3階の者だ!!

DEBがお送りするネタバレありのコミックス紹介ブログです。 短編物では一話にスポットを当てて、長編物ではこの後どうなるの?と言うところまで紹介しているつもりです! ※作品記事につきまして、権利者様が問題があると感じられた場合はご一報ください。対応いたします。

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本日紹介いたしますのはこちら、「藤子・F・不二雄大全集 ウメ星デンカ」第2巻です。
小学館さんより刊行されました。

第三期も大好調の本大全集は、「藤子・F・不二雄」のテーマにて紹介をまとめております。
お時間、ご興味等ございましたらそちらも併せてご覧くださいませ。

さて、母星であるウメ星が爆発してしまったため、地球に逃げ込んできたウメ星の王族一家。
流れで太郎くんの中村家に居候することになったのですが、浮世離れした王族の上にそもそも地球人では無い彼らの暮らしぶりにトラブルが続出!
太郎は王様一家の一人息子であるデンカと友情を育みつつ、お世話したりされたりのドタバタな毎日を送るのです!

今巻も相変わらずの内容の中、今回紹介したいのは本来「21エモン」のキャラクターでありながら、本作でもバリバリのレギュラーキャラとして活躍しているゴンスケが鍵となるお話「わしはねらわれているぞよ」。
みよちゃんが好きでたまらなく、彼女以外にはわがままそのものな彼が見せる、意外な姿が楽しめるのです!!

道路の上でぴょこぴょこと跳ねているゴンスケ。
朝からずーっとこの調子だそうで、あんなゴンスケでも一同は一応心配なようです。
高飛びの選手にでもなるつもりなのか、おしっこでも我慢しているのか、ついにこわれたか。
本当のことを聞かせてみろと本人に尋ねても、おめえらには関係ねえ、とべろを出す始末!
ロボットの考えることはさっぱりわからない、と一同は退散するのでした。

ですがそこにタイミングよくみよちゃんが通りがかります。
何をしているのとみよちゃんが尋ねれば、彼女にベタぼれのゴンスケは即答。
「世界一周旅行だ」と言うのです!!
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地球は回ってるから、飛び上がっている間地面が動く、これを繰り返せば……と言うわけで……
賢いみよちゃんは飛び上がっても地球と一緒に回っちゃうんだよと笑いながらもゴンスケにアドバイス。
みよちゃんの言うことなら間違いないんだろうと考えるゴンスケはわかりやすいくらい落ち込んでしまいました。
ですがここですかさずフォローを入れるのもみよちゃんの賢いところ。
思いつきは悪くない、普通の人には考え付かないよ、となだめて帰っていくのでした。
問題は、すると自分は天才なのか!と勘違いしたゴンスケに「まあね」と適当に返事してしまったことなのですが……!

もっと何か思いつこう!と妙なやる気を出して家に戻るゴンスケ。
はいるなり王様に正面衝突してしまうのですが……その時、王様の顔を見て何かを思いついたようです!
そんなゴンスケなど気にせず、気をつけろと言い残してその場を去ろうとする王様ですが、すてんとすっころんでしまいました。
その様子を見たゴンスケはやっぱりだと大喜び!
王様の何を思いついたのかと聞くのですが、やはりゴンスケは余計なお世話だとつれない返事。
それなのにゴンスケは王様の後にぴったりとくっつき、ずーっと王様の顔を見つめ続けるではないですか!
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どこに行っても、何をしてもぴったりとくっついて王様の顔をじっくりと見つめるゴンスケ。
たまらず王様は頼れるおつきの者、ベニショーガたちに助けを求めるのでした!

ベニショーガにきつく言われ、流石のゴンスケも退散。
これで一安心……
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と思いきや、どうもまだ隠れてみている気配がします。
やむなくベニショーガはお使いを頼むことに。
これで家にいなくなったから監視の目は無いはず。
のんびりできるぞと屋根の上で寝そべるのですが、その背後にはカメラが……!
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カシャカシャと王様の写真を取るそのカメラ。
王様もその気配に気が付き、やっぱり落ち着けないのです。
こうなったら押入れで昼寝する!と王様は遂に押入れに入りました。
ですがそこでもつるりと何かが頭を触ってくるのです!
神経質になっているだけだ、と寝ようとするものの、その何か……ゴンスケの手は、ついに巻尺を王様の頭に巻いてくるじゃありませんか!
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どうもゴンスケはお后様に10円払ってお使いを変わってもらい、撮影なんかをしていたようで。
その撮影した写真が廊下に落ちていたのですが、それはすべて王様の頭のドアップ写真なのです!
ゴンスケは何故こんなことをしているのか?
王様の頭の皮をはいで標本にするつもりなのか。
あるいは電子頭脳じゃなくて本物の脳みそが欲しくなったんじゃないか……!
震え上がる王様。
事実はどうアレ、とにかくこのままでは王様はまんじりとも出来ません。
ゴンスケがイカれていたらやばいかも、と武装してゴンスケを捜索するベニショーガたち。
天井裏から物音が立ったことに気がついた太郎とデンカがゴンスケを発見することになるのですが……
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ゴンスケは王様の生首を手に持っているではありませんか!!

