本日紹介いたしますのはこちら、「アサギロ ~浅葱狼~」第5巻です。
小学館さんのゲッサン少年サンデーコミックスより刊行、ゲッサンにて連載されています。
作者はヒラマツ・ミノル先生。
本作は「ヒラマツ・ミノル」のテーマにてまとめておりますので、よろしければご覧ください。
さて、様々な縁で試衛館に土方歳三、永倉新八の二人が加わった第4巻。
剣の腕だけでなく、その剛毅な人柄によって人をひきつける近藤勇。
彼の元でなんとなく剣の稽古に打ち込んでいる沖田ですが……こんな彼も剣の腕前以外の部分で一人前になる日が来るのでしょうか?
山南などを蹴散らしたものの、沖田にコテンパンにされて以来試衛館で稽古に打ち込んでいる永倉。
それ以来何度頼み込んでも、近藤はおろか沖田も立ち会ってはくれず、それならば立ち会うに足る腕を身に着けるまで、この天然理心流の真髄を身に着けるまで通い続けようと言う結論に達したのでした。
新たな顔をくわえた試衛館の道場ですが、その片隅に見慣れない顔があるではないですか。
彼は試衛館の新顔、ではなく、伊藤道場なる道場の門下生なんだそうです。
なぜ他流の彼がここにいるのかと言いますと、先日剣術の大会で沖田にそれはもうこっぴどくやられたんだそうで。
そのお返しをしたいと立会いを申し込みに来ているのだそうですが、相手は沖田。
永倉相手にすら再戦を認めなかった彼が、そう簡単に試合をうけるわけがないのです。
望み薄な懇願を続ける彼を哀れに思ってか、じゃあ俺とやってみる?と持ちかけた永倉ですが、彼もまた頑固でおきたい害は眼中になしとばかりに袖にしやがります。
で、沖田に対しては平身低頭で再戦をお願いするわけですが、メンドーだしと沖田はやっぱり取り合わないのです。
たまりかねた彼、こうなったら腹を掻っ捌いて伊東道場の長である伊藤にわびるしかない!と言い出すのですが、それも気を引くための虚勢なわけで。
相手にするとくせになる、と沖田も放置するのでした。
伊東道場の伊藤は、切れ長の瞳の美男子でした。
そして彼は自分の容姿があらわすかのように、美しいものを好んでいるようです。
そんな彼が、容姿も技術もパッとしたところのない彼を好めるはずもなく……
沖田に復讐を遂げることも出来ず、そもそも腕の差がありすぎるから立ち会ってもらえないと言うこともわかっていない彼に、伊藤は苛立ちを隠せません。
ですが切腹と言うのも彼の美的センスからすれば醜く、美しさにかけています。
そこで伊藤は、彼に「試衛館に間者として潜伏して来い」と命ずることにしました。
食客として入りこみ、試衛館に溶け込む。
無名の流派でありながら、美しい剣筋を持っていた沖田の、試衛館の実態を掴むのだ、と!
……と言うのはもちろん嘘。
伊藤に心酔している彼は喜んでその命を受けて試衛館に飛び込むのですが……
要するにこれは体のいい人払い。
潜入を悟られないように交流を断つ、時がきたらこちらから声をかける、ということにして、一生そのまま放っておくつもりなのです……!
なにせ伊東、一見重大に見えるそんな命令を下した彼の名前が、藤堂平助と言うことすら知らなかったのですから!!
で、その藤堂。
試衛館に大荷物を持ってやってくるなり、喜ばしいお知らせを持ってきたよ!と鼻息も荒く語り始めました。
本日から食客としてここに身をおくよ!というのですが、普通こういうところの食客と言うのはこちらから招いて技術とかを教えてもらうもんじゃないでしょうか。
藤堂はこう見えても北辰一刀流の目録を授かってるから不足はないよ!となんとか受け入れてもらおうとするのですが、北辰一刀流といえば山南が免許皆伝の腕前だったりするわけで。
食客は足りているよと断ろうとするのですが、それに異を唱えたのは他ならぬ近藤でした。
肝心なのは剣の腕。
どれだけやれるのか、こそが重要だと言うのです。
腕前を見る相手は、永倉をして「強からず弱からず、普通」と言う腕前の源さん。
始まってみればなるほど……弱い。
あまりの剣の軽さに、ザ・普通の源さんが鬼のような強さに見えるほど一方的な試合運びになるのです。
ですがそんな結果にも関わらず、近藤は藤堂を食客として迎え入れると言い出すではないですか!
しかも、藤堂には何か後ろ暗い裏事情がある、ということを感じながら!
とは言え、藤堂もこれで安泰と言うわけではありません。
近藤から命ぜられた、ただひとつのルール。
沖田の弟子となる、という厄介なものを科せられてしまったのですから!!
負けた相手から剣の腕を学び取れ。
それが出来る人間なら真の強さが手に入れられる。
藤堂ならできる!!
そう近藤に力づけられて、やむなく藤堂は沖田の弟子となるのですが、何せ相手はあの沖田です。
自分に先生とつけて呼べと命じるのはまだやさしいほう。
毎日毎日広い道場を雑巾がけさせたり、巻き割りや風呂焚きをさせたり……
どう見ても雑用係に過ぎません。
とは言え沖田もアレな性格ではあるものの、そこまで意地の悪い男ではないはず。
藤堂は本当に真の強さを手に入れることが出来るのでしょうか?
調子くれてる沖田は、藤堂の相手をしてあげるのでしょうか!
というわけで、またも新たな未来の新撰組が一人やってきた今巻。
こうして時は流れて行き、時代の荒波に飲まれ、運命のときを迎えるのでしょう。
そこに至るまで、これからもどんな人物がどのように現われ、どんな事件が巻き起こるのかが楽しみですね!!
そしてこの後は新撰組のメンバーだけでなく、時代を動かす大物も登場!
意外な形で沖田たちと絡むことになるのですが、この出会いが今後のドラマを左右することになるのかも気になるところ。
ますます目が離せません!!
新キャラ中心に物語が進む、「アサギロ~浅葱狼~」第5巻は好評発売中です!
近藤の、沖田の凄みを平松先生の筆致で力強く、かつユーモラスに描く本作。
新撰組周りが好きな人はもちろん、そういった作品に興味がない人も楽しめる作品ですよ!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!