3階の者だ!!

DEBがお送りするネタバレありのコミックス紹介ブログです。 短編物では一話にスポットを当てて、長編物ではこの後どうなるの?と言うところまで紹介しているつもりです! ※作品記事につきまして、権利者様が問題があると感じられた場合はご一報ください。対応いたします。

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本日紹介いたしますのはこちら、「ヨメイロちょいす」第6巻です。
秋田書店さんのチャンピオンREDコミックスより刊行されました。

作者はtenkla先生。
本作の紹介は「ヨメイロちょいす」のテーマにてまとめておりますので、よろしければご覧くださいませ。

さて、チャンピオンRED誌でもひときわ目立つ酷い作品である本作。
この規制厳しいご時勢の中でも、やりたい放題したい放題をやってきたこの作品も今巻がついに最終巻!
いままで心からどうでもいいお話(褒め言葉ですよ!)を繰り返してきた本作ですが、終盤では意外に真面目な感じのお話しになってくるのですが……!

まず今巻、前半のバカエロス話のときからちょっぴりまとめにかかっているところが見て取れるのです。
三人の各娘がそれぞれの未来に里帰り(?)お話が一話ずつ展開し、本来敵対関係でありながら、なんだかんだと仲よくなっていた三人娘の絆とかが強まっていく様子が描かれます。
そして出番の少なかったセルリァとローゼマリーの当番回まで回ってきたのですが、そのオチのあたりから話がおかしくなってくるのです!!

ローゼマリーは本業の退魔士の仕事の関係で本国に帰ることになりました。
だから早く自分に種付けしろ!というような騒動があったのですが、サクのへたれ振りとセルリァの天使っぷりでなんとか無事乗り切り、サクとローゼマリーの距離もほんのちょっとだけ縮まったようです。
そしてローゼマリーはセルリァをつれて帰国の飛行機に乗るのですが、
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突然セルリァの姿が忽然と消えてしまったのです!!

翌日、その騒動は大変だったけど、セルリァも喜んでたしローゼマリーさんも悪い人じゃないし、まぁ良かったかなとつぶやいていたサク。
その言葉を聞いたくらんは、セルリァって誰?といいだすのです!
くらんはとぼけたりするような性格の人間ではありません。
なんでセルリァのことを知らないんだ?と不安になったサクはローゼマリーに電話しようとするのですが、なぜか携帯のメモリーに彼女の番号が入っていないではないですか!
わけがわからないサクに、どこからともなく声がかけられました。
一時帰国したつもりだったローゼマリーは、厳格な祖父によって再来日を許されず、二度と日本の土を踏むことはなかった。
そのためセルリァが生まれる可能性が消え、セルリァの存在そのものがなくなった。
だから関係性が希薄になり、彼女に対する情報が消えたのだ、と。
そんなことを突然言われたサクは驚き、そんなこといわれても困る、知っていたら止めたのに……と言うのですが、その声の主はその姿を現しながらこういうのです。
家を出るとき、左足が先か右足が先かと言う些細なことでも未来が変わることがある。
人は誰もがそれと気付かずに選択を続けているんだ……
そんなことを言いながら見せたその姿は、多き仲間を持った神秘的な少女、ラゥス。
ラゥスは続けます。
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ボクは、君と娘たちの関係を無に帰すために来た、全てを終わらせる使者だ、と……!!

セルリァをけしたのは君なのかと問いかけるサク。
ですが彼女はこの件に関して何もしていない、自分はあることを伝えるために来たのだと答えました。
彼女は、その不思議な力でサクにあるイメージを見せ始めました。
暑い夏の日、アイスを持ってきてくれるくらん。
サクの姿は少年時代のそれになっていたのですが、くらんの体はなぜか今までどおり。
絵に描いたような駄目人間のサク、これは夢だなと決め付けたかと思うと、夢ならばチャンスだとばかりにくらんのおっぱいやら足やらにむしゃぶりつくのです!!
いざおっぱいに吸い付かんと言うところで突然くらんの姿は消え、代わりにヒィロが眼前に現われます。
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そしてヒィロは、結局体だけが目当てじゃないか、くらんがサクに甘いことに漬け込むなんて見下げ果てた男だ、そんな風に嫁を選んでいただかなくて結構だと一瞥し、去っていってしまいました。
残されたサクは一滴も反論の余地の無い指摘にがっくりと肩を落とし、確かに酷い、くらんは選べないと自己嫌悪するのです。
そしていったんラゥスのいるもとの世界に戻され、世界は3のような形に置いた小石と同じ、見る方向によってmにもwにも、3にもEにも見える、これが世界が複数あるということだといい、再びサクをイメージの世界へ戻しました。
今度は花凛と自分が放課後の教室で2人きりになっているイメージです。
今度は失敗できないと思ったサク、花凛の腕を掴んでいきなり告白し、キスの体勢へと移行したではありませんか!
彼らしからぬ積極性ですが、そこにこんどはきぃろが割り込んできます。
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くらんがだめならこっちって酷くないか、しかもやってることはくらんと同じ……要するに体目当てのようなものだし、安パイに逃げるなんて駄目だろうとピシャリと言われてしまうのでした。
またもサクは確かに虫が良すぎる話だ、花凛は選ばないと肩を落とします。

