3階の者だ!!

DEBがお送りするネタバレありのコミックス紹介ブログです。 短編物では一話にスポットを当てて、長編物ではこの後どうなるの?と言うところまで紹介しているつもりです! ※作品記事につきまして、権利者様が問題があると感じられた場合はご一報ください。対応いたします。

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本日紹介いたしますのはこちら、「憂国のラスプーチン」第1巻です。
小学館さんのビッグコミックスより刊行、ビッグコミックにて連載されています。

作者は原作が佐藤優先生、脚本が長崎尚志先生、漫画が伊藤潤二先生。
佐藤先生は外交官として活動された方で、現在は主に文筆業などをされていらっしゃいます。
長崎先生は様々な雑誌で編集者として活躍された後、いろいろあって浦沢直樹先生作品などに協力をしたり、その他様々な名義で漫画原作をされている方。
そして伊藤先生は押しも押されぬホラー漫画家で、「伊藤潤二」のテーマで著作の紹介をまとめさせていただいております。

さて、本作は佐藤先生のをもとにして描かれた作品です。
それゆえ実在の人物や政治家をもとにしたキャラクターが登場していて、その描写にはいろいろと思うところある方も多いかもしれません。
ですがそこはそれ、漫画として楽しんで読めるしっかりとした内容になっているのです!

2002年5月。
ざわつく外の様子を見た憂木は、コーヒーを入れている手の古江を押さえられませんでした。
いよいよ今日なのかと呟いていると、電話が鳴り響きます。
出てみれば、相手は都築と言う政治家。
彼こそが勇気が敬愛し、同時に今こうして逮捕寸前の状況に追い込まれる原因を作った人物。
憂木が暴走して行ったという背任の容疑で逮捕される……その日が今日だとまことしやかに噂されている状況で……
どうして一介の主任分析官だった自分が国を揺るがす大悪人に仕立て上げられてしまったのか。
悔しさのあまり荒れる彼の元に、やはりやってきた検察。
彼らは「国際学会に出るための費用を、協定に違反することを承知しながら引き出し、3300万円の被害を与えた」と言う被疑事実を読み上げました。
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すると入れ替わりで強面の男が現れ、書類にサインとはんこを押すように指示。
ですが机からはんこを取り出そうとするといきなり怒鳴りつけられ、もう逮捕されているんだからそんな身分じゃない、拇印をおせと朱肉を叩きつけられました。
釈然としないながらも拇印を押すと、次は弁解録取書なるものに今思っていることを書けと命令されます。
思わず僕は無実だと口に出すものの、訪問者達は表情一つ変えずではそう書けと返すばかり。
ぶちまけた思いが暖簾に腕押ししたように手ごたえを得られなかった憂木はやむなくそのまま書類を書くと、今度こそ手錠をかけられて留置所に向かうことになったのでした。

検事に多くの質問を投げかけられ、続いて主だった荷物を預けさせられる憂木。
すると今度は「1095」と言う呼称番号をあてがわれ、これからは番号で呼ばれるからすぐ覚えるようにと言いつけられました。
そして次に行ったのは検査です。
採血などの健康診断の後、何か隠し持っていないかと
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おしりの穴まで調べられることに。
ですが憂木はグッと歯を食いしばって耐えるのです。
たった一人で、これからこの検察と戦い続けるために……!

その後、憂木は「調べ」を受けることになります。通された部屋の中にいたのは逮捕されたときに来ていた眼鏡の男の高村と、同じく拇印を押させた強面の男。
どうやらこれからいわゆる取り調べが行われるようです。
部屋に入った早々、憂木は違法なことなどまったくしていないと待ち構えていた2人に主張するのですが、今日は遅いから簡単な経歴だけ聞く、とはぐらかされてしまうのでした。
そして憂木の大学院での専攻や、両親職業、最近の生活、持病の有無や趣味でスポーツをしているかなど世間話のようなことばかり聞いてくる高村。
最初はその意図がつかめませんでしたが、ゴルフはやらないのかと言う質問などから金の流れを探っていることに気が付きます。
潔白であるならそんな質問をされても埃すら出ないのでしょうが、このまま相手のペースに流され続けていては飲まれてしまうことは必至。
そこで憂木は流れを変えるため、後ろの鏡を指差して「マジックミラーになっていて誰かが監視しているのか」と逆質問を投げかけたのです!
図星なのか、ほんのわずかに表情を変える高村。
まさか、と答えるものの、やはり流れは変わった様子。
長い付き合いになるのでこの辺で切り上げようということになりました。
終了の証に自分は拇印、高村は象牙の印鑑。
憂木は、こうして身の回りのことからも力関係を見せ付けようとしているのかと考えていると、高村もまた憂木の考えを見透かしているようで質問をしてきました。
もしかして勤めてきた情報分析官で培ったテクニックで戦おうとしていないか、と。
押し黙る勇気に対し、高村は更にこう続けるのです。
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勝てるわけがない。これは「国策捜査」なんだから、と!
その言葉をきっかけに、2人の長い長い戦いは幕を開けたのです……!

