本日紹介いたしますのはこちら、「藤子・F・不二雄大全集 ウメ星デンカ」第2巻です。
小学館さんより刊行されました。
第三期も大好調の本大全集は、「藤子・F・不二雄」のテーマにて紹介をまとめております。
お時間、ご興味等ございましたらそちらも併せてご覧くださいませ。
さて、母星であるウメ星が爆発してしまったため、地球に逃げ込んできたウメ星の王族一家。
流れで太郎くんの中村家に居候することになったのですが、浮世離れした王族の上にそもそも地球人では無い彼らの暮らしぶりにトラブルが続出!
太郎は王様一家の一人息子であるデンカと友情を育みつつ、お世話したりされたりのドタバタな毎日を送るのです!
今巻も相変わらずの内容の中、今回紹介したいのは本来「21エモン」のキャラクターでありながら、本作でもバリバリのレギュラーキャラとして活躍しているゴンスケが鍵となるお話「わしはねらわれているぞよ」。
みよちゃんが好きでたまらなく、彼女以外にはわがままそのものな彼が見せる、意外な姿が楽しめるのです!!
道路の上でぴょこぴょこと跳ねているゴンスケ。
朝からずーっとこの調子だそうで、あんなゴンスケでも一同は一応心配なようです。
高飛びの選手にでもなるつもりなのか、おしっこでも我慢しているのか、ついにこわれたか。
本当のことを聞かせてみろと本人に尋ねても、おめえらには関係ねえ、とべろを出す始末!
ロボットの考えることはさっぱりわからない、と一同は退散するのでした。
ですがそこにタイミングよくみよちゃんが通りがかります。
何をしているのとみよちゃんが尋ねれば、彼女にベタぼれのゴンスケは即答。
「世界一周旅行だ」と言うのです!!
地球は回ってるから、飛び上がっている間地面が動く、これを繰り返せば……と言うわけで……
賢いみよちゃんは飛び上がっても地球と一緒に回っちゃうんだよと笑いながらもゴンスケにアドバイス。
みよちゃんの言うことなら間違いないんだろうと考えるゴンスケはわかりやすいくらい落ち込んでしまいました。
ですがここですかさずフォローを入れるのもみよちゃんの賢いところ。
思いつきは悪くない、普通の人には考え付かないよ、となだめて帰っていくのでした。
問題は、すると自分は天才なのか!と勘違いしたゴンスケに「まあね」と適当に返事してしまったことなのですが……!
もっと何か思いつこう!と妙なやる気を出して家に戻るゴンスケ。
はいるなり王様に正面衝突してしまうのですが……その時、王様の顔を見て何かを思いついたようです!
そんなゴンスケなど気にせず、気をつけろと言い残してその場を去ろうとする王様ですが、すてんとすっころんでしまいました。
その様子を見たゴンスケはやっぱりだと大喜び!
王様の何を思いついたのかと聞くのですが、やはりゴンスケは余計なお世話だとつれない返事。
それなのにゴンスケは王様の後にぴったりとくっつき、ずーっと王様の顔を見つめ続けるではないですか!
どこに行っても、何をしてもぴったりとくっついて王様の顔をじっくりと見つめるゴンスケ。
たまらず王様は頼れるおつきの者、ベニショーガたちに助けを求めるのでした!
ベニショーガにきつく言われ、流石のゴンスケも退散。
これで一安心……
と思いきや、どうもまだ隠れてみている気配がします。
やむなくベニショーガはお使いを頼むことに。
これで家にいなくなったから監視の目は無いはず。
のんびりできるぞと屋根の上で寝そべるのですが、その背後にはカメラが……!
カシャカシャと王様の写真を取るそのカメラ。
王様もその気配に気が付き、やっぱり落ち着けないのです。
こうなったら押入れで昼寝する!と王様は遂に押入れに入りました。
ですがそこでもつるりと何かが頭を触ってくるのです!
神経質になっているだけだ、と寝ようとするものの、その何か……ゴンスケの手は、ついに巻尺を王様の頭に巻いてくるじゃありませんか!
どうもゴンスケはお后様に10円払ってお使いを変わってもらい、撮影なんかをしていたようで。
その撮影した写真が廊下に落ちていたのですが、それはすべて王様の頭のドアップ写真なのです!
ゴンスケは何故こんなことをしているのか?
王様の頭の皮をはいで標本にするつもりなのか。
あるいは電子頭脳じゃなくて本物の脳みそが欲しくなったんじゃないか……!
震え上がる王様。
事実はどうアレ、とにかくこのままでは王様はまんじりとも出来ません。
ゴンスケがイカれていたらやばいかも、と武装してゴンスケを捜索するベニショーガたち。
天井裏から物音が立ったことに気がついた太郎とデンカがゴンスケを発見することになるのですが……
ゴンスケは王様の生首を手に持っているではありませんか!!
ベニショーガが屋根裏に駆けつけるとゴンスケの姿はなく、王様の生首が残されているばかり。
それを回収し、何と言う姿に……となきくれるベニショーガとデンカ。
そこへ王様とお后も駆けつけ、とうとう頭を取られた!と王様自身も大泣きしちゃいます。
本人が何を言っているのやら……と突っ込む間もなく、その場にゴンスケが登場!
なんとこの生首、ゴンスケが実験のために作った模型だというのです!
何の実験か聞いてももちろんゴンスケは答えず。
こうなったらみよちゃんに聞いてもらうほかありません。
早速みよちゃんが尋ねてみれば、ぺらぺらと「成功すればノーベル賞」とまで言う研究内容を教えてくれたのです!
王様のはげ頭に冠が乗っているが、滑っても転んでも落ちない。
それがどう考えても不思議で、それを解き明かしたい、と言う!!
王様は恐怖におびえまくった自分が恥ずかしくなったのか、実にくだらない!と叫ぶしかないのでありましたとさ……
というわけで、ホラー(にみえる)なゴンスケの姿が楽しめる本作。
この他に注目したいのは、一応の最終回となる「さようならウメ星デンカ」とその前のお話「恋するゴンスケ」。
「さようなら~」は、最終回と言うだけでなく、お話自体は実に真っ当な最終回らしい物語が展開するものの、オチがなぜかゴンスケと言う不思議な締めが印象に残ります。
そしてそれに加え、全編作画が当時のアシスタントしのだひでお先生によるものと言う点も気になっちゃうことでしょう!
今あげた注目点以外の部分も言うまでもなく楽しい仕上がり。
あまりにも地球人とはずれた感覚を持つ、デンカたちのとぼけた感覚にクスリと来てしまうこと間違いありませんよ!
恒例の資料室には、原作中では一度も書かれたことがなかったという在りし日のウメ星の光景が収録。
それに代表される、コミックスや雑誌の企画などに描き下ろされた様々なイラストが収録されています。
パーマンとの共演なんかも描かれ、ファンならずとも引き込まれることは間違いないでしょう!!
デンカたちとの異文化コミュニケーションが愉快な「藤子・F・不二雄大全集 ウメ星デンカ」第2巻は好評発売中です!
デンカたちだけでなく、ゴンスケも大活躍する今巻。
太郎達地球人も負けてはいられないところですな!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!