3階の者だ!!

DEBがお送りするネタバレありのコミックス紹介ブログです。 短編物では一話にスポットを当てて、長編物ではこの後どうなるの?と言うところまで紹介しているつもりです! ※作品記事につきまして、権利者様が問題があると感じられた場合はご一報ください。対応いたします。

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本日紹介いたしますのはこちら、「三鬼本家の食卓」です。
エンターブレインさんのビームコミックスより刊行されました。

作者は犬童千絵(いぬどう ちえ)先生。
犬童先生は本作で連載デビュー、初単行本刊行となった新人漫画家です。

さて、本作はとある定食屋のお母さんが再婚することをきっかけにおきる、一連の出来事を描く作品です。
母一人で男三人を育ててきた三鬼本家、そこで起こるトラブルとは?

いかにも不良と言った感じのリーゼントの男に、顔面を蹴っ飛ばされる男、高洲礼次郎。
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生まれてからこの方、恵まれた境遇で順風満帆に人生を過ごしてきた彼が、一体何故今になってこんなバイオレンスな目に会うことになってしまったのでしょう。
その発端を知るには、ほんのすこし前にさかのぼる必要があるようです。

ひとつのちゃぶ台を囲む数人の人物。
特に目を引くのは、肌を真っ黒に焼いたガラの悪い龍仁、リーゼントを決めた目つきの悪い鷹義、坊主頭で寡黙で巨体の寅信の三兄弟。
強面ぞろいですが、皆さんまだ未成年です。
そんな彼らに頭を下げているのが、彼らと比べるとどうしても貧弱に見えてしまう礼次郎でした。
両手をついて頭を下げているのには、もちろんわけがあります。
そのわけとは、
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彼らの母親である智子との再婚を認めて欲しい、と言うものでした!
すぐに認めてもらえないとは思う、努力するから少しずつ認めて欲しい……と言う決意表明をする礼次郎ですが、その言葉が言い終わる前に襲い掛かってきたのが冒頭のとび蹴り!
思わず智子とのなれそめを走馬灯のようの思い浮かべてしまう礼次郎。
小料理屋をたった一人で切り盛りする智子と、そのお客さんだった礼次郎が、徐々に心を通わせて行き、やがてプロポーズにいたるという、実にスタンダードながらも心温まるエピソード。
ですが、その結果がこのキックだったわけで。
鷹義は中指を立て、よりによってこんなヒョロヒョロのガキを連れてきて結婚なんて笑わせるな!と言い放って飛び出していってしまいました。

とりあえず他の2人の息子さんは、頭から反対と言うわけではないようです。
長男の龍仁は、鷹義は口より先に手が出るとぼやきながらも、もっとあんたのことを知りたいから自己紹介してくれと言ってきます。
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で、その龍仁にはなんだかお色気たっぷりな異国の女性が張り付いております。
彼女は龍仁の彼女のアンジェラだそうで。
龍仁は、自己紹介が始まる前にアンジェラに礼次郎の印象を聞いてみました。
するとアンジェラは、「アソコ小さそう」「女に振り回されそう」「全然タイプじゃない」と散々いいまくり。
ですがそのあといきなり「いい匂いがする」といいだすのです。
とは言えそれは人間的な魅力を意味するものではなく、「金の匂いがする」と言う意味なのですが……

礼次郎はタカスコーポレーションという超一流企業の息子でした。
アンジェラは、龍仁はプレゼントをくれる、お前は龍仁よりずっと金持ちだ、女に惚れたら金を使え!となぜか上から目線でアドバイスをしてきます。
礼次郎もそれが彼女のためになるなら、と早速そのアドバイスに従うことにしてしまいました。

礼次郎が手を入れようと思ったのは、長年智子が護り続けてきた厨房です。
もともとはお亡くなりになった旦那さんと使ってきた厨房。
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改めて見直してみれば、女性一人で使うには大分不便なところが多数存在します。
高いところの食器には手が届かないだろうし、調理場や冷蔵庫なんかの位置関係も改善の余地あり。
そう感じた礼次郎はすぐさま無駄を省き、智子が働きやすいよう効率化することを決心しました!
いいのよ、と断ろうとする智子ですが、自分の出来る限りのことであなたの力になりたいんだ、これは自分のわがままだ……と、礼次郎はすぐ工事の手配を始め、突貫工事を命じたのです!

