
陽気婢

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いつもの壊れた全年齢 ...
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本日紹介いたしますのはこちら、「La Petite fedette(ラ・プティット・ファデット)」です。
東京創元社さんから刊行されました。

作者はしかくの先生。
しかくの先生は98年ごろデビューされた漫画家で、代表作は「爺さんと僕の事件帖」。
そのほかにも「パラサイト・イヴ」や「嗤う伊右衛門」等の小説の漫画版を手がけられています。

本作はジョルジュ・サンドの小説「愛の妖精(原題は『La Petite fadette』)」を下敷きにした恋愛とミステリの中間の漫画です。
「愛の妖精」は主人公たちの恋愛と成長を描いた作品で、ハッピーエンドを迎えるのですが……この作品はまったく違った結末を迎えるのです。

まずこの作品は、電車の中で二人の紳士が出会うところから始まります。
静か過ぎる紳士が熱心に読んでいた本は探偵小説。
そこでもう片方の紳士が「私の考えた小説の批評をしてくれないか」と自らの考えた恋愛小説の筋を語り始めるのです。

主人公は富農の家に生まれた双子、シルヴィネとランドリー。
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彼らは生まれてからずっと仲良く、いつもいっしょに暮らしていました。
何不自由なく幸せに暮らす双子の一家。
同じ村には魔女と呼ばれ奇異の目で見られているファデーと言う老婆が住んでおり、その孫娘である双子と同い年のファデットはやせぎすで色黒なことから蟋蟀(こおろぎ)と呼ばれています。
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そして足の悪い蟋蟀の弟、ジャネーは蝗虫(バッタ)と呼ばれており、一家でよくない評判を囁かれています。
ファデットは粗野でみすぼらしく、ファデー婆程ではありませんが村中に見下されている存在。
この裕福で美しい双子と、貧しく器量に乏しい少女の運命のうねりがこの物語を作り上げていくのです。

ある時、双子の家は凶作に見舞われ、このままでは家族が養いきれない状況に追い込まれてしまいます。
そこで家族がとった道は双子のどちらかを方向に出す、と言う道でした。
いつもいっしょに過ごしていた双子は当然嫌がり、反発するのですが……父の決定は揺るぎません。
考えた挙句、体が弱く内向的な所のある兄、シルヴィネが違った環境ですごすのは難しいだろうと考えた弟、ランドリーは自らが方向に出ることを志願します。
シルヴィネはそれにも反発しますが、一番下の妹、ナネットがシルヴィネに懐いていることもあり、ランドリーの奉公を認めるしかないのでした。

違う運命を歩き始めた二人。
いままで何をするにもいっしょだった二人ですが、別に暮らし始めたことからかたまに帰ってきたときも今までのように
べたべたとくっつくことはなくなりました。
シルヴィネは言いようのない寂しさのようなものを奪えるのですが、働き者で一目置かれているランドリーの姿を見ると……褒められる弟に誇らしさよりも嫉妬を覚えてしまうのです。
そんな気持ちの中で、シルヴィネは家のものにからかわれたことから激昂して家を飛び出してしまいます。
そこでシルヴィネはフェデットと出会います。
フェデットにまで自分が女々しいとからかわれ、あろうことか手を上げてしまいます。
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シルヴィネは更に心の中のもやもやを増幅させしまい、ランドリーとともに過ごすはずの安息日に家出をしてしまうのでした。

安息日の朝、シルヴィネのいないことに気が付いたランドリーはあわてて村中を探します。
まったく見つからないことに焦りますが、そこでまた現われたのがフェデット。
しかも彼女、ランドリーがこれだけ探しても見つからなかったシルヴィネの居場所を知っているというではないですか。
自分を差し置いて蟋蟀が知っているなど……と不快感を感じますが、そんなことよりも今は兄のほうが大事とばかりにフェデットに教えを請うランドリー。
そこで彼女が教える見返りとして提示してきた交換条件は意外や意外。
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来週の祭りで他の女性とは一切踊らず、自分とだけ踊ってくれというものでした!
なんと彼女はランドリーが嫌いだからこそ、「みすぼらしい自分と踊るランドリーが周囲の目に惨めに映る」であろうことからそんな提案をしたというのです!
実はこの条件には裏があるのですが、そんなことは知るはずもないランドリー。
背に腹は変えられず、ランドリーはその約束をしてシルヴィネの居場所を教わり、無事兄を見つけます。
やがてやってくる祭の日。
ランドリーは何でも知っているかのように底知れず、悪魔に取り付かれたかのように正気を失って大暴れしていたことさえあるファデットを恐れ、怯えるのですが……
その時はやってくるのでした。
双子の運命を大きく変えるきっかけとなる、その日が……

ここから物語は急展開します。
双子とファデットをめぐる愛と嫉妬の入り混じった複雑な感情と、さらに家族や村人など周囲を巻き込んだ訌争。
さらにはナネットとジャネーの身にも事件が降りかかり、双子とファデットの関係はいびつにゆがんでいくのです……

見所としてはまず登場人物の変化でしょう。
ファデットは物語が進むにつれどんどんと魅力的になって行きます。
容姿は勿論のこと、画されていた裏事情なども明かされ、魔女として敬遠されてきた彼女からは考えも付かない素晴らしい人格が彼女をより素晴らしい人物であることを認識させてくれます。
ランドリーもまた恋をしたことからより男らしく成長し、好感の持てる男に。
そしてシルヴィネは自分が何より愛していたランドリーへの思いをガマンし、彼の恋を成就させてやろうと考えるように成長するのですが……同時に嫉妬からか、取り返しの付かないことをしてしまうのでした……

そしてもう1つの見所は後半の重い展開を更に加速させる事件と、その真相です。
全てが丸く収まりかけていたところに襲う不幸な事件と、それによって完全に失われてしまう幸せ。
さらにその事故だと思われていた事件に隠されていた驚くべき真相!
ミステリ的な部分はぶっちゃけここらへんだけなのですが、それだけにより印象的な結末になっています!