ベニショーガが屋根裏に駆けつけるとゴンスケの姿はなく、王様の生首が残されているばかり。
それを回収し、何と言う姿に……となきくれるベニショーガとデンカ。
そこへ王様とお后も駆けつけ、とうとう頭を取られた!と王様自身も大泣きしちゃいます。
本人が何を言っているのやら……と突っ込む間もなく、その場にゴンスケが登場!
なんとこの生首、ゴンスケが実験のために作った模型だというのです!
何の実験か聞いてももちろんゴンスケは答えず。
こうなったらみよちゃんに聞いてもらうほかありません。
早速みよちゃんが尋ねてみれば、ぺらぺらと「成功すればノーベル賞」とまで言う研究内容を教えてくれたのです!
王様のはげ頭に冠が乗っているが、滑っても転んでも落ちない。
それがどう考えても不思議で、それを解き明かしたい、と言う!!
王様は恐怖におびえまくった自分が恥ずかしくなったのか、実にくだらない!と叫ぶしかないのでありましたとさ……

というわけで、ホラー(にみえる)なゴンスケの姿が楽しめる本作。
この他に注目したいのは、一応の最終回となる「さようならウメ星デンカ」とその前のお話「恋するゴンスケ」。
「さようなら~」は、最終回と言うだけでなく、お話自体は実に真っ当な最終回らしい物語が展開するものの、オチがなぜかゴンスケと言う不思議な締めが印象に残ります。
そしてそれに加え、全編作画が当時のアシスタントしのだひでお先生によるものと言う点も気になっちゃうことでしょう!
今あげた注目点以外の部分も言うまでもなく楽しい仕上がり。
あまりにも地球人とはずれた感覚を持つ、デンカたちのとぼけた感覚にクスリと来てしまうこと間違いありませんよ!

恒例の資料室には、原作中では一度も書かれたことがなかったという在りし日のウメ星の光景が収録。
それに代表される、コミックスや雑誌の企画などに描き下ろされた様々なイラストが収録されています。
パーマンとの共演なんかも描かれ、ファンならずとも引き込まれることは間違いないでしょう!!

デンカたちとの異文化コミュニケーションが愉快な「藤子・F・不二雄大全集 ウメ星デンカ」第2巻は好評発売中です!
デンカたちだけでなく、ゴンスケも大活躍する今巻。
太郎達地球人も負けてはいられないところですな!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


藤子・F・不二雄大全集 ウメ星デンカ 2 (藤子・F・不二雄大全集 第3期)
小学館
2011-12-22
藤子・F・ 不二雄

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本日紹介いたしますのはこちら、「trash.(トラッシュ)」第2巻です。
秋田書店さんのヤングチャンピオン烈コミックスより刊行、ヤングチャンピオン烈にて連載されています。

作者は原作が山本賢治先生、漫画がD.P先生。
本作第1巻の紹介は、10年12月24日の記事にて記載しておりますので、よろしければご覧くださいませ。

さて、伝説の殺し屋「バレット&フランチェスカ」にして、女子高生のるしあとマインがこなす仕事を描く本作。
前巻ではヘル=モスキートを苦戦しながらも撃退したものの、謎の少年ひろしの保護をすることになってしまいました。
ひろしを加え、良くも悪くも賑やかになった殺し屋タッグ、今宵の仕事やいかに!