そして再びラゥスの元へと引き戻され、いくら世界が複数あるとはいえ、大変不安定な存在であるらしいサクにはひとつの未来を選んでもらわないと宇宙すら危ないんだとだとしてきます。
すっかり早く選ばなければと追い詰められたサクは、次なるイメージの世界で梢にいきなり抱きついて赤ちゃんを作ろうと言い出すのです!
ですがそうなれば当然もぇぎが登場。
消去法で選ぶな、ふざけんなとサクを蹴っ飛ばし、おまわりさんまで呼んじゃうのでした!!

すっかり現実を見せられたサクは、自己嫌悪に告ぐ自己嫌悪ですっかり沈みきってしまいます。
「他人を傷つける自分」にならないよう逃げ続け、結局皆を傷つけている。
そんな酷い僕なんて、いっそ皆に忘れてもらえれば……
そう嘆くサクに対し、ラゥスは勿論そういう世界もある、たとえ皆がサクを忘れても僕だけは傍にいてあげようと優しく語り掛けるのです!
こんな僕でいいのか、消去法の結果でいいのか、と呻きながらふらつくサク。
ラゥスはそんなサクを受け入れるのです。
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君に決めた、僕の子供を生んでくれ、とその胸に抱かれるサク。
果たしてこのままサクはこの閉じた世界に閉じこもってしまうのでしょうか?
全てを終わらせるものと言うこのラゥス、一体何者なのでしょうか?
シリアスになってきたこの物語、フィナーレもまたシリアスに……なるわけないのです!!

というわけで、衝撃のラストを迎える本作。
結果としてサクは、人としてどうなのかはともかく、一応の円満な未来を手に入れることになります。
まぁこういう漫画ですし、いきなり暗いバッドエンドを迎えても困っちゃいますからね!
それにしても、その円満な未来を手に入れるために、やる気(?)を復活させるわけですが、その理由もそりゃまぁ酷いもの。
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なんと言いますか、やっぱりこの作品だなぁ……という納得のオチとなっておりますので、とにかくその酷さを刮目して見よとしか言い様がありません!!!

そしてなんか巻末には「最終忍者シュンカ」なる新作の予告が収録。
まさかこれがREDで連載する次回作なのでしょうか……?
予告の感じではドシリアスな感じですが、土居……tenkla先生がガチで真面目な漫画を描けるのか、描いたらどうなるのか興味の尽きないところ!
こちらも期待せざるを得ませんね!!

新世紀カオティック嫁選びエロスコメディ、「ヨメイロちょいす」最終第6巻は全国書店にて発売中です!
そのブッチギリの酷さを最後まで貫き通した本作。
物凄い勢いで人を選ぶ本作、ここまで来たら最後まで付き合うしかありませんよ!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


ヨメイロちょいす 6 (チャンピオンREDコミックス)
秋田書店
2011-10-20
tenkla

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本日紹介いたしますのはこちら、「オールラウンダー廻」第7巻です。
講談社さんのイブニングKCより刊行、イブニングにて連載されています。

作者は遠藤浩輝先生。
本作の紹介は「遠藤浩輝」のテーマにて記事をまとめておりますので、よろしければそちらもあわせてご覧くださいませ。

さて、関東選手権は喬の優勝で幕を閉じました。
廻も勇大もベスト4と健闘したものの、やはり負けは負け、悔しいことには変わりありません。
廻はその胸に湧き上がる悔しさから、自分は格闘技をやめられないと実感。
更なる奮闘を誓うのでした。