と言うわけで、手に汗握る憂木と高村の戦いを描く本作。
もう一本の柱として、以前憂木が勤めていた外交官の仕事風景も描かれます。
そちらでは都築の強引なところもあるものの国のために身を粉にして奮闘する姿や、憂木の外交官としての活躍が描写されており、成功を収める回想パートと辛い取調べを受ける現代パートが対照的に紡がれます。
それも単に2パートを混ぜて書いているわけではありません。
外交官の仕事はスパイのようなものだといわれた過去を思い出し、その当時の心情に立ち返って検察との戦いに挑むシーンや、高村に憂木の「ラスプーチン」などと言う売国奴を思わせるあだ名を馬鹿にされたあとに始まる回想で、そのあだ名は都築が命名したものであり、憂木がラスプーチンの世界情勢を見切って預言めいた超能力を発揮したことに由来していることが明かされるなど、現代パートと回想パートが密接に関係している場面が多く見られるのです。

原作つきで、更に原作者の実体験に基づいているということもあり伊藤先生には切っても切れないホラー要素、オカルト要素は一切皆無。
ですが高村の不気味な自身や、不安をあおる薄気味悪さと言う面で伊藤先生の持ち味が発揮されています。
比較的大人しい描写で書かれている本作ですが、伊藤先生らしい表現もバッチリと駆使。
憂木がなんでも思い通りの供述をする「自動販売機」にされてしまう、と言うイメージは
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ホラーでギャグ風味もはらむ伊藤先生ならではの筆致で描かれているのです!

伊藤先生初の原作つきでオカルト要素皆無なドキュメント調作品、「憂国のラスプーチン」第1巻は全国書店にて発売中です!
題材などからいろいろ手を出しにくくなってしまっているきらいのある本作。
確かに伊藤先生なのにホラーやギャグじゃないですし、いろいろ意見がぶつかりやすい実際の事件を基にした作品で、更に政治やなんかの暗部を描くやや高年齢向けの内容と、食指を伸ばしづらい作品かもしれません。
ですが様々な背景はおいておいて、いやらしくアレコレ手を尽くしてくる検察に、正義は我にありと確信する主人公が立ち向かう話として考えれば、素直に読み応えのある骨太な作品になっています。
政治モノはなぁと言う方も、心理バトル(?)モノとしてお手にとって見てはいかがでしょうか。
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


憂国のラスプーチン 1 (ビッグコミックス)
小学館
2010-12-25
佐藤 優

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本日紹介いたしますのはこちら、「アイアムアヒーロー」第5巻です。
小学館さんのビッグコミックスより刊行、ビッグコミックスピリッツにて連載されています。

作者は花沢健吾先生。
本作の紹介は「アイアムアヒーロー」のテーマにてまとめておりますので、そちらもあわせてご覧くださいませ。

さて、第4巻で樹海を脱出し、パニックになっていた街中も何とか潜り抜けることに成功した英雄と比呂美。
テレビで放映された記者会見をみても要領を得ておらず、国としてもどうしようもないムードが感じ取れます。
2人は何も言うことが出来ず、バスの停留所でただその記者会見を見続けるのですが……

携帯でテレビを見ていた二人のすぐ側で、不意に響く物音。
慌てて銃を構えようとする英雄ですが、幸いその物音は普通の人から出されたものでした。
やってきたのはおばあちゃんとおじさん。
なんでもおばあちゃん達はこれから近所の神社に集まってから、富士山の5合目まで行くんだそうです。
そこに行けば何かあるのかと尋ねてみれば、5合目まで行くと空気が薄いし寒いからウイルスが感染しない、とのこと。
冷静に考えれば胡散臭い気もしますが、藁にもすがりたい心情の英雄は有益な情報が得られたと喜び、その神社に向かってみることにしました。