飛び出した勢いで友人の家に転がり込み、不良らしく酒をかっくらって荒れ狂っていた鷹義。
長いこと友人に愚痴っていたせいでとりあえず落ち着いたのでしょう、ようやく日も完全に暮れてから家へと戻ってきました。
玄関を開けてみれば、そこで待ち構えていたのは満面の笑みの礼次郎と……オール電化されてキレイに整ったネオ厨房でした!!
厨房はすっかり完成しており、もう明日から使えるようです。
礼次郎は自信満々に解説してくれました。
電化厨房なら当社はドコにも引けを取らない、従来よりずっと効率の良い環境になる。
調理器はすべて熱効率の高いIH[に、操作性抜群、タイマーなどのオプションも充実し、省スペースで収納も使いやすく。
さらにオーダーはコンピューターで管理され、モニターに表示される……
まさに至れり尽くせりの生まれ変わりぶりですが、この改造が鷹義には気に入らないようです。
今はこんなありさまですが、幼く純真だった頃の彼の、父親との思い出がたっぷりとつまった厨房。
それをいきなり面影ひとつ残らない状態に変えられてしまったのですから!!
礼次郎は金を使って俺たちを買収するつもりだろう、と迫る鷹義。
それだけでは飽き足らず、そんな簡単に父親のことを忘れてしまうのか、と母親に対しての怒りも露にします。
なにやら長物を取り出し、厨房を壊そうと暴れる鷹義。
それを止めたのは、今まで無言で流れを見つめていた寅信でした。
兄貴に意見する気かよとすごむ鷹義ですが、寅信はこう返してきます。
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兄ちゃんは知らないんだ。
任ちゃんが手伝いもせずバイクで遊びまわっている間、母ちゃんがどれだけ不自由していたか。
母ちゃんが疲れて倒れるくらいなら、礼次郎の言うとおりにしたほうがいい。
思い出よりも、今の母ちゃんの方が大事だ、と。
思い出は確かに大事ですが、今や未来の方がより大事。
まったく反論の余地がない正論を浴び、鷹義はここに俺の居場所はないんだなとはき捨ててバイクで去っていってしまいます。
そんな憎まれ口を叩いても、危ないことはしないで、と心配する声を投げかけてくる母を振り返りもせずに。

それでも智子はすぐに笑顔で礼次郎を振り返り、夕飯の時間だと家に招き入れました。
食卓を囲むのは、智子と礼次郎、そして寅信の三人だけ。
智子はさびしそうな表情を浮かべ、孝義が荒れるのも仕方がない、こんな風に食卓を皆で囲めるのは週一回の定休日だけだったんだから……と語るのです。
ですが礼次郎は、こんなおいしいご飯なら龍仁や鷹義もきっと一緒に食べたいはずだと自分に言い聞かせるように紡ぎます。
箸をおいた礼次郎は、いきなりともこの手を握って宣言を始めました。
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仕事と家庭を大切にする貴方を本当に意味で幸せにする。
三兄弟にも父として認めてもらい、5人で食卓を囲めるようにする、と!!
智子を顔を赤らめ、顔を背けて食事中だからと恥ずかしがり……
なによりそれを見ていた寅信もなんかおっそろしい貌をしてそれを見つめておりまして。
礼次郎の決心は、そう簡単に果たせるものではない予感を感じさせてしまうのでした……

というわけで、23歳と言う若さの礼次郎が、自分とさほど変わらない三人の男子にオヤジと認めてもらうため奮闘する本作。
わかりやすく反発している鷹義が最大の肝なのは確かですが、むき出しの敵意こそないもののいかにも裏で何かやってそうな龍仁、口数少なく胸の内まではわからない寅信もハイOKと認めてくれるわけもないでしょう。
龍仁の抱えている大きなトラブル、寅信が秘めている願望……それらを解決しないことには話が進みません!
金持ちのボンボンである礼次郎はさぞや苦労するでしょう……が、苦労するのはともかくとして、この礼次郎はただのあほなボンボンではないのです!
超人格者の両親に育てられ、生まれながらの金持ちゆえのズレはあるものの、それを差し引いても相当な人格者なのです!
誠実で真面目で、立派な考え方まで完備している礼次郎。
肉体的なものや、経験と言った面で未熟なのが不安ではありますが、智子への愛もある彼ならばきっとやってくれるはず!!
智子もまた、ただ優しい人ではなく、しっかり芯のあるところもみせてくれまして、各キャラそれぞれの見せ場を盛り込みつつ、一冊できれいにまとめて終わるストーリーとなっているのです!!

三鬼本家に訪れる大変革、「三鬼本家の食卓」は好評発売中です!!
200ページ超のボリュームで、見事なラストを迎える本作。
それぞれのエピソードのその後を描く描き下ろしなども収録し、かゆいところに手が届く一冊と言えるのではないででしょうか!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


三鬼本家の食卓 (ビームコミックス)
エンターブレイン
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本日紹介いたしますのはこちら、「瞬きのソーニャ」第1巻です。
集英社さんのヤングジャンプ・コミックスGJより刊行されました。

作者は弓月光先生。
弓月先生は、68年にりぼん新人漫画賞(なんと第1回の!)を受賞し、デビューした大ベテランの漫画家です。
男性でありながら少女漫画誌を主戦場に活躍をしていましたが、82年に発表した「みんなあげちゃう」にて青年誌に、83年の「ボクの婚約者」で少年誌にも挑戦。
いずれも人気作となり、ドラマ化などもされました。
現在は90年から連載を開始し、今もなお連載が続いている「甘い生活」を執筆されています!

