本日紹介いたしますのはこちら、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん」第15巻です。
小学館さんより刊行されています。
第3期も大好評の本大全集は、「藤子・F・不二雄」のテーマで紹介をまとめております。
よろしければそちらもご覧いただけますと幸いです。
さて、学年繰り上がり方式で掲載されている本作。
今巻では75年度と76年度生まれの方が学年誌で読んでいた作品が収録されています。
2年間分となっているのは、「小学五年生」「小学6年生」誌に同じ作品が掲載されたりしているため。
それでもいつもどおり、700ページ超の絶大ボリュームとなっています!!
今回も実に様々な作品が収録されているわけですが、今回紹介したいのは、のび太がのび太らしからぬ含蓄あるせりふで締めくくる「ハンディキャップ」です!
のび太がジャイアンやスネ夫にいじめられていると言うおなじみの光景。
文句があるならかかってこいと煽られるのび太ですが、叶わないのは火を見るよりも明らかなわけで。
のび太は涙を零しながら家に帰るのです。
そんな傷心ののび太に能天気な声をかけてくる人がいました。
その声の主はのび太のパパ。
なんとゴルフで優勝したとの事で、大きな優勝カップを片手に大喜びをしています。
ホクホク顔で優勝カップを磨くパパ。
ですがのび太はどうしても気にかかることがあるのです。
ゴルフってへたくそでも優勝できるのか?と。
ズバリ指摘されたパパはちょっとムッとするものの、丁寧に質問に答えてくれました。
ゴルフにはハンディキャップと言うものが有る。
ゴルフと言うのはコースを回る間に何回ボールを打ったかを競うゲームだが、腕前にあわせてあらかじめハンディキャップと言う数字を決めておき、終わった後打った回数からその数字を引く。
その数字のおかげでそれほど上手くない人でも優勝できるんだ。
パパはそのハンディをどっさりもらったから優勝できたんだ!と納得するのび太。
つい先ほどまでジャイアンなんかにその「実力差」を思い知らされていたのび太は、なんにでもハンディをつけられたらいいのにねえとドラえもんに語りかけるのです。
それを聞いたドラえもん、こともなげに「つけられるよ」と返答。
そしてポケットから「ハンディキャップ」というそのものズバリの名前である道具を取り出し、「周りの人の様々な力を帽子をかぶった人のレベルに合わせられる」「効果範囲はダイヤルで5メ-トル以内から日本全土まで自在」と説明をしてくれるのですが……
やっぱり科すのやめたとしまいこもうとしてしまいます。
ですがそこまで聞かされてはのび太もはいそうですかと引き下がれるはずもなく。
さっと奪って走り去ってしまうのです。
そんなのび太に「日本中が君のレベルに落ちたらこの国は終わりだぞ!!」とあまりに酷いながらもまったくもってその通りな言葉を投げかけるドラえもん。
どういう意味だと腹を立てるのび太ですが、とりあえず彼はジャイアンと同じ条件で喧嘩がしたいと言うことだけしか考えていないのです。
……今のところは!
早速ジャイアンに喧嘩を挑むのび太。
ハンデが付いて完全に互角……といっても、互角ならどっちが勝ってもおかしくないはず。
ですが運よくなのか、のび太が状況を見極めたのか、ジャイアンは腕立て伏せ100回と言うハードワークをスネ夫に見せて力自慢を誇っていたばかり。
……小学四年生(掲載誌準拠と仮定)で太目の体系ながら腕立て100回って相当すごい身体能力ですね、ジャイアン……
それはともかく、腕立て100回を行って疲れきっているジャイアン。
いつもの彼ならこの状態でものび太ごとき一捻りなわけですが、ここで生きてくるハンディキャップ!
能力は同じでも消耗した体力はいかんともしがたく、のび太は右ストレートを一閃!
ジャイアンを見事撃破し、日ごろの溜飲を下げることができたのでした!!
ハンディキャップに味を占めたのび太。
良く逃げることで有名な(?)しずちゃんのカナリアを自分のレベルに下げて上手く飛ばせないことで捕獲したり(のび太は自分の駄目さ加減を知っているってことですね……)、出木杉も自分のレベルに下げて宿題がわからないと投げ出す姿を静ちゃんに見せたり、
その宿題を先生に見せて自分にもわからないから宿題を無しにさせたり……と物凄い勢いで活用します。
いい事尽くめな状態が楽しくてしょうがないのび太、ついに禁断の「日本中のび太」に手を伸ばそうとします!!
ですがそれをこっそりドラえもんが監視していました。
そんな子とさせてたまるか、かわいそうだがすこし痛い目に……と、ライフル的なものでのび田を狙撃しようとするドラえもん。
確かに可愛そうですが、国破れる危機の回避となればやむなし!と言うところで、のび太はちょっと考えを変えたようです。
人にかぶせて自分がそのレベルになると言うのはどうだろう、と考え、出木杉に帽子をかぶせたのです!
ダイヤルは半径100メートル。
出木杉レベルになったのび太の頭はスッキリと冴え、今まで気が付かなかったこと、思いつかなかったことが次々と頭の中に浮かびます。
ですが、そこでのび太は気が付きました。
これが出木杉のおかげと言うのが情けない、と言うことに。
本当に頭を良くしたいが、そうするには勉強をするしかない。
のび太はその事実に気が付き、自分からドラえもんに「平凡な結論だけどね」と言いながらハンディキャップを返すのでした!!
それを聞いたドラえもんもまた、それに気が付いたのは頭がよくなってきた証拠だよとのび田を称えるのでしたとさ……
ライフル片手に!!!
と言うわけで、のび太の成長が垣間見れるお話が収録された本作。
この結論を「平凡な結論」と言ってのけるのび太はなかなかカッコいいといっていいんじゃないでしょうか!!
まあこの後のお話ではいつもどおりののび太に戻ってるんですけどね……!
この他にも今巻は見所満載。
あの名作(?)「時限バカ弾」や、
貴重なのび太のママの眼鏡オフのお顔が拝める「大きくなる虫めがね」
などの見た目のインパクトのあるお話に加え、ジャイアンが無視と言う彼らしからぬいじめを行う「無視虫」や、のび太が親切心から行ったことが意外なオチを招く「おこのみフォト・プリンター」と言った、いつもと違った味わいが楽しめるエピソードも多数収録されているのです!!
15巻を数えてもまだまだ新鮮なお話が楽しめる、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん」第15巻は好評発売中です!!
全20巻が予定されているドラえもんも、いよいよ残すところ5冊。
最後の最後まで楽しめることは間違いなし!
ドラえもんを骨の髄までしゃぶりつくせる日も近い……かもしれません!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!