靴をなくしていた比呂美を案じたおばあちゃん達は長靴を譲ってくれたりしましたが、英雄は銃を隠したいからとあえて遅れてその神社に向かうことに。
行ってみれば、確かにその神社には続々と人が集まっています。
しかもパニックにもなっておらず、久々に普通の人々に出会ってほっとする英雄ですが、比呂美は警戒を解きません。
先ほどまで見ていたテレビで言っていたように、デマなんじゃないかと疑っているのです。
英雄はこれだけたくさんの人が集まっているんだからきっと何かあるんだよとフォローしますが、やはり不安はぬぐえません。
そこで比呂美が情報を集めてみるのですが、やはり皆単に「噂を聞いた」と言うもののようで、何の根拠もなく歩いているようです。
ここまで感染者と生死を賭けた追いかけっこをしていた2人は何だかんだいって感染者が見当たらない風景に安心していたのか、せっかくだからとおまいりしたりおみくじを引いたりしてみます。
そんなことをしているうちに一応考えがまとまった英雄は、やっぱり5合目に行ってみようと提案。
確かにこの噂は怪しいものの町に戻ってもどうにかなるわけでもないし、2~3日避難していれば事態も収まるかもしれない、それにもし何かが起きてもこれだけの人数がいれば対処できるだろうと考えたのです。
ですが比呂美は、自分達は人を殺しているのにもとの生活に戻れるのかとつぶやきます。
確かに今まで生きるために、感染してしまった人を、とはいえ何人も再び動けない状態……死に追いやってきた英雄。
その事実を思い返せば思い返すほど、もう二度と今までどおりの生活が戻ってこないことをありありを感じてしまうのです。
現実を前にして、両手で顔を覆い失意を隠せない英雄ですが、比呂美はそっと袖を引っ張りながら、
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英雄がいなければきっと自分は死んでいたと思う、一応救った命もあるんだから今は元気を出そうと激励してくれます。
英雄が5合目に行くなら自分も行くと言ってくれた比呂美乃お陰で元気を取り戻した英雄は前を向いて歩き始めます!

……が、俄かにあたりがざわめき始めます。
痛い、蛇がいる、などと騒いでいるそちらのほうを見てみれば、
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足元で感染した赤ん坊が次々と人々の足に歯を食い込ませていたのです!!
良く見れば、感染した子供や赤ん坊が大勢いるではないですか。
これはまずいとその場を離れようとする英雄ですが、比呂美のほうを振り返ると
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彼女の首筋には感染赤子の姿が!
咄嗟に散弾銃の銃床で殴りつけて赤ん坊を叩き落しますが……比呂美の首筋には何かの痕がついてしまっていました。
あからさまに血は出ていないようですが、きれいにしてきっちり見てみないと感染を逃れたのかはわかりません。
比呂美は英雄にそのことを聞くと、
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「感染してたら、遠慮なく殺して。」ときっぱりと言い切りました。
英雄は何も言い返すことが出来ません。
とにかく今はこの場を離れることが先決だと考え、銃を上に向けて発砲し、威嚇してまで道を開けさせたのでした。

大騒動の中、「生き残れば英雄になれる」と言うおっさんに仲間になろうと話しかけられる英雄。
その男が言うその台詞、かつての仕事仲間で壮絶な最期を遂げてしまった三谷と同じ台詞であることに気が付きます。
気になる共通点ではありますが、感染者がどんどん増えて一層パニックが加速するこの神社にはもういられません。
飛び掛るように襲い掛かってくる感染赤子から慌てて逃げ出す二人の前に一台の車が通りがかります。
その車の運転手、英雄達に早く乗れと声をかけてくるではないですか。
間一髪車に乗り込むことに成功する二人。
救世主となったその車の運転手は、カメラマンの荒木。
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彼はさっきの騒動のときに銃を持っていた英雄を見かけ、一緒にいてくれれば心強いと考えて救い出してくれたんだそうです。
荒木も5合目に行ってみようと思っているそうで、別ルートを通って車を進めることになりました。
とりあえずのピンチは逃れた二人ですが、気になるのはやはり比呂美の傷。
荒木から手渡されてウェットティッシュで傷口のまわりを綺麗にすると、そこには……!