さて、本作は一人の少女に焦点を当てたアクション漫画です。
近年の弓月先生の作品としては珍しく、お色気要素はほぼ無しの、シリアスなドラマでみせるタイプの作品となっているのです!

1989年11月10日。
その日、ひとつの国を二つに別っていた壁が崩壊しました。
国中が大さわぎとなり、当然近隣諸国にも衝撃が走ります。
その頃、ソビエト連邦……当時のロシアのある研究施設で爆発事故が起こっていました。
……いあや、事故ではないようです。
その研究施設から歩き去っていく、老人と少女。
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老人は、少女の頭をなでながら、あの場所はお前が生を享けただけの場所でしかないから振り返るな、追っ手が来るのは時間の問題、これからどう生き延びるかが重用だと言い聞かせます。
無言で頷き、老人の後をついていく少女。
彼女とこの老人は何者なのでしょうか……?

軍人達が爆発した研究施設に駆けつけました。
ですが、見事な燃えっぷりでもはや消火は不可能。
しかも責任者はこれからのことを考えたのでしょう、既に自決した後でした。
監視カメラに記録された映像を確認してみると、やはり例の老人がこの事故を引き起こした様子。
この老人は、ザイツェフ中佐。
この施設の警備主任であり、かつては軍人達に様々なことを教え込む教官であった男です。
この件を担当することになったブーニン中尉が上からの指令を受け取るのですが、内容は少女は可能な限り無傷で捕獲、ザイツェフの始末は任せる、というものでした。
教官時代のザイツェフのことを知っているらしいブーニンは、この指令にいやな予感を感じます。
相手はたった一人の軍人、しかも子連れという大きなハンデを負っているというのに。

ザイツェフはやはり相当有能なようです。
雪に深々と残された足跡と、残されたにおいを犬を使って追う軍人達。
犬の足が、雪に埋められていた糸のようなものにひっかかると、その先には爆弾が仕掛けられており……
あちこちに仕掛けられている爆弾は、僅かに殺傷能力がそがれています。
死んでしまうより、生きている負傷者がいるほうが、追っ手の足は鈍りやすいのです。
さらにいいタイミングで雪も降り出し、追うのは更に難しくなったはず。
ザイツェフと少女は一旦倒木などを利用して自然のテントを作り、小休止を取ることにしました。
少女の体に凍傷の兆しなどがないか調べていると、その腕には「COH(SON)-1666I」と刻印されていました。
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そこでザイツェフは、その刻印から彼女に「ソーニャ」と名をつけました。
この先人と交わるなら名前が必要だから、と。
研究施設で生まれ、名を与えられていない少女。
ソーニャは一体なんなのか?
その片鱗は、追っ手から逃げる際でも欠かせない、食事を得るために行った狩りで披露されることになるのです。

大型の虎に追いかけられるシカの仲間。
猛烈な勢いで追う虎ですが、その虎をらくらくと追い越し、先を行くシカに飛び掛かり、木の枝による一撃で首をへし折ったのは……
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ソーニャでした!
獲物を横取りされた虎はのどを鳴らして威嚇してきますが、振り返ったソーニャの視線に負け、すごすごと立ち去っていきます。
虎が立ち去ったのを確認し、ソーニャはひょいをシカを抱えあげ、またも猛烈な勢いで走っていくのです。

人間の手は格闘に使うのにはやわすぎる。
木の枝、石ころ、使えるものは何でも使え。
その教えを護って狩りをしたことを、ザイツェフは褒めてくれました。
それがないときは、掌か踵といった硬いところ、と補足までするソーニャ。
話題は物騒ながら、二人の間には穏やかな空気が流れていました。
ですが二人は追われている身。
つかの間の平和はすぐに崩壊してしまうのです。
空気を劈くような鋭い音。
ソーニャはいち早くその音に反応し、ザイツェフを押して位置をずらしつつ、胸の前に木の枝を盾のようにかざしました。
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ですが、その音の主……銃弾はむなしく木の枝を貫き、そしてザイツェフの肩も貫通してしまうのです……!
ザイツェフは身を転がし、狙っているであろう方角から見ることのできない木の裏側へと寄りかかりました。
ソーニャには逃げるように命令して。

やがてブーニンたち軍人はザイツェフを発見します。
どうしてこんなことをしたのかと問いかけてくるブーニン。
ザイツェフは言います。
ベルリンの壁の崩壊は様々な余波を生み、おそらくソビエト連邦も数年で消えるだろう。
そうなれば、その前にあの施設とソーニャは始末されてしまうだろう……
国家機密であるソーニャのことは、中尉であるブーニンすら一切知りませんでした。
ザイツェフは、ソーニャをウサギと思って追っていたのだろうが、アレはウサギどころか虎以上の生き物だ、とにやりとするのでした。