関東選手権で2回もダウンを喫してしまった廻は、一月半ほどの間は打撃アリの試合の出場を禁じられてしまいました。
予選が終わってしまうと慌てる廻ですが、安全面を考えれば仕方ないこと。
予選大会は全国で順次行われていきますから、最後のほうに行われる大会にあわせて調整していくことに。
打撃アリの本格的なスパーリングも禁止され、防御面の強化を目的としたスパーリングや、基礎体力や筋力なんかのフィジカルの訓練等をメインに練習するのでした。

そんな日々の中、いつになくマキが張り切って練習に打ち込んでいました。
待望のキックの試合に参加することが決まったからです。
トップアマが出場するクラスで、しかも2戦行うことになったマキ。
1戦目の相手は得意のリーチを生かしたミドルと、首相撲からの膝などをフルに使って危なげなく勝利をおさめます。
問題は2戦目の相手でした。
マキが試合前のロビーでちょこっとあったときは、なんだかおどおどした感じの印象だったその女性、長峰綾子。
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身長は170センチくらいでしっかりと鍛え込まれてはいるものの、キックをやっている感じの体つきではありません。
戦績も書いておらず、どうもわざわざ関西の方から遠征に来ているようで……
まったく前情報の無いままゴングはならされました。

どうも綾子さんは緊張しいの体質のようで、セコンドの人からもそれはしょうがないから1ラウンドは様子見で行けとアドバイスされていました。
事実、綾子の立ち上がりはそれはもうわかりやすいくらいにガッチガチ。
とりあえずパンチ主体と言った風情の構えを取っていますので、マキはセオリーどおりに前足を攻めていくことにしました。
予想外の遠い間合いから届くイン・ローに驚きを見せる綾子。
ですがすかさず繰り出されたハイキックはしっかりとバックステップで避けました。
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そこから、綾子は前足を蹴られること前提で戦略を組んでいるハードパンチャーであろうと予測されます。
いまは緊張でがちがちになって縮こまってしまっていますが、マキのローやミドルを何発か受けているうちに緊張もほぐれてきて……
完璧ではないながらもローキックをカットし、その上次第にマキの間合いを見切ってミドルすらもすかすようになってくるのです!
自分の間合いで戦っているはずなのに、なぜか異常に息が上がっていることに気がつくマキ。
更に、いつの間にかロープ際に追い詰められてしまっていることにもそのときまで気がつきませんでした!
すかさず懐にもぐりこんでくる綾子。
マキもその展開は予想済みなわけで、相手の左ストレートをパリングし、そのまま左膝を叩き込もうとするのですが
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綾子はそれもすかしてしまいます!
更にマキの懐にステップイン、そして強烈な左のボディブローを炸裂させました!
続けて右のアッパーカットを放つのですが、なんとかそれは回避するマキ。
一気に劣勢となったところで1ラウンドは終了となったのでした。

2ラウンドに入ればおそらく綾子の緊張はよりほぐれ、腕も伸びてくるはず。
キックの間合いも見切れれてしまっており、苦戦は必至です。
2ラウンドは前蹴りと首相撲を主体に、パンチを殺して戦えとアドバイスを受けるのですが……マキは声を出して返事ができないほど先ほどのボディが効いている様子。
第2ラウンド開始直後こそ前蹴りですこし綾子をひるませるものの、すぐさまそれも見切られて懐にもぐりこまれてしまいます。
繰り出されるボディブローをなんとかガードし、すかさず首相撲に捕らえるマキ。
がっちり首を捕らえて膝蹴りを放つのですが、綾子はくいっと体を捻ってホールドを外し、すかさず胴を掴んでサバ折りのようにしてマキを押し倒したではありませんか!
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更にそのあと、片足タックルのような動きを見せる綾子。
どうやら彼女は総合格闘技の選手で、打撃強化のためにこの試合に出ている様子なのです!
「打撃を強化したいのでキックに出てみました」。
そんなタイプが一番嫌いだと言うマキ、その事実に気がついて怒りに燃え出したようです……!
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何かをやらかしかねない、殺気のようなものがこもった表情に変わったマキ。
かっと来ると何をするかわからないところのある彼女、この試合でも何かしでかしてしまうのでしょうか!?

そして、桃子の方も大会に出場することになりました。
打撃アリの試合ができない廻と一緒に、柔術の大会に出ることになった桃子。
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当初は48.5キロ級のみに出る予定でしたが、勇大とのある約束のために無差別級にも出場し、いきなり優勝を狙うことになったのです!!
柔道のテクは折り紙つきで投げの才能は相当感じられるものの、スタミナの不足と経験の不足は否めない桃子。
白帯で出ることから、48.5キロ級はいいところまでいくことは間違いなく、優勝は十分狙えるでしょう。
ですが無差別級は圧倒的に体格差のある相手も出るでしょうし、どうやら他の競技でならした実力者もでるようで……
果たして桃子は無差別級でもその投げを炸裂させ、勝利をおさめることができるのでしょうか!!