と言うわけで、新たな仲間と会うことの出来た英雄達。
荒木さんは凄くまともな人のようで、車は持ってるわ常識もユーモアも持ち合わせているわでこれからの行動の助けになる人物となることは間違いありません。
普通の漫画だとこういう超いい人はたいてい裏があったりするのですが、この日本消滅の危機とも言える状況でそうなることは多分ないでしょう!……多分!
本当に藁同然の可能性しか残されていない富士5合目安全説ですが、溺れまくっている英雄達は力を合わせてそこに向かうしかないわけで。
荒木というまともな仲間を得て、英雄はついにヒーローへの一歩を踏み出すのでしょうか?
そして、ヒーローといえば神社で声をかけてきた男や三谷の言っていた「生き残れば英雄」論も気になるところ。
どうやらいち早くこの感染症の存在を明らかにした来栖という男に由来しているようです。
そしてこの来栖を預言者として崇拝し、彼の元に集まっている勢力もあるんだとか。
これが物語を左右するような大勢力にあるのか、思わせぶりなだけでなんて事もない団体なのかはこれから明かされていくことでしょう!
更に気になるのは感染赤子に襲われてしまった比呂美。
メインヒロイン的扱いを受けている彼女が退場するのは早すぎる気もしますし、だからこそ、と言う気もします。
でも、表紙を見た瞬間に嫌な予感がよぎったのは俺だけじゃないはず!
ともかくどうなるのかはその目で確認していただくのが一番よろしいと思います!

日本中に、もしかすれば世界中に恐怖と死が蔓延する「アイアムアヒーロー」第5巻は好評発売中です!
今巻でも更なる大激動が巻き起こる本作。
前巻では舞台がほぼ樹海だったためにそうでもありませんでしたが、今巻はいよいよ日本ヤバイという描写が続々と描かれていきます。
助かる道すら見えない絶望の中で、微かすぎる上に定かでもない光に向けて進むしかない主人公達の状況に思わず背筋が寒くなること必至!
ホラーがダメでない方ならば是非読んでみていただきたい一作です!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


アイアムアヒーロー 5 (ビッグコミックス)
小学館
2010-12-25
花沢 健吾

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本日紹介いたしますのはこちら、「trash.(トラッシュ)」第1巻です。
秋田書店さんのヤングチャンピオン烈コミックスより刊行、ヤングチャンピオン烈にて連載されています。

作者は原作が山本賢治先生、漫画がD.P先生。
山本先生は90年ごろから活躍されている漫画家で、一般向けの漫画を描き始めたのは98年ごろからのようです。
コミックガムやチャンピオン等で連載を重ね、カードゲームとのタイアップ漫画だった「カオシックルーン」シリーズはその元となったゲームが消えていっても人気を保ち、連載が継続されました。
ですが07年に体調を崩し、漫画の作画から一歩引く事に。
しばらくの休養を経て、現在は漫画の原作や脚本をメインの仕事にされていらっしゃいます。
D.P先生の紹介はその著作である「EVILEV」の記事にて記載しておりますので、そちらをご参照ください。

さて、本作は殺し屋が暴れまわるバイオレンスなアクションものです。
山本先生といえばモツはつき物ですが、この作品でもその作風を遺憾なく発揮!
どこに出しても恥ずかしくない(?)山本先生の作品になっているのです!

歌舞伎町に2人で暮らす女子高生、るしあとマイン。
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彼女達はもちろん単なる女子高生ではありません。
同じく女子高生でありつつ、ある組の組長を務めている美能子に雇われている殺し屋なのです。

昨晩も仕事をしてきた2人。
怪しまれたりしない為に仕事の翌日は必ず登校することを決められている彼女達はその日も登校していました。
昼休みに昼食を取っていると、突然美能子に呼び出されます。
やっぱり怪しまれたりしないために連続して仕事はしない約束になっていたはずなのですが……
今回は緊急事態。
なんでも密かに隠しておいたここ5年分の稼ぎを全部奪われてしまったのです。
これがなければ当然二人へのギャラも支払われないわけで。
やむなく美能子とともに現場へと向かうのでした。

たどり着いたのは普通の民家。
そこではごく普通のオバちゃんが無残な姿で転がっており、隠されていたお金も綺麗さっぱり消えていました。
それを確認した美能子は、オバちゃんの左目をいきなり抉り出します!
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と言うのも実はこの左眼球、カメラが仕込まれた義眼。
このオバちゃん、息子が美能子の組で借金をしていたため、その利息をチャラにする代わりに金庫番をさせられていたそうで……結局はあまりにもハイリスクな仕事を承ってしまっていたということのようです。
一応形式だけ両手を合わせ、映像を確認する美能子。
犯人はかつて雇っていた闇医者で、最近儲けを運ばせていた美能子のお気に入り、硲(はざま)のあとを付けられてここを嗅ぎ付けられてしまったのでした。
すぐさま手配の手を回すと、闇医者はガラの悪い連中5人とともに自分のアジトに戻っているという情報が帰ってきます。
それを聞いた美能子、全員残らず始末しろとるしあ&マインに指示するのでした。