先日の事件で、マインを危険にさらしてしまった責任として自らの小指をるしあ達の家へと送った美能子。
痛い思いをしてケジメをつけ、その証を送ったにしては「いらない、それならマインにステーキ送ったほうが一億倍喜ぶ」という気の無い返答をされてしまいました。
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思い切った謝罪へのつれない態度に激怒する美能子ですが、その怒りも収まらないうちに来客がやってきました。
アポなしでやってきたその客は、美能子の組の元組員、津久田。
彼は二人の部下を引き連れて現われ、禁煙だと言う組長室でぷかぷかと葉巻をふかしながら足を組む、無礼極まりない態度を取るのです。

何の用事で来たのかと言うと、何でもこの近くで仕事をすることになったから、いろいろ仕事がかぶっちゃうかもしれないという、これまた無礼なお仕事のお話のためでした。
そして津久田、美能子のバレット&フランチェスカにあたる、専属殺し屋を雇ったんだとか。
その殺し屋の名は村雨幽記。
なんでも美能子の先代が雇っていた殺し屋の息子だそうなのですが……
その村雨と言う男は、金では動かない狂気の男。
飼いならせるはずが無い、と美能子は言うのですが、津久田はある伝手で村雨に与えるご褒美に困らないと自信満々。
余裕の表情と侮辱的な態度を崩さないまま去っていくのでした。
……ここまで調子こかれては美能子も黙っていられません。
彼らの顔写真を取り出し、学校が終わりしだいるしあを呼ぶように部下に命令!
そう、早速彼を消しにかかったのです!!

意気揚々と引き上げた津久田たちは、村雨が暮らしていると言うコンテナ倉庫までやってきていました。
小さな女の子が大好きだという津久田さん、そのときも車の中で小さな女の子、スーにアレなことをさせておりました。
ところがこのスーこそが村雨へのご褒美。
自分にとってのストライクゾーンから外れたため、代わりの子が来るから君は用済みだよ、とスーを捨てる津久田。
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スーは、前の子はそうやって殺されてしまった、捨てないでとすがりつくものの……
会えなくその場に打ち捨てられてしまうスー。
そこにやってきたのです。
新たなスーの主人……村雨が!!
殺しの報酬が生きた人間。
津久田のように愛玩するわけではもちろんありません。
……殺すのです。
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一週間かけて、じっくりと!!

るしあは美能子の依頼を受けたのですが、くれぐれも村雨には気をつけろといい含められます。
殺しの天才だから気をつけろ。
そう言われても、るしあは余裕の表情を崩さないのです。
人殺しは私の生き甲斐だ。
るしあとマインもまた、殺しの天才といっても過言ではない怪物なのですから……!

その頃、村雨は津久田の仲間のボディーガードとして仕事をしていました。
ですが、村雨は一度も喧嘩に勝ったことが無い、と言う宣言をするではないですか。
オマケにその宣言どおり、裏切った取引相手の攻撃で一発KOされてしまうのです!!
このまま津久田の手の者を葬り、金だけいただいていこうとたくらむ取引相手。
後部座席に詰まれた金を手に取ろうとしたその瞬間、目を覚ました村雨に腕を掴まれました!
そして村雨は実にスムーズな動きでシートベルトを引き出し、腕を掴んだ相手の首に巻きつけ、そのまま絞殺!
村雨は鼻歌を歌いながら、その男の持っていたナイフを手にします。
そのナイフで村雨は、騒動に気がついて車に顔を突っ込んできた別の取引相手の首を一突き!
飛び出す血しぶきを拳銃を構えるまた別の取引相手へのめくらましとして使い、背中にナイフを突き立てます!
その傷口からモツを引き出し、相手の首に絡めて締め上げて……奇妙な歌を歌いながら、最後の一人まで楽しげに始末してしまったのでした……
喧嘩は苦手だ、俺が得意なのは人殺しだ。
自分が作り出した血の海を見下ろしながら、村雨はそうつぶやくのでした。
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またまたその頃、美能子のもとには男性が仕事を依頼しにやってきていました。
実は先ほどの津久田一味の殺害はこの依頼者の男性のもので、この依頼者は先ほど村雨に与えられたすーの父親。
彼は、この殺人依頼は取り消すから娘を自分の元へ生きて返してくれないか、と依頼内容の変更を申し込んできます。
勝手な言い分の上、これ以上手持ちの金がなくて料金は払えないという彼にブチ切れする美能子。
ですが、父親は自分の臓器全部を売り払ってもかまわない、とその身を挺したお願いを始めたのです!
その熱意におされた……わけではなく、ぞ人一人分の臓器ならそれなりの値段になる……と考えた美能子は依頼の変更を受理するのでした!!

ですがその頃、その愛娘スーは村雨の手によって惨たらしい仕打ちを受けており……
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更に、るしあも油断と偶然のいたずらで津久田の一味にとらわれてしまうのです!!
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命の危険にさらされる2人、容赦ない凶刃を振るう村雨。
流石のバレット&フランチェスカも、この窮地はそう簡単に脱することは出来なそうです!!