というわけで、二人の女子選手の奮闘が収められた今巻。
マキと桃子の試合も勿論ですが、本気になってきた廻の頑張りや、マキとのじゃれあいなんかで主役もそれなりに存在感を放っております!
そして、怪我もあって試合や練習をしていない勇大もまたそのドラマを展開させていまして。
試合以外の部分でも見所のある一冊となっています!
その試合も今までメインだった総合ではなく、キックと言う打撃オンリーの試合+柔術と言う投げと極めオンリーの試合となっていまして、打撃の応酬から寝技の応酬と、正反対の技術の応酬が楽しめるのも注目したいところ。
試合もドラマも楽しめる一冊に仕上がっているのです!!

女子の奮闘がたっぷり堪能できる、「オールラウンダー廻」第7巻は好評発売中です。
廻とマキが着々といい感じになっている本作。
なんか勇大と桃子もなんとなしにくっつきそうな空気が濃くなってまいりました!
この調子で格闘技も恋愛も充実したリア住生活に突入していくのでしょうか!!
なんだか複雑です!!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


オールラウンダー廻(7) (イブニングKC)
講談社
2011-10-21
遠藤 浩輝

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本日紹介いたしますのはこちら、「軍鶏」第26巻です。
講談社さんのイブニングKCより刊行、イブニングにて連載されています。

作者はたなか亜希夫先生。
たなか先生作品の紹介は「たなか亜希夫」のテーマでまとめておりますので、よろしければご覧くださいませ。

さて、本作は数奇な運命を経て、総合格闘家へと転身した成嶋亮の壮絶な生き様を描いた格闘漫画です。
98年に「漫画アクション」にて連載が開始された本作ですが、同誌の休刊を期に05年より「イブニング」に移籍連載。
ところが08年、25巻までは原作としてクレジットされていた橋本以蔵先生と田中先生の間で権利関係なんかでの裁判が行われ連載が中断してしまいました。
ですがようやくその問題が解決したようで、11年になってから完全版が刊行開始。
そしてこのたび、たなか先生個人名義となって連載が再開して単行本最新刊刊行の運びとなったのです!!

久しぶりに読む方なんかのために今までの流れをざっと説明します。
親殺しのヒール格闘家として圧倒的な存在感を放っていたリョウにひかれ、突然本業をやめて格等家に転身してリョウに勝負を挑んできたトーマ。
その圧倒的カリスマによって、トーマの周りには彼をサポートする一流の格闘形が集結し、チームトーマが結成されました。
対決を挑まれたリョウは、敵対していたはずの番竜会の裏の腕利き集団、黒胴着衆4人とともに5VS5の団体戦を行うこととなりました。
黒胴着衆は痛覚を感じないもの、毒物や暗器をひそかに使うもの、すさまじすぎる一撃を持つ大男など、その手段や技術などはともかくつわものばかり。
ですがチームトーマのメンバーも表の世界で名を馳せた大物ばかりでして、卑劣な手段や体験したことのない体質が相手でも奮闘。
三戦終わった時点で星取は一勝一敗一分となっていました。
勝負は第4戦、超巨漢の黒人、黒胴着衆の4號と天才柔道家の吉岡の戦いが始まっています。
4號は「剛よく柔を断つ」を地でいくような壮絶なパワーで吉岡の技術を叩き潰さんと言う勢いで攻め立てるのですが……

4號は余裕綽々と言った感じで、柔道家である吉岡に袖を差し出し、掴めとでも言いたげににやりと笑います。
「そんなもんじゃないだろう」。
不適に誘う4號に気圧されながらも、吉岡はその袖を取るしかないのでした!