その瞬間です。
ブーニンたちの背後から、ソーニャが高く高く飛び出してきました!
軍人達が振り向く前に、人数を確認。
振り向いたときには既に軍人達の懐にもぐりこんでおり、次々と頭を叩いて意識を奪ったり、腕や足を折ったり……
あっという間に軍人たちを無力化してしまったのです!!
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かろうじて立って会話が出来るのはブーニンただ一人。
ですがブーニンも、ソーニャが口に含んだ雪の塊を目に叩き込まれ、何も見えない状態になってしまいました。
ザイツェフはそんなブーニンの目を診てやり、右目は助かりそうだぞといってからソーニャの生い立ちを説明し始めます。
あの研究施設は、遺伝子を弄繰り回して人間の様々な可能性を模索していたのだそうです。
もちろん手探りなため、20万近い実験体が胎児まで行かずに死んでしまいました。
結局、人の形になったのはソーニャだけ。
人の数十倍の反応側を持ち、圧倒的な身体能力を持つソーニャ、その運動能力を支えるためか、小柄な体格なのに50キロを超える体重があるんだそうです。
それだけ教えると、もう追うなと言い残してその場を立ち去るザイツェフとソーニャ。
2人が生きていくには、生きていける場所を求めてさまよう旅を続けるしかないのです。
歩き始めて程なく、ザイツェフはソーニャに問いかけます。
逃げろといったのに、何故戻ってきた?と。
ソーニャはザイツェフの手をきゅっと握り締め、こう答えました。
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一人はもうイヤ、と……
ザイツェフは何も言わずソーニャを抱き寄せ、先ほどの戦闘についての駄目だしをはじめました。
中国に行くか、モンゴルに行くか……まずは生き延びる。
それがその旅の第一歩となるのでした……

というわけで、遺伝子操作によって生まれた少女の人生を描いていくことになる本作。
このあとの第2話で、物語はおそらく最後の結末になるであろう、ある程度時間の進んだ場面へとうつります。
そしてそこから、そこに至るまでの様々な出来事を回想していく、と言った形態のお話になるようです。
逃亡先の様々なところで、サマ挫生な人物と出会い、学び、あるいは狙われ……
ソーニャとザイツェフには完全に心休まるときは来ず、それでもささやかな安らぎを謳歌しながら、過酷な日々をすごすのです。
弓月先生の絵柄の都合上、アクションシーンはやや迫力に欠ける嫌いがあります。
ですが、丁寧な筆致で描かれたそれは、している行為の残忍さとのギャップを生み、迫力だけでは語れない印象を生み出しています!
かなりの超人振りを見せるソーニャにも、きちんと弱点が存在し、そこを上手にお話に絡めてくるところもさすが。
あとザイツェフの有能ぶりにもびっくりすること間違いなしですよ!!

非情な運命を生きるソーニャの日々を描く、「瞬きのソーニャ」第1巻は好評発売中です!!
単純な命のやり取りだけで無く、ソーニャの心の動きなども描写している本作。
今までの発表ペースが年2回程度だった上、掲載されていたビジネスジャンプがなくなってしまった状況を見るに、第2巻が出る日は相当先になりそうです。
コミックスのレーベルからして、グランドジャンプ系で発表してくれそうではありますが……
気になるところで第1巻が終わっているだけに、早く続巻が読みたいところなんですけどね!
とにかく、決して今風ではない絵や、弓月先生のほか作品の印象で避けるにはもったいない作品ですので、是非一読してみることをお勧めいたします!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


瞬きのソーニャ 1 (ヤングジャンプコミックスGJ)
集英社
2012-01-19
弓月 光

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本日紹介いたしますのはこちら、「つきロボ」第1巻です。
集英社さんのヤングジャンプ・コミックス・ウルトラより刊行、ウルトラジャンプにて連載されています。

作者は中平正彦先生。
中平先生の作品は「中平正彦」のテーマにて紹介記事をまとめさせていただいております。
よろしければそちらも併せてご覧くださいませ。

さて、本作は近未来の月世界を舞台としたSF漫画です。
ですがアクションやらスペースオペラではなく、あるひとつの目的をめざしてのささやか(今のところ)な出来事を描く作品となっているのです!

「月面魔神グラドゥルス」。
20年ほど前に放送された、熱血スーパーロボットアニメです。
当時の人気はいまひとつだったようですが、そんなマイナーじみた作品を今まさに食い入るように見つめている少女がいました。
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カッコいい、昔の人はわかっていない!と興奮している彼女の名は、つきひ。
傍らでなにやら作業をしている父親に、一緒に観ようと語りかけるのですが……お父さんはその作業がいそがしいようで、やんわりと断られてしまいます。
やむなくつきひはネット電話のようなシステムを使い、お友達のるねに話しかけました。
いまグラドッゥルスを観ているから、ウチに来て一緒に観ようよ!と言うお誘いを掛けるのですが、るねはいま
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大絶賛爆走中!!
るねもレースをしながら、つきひもよくロボットアニメばっかり見て飽きないねえ、とあきれながら応対するのです。
数あるロボットアニメの中で、動かしてみたいと思うのはグラドゥルスだけなんだよねぇ、等となぜかしたり顔をしながら語るわけですが、そんな彼女にるねもとうとう突っ込んできました。
今は「ルナホッパー」の試合中だってことを忘れていないか、と!