というわけで、モスキートを超えるかもしれない難敵に出会った今巻。
モスキートのようなわかりやすい異常者ではなく、一件普通の青年が表情を崩さないまま殺人を犯すと言う、より恐ろしい存在といえる村雨。
身体能力はともかくとして、その異常性は間違いなくるしあとマインの前に立ちふさがる障害となることでしょう!
そして、スーとその父親の関係にも注目したいところ。
一時は気の迷いで売り渡してしまった娘を、命を懸けてでも取り返したいと言う、ともすれば美談とも取れなくも無いお話にも見える今回の依頼。
ですがそこは山本先生の作品。
ただではすまない、一ひねりも二ひねりもねじれまくったそりゃもう酷いお話になっているのです!!

女子高生殺し屋の血みどろエブリディ、「trash.」第2巻は全国書店にて発売中です!
今巻も山本先生らしいバイオレンスをD.P先生の見事な筆致で描ききっている本作。
女の子が酷い目に会ったり会わせたりするお話が大丈夫なバイオレンス好きな方ならば楽しめることでしょう!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


trash. 2 (ヤングチャンピオン烈コミックス)
秋田書店
2011-12-20
山本 賢治

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本日紹介いたしますのはこちら、「ねじまきカギュー」第3巻です。
集英社さんのヤングジャンプ・コミックスより刊行、週刊ヤングジャンプにて連載されています。

作者は中山敦支先生。
本作の今までの紹介は、「中山敦支」のテーマにてまとめていますので、お時間などございましたらご覧くださいませ。

さて、鴨と鉤生の関係を不純異性交遊とし、その関係を断ち切らせようと現われた風紀四天王。
鴨への愛を貫くため戦う鉤生、その混乱を招いた責任は自分にあると考え、辞表を出す決意をした鴨。
鉤生は悩むかものもとへ駆けつけようとするのですが、そこへ風紀四天王の三人目、織筆が立ちふさがったのでした!

鴨のところへ向かおうとする鉤生、それを止め、学校から追い出そうとしている織筆。
2人の目的は真っ向から対立しているとは言えど、鉤生は鴨へ、織筆は紫乃への、愛のための戦いである点は共通しています。
愛する想いが強い方が勝つ!
そう断言し、織筆は早速襲い掛かってきました!
猛烈な勢いでサーブルを付いてくる織筆ですが、鉤生は見事な身のこなしでそれをすべて回避!
そのままカウンターの発条拳を放ったのです!
ですが織筆もさるもの、
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そのカウンターを見切って鉤生の背後に回ります。
そして逆に三撃同時に放つ必殺技、「聖巨人の三連星(オリオンソード)」を放ちました!
この攻撃はまずい、と必死に体をひねって回避する鉤生。
ところがそれでも回避しきれず、腹部から出血してしまったのです!

鉤生の愛は幼稚なわがままに過ぎないが、自分のそれは自己犠牲という尊いものだ、と自信を漲らせる織筆。
しかし鉤生も今までは鴨への気持ちが抑えきれぬあまり、勝負を焦っていたところもあったわけで。
しっかりと構えを取り、今度こそ本気で戦いに挑みます!
その変化は織筆にもわかりました。
やっと本気になったか、だがそれでも自分には勝てない!と、再び連続攻撃を仕掛けてくるのです!
ですが本気になった鉤生はやはり違います。
その連続攻撃を片手ですべて受け流し、後ろに引いていた右の手に力をためていきます。
これも防げるか、と放ってきたオリオンソードをかいくぐり、懐にもぐりこんで
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発条拳を超える重さを持つという、螺旋巻円頂肘を炸裂させたのでした!!

お前の愛も強かったと言い残し、立ち去ろうとする鉤生。
その背後で、織筆は首から下げていたロケットの中の写真……眠っている紫乃の写真を見て己を奮い立たせていました。
じゃあ先生のところへ行く、という台詞を鉤生が言い終わるより先に織筆は立ち上がり、鉤生の前に回りこんで
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「敗けられないの」と愛に満ち溢れた顔で宣言し、より強力な七撃同時攻撃、「聖巨人の七連星(オリオンソードベテルギウス)」を鉤生の体に撃ち立てたのでした!!
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幼い頃織筆は、親が住み込みで働く屋敷のお嬢さんと言う立場で紫乃と出会いました。
お人形のような可愛い子だというのが第一印象でしたが、彼女は幼いときから帝王学のようなものを叩き込まれ、子供らしい行動を許されない辛い生活を強いられていました。
そんな苛酷な生活環境に、親の言うとおり感情を支配して生きなければならないといいながらも涙を零して耐えていた紫乃。
そんな彼女を見て、織筆はたまらない愛おしさを感じ、友達以上の関係を望んでしまうのです。

幼い頃から思い続け、彼女のために何でもしてきたその愛の重さ。
この愛があるからお前は自分には勝てないのだ、と織筆は勝利宣言をします。
それでももちろん、鉤生が折れるわけもなく。
先生に会いに行くんだ、と突進するのですが……
先ほどのまでの激しい戦いで、螺旋巻拳が負担を強いる三半規管にダメージが来てしまったようで、バランスに支障をきたして満足に歩くことすら出来なくなってしまっていたのです!