柔道家が絶対的に有利な体勢にありながら、このままじゃ勝てないぜとまったく慌てない4號。
ですがその4號が打撃を端等とほんの僅かに足の先を動かした瞬間に吉岡は足払い!
動きはじめを捉えられてはさすがの4號もバランスを崩してしまい、片膝をついてしまいました。
その隙を逃さず、吉岡はすかさず寝技に入り、目にも止まらぬ速さで腕ひしぎ逆十字に入りました!
防御する暇さえ与えず、完全に形に入った逆十字。
いかに剛力の持ち主と言えど、吉岡ほどのアスリート相手に腕一本では太刀打ちできない……と思いきや、4號は腕を決められたまま立ち上がった上、決められている右腕一本で
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吉岡の体を高々と持ち上げてしまったのです!!
そしてその2階から叩き落すかのような落差で吉岡をマットに振り下ろす4號。
ですがそこは天才吉岡、すかさず体勢を立て直し、そのまま腕を取って逆に4號を一本背負いでマットに投げつけました!
それでも身をよじって横から落ちた4號にダメージはなく、一本じゃないぞと息巻きます。
しかしその視線の先に吉岡の姿はなく……
その腕は
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4號の首を捕らえていたのです!!

完璧に決まったかに見えた、いや、完璧に決まっていた送り襟締め。
それでも4號はあっさりと立ち上がった上、あっさりとその腕を振りほどいてしまうのです。
が、ここでも吉岡は次の手を仕掛けます。
胴着をつかんで地面に叩きつけようとされた勢いを利用し、今度は巴投げ!
宙に舞った4號ですが、再び身をよじり、今度は膝から落ちます。
嬉しそうに再び一本じゃないぞと笑う4號、膝立ちのまま吉岡と組み合う体勢に。
いかに天才と言えど、この体勢から4號は投げられないのでしょう。
こう着状態となり、レフェリーにスタンドからの再開を命ぜられるのでした。

再開した直後、4號は吉岡に語り掛けます。
技の冴え、極めと素晴らしいが、スポーツが永すぎた。
ここはオリンピック会場ではない、お前とオレ、2人だけの場所だ。
そういった4號は、とうとうはじめて構えを見せました。
ここからはスポーツ、4號にとっては遊びでは無いと言うことなのでしょう。
まず4號が繰り出したのは、右のローキック。
吉岡はしっかりと足を上げてガードしたのですが、
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その凄まじすぎる威力で体ごと持っていかれてしまうではないですか!!
転がされてしまった吉岡、続けて放たれた左の蹴り上げもしっかり両手でガードするのですが、やはりそのパワーで体ごと浮かされてしまうのです!
地面に仰向けになってしまった吉岡の顔面に、容赦ない踏み付けを連打する4號。
その一撃一撃がまさに必殺の威力を秘めており、吉岡は戦慄を隠せません。
4號は再びにやりと笑みを浮かべ、一撃必殺の鉄槌を振り下ろすのです!!
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と言うわけで、長い長い沈黙を経て連載が再開された本作。
単行本派の人々が長らく見ることの叶わなかった4號VS吉岡の決着がようやく拝むことができるのです!
そしてとうとうリョウVSトーマの対決も開始!!
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絵に描いたような(漫画ですけど)剛VS柔、そして善や光の象徴のように描かれるトーマと、悪や闇の象徴のように描かれるリョウの戦い。
対照的な存在の戦いは、どんな経過をたどるのかも気になるところ!
そしてまったくの未知数であるトーマの実力、腹を刺されてしまったリョウの体調。
注目点はいくつもあるだけに、その決着が着々と近づくことに期待せずにはおられますまい!

待望の刊行再開となった、「軍鶏」第26巻は好評発売中です!
光と闇、クリーンとダーティ、本能と技術……様々な見方ができる戦いが繰り広げられる本作。
たなか先生は木内和弘先生とのタッグで描いていた「喧嘩猿」も、本作完結後に連載再開すると宣言されていますので、本作のフィナーレもそう遠いことではなさそうです。
となればおそらくこのリョウVSトーマが本作のラストバトルとなる公算は高そう。
復活を誓う菅原の動きも気になるところですが……
とにかく今はこのバトルに注目したいところです!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


軍鶏(26) (イブニングKC)
講談社
2011-10-21
たなか 亜希夫

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本日紹介いたしますのはこちら、「外天楼(げてんろう)」です。
講談社さんのKCDXより刊行されました。

作者は石黒正数先生。
石黒先生の他作品は「石黒正数」のテーマにて紹介をまとめておりますので、ご一緒にそちらもご覧くださいませ。

さて、本作は講談社さんより刊行されている文芸雑誌、「メフィスト」にて連載されていたミステリ漫画です。
石黒先生といえば代表作の「それでも町は廻っている」でもたまにミステリ調の物語が展開しますし、そもそも主役がミステリ好きだったり、過去の短編でも描いていたりと意欲的にミステリに取り組んできていました。
そんな石黒先生が挑むミステリ漫画。
最初こそ「それ町」のような日常モノ風味で進んでいくのですが、だんだんと様子が変わってくるのです!