ルナホッパーとは、特殊なアーム付きの高速車両。
るねは今まさに、円状のステージの中央にあるポールを取り合うという試合を行っているのです。
で、この試合を行うチーム「サーペント・コイル」にるねやつきひが参加しています。
つきひはそのエースパイロットだったりするのですが、今はある事情でチームリーダー的存在のカントクが代わりに操縦しているのです。
その事情とは、つきひのパイロットスーツの故障。
そしてその故障を直しているのが、今隣にいるお父さんなのです!
要するに今、つきひはパイロットスーツの修理待ちで、出来上がり次第レースに駆けつけなければならない状態だったり。
そんなこともすっかり忘れるほどつきひはグラドゥルスにのめりこんでいたということなわけで……
現状を思い出したつきひは、試合のポイントを確認。
すると、18対2という大差で大負け中なんだそうで……
臨時パイロットの監督はもう辞めるぞと諦めモード。
メカニックのポン太や、るねに説得されてなんとか試合の継続だけはしてくれているのですが、勝ち目は薄そうです。

ちなみに今回の試合のお相手は、人工知能で動く無人機だとか。
これからの時代、人間が操縦するロボなんて要らなくなるのかもね、と言いながら修理を終えたつきひのお父さん。
それを聞いたつきひの心の中には、ふつふつと熱いものがこみ上げてまいりました。
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人類対電子頭脳ロボ……燃えるシチュエーションじゃないか!!
妙なところでやる気をまんまんに補充したつきひは、試合も終わり近くなっ太頃に現場に到着しました。
点差は更に広がって24対2。
仮に残りすべて最高得点を取ったとしても同点どまり。
そうなるとタイム差で勝敗が決定するんだそうですが、相手のタイムはキレイに同じで、しかもそのタイムはつきひが以前出したレコードタイムと同じなんだそうで……
つまり、どう足掻いても勝ちはないということです。
ですが勝つだけがすべてじゃない、と言うつきひ。
せめて一矢報いちゃくれませんかね、と語りかけてくる監督と共に、つきひはいやらしい笑いを浮かべまして……
その表情に物凄くいやな予感を感じるるねですが、その予感は的中することに!!
つきひからすればこの「ロボットアーム」がついたこのルナホッパーもロボット同然。
ロボットを動かすのは人類だ!と叫び、そのロボットアームで
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グラドゥルスの必殺技名を叫びながら、相手のルナホッパーを叩き壊してしまったのでした!!

試合中にアームで相手を叩くのは別に反則ではありません。
ですが、荷重の制御なんかが難しいので普通はやりたくても出来ないのです。
とは言え、ポールを取り合う試合形式を無視して、相手を壊すためのどつく、しかも相手を稼動不能に追い込むほどの勢いでどつくのは正直やりすぎでしょう。
るねやポン太は落ち込むやら怒るやらするのですが、カントクは大笑い!
どれだけグラドゥルスが好きなんだ、ここまでやるなら本物引っ張り出して叩きゃいいのにと言い出しました。
……本物?
何を言ってるのやらと言う表情を浮かべるつきひ。
当然の反応といえましょうが、カントクはこう続けるのです。
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この月に、本物のグラドゥルスがあると知らないのか?と!!!

というわけで、本物のグラドゥルスを動かすために奮闘するお話となる本作。
その肝心のグラドゥルスは結構あっさり発見され、しかもちゃんと何故、何のために作られたのかもきっちりとわかっちゃいます。
だからといって動くかどうかと言うのはまた別のお話。
グラドゥルスがこの月に眠っていたのは、50メートル級の2足歩行ロボが実用性に欠けるから……というわけではなく、いろんな事情から未完成に終わっていたからです。
となれば、グラドゥルスを何より愛し、操縦したがっているつきひがするのはグラドゥルスのパーツ集めしかありえないでしょう!
いろんな人の協力や、つきひの無茶やるねの名推理なんかで、パーツ集めに挑む日々が始まるのです!

中平先生作品では珍しい、少女が主人公となる本作ですが、つきひとるねの他にも気になるキャラが登場します。
学力、体力共に優秀なお金持ちの娘さん、あまねです。
彼女のそれらの要素が、ロボットアニメとかの重要キャラっぽい、と自分が脇で暴れてるお子様キャラっぽいと自覚しているつきひは憧れまくり。
積極的に友達になろうとするのですが、なぜかあまねはつきひをライバル視していまして。
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完璧超人っぽいあまねの、ドジっ子要素や、つきひをライバル視する理由であろう意外な要素は、彼女のキャラターをより魅力的に。
つきひ&るねだけでなく、あまねの活躍にも期待しちゃいます!!