織筆は勝利を確信したのか、自分の胸のうちを吐露し始めます。
自分の愛はかなうことは無いだろう。
女同士だし、紫乃の心の中には鴨がいる。
それでも自分が犠牲になることで彼女の笑顔が守れるのならば、自分は満ち足りる、これ以上の幸せは無いんだと。
立ち上がることさえ出来なくなっていた鉤生ですが、その言葉を聞いて
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「わかる!」と超同意!
自分も鴨の笑顔が一番だからよくわかる、お前の愛は強い、自分は勝てない、とまで言い切ってしまう鉤生。
ですが、「敗けない」、とも言うのです!
負けないとは言ったものの、このままではオリオンソードベテルギウスの餌食になってしまうことは必然。
攻めるにしても、体力的に発条拳を放てるのはせいぜい一発がいいところ。
無策で突っ込めば帰り打ちどころか、まともに狙いがつけられるかも怪しいところです。
そこで鉤生が取ったのは、今まで見せたことの無い独特の構えでした。
「だいろの構え」と呼ばれる構えだそうで、巻いた左腕で頚椎と三半規管を守り、半身になることで正中線を守るという防御的な構えだそうですが……
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織筆の攻撃は、ガードの上からでも一切攻撃力が落ちることはありません!!
七連撃をまともに食らうことになる鉤生!
果たしてこの絶体絶命のピンチを脱し、鴨の元へたどり着くことが出来るのでしょうか!?
そして、まだこれ以上に強いことが想像に難く無い四天王の長、紫乃との激突はどうなるのでしょう!!

というわけで、まだまだ続く風紀四天王との戦いが収録された今巻。
同じく愛のために戦いを続ける鉤生と織筆、どちらの愛がより強いかと言う戦いになっています!
そんな愛の激突の先に待っている鴨ですが、彼もまた今教師を辞めるかどうか悩んでいる真っ最中なわけで。
鉤生には細かいことはわからないでしょうが、鴨が彼女とあってどういった決断をするのかも見所のひとつと言えるでしょう!
そして鴨への愛を貫く上で避けては通ることの出来ない紫乃との戦い。
織筆以上の強さであろうことはもちろんのこと、鴨の前で見せる彼女と、委員長としての彼女との二面性も注目したいところ。
おそらく父の教えにより生み出したであろう委員長としての感情をあらわさない彼女と、おそらく生まれ持っての性格であろう少女らしい性格、彼女が最終的にどちらを選ぶのか、みたいな展開も期待しちゃいます!

愛を貫くための戦いが激化する、「ねじまきカギュー」第3巻は好評発売中です!
今巻もまた壮絶な戦いが繰り広げられる本作。
鉤生の愛はもちろんのこと、様々なキャラクターのそれぞれの愛の形に注目必至ですよ!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


ねじまきカギュー 3 (ヤングジャンプコミックス)
集英社
2011-12-19
中山 敦支

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本日紹介いたしますのはこちら、「団地ともお」第19巻です。
小学館さんのビッグコミックスより刊行、ビッグコミックスピリッツにて連載されています。

作者は小田扉先生。
本作の紹介は「小田扉」のテーマにてまとめておりますので、あわせてご覧いただけますと幸いです。

さて、今日も今日とて本能のまま生き続けるともおの毎日を描く本作。
ただただ馬鹿なギャグからファンタジックなお話、そしてほろりと来るお話まで幅広く展開するわけですが、そんな中で今回紹介したいのは、「絶対儲かる話だぜともお」。
子供時代、誰しもが考えた野望にチャレンジする彼の玉砕振りが描かれているのです!!

お祭の夜。
ともおは先ほどから一つの屋台に熱視線を注いでいます。
よくある、いっぱい紐があってそれぞれが景品につながっている、紐引っ張り型くじ引きの屋台に!