本作でまず注目したいのは、独特の設定。
作業用やら警備用やらの様々なロボットが実用化されている、近未来的な世界なのです。
加えて愛玩用の人工生命体「フェアリー」なんかも作られており、今よりも人々は豊かに暮らしている……といいたいところですが、人間自体の生活はほとんど現在のままの様子。
それもそのはず、ロボットをいろいろな用途のために容姿を人間の女性に近づけてみたりすれば人道的にどうだとバッシングする連中が現われたり、愛玩用のフェアリーを作ってみても姓名をもてあそぶ好意じゃないかとバッシングされてみたり……と、今と変わらない世間の波が押し寄せているのですから。
ともかく世の中には、人と見分けがつかないくらいに良くできているロボットが働いていたり、研究者がフェアリーの扱いに関して連日論客と意見を戦わせていたり……と、今の生活にロボットや人工生命体が溶け込んだ世界になっているのです。

そんなある日、人工生命体研究の権威である鬼口が刺殺されるという事件が起こりました。
現場にやってきたのは、何かといえばすぐ殺人事件にしたがるサスペンス大好きっ娘の桜場刑事。
そして落ちているナイフや、深々と腹部に突きたてられてできたであろう傷跡から見て、どうもこれは彼女の求めている(?)殺人事件のようで。
凶器となったナイフは現場に残されていますが、柄は拭ってあるようで指紋は期待できないでしょう。
更に残されていたのが、ミステリのゴールデンアイテム、ダイイングメッセージ。
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その文字は「ミナ」とも、「汁」とも、「ミート」「シート」とも読めるような感じで……決め手にはなかなかならなそうです。

ダイイングメッセージを残すということは、通り魔的犯行と言うわけではあるまいと睨んだ桜場。
その日やっていた討論会なんかで鬼口と絡んだ人何名かを並べ、このうちの誰かが犯人な気がする!と無茶な感じの捜査が始まりました。
討論会で意見を対立させていた人権の会の三条奈美、国会議員の戸川史穂、ジャーナリストのジル・コンスコンの三人は敵対関係だったから動機アリ。
映画監督の五代十三さんは撮影用にグロい人工臓器作れないかと聞いて手厳しく断られていた。
ロボット工学者の河森学は鬼口を敬愛していたものの、愛情の裏返しと言うこともある。
だから全員犯人の疑いアリだ!と桜庭さんはもうノリノリです。
いつもなら彼女には大ベテランの相棒、山上刑事がタッグパートナーとなっていろいろ突っ込んでくれるのですが、今日はまだきていない様子。
ちょうどその時山上から電話がかかってくるのですが、なんとそれはこっちには来られないというものだったのです。
なんと、フェアリー社の工場に刃物を持った男が現われ、6人刺して逃げたという事件がおき、そちらの応援に行っているというのです!
ここで殺された鬼口もまたフェアリーの生みの親と言うフェアリー関係。
同一犯なのか……?という考えが自然と頭をよぎりますが、何せ鬼口が指された場所とその襲撃された工場は距離が遠く、一概にそうも言い切れません。
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先入観を持つなといって山上は電話を切るのですが……桜場はフェアリーに対する同時テロかも、この事件を解決すれば出世できる!と大興奮。
ダイイングメッセージを手がかりに、なんとか犯人を挙げようと躍起になるのでした!!

