本日紹介いたしますのはこちら、「藤子・F・不二雄大全集 21エモン モンガーちゃん」第2巻です。
小学館さんより刊行されています。
本大全集の紹介は「藤子・F・不二雄」のテーマにてまとめておりますので、そちらもよろしければご覧ください。
さて、大宇宙時代で激化する観光業界の中、歴史しかないオンボロ旅館の1人息子として家業を継ぐか夢である宇宙パイロットになるか迷っている21エモン。
優柔不断ですぐいろんなものから影響を受ける彼ですが、宇宙にはせる思いは本物のようです!
第1巻では基本的にホテルの接客に精を出していた21エモン。
ですが第2巻では、とうとう宇宙へと旅立つのです!!
そう思い立ったきっかけは、なんと「宇宙探検隊」というテレビ番組。
結局メディアに影響されたことになるわけですが、今度の決意はいつも異常に固い様子。
とりあえず今後の進路の方針を決める一助として宇宙旅行に行ってみるということを父親に話し、資金面とかが1人で何とかなるなら行くがいいと言うところまでこぎつけたのです。
1週間ホテルを任せてもらえばその資金は捻出できるといいはる21エモンに対し、宇宙旅行には何千万円と言うお金がかるため無理に決まっているとたかをくくっているパパ。
当の21エモンはちょっとした小遣いとトランクさえあれば、あとは野宿とヒッチハイクでどうとでもなると考えていたことも知らずに!
当然お金なんてそう簡単にがっぽり稼げるわけはない……と思いきや、まさかの超上客の来店で物凄い金額を稼いでしまいます。
危ないと心配するパパたちは担任の先生やお隣のルナに止めてくれるようお願いするのですが、21エモンの決意は決して揺るがない、とは言いつつも、ルナのホテルに泊まっていたかつての宇宙パトロールの英雄であるマルス大差の姿を見かけて身震いしてしまいます。
まるでロボットに見紛うその姿は、事故や宇宙怪獣との戦闘で36回も大怪我をし、そのたびに体を機械のパーツに取り替えていった結果だと言うのですからそれも仕方ありますまい!
宇宙はおっかないぞと語るルナですが、それが耳に入っていたマルス大佐が2人のほうへと近寄ってきます。
そして、この機械の体は普通の人間の体よりよっぽど能力に優れているし、宇宙には危険ではなく希望が満ち溢れているのだと力説したではないですか!
21エモンの情熱に打たれたのか、マルス大佐はパパたちの説得にも腰を上げてくれ、とんとん拍子に話が進むことに。
翌日には念願の宇宙旅行に出ることになったのです!!
資金はたっぷりあるから優雅な旅を満喫できる、と思いきや、そのお金が入ったかばんをそっくりそのまま家へと置き忘れてしまう21エモン。
パパたちは慌てふためくのですが、かばんの中を見てみればお金と一緒に手紙が入っていました。
そこにはこのお金でホテルを建て直してと書いてあるではないですか!
必要最低限のお金だけもって旅に出た21エモンとモンガー。
ですが最初の目的地、月に来たところでいきなり旅費が尽きてしまいます。
それもそのはず、勝手にゴンスケがついてきてしまっていて、その分余分にお金を使うことになってしまったのですから!
このままでは月から動くことができません。
八方手を尽くしてバイトやらヒッチハイク先やらを探すのですが、どうにもうまくいきません。
これでは野垂れ死にするだけだと言うことで、覚悟を決めてパパに連絡して地球に帰ることを決意する21エモン。
いきなり帰らなければ行けなくなってしまった宇宙旅行ですが、これは21エモンの辛くも楽しい宇宙旅行の始まりに過ぎなかったのでした!!
と言うわけで、2度にわたる宇宙旅行を経て完結する本作。
様々な星をめぐる冒険モノ的なテイストを持つこの第2巻は、第1巻とはがらりと違う味付けに。
F先生作品らしいコミカルさとともに、命の危険にさらされる過酷な状況に追い込まれるようなトラブルや、異星人に征服された星で自分達もまた異星人の魔の手にかかってしまうアクシデントなどのハードな要素も練りこまれ、大長編ドラえもんのようなギャグとドラマが同時に味わえる作品になっているのです!
2度の宇宙旅行の間には再びホテル編も挿入されるのですが、こちらもまた宇宙旅行と言う明確な目的のためがあるために以前のホテル編とはまた違った感覚が楽しめます!
最終回は打ち切り臭さがどうしても漂うものにはなっていますが、それでも絶望的な状況からの立ち上がっていく様はドキドキモノ!
ラストシーンも典型的な打ち切りエンド的一コマになっているのですが、流石はF先生といえるさわやかで元気の出る結末なのです!!
また、本作最初のアニメ(映画)化を果たした81年に描かれた読みきり作品が同時収録。
こちらの読みきりでは、宇宙旅行を経て成長した(?)21エモンの活躍が楽しめます!
12年ぶりに描かれた嫌味キャラのかわらなぶりや、よりかわいくなったルナの姿にも注目ですよ!
同時に「幼稚園」にて68年に3話連載された「モンガーちゃん」もフルカラーで掲載!
恒例の特別資料室の雑誌企画などとあわせ、なかなか読むことのできなかった作品等がたっぷり楽しめます!!
F先生のお気に入り、「藤子・F・不二雄大全集 21エモン モンガーちゃん」第2巻は大好評発売中です!
第2巻はF先生作品中比較的珍しい主人公が各地を転々と冒険していく作品となる本作。
第1巻のホテルでお客さんを招くと言う設定も珍しいと言えると思いますが、珍しいだけでは終わらない面白さもしっかりと持った作品です!
ドラえもん等のスタンダード(?)F先生作品しか読んでいない方にこそ読んで見て頂きたい!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!