その屋台は1~4等があり、それぞれの紐が1等や2等と書かれた札につながっているタイプのシンプルなものでした。
カップルが話の種にでしょうか、屋台のおやっさんに2人分払って2人同時に引くのですが、やはり2人とも4等。
もちろんカップルもそういうものだとわかっているわけで、笑いながらその場を立ち去るのです。

ともおはその光景も仁王立ちしたまま見つめていました。
おやっさんも気になっていたようで、とうとうともおにやらないのかと質問します。
そう聞かれてはともおも動かないわけにはいきますまい!
さっきからずっと見ていたけど、本当に1等につながっているの?と、禁断の一言を発してしまったのです!
当然その質問にはもちろんだよと答えるしかないおやっさん。
1等は最新携帯ゲーム機。
あたるとなればともおも挑みたいところですが……ぐっとこらえ、おやっさんにこうたずねます。
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全部で何本あるの?……「全部いっぺんに引いてもいいの?」と!

くじ引き最大のタブーに真っ向から挑むともおに対し、おやっさんはそれは駄目かな……ととぼけようとします。
ですがともおは先ほどのカップルの様子をバッチリ目撃しており、さっきの二人は同時に引いてたじゃないか!と鋭い突っ込み。
言い逃れできないおやっさんですが、くじは全部で50本、一回200円。
それを一気に引くことの出来る経済力などあるまいと、そんな金無いだろうと結局は余裕の表情を崩さないのです。
ともおもここまで言っては引き下がれません。
金があればいいんだな!と言い残し、一旦退却するのです。
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1回200円、それは50本……1000円かよ!と虎の子のお金が入った貯金箱を握りつぶすともお。
姉ちゃんに1万円よと冷静に突っ込まれ、ゲーム機が1万5千円だから絶対得する計算だ、凄い発見だ!と息巻きます。
ですが全財産を併せても1万円と言う大金は用意できません。
やむなくもう読まないと判断した漫画を古本屋さんに持ち込むのですが、それでもまだまだ。
どうしようかと考えていると、同じ古本屋さんでカードの買取もやっていることに気がつきます。
するとどうでしょう、ともおたちが熱中している虫カードですが、初期の人気の無い頃に刷られたカードにプレミアが付いており、そのプレミアカードをともおが持っていたのです!!

泣く泣く思い入れ深いレアカード、「カマドウマ」を手放すともお。
角に折り目が付いているからと査定も低めでしたが、持ち金と合わせて目標額の1万円には達しました。
満を持して屋台に向かうともお。
おやっさんも覚悟を決め、50回分引きな!と言うのですが……流石は屋台暦の長いおやっさん。
先日まで布がかぶせてあった部分を露にすると、
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そこは同じようなくじゾーン!
昨日は準備中だったけど、今日はこっちもある、こっちに1等があるかもしれないぜ!!と言い出すのです!
これで一気に目標額は倍の2万円に。
ともおはもはやまともな捨て台詞の残さず帰るのみなのでした……

くじの屋台が出ているのは次の日まで。
なりふり構わなくなったともおといえど、一日で1万円を捻出するのは無理ってものです。
2万出しても1万5千のゲーム機+99個のいろいろで5000円くらいの価値はあるはず、まだ損はしない……と考え込むともお。
損はしないながらも軍資金の容易は無理だと沈み込むのですが、そこで吉本がアドバイスしてくれたのです。
50人集めて一人200円ずつ引けば1万円になる!みんなの力を合わせるんだ!と!!
でも今から50人なんて……と物怖じするともおを差し置き、吉本は知り合いからその知り合いにまでわたる人々を集め、あっという間に50人に到達。
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2万円をかき集め、遂におやっさんの元へ舞い戻ったのです!!

おやっさんは不穏な空気を察知し、今日ばかりは1等の札をくくりつけてありました。
これでともおの作戦は成功しかありえません。
紐は100本、集まったのは50人。
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皆で2本ずつ引くぞ!という吉本の号令で、みんな一気に紐を引きあげました!!
ガララと言う音と共に引きあがる、1等の札!!
作戦は大成功と言うしか無いでしょう!!!
その時にはもう、ともおがお前ら一回分の金しか無いのに(何で二本ずつ?)と言う声と疑問は掻き消えていたわけですが……

1等の紐を引いたのは森山でした。
さりげなく第1話から出ている彼にとってのお祝いかもしれません……
祝福される森山の姿を見送るともおの手には、タコのおもちゃとエビのおもちゃ。
俺が出した金が1万200円で……やっぱり納得がいかない、どこで間違えたんだ……?と自問自答するともお。
ですが彼に頭の中で結論が出ることはないでしょう……
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めげるな、ともお!!