双子と蟋蟀を廻る悲劇を描く、「ラ・プティット・ファデット」は全国書店にて発売中です。
帯の紹介文には「本格ミステリ・コミック」と書いてありますが……実際は恋愛を主にした人間ドラマがメイン。
ミステリを期待して読むと肩透かしをくらいかねませんが、ミステリとしてみなければまとまりのよいドラマとして楽しめる作品になっています。
ちょっと鬱展開、というか救いのない結末ですので、そこは少し注意が必要かもしれませんが!
また、本冊子の巻末では連載誌が無くなり、単行本未収録話があるまま宙ぶらりんになっていた「爺さんと僕の事件帖」の新装版の刊行も予告されています!
2010年刊行予定だそうですので、そちらも要チェックですね!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


ラ・プティット・ファデット La Petite Fadette
東京創元社
しかくの

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あくまでもミステリ風 ...
帯は『綾辻行人、唸る ...
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本日紹介いたしますのはこちら、「変身」です。
双葉社さんのアクションコミックスにて刊行されました。

作者は桜壱バーゲン先生。
桜壱先生は93年ごろデビューし、いわゆるエロ劇画や風俗体験漫画などをメインに描いてきた漫画家で、北見けんいち先生のアシスタントを経験していたこともあるようです。

さて、こちらの作品は昨今の文学作品の漫画化というプチブームに乗ったもので、あのカフカの代表作「変身」を漫画化したものです。
ですがこの漫画版では、原作にあったなんとも言えない暗く、嫌なムードの漂う淡々とした雰囲気は鳴りを潜め、桜壱先生の過去作品に見られるような「エロ劇画」的な……言ってはなんですが……下品な作品になっています。
ちなみにイーストプレスさんから発行された、文庫の「漫画で読破」シリーズとはまったく別作品ですのでお気をつけ下さい。
……こっちもそっちも原作にかなりアレンジが加えてあるようですが……

何より本作での最大の特長は、主人公が虫になったザムザではなく、その父親であるということでしょう。
なんせ原作では確か主人公が朝起きると巨大で醜怪な虫になっていた……という衝撃的な書き出しであったのですが、本作で朝起きて巨大に変身していたのは
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おやじのアレです。……ひでぇ!!
で、正直言って自分が原作版を読んだのがはるか昔なので間違ったことを言ってるかもしれませんが……多分原作にはいない美人の女中さんが登場。
父親はひさしぶりにおっきしたそれを美人女中に見せびらかしたいぜ!!みたいなことを考えるエロくてバカで怠け者なキャラ設定がされているのです。
原作どおりの「家にある多額の借金」もすべて父親が作ったものになっていたり、「僅かなたくわえ」も老後の女遊び用のへそくりになっていたりと、とにかくダメ親父に!!
唯一の働き手である息子が虫になってしまったことを発見した後も自分のことしか考えないようなおっさんです!

そのような親父さんのエロっぷりと駄目っぷり以外は基本的に原作に沿っています。
理由はともかく怒りのあまり怪虫となった息子にりんごを投げつけ、それによってザムザは衰弱。
今までの女中の変わりに大柄な老女の女中が雇われ、ザムザは女中にもいじめられます。
生活費の足しにしようと家の一部を貸し出すのですが、あるきっかけのせいで隠していたザムザが下宿人たちに見つかり契約は破棄されて収入を得られず、ますますザムザは疎まれて……
家族のイライラは限界に達し、唯一面倒を見ていた妹すらザムザと縁を切るべきだと主張し、それを聞いたザムザは失意のどん底に落ち込んで……
という、原作の要素は大体収録。
あの読み手を戸惑わせるラストも完全再現されていますので、原作既読の方も要チェックですよ!!
そして原作とは違い、登場する人物がイチイチ人間くさいというか不快(褒めてます!)な感じで、独特な味がかもし出されています。
その最たる存在である親父さんのほか、老女女中もそりゃもう酷いモンです!
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これ雇うとか……凄いよ……

序盤では醜くおぞましい虫でホラー的要素を披露し、
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中盤ではダメ親父の奮闘を描いたコメディ的要素が主となり、
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終盤では原作の要素を濃くしてきっちりとまとめる。
表舞台にはなかなか立っていなかったものの、流石の桜壱先生、ベテランの仕事ですね!
原作の雰囲気とは大きく乖離していますが、あらすじを知ることが出来、原作に興味を持った方への入り口としては十分な内容になっいます。
この漫画版は漫画版でまた違った……漫画アクション系らしい作品として完成されています!
……連載していた雑誌がなくなったせいもあり、終盤がかなり駆け足になってしまったのが残念ですが……

稀代の不条理小説を漫画化した、「変身」は全国書店にて発売中です。
気持ちの悪い虫の描写と、キモい登場人物たちの描写は非常に高レベル。
原作に興味がある方だけでなく、そういうキモ描写を見るだけでも買う価値有りです!!……多分。
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!



変身 (アクションコミックス)
双葉社
桜壱 バーゲン

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いわゆる「ひきこもり ...
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