バレットとフランチェスカと言うとおり名を持つ二人は早速そのアジトへと侵入。
そこには犯人達と一緒に、人質として硲が拉致されていました。
美能子は、硲は自分の臓器移植用に取ってあるドナーなんだから決して傷をつけるなとも指示。
どうも美能子は硲に対して単に臓器のストックとしてだけでない感情があるようなのですが……ともかく、硲が大事にされていることは周知の事実のようで、雇われていた闇医者も交渉の道具として生かしているようです。
ですが、共犯のガラワルーズの皆さんは噂に聞く「バレットとフランチェスカ」に警戒しています。
美能子の率いる組とモメた者は必ず始末されるたしいと言う噂は有名だが大丈夫なのかという質問に、自分は一度もその殺し屋を見たことがないからで間に決まっていると返す闇医者。
意外と臆病ですねぇと小ばかにしたような態度を取る闇医者の後ろには
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すでにその殺し屋の手にかけられてしまった男が!
そしてなだれ込むようにるしあとマインが部屋の中に乱入してきたのです!
気がついたときにはもう遅く、瞬く間にマインの手斧で斬殺され、るしあの銃で撃ち殺されていく犯人達。
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瞬く間に始末は終わり、さっさと帰宅しようとする2人ですが、金の回収もするように命令されてしまいました。
物凄い大量のお金ですからすぐに見付からないような場所に隠せるわけもなく、すぐにお金は見付かります。
ですが、見付かったのはそれだけではありません。
アタッシュケースに入れられていた得体の知れない薬と
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息も絶え絶えな裸の少年も発見してしまったのです!
明らかに何かいわくのある危険なモノであろう少年。
知らん振りをするのが仕事を終えた殺し屋としてはベストな選択ですが、冷徹で残忍な殺し屋でありながら純真で子供らしいところもあるマインはそれをすることが出来ません。
その感情を顔に出していることをいち早く感じ取ったるしあは、思わず自分から連れて帰ろうと発言。
こうして2人は謎の少年、ひろしとともに生活を始めることになったのです!

と言うわけで、人殺し家業を行う女子高生2人と謎少年ひろしの生活を描く本作。
山本先生原作と言うことで、清々しいまでに頭のねじが吹っ飛んだ人が続々登場し、それらが血とかモツとかを撒き散らしながら戦う作品になっております。
もともとエロスな女体や戦闘シーンなどには定評のあるD.P先生だけに、山本先生の作風にはきっちりと合致。
D.P先生も山本先生の画風に擦り寄らせているところもあるようで、山本先生のテイストが色濃く出ている表情などが多く登場しています。
ストーリーのほうはまだまだキャラ紹介的な部分が多く、これからどうなるのかはまだ全然わかりません。
ですが、一切背景が明かされていないひろしや、過去に何らかの処置を受けていたマインあたりには大きな物語の鍵が秘められていそうです。
女子高生(本当の年齢は定かじゃないですけど)としては異様に落ち着いているるしあにも何かドラマがあるでしょうし、美能子と硲の間にもこれからいろいろ巻き起こりそう。
今後幾度となく抗戦していくことになりそうな山本先生らしさ抜群の殺し屋、
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ヘル=モスキートの今後の動向なども含め、これからどういった物語になっていくかが注目点といえそうです!

オマケ要素も多く収録されており、設定資料の類や4コマ漫画、作者さんのコメントなどなど多数掲載。
さらに最近では単行本の描き下ろしでしか見られない山本賢治先生自筆による漫画も4P収録!
山本先生の本格復帰に期待しちゃいますね!