月生まれの少女が夢に向かって突き進む、「つきロボ」第1巻は全国書店にて発売中です!
グラドゥルスのパーツ集めを軸に、つきひの日常を描く本作。
意外な人のかかわりなども明かされたりと、パーツ探しは驚きと感動にあふれたものになる予感が!
待望の完成まで、どんな事件が起こるか、どんな人が関わってくるか……先の展開が楽しみですね!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


つきロボ 1 (ヤングジャンプコミックス・ウルトラ)
集英社
2012-01-19
中平 正彦

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本日紹介いたしますのはこちら、「月光条例」第16巻です。
小学館さんの少年サンデーコミックスより刊行、週刊少年サンデーにて連載されています。

作者は藤田和日郎先生。
本作は「藤田和日郎」のテーマにて紹介をまとめておりますので、そちらもあわせてご覧くださいませ。

さて、願いキャノンを使ってとんでもないことをしようとしているチルチル。
その野望を打ち砕くには、先に願いごとキャノンを使って願いをかなえてしまえばいい、と考えた工藤達。
ですがそうはさせじと敵もランプの魔神を操って追撃を掛けてきました!
そして同じ頃、エンゲキブにも大ピンチが迫っていて……!!

シンドバード&アラディンVS孫悟空の戦いの余波を浴び、崖から転落してしまうエンゲキブ。
まだ完全に落下してはいないものの、かろうじてぶら下がっている状態です。
頼みの孫悟空も、気付けば助けてくれそうなシンドバードも、エンゲキブに気がつかず……
このままでは落下を待つばかりです。
ですが、月光条例を執行すれば、月打されたものによっては解されたり殺されたリしたものはすべて元通りにもどるわけで。
もしこのまま落下して死んでも、エンゲキブは生き返ることが出来るんじゃないでしょうか。
……いや、ことはそう簡単には運びません。
エンゲキブが今まさに落下しようとしているこの崖は、孫悟空の攻撃によって出来たもの。
つまり月打とは関係はないことになり、おそらくエンゲキブが生き返ることもないのです!
今まで好き放題、したい事をして生きてきた自分。
今が退場のときかと、諦めて命をつなぎとめている手を放そうとしました。
が、その瞬間にエンゲキブの脳裏に、
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いつか見た月光の笑顔が思い浮かんだのです。

それは、担任の先生の入院時にお見舞いに行った日のこと。
簡単な手術で治るなんてことはない入院だったのですが、先生の息子さんがテレビか何かの影響で手術したら死んじゃう!みたいに考えてしまい、先生から離れなくなって困っていました。
それを解決したのが月光。
「好きなやつに帰ってきて欲しい時は『約束』をする」という、祖父から聞いたおまじないのようなものを教えてあげたのです。
意外にステキな感じのおまじないを知っていた月光をみて、エンゲキブはなんだかテンションアップ。
じゃああたしと約束しよう!と月光に指切りを迫ったのです!
なんか妙なテンションにやや引いている月光、そもそも何を約束するんだよと聞いてきました。
エンゲキブもそこまで考えておらず、咄嗟に2人で「世の中の不幸をハッピーに書きかえちゃおう党」の結成することを約束しよう!と口走ってしまいます。
われながらあほらしい提案に、笑えばいいさと自虐するエンゲキブ。
ですが月光は結局指切りこそしなかったものの、「おめーにしちゃ、いい約束だな」と笑顔を浮かべたのでした。
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あの時約束していれば、また会えたのかもしれない。
月光にまた会いたかったという思いもむなしく、エンゲキブはとうとう力尽き、崖から落下していってしまうのです……

そのころ、アラディンは魔法のランプから最強の魔神を呼び出すことに成功していました。
孫悟空をぶちのめせという命令に従い、その飛び出してきた魔神はまっすぐに孫悟空へと……向かいません!
あさっての方向へと向かった魔神は凄まじいスピードで飛び、落下の真っ最中だったエンゲキブを抱えあげたではないですか!
自分を助けてくれた魔神を見たエンゲキブは、こういうのです。
なんだ、あんたなの、と。
アラディンに呼び出された魔神は、
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月光だったのです!!

思わず幼い頃の呼び名だった、ゲッちゃんと声をかけてしまうエンゲキブ。
その名で呼ぶなと言いながらも、月光もわりとまんざらでもないようです。
そして月光は飛び上がり、アラディンたちの下へとんぼ返り。
勢いのままにアラディンをぶっ飛ばしたのです!
月光条例の執行者の人間であるはずなのに、魔法を使い、ランプから出てきた月光。
その強さや奇妙さに慌てふためくシンドバードですが、このまま素直にごめんなさいとはいきません。
強力な魔法で抵抗してくるのです!
ですが月光はそんなものをものともしません。
それどころではないほど怒っているのです。
エンゲキブを抱えながら……
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「この女に何しやがった」と!