まずダイイングメッセージを逆の向きに見て、「十三」だ、だから犯人は五代十三だと指摘する桜場。
ですが五代十三は「汁」に見えるからジル・コンスコンが犯人だろうと受け流します。
そんな調子で「ナミ」に見えるから三条奈美だ、「十川」に見えるから戸川史穂だ、「三十」だから三十歳か30日生まれの人だ、この文字は書きかけで完成すれば「川森」になるから河森学だ……ともう何でもアリ状態に。
次第にこう読めるから1ポイント、あわせて2ポイントであんたが一番犯人に近い……と言うように、なぜかポイント制の押し付け合いになるのです。
そんな大騒ぎの中、鑑識の人は「シート」と読み、鬼口の車の後部座席を調べてみました。
するとそこには「正午にフェアリーをひとつもってこい、もって来なきゃ殺す」と言うような脅迫状があったのです。
それを覗き込んだ桜場、じゃあこれを送った人が犯人なのか?と考えるのですが、その時再び電話がかかってきたのです!
その電話の話を聞いた桜場、見る見るテンションダウン。
電話を切ると、おそるおそるポイントゲームにいそしんでいる容疑者の皆さんにこうきりだしたのです。
鬼口に脅迫状を送った男が、刺し殺したと出頭してきた、結局「シート」が正解だったみたい、と……
勿論散々疑われただけだった容疑者の皆さんは納得できません。
怒りを露にする皆さんに、桜場は「ダイイングメッセージはわかりやすく書こうね」とアドバイスするしかなかったのでした……
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というわけで、石黒先生らしいミステリ+日常もの的な風情のお話が収録されている本作。
ですが、殺人事件なのにのんきだったりするお話が繰り広げられるのは前半まで。
後半になると、今までばらばらだと思われていた数々の細かなお話がひとつにまとまり、一本のストーリーに集約されていきます。
前半で展開する、小学生三人組のエロ本探し、
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宇宙刑事がお役御免になってしまうお話、
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ロボット購入に対してアレコレ迷う工場職員のお話、めんどくさがりの男が不審死を遂げた真相を追うお話と言ったパーツがまさかの一本線になる。
そういった作品はパズルが完成していくような気持ちよさがあるもので、本作もまた例外ではないのですが……
その一本線になったストーリーがガチンコでシリアスそのもの!
え!?このキャラがこうなっちゃうの?と言うような衝撃的な展開から、笑いなしの切ない結末へとつながっていくのです!

ロボットとフェアリー、そして変わらぬ人間の業が生み出す物語、「外天楼」は全国書店にて発売中です!
いつも通りの日常モノと思わせておいて、最後はシリアスな物語となる本作。
ミステリやSFと言うジャンルは以前から石黒先生が手がけていたと言うこともあり、本作にはおそらく相当力がこもっていたはず。
笑いと驚きをたっぷりと堪能させてくれる、読み応えある作品となっていますよ!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


外天楼 (KCデラックス)
講談社
2011-10-21
石黒 正数

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 外天楼 (KCデラックス) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル



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本日紹介いたしますのはこちら、「るべどの奇石」第1巻です。
集英社さんのヤングジャンプ・コミックス・BJより刊行されました。

作者は室井まさね先生。
本作第1巻の紹介は、11年4月20日の記事にて記載しております。
よろしければそちらの方もあわせてご覧いただけますと幸いでございます。

さて、本作は石を扱う店「るべど」に舞い込んで来る、石にまつわる様々な不思議な物語を描いていく一話完結型の作品となっています。
12話11編が収録されている中、今回紹介したいのは前後編で繰り広げられる「異也(いなり)」です!

午後の授業をサボってふらふらしていた所、ふとるべどに立ち寄ってみたさやか。
沢山の不思議だったり、面白い石を眺めたりしていた彼女ですが、店主の硝子との会話で学校はどうしたのと言う流れになってしまいました。
こんなところでお説教と言うのもめんどくさいですし、さやかはテスト期間だから半日で終わったと嘘で乗り越えようとするのですが……
そのときさやかの目の前にあった狐のような形をした石が「コンコン」と2度音を鳴らしたではないですか!
それを聞いて「異也」が2度鳴いたから嘘だな、といいだす硝子。
何でもこの異也とやら、人の嘘を見抜いて本当のことを言っていれば1回、嘘を言ったら2回鳴くとのこと。
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もちろん素直に信じることなんてできませんが、実際自分で試してみても確かにその通りの反応を見せるのです。
さやかはすこし考えた後、その異也を購入して帰宅するのでした。

家に帰ると、いきなり母がさやかをしかりつけてきました。
学校をサボっただろう、連絡があったよと怒る母、自分が子供のころは学校や塾をサボったことなど一度もなかったというのですが……異也はその言葉を聞いて二度なくのです。
しれっとつく母の嘘、その後夜遅く酔っ払って帰ってきた父がついた接待で遅くなったんだという嘘。
家族の間に蔓延する嘘にがっくりと来るさやかですが、嘘が蔓延っているのは家族だけではありません。
教師の生徒のことを思って注意しているんだという言葉、クラスメイト同士の友情を誓う言葉、テレビで謝罪会見をする政治家の言葉。
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どっちをむいても嘘だらけの世界に対し、さやかは自分だけ正直者で亜ろ必要なんてないじゃないかと冷めた思いを抱くのでした。