血湧きモツ踊るバイオレンスアクション、「trash.」第1巻は全国書店にて発売中です!
それはもう山本先生らしいアレな人と容赦なきバイオレンスが描かれる本作。
今巻ではまだ物語全体の本当の片鱗しか見えていませんが、ちらつかせている数々の謎からみるにいろいろと広がりを見せてくれそう。
これからに期待せざるを得ませんね!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!



trash. 1 (ヤングチャンピオン烈コミックス)
秋田書店
2010-12-20
山本 賢治

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本日紹介いたしますのはこちら、「超級!機動武闘伝Gガンダム」第1・2巻です・
角川書店さんの角川コミックス・エースより刊行、ガンダムエースにて連載されています。

作者は脚本が今川泰宏先生、漫画が島本和彦先生&宮北和明先生。
今川先生や島本先生はいわずと知れたベテランの実力派。
では宮北先生はと言うと、島本先生のアシスタントを10年以上勤めてきた方だそうです。
どうやら本作では主にガンダムの作画をされているようで、まさに本作には欠かせない存在!
この第1・2巻には描き下ろしがあるものの、4号分の雑誌掲載分だけで構成されています。
このことから考えると、島本先生も勿論ですが宮北先生も相当仕事が速いみたいです!

さて、本作ではアニメ版のストーリーをなぞりつつ、島本先生のテイストを色濃く織り交ぜた作品になっています。
まず原作どおり、ネオイタリアでミケロと激突します。

何も知らない子供を運び屋として使い、爆弾を仕掛けようとしていた悪漢を鋭い眼光で見咎め、それを阻止したドモン。
ですが爆弾を突っ返したりまた放り投げられたりしている間に、コントみたいにドモンのところで爆発。
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その騒動が元で地元警察に連行されてしまったり、警察になんか弄繰り回されてしまったりとそれはもう島本先生らしい軽いノリで物語が進行していきます。
やたらハードボイルドを装っているつもりの彼をレインが茶化したりしつつ、
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なんだかんだとミケロとの戦いに突入するドモン。
ミケロは卑怯にも人質をとって脅迫めいたことをしてきますが、ドモンは地元警察と協力して颯爽と人質を救出。
決めるところは決め、流れるようにガンダムバトル本番へとなだれ込みます!
そうなればもはや実力の差は歴然です!
ドモンはあっさりとミケロのガンダムの頭部を捕らえ、捜している男の情報を得何も知らないことを知るや否や頭部をそのまま破壊!
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見事勝利をおさめるのでした。

その後ネオアメリカのチボデーと戦い、ネオチャイナのサイサイシー、ネオフランスのジョルジュと相次いで抗戦するドモン。
どのエピソードもアニメのストーリーをわりと忠実になぞっていくのですが、その間に起こるイベントをいちいち島本先生テイストにリファインし、ギャグ漫画としての色の濃い作品になっています。
原作でも基本的にあんまり頭がよくない感じを受けたドモンですが、本作ではより一層バカ度が増し、いろいろひどい目にあうシーンが増量。
妙に気になるストーカーのドヤ顔
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も含め、キャラやイベントがどのようにアレンジされていくのかが最大の焦点といえそうです!

アレンジされて何かと情けないところを披露する本作のドモンですが、バトルシーンなどになれば大丈夫!
生身でもガンダムファイトでもしっかりとその実力を発揮してくれます!
荒々しい筆致で描かれるガンダムファイトは、本来ならばロボット同士のバトルにはマッチしないかもしれません。
ですがそこは現状のガンダム史上唯一にして最大の熱血モノであるGガンダムのガンダムファイト。
その描線が迫力を生み、見事にGガンダムらしいバトルとなっています!

そしてもうひとつの本作ならではの要素として、レインのキャラの違いが挙げられます。
原作ではやや強気ながら押しが弱く、思い悩むゆえにネオドイツの女になってしまったりもしたレイン。
本作では島本先生作品にはちょくちょく登場するなんかキャピキャピした(死語?)女の子的な部分も持ち合わせているんです!
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比較的落ち着いていたアニメ版では見られないシーンを見せてくれるこのレイン、今後荒れんビートか出てきたときにどういう反応をするのか興味深いところですね!

島本先生の持ち味が遺憾なく発揮されている「超級!機動武闘伝Gガンダム」第1・2巻は全国書店にて発売中です!
アニメ版の軌跡をなぞりつつもそこかしこに一ひねりが加えられている本作。
Gガンダムでありながら、確固たる島本作品にもなっていますので、Gガンダムのファンも島本先生のファンも楽しめる作品になっています。
ギャグ要素が濃いせいか、どことなくボンボンに連載してそうな雰囲気を持ってますので、ああいうややアクのある漫画が好きな方ならばより一層楽しめるはず!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!