圧倒的な力でシンドバードを畳んだ月光。
そんな彼らの前に、今回の事件の黒幕であるチルチルが姿を現しました!
月光が取り戻した記憶によれば、自分こそがチルチルであるはず。
ですが、このチルチルもまた、自分がチルチルだと主張。
なおかつ、月光のことを
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「読み手(人間)」のふりをする「登場人物(キャラクター)」と呼ぶのです!
一体これはどういうことなんでしょうか?
謎は深まるものの、その謎が解決されるよりも先に、自体はより一層大変なことになって行くのです!!

というわけで、月光の活躍がようやく始まる今巻。
久々の月光の主役らしい活躍が見られるのも大変よろしいのですが、気になるのはやはり急激にモリモリと聳え立ち始めた月光×エンゲキブフラグじゃないでしょうか!!
工藤やら藤木やらをぐんぐんひきつけまくっていた月光、やはり本命はエンゲキブだったんですな!!
で、その工藤や藤木の活躍も収録されています。
ランプの魔神との激闘が続く中、意外なルールで戦うことになるのですが……?
月光の正体、チルチルの正体、願いごとキャノンをめぐる攻防。
物語は着々と結末に向かっているようです!

クライマックス近しといった印象の「月光条例」第16巻は全国書店にて発売中です!
藤田先生が描きたくてたまらなかったという、御伽噺を題材にした活劇である本作。
さりげなく藤田先生ご本人も作中に登場し、そりゃもう活き活きと描いていることがうかがい知れますよ!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


月光条例 16 (少年サンデーコミックス)
小学館
2012-01-18
藤田 和日郎

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本日紹介いたしますのはこちら、「地獄堂霊界通信」第4巻です。
講談社さんのアフタヌーンKCより刊行、good!アフタヌーンにて連載されています。

作者は香月日輪、みもり両先生。
本作は「地獄堂霊界通信」のテーマ紹介をまとめておりますので、あわせてご覧ください。

さて、日々の生活の中で出会う怪異を、地獄堂の店主の助けを借りながらも解決していく三人悪を描く本作。
今巻では、ついに女の子の新キャラが登場するお話、「森を護るもの」を紹介したいと思います!

亜月カンナは、気になる声を聞きました。
逃げた、だの、当たった、だのというその言葉が気になって仕方がない彼女がその声のほうを見てみれば、4人の少年が犬か何かに石を投げて遊んでいるようです。
正義感の強い彼女はそれを見て我慢できず、思わず何の作戦もなく飛び出してしまいました。
悪いことをしているとは言っても、出てきて咎めたのが小学生の女の子一人ではひるまないのも無理はないというもの。
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高圧的にカンナを威圧する彼らですが、カンナがあの三人悪と同じ学校だと知るとひるみだしました。
その悪がき振りが他校にも知れ渡っている三人悪(主にてつし)ですから、もしつながりのある人間に手を出してしまったら報復が恐ろしいと考えたのでしょう。
そのためらいをすかさずキャッチしたカンナ、自分がてつしと喋ったことすらないことをそぶりにすら出さず、てつしに報告してやる、と迫ったのです。
慌てて帰っていく少年達。
カンナはその姿を見送りながら、いつの間にかいなくなっていた犬の安否を心配するのでした。

三人悪は、クラスの皆に今は珍しくなったタガメを見せびらかしていました。
綺麗な水のところでしか暮らせないというタガメ、ひとしきり見せびらかした後は神社裏の溜め池に離してやろうと考えていたのですが……
その溜め池、宅地造成が決まったせいで埋め立てられてしまうというのです。
自然いっぱいの遊び場が失われてしまうのは寂しいことですが、それより今はとりあえずこのタガメの住処を確保することが先。
じゃあどうするかと話し合っていると、クラスの子が拝(おがみ)と言うよそのクラスの男子のうちにある大きなイケに話してもらえばいいんじゃないかと提案してきました。
早速その子が、放課後彼をつれてくるというのですが……?

放課後やってきたのは拝ではなく、カンナでした。
拝は病弱で学校を休みがちだということで、彼の幼馴染であるカンナに交渉してもらおうという流れになったようです。
なんでも拝の家は由緒正しい旧家で、代々霊感を持っているだとか。
カンナもまた拝の家で昔から霊らしきものを見ていたんだそうですが、何もせずそこにいるだけだったから怖くはなかったんだそうです。
そしてそんな経験から、科学も好きだけどこの世にはそれだけじゃ説明できないことがあるから幽霊も信じているというカンナ。
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そんな彼女の話を聞いた三人悪、拝にもカンナにも、いろんな意味で興味津々です。