そんなアンニュイな思いに浸っている彼女を小突き、辛気臭いなと毒づく男。
となりの席に座るクラスメイトの三上です。
さやかは正直者なんて、何で隣の席がこんな暗い女なんだ、学校来る気なくすぜと悪びれもせずいやみを並び立てる彼くらいなもんだろうと考えるのですが……
その言葉を聞いた異也はコンコンと二度鳴くではないですか!!
思いもよらない結果に三上をまじまじと見つめてしまうさやか。
そんな視線に気付いた三上は、何じろじろ見てるんだ気色悪い、うぜえからどっか行けと悪口を言いまくるのですが、そのたびに異也はコンコンと2回ずつ鳴くのです!
その反応を見て、さやかはストレートにもしかして自分のことが好きなのかと聞いて見ました。
慌てて好きな分けない、こんな暗い女嫌いだとまくしたてる三上ですが、コンコンという鳴き声を聞くまでもないくらい三上はわかりやすい反応を!
嘘まみれの中に、なんとなくほほえましい嘘を見つけたことに何か感じたのでしょう。
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さやかはにこりと笑ってウソツキ、と三上に笑いかけるのでした。

そのあと2人はいろいろあったんでしょう。どうやら付き合い始めたようです。
三上とさやか、今度は2人してるべどをたずねます。
今回るべどを訪ねたのは、なぜか異也が鳴かなくなってしまったから。
硝子はこともなげに「使用期限が切れた」「原産地に置いておけば一週間でもどる」「フル充電すれば1年持つが1回3000円」と言い放つのです。
詐欺まがい商法だとご立腹のさやかですが、なんだかんだと充電を依頼。
ですが一週間といえど、今のさやかには人の嘘がわからない状態が耐え切れないようなのです。
と言うのもやはり不安なのはステディとなった三上のこと。
なんだか最近自分の知らない女性と電話しているようなのです。
しかもその不安を更に加速させたのは、たまたま見かけてしまった夜の公園で泣いている女性と一緒にいた彼の姿。
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その上翌日そのことを問いただしてみても、三上は惚けるばかりなのです。
ついにさやかは三上が女性と電話しているその場で「最近よく女の子と話してるよね」と問い詰めました。
三上は女じゃないよ、と慌てて否定するのですが、なんとさやかは懐から壊れていたはずの異也を取り出すではないですか!
さやかは三上を逃さないため、新しく異也を購入していたのです!!
勿論その異也は二回鳴いており……
違うんだとうろたえる三上に、何が違うんだか行ってみろウソツキがと更に追求します。
さやかに端から三上を信じようと言う気がないことを彼も察したのでしょう、とうとう彼も怒っていい加減にしろと異也を払いのけました!
落下した異也は地面に落ち、その衝撃でばらばらに。
ただでさえ怒っていたさやかは更にそのことで大激怒!
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三上の顔をひっぱたき、ウソツキと言い残して走り去ってしまったのです!
嘘だらけの世に嫌気が差していたさやかの中で、希望となっていた三上。
彼に裏切られたと思ったさやかは再びこの世界を憂う日々に戻ってしまうのでしょうか!?

というわけで、嘘がわかる石に救われたり振り回されたりするお話が収録された本作。
石にまつわってさえいれば、むごい話からハートフルな話まで幅広く網羅している本作ですが、基本的には悪事や無茶をしなければ不幸にはならない真っ当な話作りになっています。
そのため、このお話も酷い結末にはならないのでご安心ください!
この他、体が石になってしまう奇病に冒された傲慢な金持ちと、それを妄信する継子の末路描く「腑蝕」といったブラックな話、奇妙な石が歪な親子関係を修復する「誘眠」「十色」といった辛い境遇から救われるお話などなどバラエティ豊かなお話が楽しめます。
それに加え、硝子を主役としたコミカルなお話や、わがままパワーストーン大好きっ子の瑠璃にかんするお話なんかもありまして、笑いの要素も盛り込まれているのです!

ホラー要素、コメディ要素、いい話要素と様々な味わいが楽しめる、「るべどの奇石」第2巻は好評発売中です!
オカルティックでありながら、ホラーではないためどなたでも楽しめる本作。
連載していたビジネスジャンプが休刊となってしまったため、今後どうなるのかがわからないのがちょっと不安なところ。
公式サイトでは今のところ連載中の作品に分類されており、「全2巻」ではなく「1~2巻好評発売中」となっているため、新雑誌やウェブでの連載が待たれるところですが……
その連載再開を確固たるものにするため、是非ともご興味がわいた方は購入していただきたいところです!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


るべどの奇石 2 (ヤングジャンプコミックス BJ)
集英社
2011-10-19
室井 まさね

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