本日紹介いたしますのはこちら、「やまちち」第2巻です。
秋田書店さんアキタコミックスデラックスより刊行、ヤングチャンピオンにて連載されています。
作者は吉沢緑時先生。
本作第1巻の紹介は、11年5月11日の記事にて記載しております。
よろしければ併せてご覧くださいませ。
さて、親の都合で東京から長野に引っ越してきたのどか。
美少女で成績優秀な彼女ですが、問題は友達がいないこと。
それが悟られないよう、必死でネガティブな感情を押し殺しながら日々をすごしています。
ですがそんな彼女の元に、彼女にだけ見える妖怪のやまちちが現われ、自分の知名度を上げるため協力しろ、と下ネタ満載で迫ってきたのでした!!
やまちちがこの地方独特の眠っているうちに死んでしまう「オキズ」という風土病をもたらしているのではないか?
そんな考えから、一時はやまちちを恐れていたのどか。
ですが、怖いとされている人でも近くで見れば意外と怖くなかったりすることに気が付き、だったらやまちちに一番近い存在である自分がおびえていてはいけない、と再びやまちちといつもどおり接することができたのです。
……まぁ、ホントにやまちちがオキズを起こしていると言う疑いは消えていないわけなんですが……
そんなある日、村は猛吹雪に包まれてしまいました。
東京に住んでいた頃は、吹雪で塾から帰れず、止んだら帰るから安心してね!と母にメールを送ろうとしても電波生涯で送れない……そんな状況でも、ピンチと見ればすぐさま母親が駆けつけてくれたものですが……
この村では普通に電波が届かないばかりか、唯一なぜか電波が入っている山、通称電波山にはこの吹雪では到底到達することができません。
やまちちは、吹雪が止んだらすぐ山に行って、自分の知名度を上げる工作活動(?)にいそしめと命令するのですが、これだけ雪が積もってしまったらすぐにはいけないよとのどかは渋ります。
しかしそんなのどかの態度にピンと来るものがあったやまちち。
すこし前にちょっとしたメールをめぐるいざこざがあり、それ以来10日近くメールの受信がない最近。
再び電波山に行ってメールの確認をして、もしメールが0件だったら?と思うと、怖くていけないのだろう!とズバリ指摘してしまったのです!
母は忙しいし、ここに電波が入らないことも知ってるし、システムのトラブルとかで届かないのかもしれない。
そんな思いつく限りの言い訳を並べるのどかですが、やまちちは面白がってここぞとばかりに「お前は捨てられた子だ」茶化し続けるのです。
お母さんはそんな酷い人じゃない。
のどかは力の限り否定するのですが相当気が動転しているようで、いつも泣くときにつけるお面を上下逆にはめてしまう始末。
しまいには、絶対にメールくれるもん!と、猛吹雪の中パジャマのままで電波山へ向かおうとしてしまうのでした!!
流石のやまちちもこれには慌て、のどかを取り押さえて布団に押し込み、今日は大人しく消えるから静かに寝ろ!と立ち去るやまちち。
とはいえ手持ち無沙汰なので、近所のお風呂で熟女の湯浴み姿を拝聴することにします。
するとそのお家のお風呂では、目当ての熟女がお子さんと一緒に入浴しております。
有り余る寿命であちこちに行った結果、「熟女を見るだけ」と言うところにリビドーのはけ口を見出したやまちちさん、子供が邪魔だなぁとイラつきながらその様子を眺めていると、そのお子さんは非常にお子様らしい無邪気と言うか、あほらしいというか……とにかくはしゃぎまわっていました。
うざいなぁ、自分のことが見える唯一の子供、のどかはこういう普通の子供に比べればよかったかもしれない、普通の子供はどこ覗いてもこんなもんだよなぁ、とぼやくやまちち。
そこまで考えて、やまちちはあることに気が付きました。
そっとのどかの元へ戻ると、布団の中には丸めた布団とお面が入っており、のどかの姿はありません。
普通の子供なら、ここで不貞寝をしているはず。
のどかは普通じゃないから自分が見えているのかもしれない。
普通じゃないから自分同様世間一般受けしない。
やまちちは普通じゃないからこそ面白いんだ、と考えているんですが……のどかは違います。
普通に生きたいと考えているのどか。
彼女の願いを叶えるには、まずどうすればいいのか?
やまちちには、それがはっきりとわかっているのです……
吹雪の中、電波山に向かうのどか。
この天候で外に出るにはあまりにも軽装な彼女はやはり苦しそうです。
歩いても歩いても圏外のままの携帯を見ながら、お母さんは絶対メールをくれていると信じながら進み続け……
ついには力尽き、地面に倒れ伏してしまうのです。
ところがその時、のどかを呼ぶ声が聞こえます。
振り向いたそこに立っていたのは、遠く離れた地にいるはずの母親!
いてくれてよかった、帰ろう。
そう言って招く母の胸に、のどかは思い切り飛び込むのです。
……が、勿論そんな出来事が実際に起きるはずもなく。
倒れ、意識を失ってしまっていたのどかの見た幻に過ぎません。
薄れていく意識、幸せな夢に溺れるのどか。
のどかはどうなってしまうのでしょうか!?
そしてやまちちはこれからどうするのでしょうか!!
というわけで、物語が急展開する今巻。
このエピソードから物語は完結を迎えることになります。
下ネタと無茶振りでごり押ししてくるやまちちと、それに翻弄されながらもやまちちが唯一の友達だったといっても差し支えないのどか。
彼らが迎える結末は、今巻のそれまでがほとんどギャグだったことからは考えられないほどシリアスで感動的なものだったり!
それでもちょっとぶつ切り感のある最終回ですが、その辺はエピローグ的な「その後」でフォローされていますので大丈夫!
ホンワカできるラストを迎えることになるのです!
そんなラストは大変よろしいのですが、やはり打ち切りだったのかいろいろ謎や複線が投げっぱなしになってしまっています。
特にオキズ関連に関しては謎のまま終わってしまったのが寂しいところ。
とはいえ、「のどちん○ブログ」とあわせて読めばひときわ感慨深く楽しめる、クオリティ高い作品になっているのです!!
残念ながら完結となる、「やまちち」最終第2巻は好評発売中です!
ギャグ後感動を堪能できる本作。
絵柄などで荒削りな部分は多いものの、それでもしっかりと読ませてくれる作品に仕上がっております!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!