たどり着いた拝の家は、それはもう凄いお屋敷でした。
出迎えてくれた拝は、儚げで物静かな少年です。
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タガメを話すことも快く承諾してくれ、てつし達はこの家の広大さと、タガメ安住の地を与えてくれた拝のおかげでテンション上がりまくり!
素直に感謝しながら手を握ってくるてつしに、拝も自然と笑顔をもらし、お茶でも飲んでいかないかと屋敷に上げてくれたのでした。

メイドさんに運ばれて出てくるお茶はマイセンクリスタルに入れられ、お茶菓子もお高いチョコレート。
絵に描いたようなお金持ちのおもてなしですが、てつしや良次はそんなことお構いなしにがっついちゃいます。
そういったお下品なお知り合いがカンナしかいなかった拝は、逆に嬉しくなって三人悪を気に入り、山盛りのお変わりをくれました。
ですが、タガメに関しての話題に話が及ぶと全員くらい面持ちになってしまいます。
人間のわがままでどんどんと自然がなくなり、動物たちの住む場所もなくなっていってしまう。
そうなれば、やがて人間にもそのツケが帰ってきて、大変なことになるだろう。
だからせめて、何の救いにはならなくても、自分の目の前にいる動物や自然を助けて生きたい……
タガメを取った田舎で聞いた、てつしのおじいさんの言葉。
その言葉にカンナも同意し、拝もまたこの庭を護ってくれというてつしの言葉を受け入れてくれました。
そして、話題は拝の家の仕事であった、「拝み屋」に移行していきました。
昭和の初め頃までは、お偉いさんも頼みに来たという、拝み屋の仕事……除霊。
時代の移り変わりと共に失われていったこの仕事もまた、今の自然と重なるような気がします。
幽霊や妖怪も、目に見えるか否かと言う違いだけで同じこの世界に生きる仲間なのに。
拝は首に提げている小袋を握り締めながら、寂しげに言うのです。

カンナもおそろいで提げているその小袋には、小さな水晶が入っていました。
拝の祖母からもらったというそれは、確かな霊力を感じさせ、拝の家に受け継がれる霊感が相当なものだとわかります。
拝は生まれが「悪い」んだそうで、その水晶を肌身離さず持たなくてはならないときつく言われているのだとか。
今まで、霊に触れ合って運命や因縁の重要さを知っていたてつしは、生まれや運命をしっかり勉強してよい方向に向かうというのは大切だと感想を述べます。
その感想は、特殊な境遇にあまり理解者がおらず、悩むこともあった拝を勇気付けるものだったのです。

拝の境遇を理解してくれる三人悪と知り合え、機嫌の良いカンナ。
先日犬らしき生物がいじめられていたのを発見したあの裏道を通っていました。
すると今度は、この前の生物と同じ種類らしい、前足を怪我している生物を発見します。
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サイズやなんかから、イタチかハクビシンか考えられたその動物、交番に届けてもペットが逃げ出したという通報はないし、カンナにやたら慣れているしと言うことで、カンナの家で飼うことになりました。
ですがその夜のこと。
名前を何にしようかなどと、ハクビシン(仮)の前で考えているうちにうとうとしてしまったカンナ。
すっかり暗くなった頃ハッと目を覚ますと、すぐそばに見慣れない男が立っているではないですか!!
その男はにやりと笑い、カンナの誰なんだという問いにこう答えたのです。
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お前が連れてきたくせに、と……!
そしてその男、鋭い爪を振りかざし、カンナに襲い掛かってくるではないですか!!
先ほどのハクビシン(仮)の姿が消えていることから、おそらくこの男がそれであることは確実でしょう。
ですが何故カンナを襲ったのでしょうか?
偶然なのか、それとも……
生まれて初めて怪異に牙を剥かれる形になったカンナは、いきなり降りかかったこの危機を逃れることが出来るのでしょうか!!

というわけで、新キャラの登場&ピンチが収録された今巻。
拝とカンナ、どちらも霊感があることもあり、三人悪とはいい仲間になれそうです。
が、本格的にお友達になる前に妖怪らしき存在に襲い掛かられてしまうカンナ。
そんなドキドキの急展開も見所ですが、この妖怪らしき男にもドラマが用意されておりまして。
それが冒頭でカンナが助けた動物や、今回のテーマといえる自然との関係も絡んできて、考えさせられるエピソードとなっているのです。
このお話の他、正統派ホラーエピソード、「幽霊屋敷」も収録。
ファンタジックな色合いが強かった前述のエピソードとは違い、こちらは怖がらせに行きつつも最後は切ない感じのホラーらしさが楽しめるお話になっているのです!!

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原作が児童書なのに、ほぼ青年誌といえる雑誌で連載されている不思議作品である本作。
原作の現役当時のファンの年齢を考えれば妥当かも知れませんが、掲載誌に併せてアダルト狙いになっているわけではありません!
かつて子供だった貴方も、お子様と一緒に読んでみるのも一興かもしれませんよ!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


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