というわけで、的屋くじ引き業界のタブーに挑んでしまったともおのドラマを描いた今巻。
誰しもが思ったことのある禁じ手に挑んだともお。
なかなか話のわかるおやっさんを相手に作戦自体は成功するものの、実は得られないと言う彼らしいオチを見せてくれます。
世の世知辛さを学びつつ、きっと明日には忘れている、そんなともおの日常がまだまだたっぷりと収録されています!
中年ドッヂボールチームと対戦することになるともお、全財産を1円玉に両替するともお、後三日で引っ越すクラスメイトの思い出作りに奮闘するともお、プリンターとパソコンの接続に苦戦するともおなどなど、21編収録!
今回もおなかいっぱい団地の皆さんのアレコレが堪能できる一冊となっているのです!!

今巻も安定のクオリティ、「団地ともお」第19巻は好評発売中です!!
180P超、ぎっしりつまった団地の日常。
恒例の描き下ろしスポーツ大佐も収録し、大満足の仕上がりですよ!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


団地ともお 19 (ビッグ コミックス)
小学館
2011-12-27
小田 扉

amazon.co.jpで買う
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本日紹介いたしますのはこちら、「藤子・F・不二雄大全集 SF・異色短編」第2巻です。
小学館さんより刊行されています。

大好評刊行中の本大全集の紹介は、「藤子・F・不二雄」のテーマにてまとめております。
ご興味等ありましたら併せてご覧くださいませ。

さて、今巻ではビッグコミックおよびその増刊で、75年から95年にかけて発表された短編をまとめたものとなっています。
F先生らしい作品がずらりと立ち並ぶ中、今回は人気の高い連作、カメラシリーズの一編を紹介したいと思います!

骨董品店でなにやら怒られている声がもれ聞こえてきます。
なにやらご主人にはあまり商才がない様で、今日もゲテモノに大枚はたいたと奥方に怒られてしまっているようです。
その怒号が障子を通して響き渡っている廊下をそっと通り抜けようとしている女性がいました。
ですがその気配を察し、その女性……竹子を奥方が怒鳴り止めました。
男か女かわからない格好をして働きもせず、バードウォッシングとやらに行くのかと不満顔。
ウォッシングじゃなくてウォッチングだ、これはちゃんとした仕事で、出版社と野鳥の写真集を出そうなんて話も持ち上がってるんだと竹子は反論します。
ところがそれこそ奥方様の気に入らないところ。
女の子くせにカメラマンになるのか!?と怒り出すのです!
女がなっちゃ悪いのかと反論する竹子。
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これは長引きそうだ……と思いきや、そこで今まで散々言われていたご主人が嫁に行くまで好きにさせてやれといったため、奥方様の矛先はご主人のほうへと向いたのでした。

そんな時、お店のほうに誰か尋ねて来ました。
いかにもお金持ちといった物腰の、倉金さんです。
どうもこの倉金さん、お店の常連と言うだけでなく、竹子に交際を申し込んでいるようで。
ドライブに誘おうと思っているのですが……と、接客していたご主人たちに話しかけている隙に、竹子はささっと家から逃げ出してしまうのでした。

望遠レンズをつけたカメラで、野鳥を撮影する竹子。
その傍らには、ひげ面でぽっちゃりしたさえない感じの男が同じく撮影をしております。
彼は宇達。
竹子とは結婚を話題に出すほどしっかりお付き合いしている関係なのですが、彼の収入で2人暮らしていけるか?と考えるとどうしても今すぐ結婚とはいきません。
ですがそれでも2人の仲は確かなもののようで、子供のようにじゃれあう姿は、紛れも無い2人の親しさを現しているのです。

家に帰ると、お店からセールスマンらしき男がとぼとぼと出てくるところでした。
彼の名はヨドバ。
人類の科学では想像もできないカメラを売り歩いているのですが、想像もできないものをホイホイ買う人もおらず、彼の商売はいつも苦戦を強いられているのです。
両親には断られたようですが、竹子はその商品に興味があるようで、そっとヨドバ氏を部屋に招き入れました。
彼が今回持ち込んだのは「値ぶみカメラ」。
写真を撮るとすぐさま被写体が写された写真が出てくるのですが、その写真の四隅にあるドットを触ると値段が表示されるのです。
左上のドットを押すとその被写体を作り出している原材料のみで考えた価格が、右上を押すとお店で売られている希望小売価格のような値段、そして左下を押すとその被写体が将来生み出す利益を表示するのです。
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そして右下は……と言うところで母がやってきてしまい、話もそこそこにヨドバ氏は逃げ出してしまいました。
……カメラを置いて……