しかしこのまま2ヶ月で単行本一冊ペースで続けていくんでしょうかね?
こんな速いペースで進んでいく漫画、ガンガンが月2回刊のときの「ハーメルンのバイオリン弾き」くらいしか知りませんよ!
あれ、1ヵ月半で1冊分とか凄いペースでしたねぇ……


超級! 機動武闘伝Gガンダム (1) (角川コミックス・エース 16-8)
角川書店(角川グループパブリッシング)
島本 和彦

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超級! 機動武闘伝Gガンダム (2) (角川コミックス・エース 16-9)
角川書店(角川グループパブリッシング)
島本 和彦

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『古本屋の戯言』さんが主催し、各所で注目のランキングとなっている『このマンガが凄いから読め!(仮称)』。
ウチも2009、2010と参加させていただき、今回の2011にもお誘いを頂きまして参加させていただくことになりました。
それでは早速ながら、『このマンガが凄いから読め!(仮称)RC版2011』連動企画、2010年個人的漫画ランキングを発表させていただきたいと思います。

……と、その前に。
今年は俺が愛読していた作品が次々と完結して行った非常に感慨深い年になってしまいました。
「GAMBLE FISH」「賢い犬リリエンタール」「暁!!男塾」「孔雀王 曲神紀」「シグルイ」「金剛番長」「ふぐマン」「惑星のさみだれ」「ちぇんじ123」などなど、長期連載作品から無念の打ち切りまでこのほかにも様々な作品が完結。
思い入れなどを考えるとそちらが複数ランクインしてしかるべきなのですが、今後の期待や出来がいいのに知名度が低い作品などのことを考え、ここは「今年第1巻が発売された連載中の作品」に絞ってお勧めしていきたいと思います!



まず第5位!
「青空にとおく酒浸り」!!
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いきなりちょっと変化球(連載開始が06年……)ですが、今年第1巻刊行と言うことでランクインさせていただきました。
まず安永航一郎先生超久々の商業単行本と言うだけでファンは感涙必至。
思い入れ抜きにしても、安永先生の持ち味である生き生きと動き回る変態が物語を回していくというオリジナリティは比肩する者なし!
特に主人公の親父の尋常でない暴れぶりは凄まじく、そのきったない風貌もあいまって一目見れば忘れられないキャラクターになっています!
下品極まりないギャグシーンや、生活感あふれ出しまくりなのにどこか萌えられる女性キャラたち、さりげなくスピーディーで迫力ある戦闘と、変態だけではとどまらない魅力にもあふれており、ファンならずとも楽しめる独特の味わいが面白い作品になっているのです!



第4位!
「闇夜に遊ぶな子供たち」!!
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こちらもちょっとランクインをためらいました。
なぜなら掲載誌であるホラーMの休刊のため、現在連載中と言い切れない状況だからです!
一部の連載作品はデジタルホラーMに移籍したものの、こちらは音信不通。
完結したと明言されているわけでもなく、単行本も電子書籍サイトさんによればホラーM関連の中では売れているほうみたいなので、どこかで継続もあるか……?と思い連載中作品とみなして入れさせていただいております。
で、こちらの作品はホラー漫画を愛する人ならばビビッと来る、古き良きホラー漫画をしっかりと踏襲した漫画になっています。
おどろおどろしさやグロテスクな描写を積極的に取り入れながらもそれだけに終わらず、得体の知れない恐怖や不安感と言った要素もしっかりと取り込んだ本格的なホラーなのです。
クリーチャーなんかが登場し、それに立ち向かわなければならないと言う霊能力バトル物のような展開にもなるのですが、安易に超能力ライクなバトルにしていないのも要注目。
戦う力のようなものはあるものの、バトルには走らずホラーの範疇のなかで解決していくところは実に素晴らしい!
私が見たいのは霊能力バトルではない、あくまでホラー漫画なんだ!と言う方には是非とも読んでいただきたい作品です!



第3位!!
「伴天連XX」!!!
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あの「悪徒-ACT-」コンビの新生作品となればファンの俺として入れないわけにもまいりません!
ファンの欲目が入っていないと言えば嘘になってしまうかもしれませんが、それでもかのクトゥルー神話と時代劇を混ぜ、新たな和洋折衷を作り出した本作は一見の価値ありといえるのではないでしょうか。
主人公がいかついおっさんと言うところからなかなか珍しいのですが、そのほかのザビエルやら源内やらと言った登場人物がまた印象的。
一癖も二癖もあって腹の底が見えず、キャラの掘り下げのみならぬ物語の奥行きを広げる役目も負っているのです。
その他以前から見せ付けていた迫力のバトルに、クトゥルーのかほり漂う奇妙でグロい怪物、途方も無い大物さをにおわせる敵のボス、足りなかった美少女キャラ分の追加など、「悪徒」から更なるパワーアップを遂げた充実の内容に。
時代劇にクトゥルー風味に熱血のバトル、強大すぎる敵の存在とこれからのストーリーが気になる期待が膨らむ、新鮮でありながらも正当派なバトル漫画なのです!



