本日紹介いたしますのはこちら、「ハーメルンのバイオリン弾き~シェルクンチク~」第6巻です。
スクウェアエニックスさんのヤングガンガンコミックスより刊行、ヤングガンガンにて連載されています。
作者は渡辺道明先生。
本作の紹介は「渡辺道明」のテーマにてまとめておりますので、そちらもご覧くださいませ。
辛い運命を乗り越えるため、グレートとシェルが絆をより深めた第5巻。
ですが、ハーメルの元へシェルを改造したゴローリア帝国の刺客が現れ、戦火は広がり続けています。
そんななか、魔法学院の合宿が続いているグレートとシェルの前に、彼らを目の敵にしている剣士、ティナー・サックスと怪しげな男、ゴスペルが姿を現したのでした!
グレートに剣を突きつけるティナー。
眼帯を外して魔王化しろ、そうすれば俺が葬ってやると迫るティナーですが、グレートはきっぱりと拒否。
ですがティナーはいずれその魔王の血が暴走し、惨劇を繰り返すに違いないとグレートを威圧……したかと思うと、今度は一転して寂しげな顔をしてそうなる運命なんだと呟くのです。
その感情の動きと瞳の奥のわずかな気配を察知したグレート、ティナーに魔族の血が混じっているのかと尋ねてみました。
どうやら図星だったようで、ティナーはあからさまにうろたえます。
……そういえばコルネットって魔族化してましたっけ……ほとんどギャグだったアレがここまでシリアスな展開を招くとは……
ともかく同じ境遇であるグレートは、いつか目覚めるかもしれない魔族の血にお前もおびえているんだろうとズバズバ切り込みます。
ティナーには何らかのトラウマがあるようで、ますます顔色は悪くなっていくばかり。
そんなティナーに声をかけたのはシェルでした。
彼もまた呪われた運命を背負ったもの。
自分も恐怖や悲しみに負けそうになったが、仲間と一緒ならばそれに勝つ勇気が湧いてくる、グレートとティナーの境遇は似ているのだから、もう仲間のようなものじゃないかと励まそうとしたのです。
ところが事情を知るはずも無いティナーは剣を突きつけて激高!!
シェルの運命など取るに足らんものの癖にと怒り狂ったのでした!
そんな一触即発の状態を破ったのは、薄気味悪い笑い声をもらしていたゴスペル。
冷静さを失っているティナーを
右腕の軽い一撃で吹き飛ばしたのです!!
そしていきなりお前ら馬鹿じゃないのと無礼な軽口を叩き始めました。
ゴスペルだと思われていた彼は懐から無残なゴスペル本人の生首を取り出し、こいつもお前らの中では強かったらしいが、簡単に引きちぎってやったと笑い出します!
さらにその男、どうもシェルを昔から知っている様子。
失敗作のお前がここまでやるなんて驚いた、といいながらフードを取ったその下はシェルの目の前で改造されたかつての友人、ロベルトだったのです!
ゴスペルのフードを脱ぎ捨てたロベルトの体は、シェルと同じ人形のような体でした。
彼もまたどちらかといえば改造は失敗に終わったらしいのですが、新たな技術によって物凄い力を手に入れたのだとか。
そして懐から奇妙な注射器を取り出します。
その中身はなんと「大魔王の血」!!
ノクターンなる科学者の技術によって造られたこの特殊な道具で、ロベルトの体はみるみるとおぞましい体へと変貌しました!
さらにどこからともなく大量の黒い妖精を呼び出し、魔王の血の保持者であるグレートをさらおうと襲い掛かってきたのです!!!
たちまちパニックになる合宿場。
生徒達は次々と餌食になってしまい、ロベルトの強大な力でグレートたちもまた窮地に追い込まれてしまいます。
抵抗するグレートを連れ帰ることをあっさりあきらめ、血は培養して増やせばいいかと血液を抜き取ろうとするロベルト。
そんなかつての友人の蛮行を必死に止めようとするシェルですが、ロベルトは懇願に一切耳を貸さずにシェルの左腕を引きちぎり、皆に好かれていたお前が昔から嫌いだったといいながら痛めつけるのです。
もはや死を待つばかりかと思われたその時、やってきたのはビィオーネとブラーチェのストリングス姉妹。
彼女達も奮闘するのですが、悲しいかな実力の差は歴然。
ですがどんなに痛めつけられてもあきらめず、抵抗を続けます。
中でもシェルに好意を持つ妹のブラーチェは、握りつぶされそうな窮地に立たされても弱音一つはかず、
シェルならば運命を変えられると主張!
そんな彼女の想いを聞く一同、どんなに助けに行きたくとも戦闘などで残念ながら彼女を救いに向かうことができません。
しかしたった一人だけ動ける人物がいました。
それはシェルが改造された能力を使って戦うことを受け入れなかった妖精のピロロです。
シェルの体を蝕むスピリットアーツの使用をためらう彼女ですが、ブラーチェの叫びとシェルの強い意思によって運命を変えるためにシェルを信じて戦うことを決意。
黒妖精に阻まれそうになりながらも戦いによって地面に転がっていたバイオリンを手に取り、グレートへと届けたのです!
グレートの奏でる魔曲によって状況は一変。
それぞれが体に力をみなぎらせ、何より戦う、信じる勇気を滾らせて黒妖精たちを撃破します。
それでも破れかぶれになって襲い掛かってくるロベルトに対し、正面から迎え撃つシェル&ピロロ。
その二人に力を与えるグレートの魔曲は……「運命」です!!
魔曲の、妖精の、人形の力は見事なハーモニーを奏で、今までにない凄まじい力を発揮!
新たな技、「交響曲運命(シンフォニア=シェルクザールス)」が炸裂し、ロベルトどころかごまんといた黒妖精たちを森もろとも焼き払ってしまったのでした!
その上、何らかの力が目覚めたのか、あるいは3つの力が合わさったことで何かが作用したのか、シェルの身にもピロロの身にも技を使ったことによる異常な消耗はなし。
窮地を脱した上に、新たな戦闘技術と信じる勇気を手にすることが出来たのでした!
と言うわけで、急展開となった合宿編が終了する今巻。
ですが、学園に戻った後も激動の展開は連続!
体の秘密が知られてしまったシェルは周囲から白い目で見られた上、理事長の呼び出しを食らいます。
さらにそれだけでは終わらず、まさかの人物と遭遇して厳しすぎる戦いを強いられることに……
衝撃の続く本作ですが、これからもどんどん責める展開が続くようです!!
ちなみにギャグ成分も勿論忘れられてはおりません。
先ほどの大逆転を生み出したシンフォニア=シェルクザールスが披露された直後、
その威力でグレートが燃え盛ったりします。
流石に超シリアスなバトルの最中には差し込めなかったようですが、ひと段落付いた隙にギャグを飛ばすその心意気はステキ!
カバー下本体にも2Pのギャグ漫画が描き下ろされており、オマケでもギャグ分が補われておりますのでご安心ください!!
今巻も新たな展開を迎える「ハーメルンのバイオリン弾き~シェルクンチク~」第6巻は全国書店にて発売中です。
ドンドンとシェルの物語が進行していく本作。
グレートの影がドンドン薄くなっていき、なんだかギャグ要員にされてしまっているような気がするのですが……
その辺もまた今後に期待というところでしょうか!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!