その時母がやってきたのは、ヨドバ氏とのやり取りを聞きつけて、と言うわけではありませんでした。
どうも先ほどの倉金が、竹子をデートに誘ってきたから行きんしゃいと言いに来た様子。
女の一生は結婚で決まる、カス掴んじゃうと自分のように苦労するよ、人間霞を食って生きてはいけないんだ……と、夢も希望も無いだけにリアリティのある言葉を残してさる母親。
逆に父は、母がどういおうと結婚するのは自分なんだから、ホントに好きな人と結婚しろ、自分はしょっちゅう目利き違いをしているが、最大の目利き違いはごにょごにょ……と、こちらはロマンティックな意見を残しました。
確かに倉金はイケメンで誠実、竹子のことをちゃんと愛しているようです。
気は進まないながら、流れ上やむない感じで倉金と竹子はデートに向かうことになりました。
ですがいつまでたってもいい返事が聞けない倉金はとうとう焦れたようで、その日はどうしても結婚の返事を聞きたいと強引に迫ります。
夜の公園で2人きりになり、イエスかノーか言ってくれるまで返さないよと仁王立ち。
絶対後悔させない自身があるから強引に選択を迫っているそうなのですが……

悩んだ竹子は値ぶみカメラで倉金を取ってみることに。
原材料価格は、所詮人間なんて志望や炭素の塊だということで1000円弱。
希望小売価格は、身につけているものが高級品ばかりなために130万円!
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そして、これから生み出す利益はなんと、三十二億六千万!!
単なる金持ちのボンボンでなく、中身まで一流だとわかる倉金ですが……
そこに宇達が現われ、お前になんか竹子はやらん!とドラマさながらな台詞を決めてくれました!
対する倉金は、それを決めるのは竹子さんだ、とイケメンな台詞でしっかり受けて立つのです!
竹子はそそくさと宇達を値ぶみ。
原材料価格は832円、利益は
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……比べるまでも無い低さ……
頭を悩ませる竹子ですが、そこにヨドバ氏があらわれ、やっと見つけた、カメラの代金百万円払ってくれ!と駆け寄ってきます。
ですがはっきり宇達のだめっぷりを見せ付けられてしまったイライラから、竹子はこんなもの要らないとヨドバ氏にカメラを投げ返すのです!
これを売らねば食うにも困るヨドバ氏、値段を一万円にまで下げるのですが、もはや竹子はそれどころじゃありません。
ヨドバ氏は必死にそういえば右下のドットを説明してなかったですよね、と落ちていた宇達の写真を手にとって説明を開始します。
右下のドットは、撮影者にとっての被写体の主観的価格だそうで。
つまり、竹子が宇達にどれくらいの価値を感じているのかを表示しているとのこと。
右下のドットを押すと同時に、竹子は倉金と宇達のどちらかを選ぶ決断の一歩を踏み出します。
彼女が向かったのは……宇達の胸でした!
絶対的自信を持っていた倉金は、信じられないと繰り返すばかり。
それは竹子も同じこと。
信じられないが、これしかないんだ。
玉の輿を捨て、真実の恋に生きるなんて、絵に描いたような結末ね……と、夜の公園で愛を確かめ合う竹子と宇達。
そして、ヨドバ氏が表示した宇達の写真の主観的価格は……なんと、桁数が大きくて表示しきれない状態になっていたのです!
二人の世界に入ってしまった竹子達を振り返らず、ヨドバ氏はカメラ片手にその場をそっと去っていくのでしたとさ……
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というわけで、物の値段がわかるカメラを使い、コミカルでロマンチックな物語を描く本作。
この他、撮影した写真からさかのぼって10分間の音声が聞けるカメラ、夢の映像を撮影するカメラ、過去のその場所の光景を写すことの出来るカメラ……と、様々なカメラが登場します!
また、このカメラとカメラが巻き起こすアレコレだけでなく、カメラを売るヨドバ氏の奮闘も注目したいところ!
現代地球人の野蛮さに失望したり、旧時代的な(?)生活に感動してみたり……
挙句の果てにはそりゃあもう悲惨な目にあわされてしまったりと、思わず応援したくなってしまうこと請け合いなのです!
もちろんカメラシリーズ以外にも多くの見所が用意されています。
誰もが考えたことがあるんじゃなかろうかと言う妄想を描ききった「どことなくなんとなく」、失敗した過去をなんとか塗り替えられないかと過去の自分を説得しようとする「あのバカは荒野をめざす」、収録作の中で飛びぬけて新しい95年に発表された「異人アンドロ氏」等々……
ブラックな物から読後感のいいものまで、F先生テイスト満載の作品集となっているのです!!

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