第2位!!
「ふうらい姉妹」!!!
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しっとりした雰囲気の多いFellows!の中で、おなじくしっとりとしつつもひときわ輝くあほらしさを放つ4コマ漫画である本作。
ハイテンションのお馬鹿な漫画は数多くありますが、本作がそれらと大きく違うのは落ち着いたテンションのままお馬鹿をやるという点でしょう!
基本的に本作は、一般の方からは大きくかけ離れた感性を持つ美女&美少女姉妹が、何かをする度に勘違いをしたり妄想をしたりする……と言うだけ。
彼女達を取り巻く脇役キャラもいることはいるのですが、そのほとんどが彼女達に突っ込むでもなく激しい自己主張をするでもなく、とにかく姉妹の個性を際立てる役目がメイン。
ひたすらに姉妹のおかしな行動や言動を楽しむためだけのチューニングがなされています!
どこか懐かしい雰囲気の絵柄で、美人ながらもズレまくった姉妹の日常を描き続ける……それがたまらなく癖になる、読まなければわからない強烈な個性を持った作品です!



第1位!!!
「ヴォイニッチホテル」!!!!
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こちらは漫画暦の長い道満晴明先生の、多分初「第1巻」。
成年向け漫画誌などで長期連載をしていたりする道満先生ですが、意外にもしっかり続きものの漫画で2巻以上発行されたものはありません。(よね?)
そもそも成年向け全年齢向け、短編・続き物問わずにじんわりいいお話を書くことには定評のあった道満先生。
この初の2巻以上の連続モノとなる本作でも、そのストーリー精製能力を存分に活かした作品が作り出されているのです!
エロスにインモラル、グロにホラーにラブにリリカルと実に様々な要素が盛り込まれている上、一見バラバラだったそれらがだんだんと絡み合っていくという構成は見事と言うしかありません。
更に天然っぽいキャラなんかで萌えさせておきながら、準メイン級のキャラクターが実にあっさりと死んでしまったりと、ふり幅の大きい意外性のある物語運びも内包!
その何でもかんでも詰め込まれているような物語でありながらも、道満先生らしい淡々とした雰囲気は崩さず、ドラマチックでミステリアスなのに静かでどこかとぼけた印象でまとめられているところもすごいところ。
ハードでいて癒し系、という道満先生ワールドが遺憾なく発揮され、同時に今までの短編では味わうことの出来なかった謎多き奥深いストーリーが楽しめる、あっさり風味の骨太な作品になっているのです!!



と言うわけで、新作+連載中作品を選んだはずなのに結局かなり思い入れ込みで選んじゃった今年のランキング。
前年に引き続き、どうも知名度低めの作品ばかり選ばせて頂く形になりましたが、どれも本気でオススメできる作品になったと自分では思います!
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特に1・2位の作品はかなり出色の出来だと思いますので、全然知らないという方でも是非お手に取っていただきたい!
どちらも少々癖がある上にちょっぴり地味な作品ではありますが、読めばどちらも衝撃を受けること必至!
だまされたと思って一度お手にとって頂き、是非是非この独特すぎる世界観を味わってみてください!

最後まで怨念めいた想いが刻み込まれていた「シグルイ」、ファン感涙の「悪徒-ACT-」新装版、今や押しも押されぬ話題作である「進撃の巨人」など、今回の勝手な俺ルールや『こすヨメ』ルールで漏れたり、個人的な好みの差などで惜しくも選外となった作品も多くありました。
こうして振り返ると、感動の最終巻や驚きの第1巻を多く体験できた激動の一年でしたねぇ……
来年もまた幾度となく読者を驚かせてくれる漫画との出会いがあることに期待しながら、本記事を締めさせていただきたいと思います。
面白みもまとまりもない俺の文章を最後まで読んでくださった方、素晴らしい企画にまたまたお誘いくださったヒロ様、本当にありがとうございました。
それでは!!

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