3階の者だ!!

DEBがお送りするネタバレありのコミックス紹介ブログです。 短編物では一話にスポットを当てて、長編物ではこの後どうなるの?と言うところまで紹介しているつもりです! ※作品記事につきまして、権利者様が問題があると感じられた場合はご一報ください。対応いたします。

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本日紹介いたしますのはこちら、「進撃の巨人」第1巻です。
講談社さんのマガジンKCより刊行、別冊少年マガジンにて連載されています。

作者は諌山創先生。
諌山先生は09年にデビューした新人漫画家で、連載も単行本も本作が初めてとなります。

物語は壁に囲まれた町で始まります。
そこにすむエレンとミカサ。
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エレンは釈然としない思いを抱えながら日常を過ごしていました。
それはこの町を守る駐屯兵団の仕事振りに対してのもの。
彼らは特に危機感も無く、せいぜい町を囲む壁の補修などをするだけの一団になっていたのです。
そもそもこの壁とは人類の最大の敵である「巨人」の侵入を阻むためのもので、高さ50メートルを越える厚い壁はここ100年一度たりとも破られたことはありません。
だからこれからも破られることなんて考えられないと嘯く駐屯兵団に、エレンは万が一を思うとあふれ出る感情をこらえられなくなってしまうのでした。
そんな時、町に鐘の音が響き渡ります。
それは壁の外に出て「巨人」を調べ戦う調査兵団の期間を告げるものでした。
町の中で酔っ払ってくだをまく駐屯兵団と違い、危険を犯しても巨人に立ち向かう調査兵団はエレンにとって英雄も同じ。
あわてて門へと走り、調査兵団を迎えにいきます。
ところが帰ってきた調査兵団は人数が5分の1ほどに減っている上、生き残ったものも大怪我をしているか沈んだ表情を浮かべているではないですか。
更に団長らしきの男がいった言葉は
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「今回も何の成果も得られなかった」という衝撃的なもの。
その発言を聞き、調査兵団に対して心無い言葉を投げかける町人達。
エレンはそれに激昂して殴りかかろうとするのですが、ミカサに引っ張られて強引に家へと帰されるのでした。

家に帰ると、ちょうど医師である父が診療に出かけるところでした。
そこで突然ミカサがエレンが調査兵団に入りたがっていることを両親に告げるではないですか。
内に秘めていた思いを前触れも無く明かされてしまい、驚き戸惑うエレン。
ですがすぐ気を取り直し、後に続くものがいなければ調査兵団は本当に無駄死にになってしまうと固い決意を表明します。
母はうろたえやめさせようとするのですが、その想いに答えたのは父。
人間の探究心は誰かに言われて抑えられるものではない、診療から帰ってきたらずっと秘密にしていた地下室を見せてやると言い残して家を出て行くのでした。

解ってくれない母に反発し、家を飛び出すエレンとそれを追うミカサ。
町に出ると、友人のアルミンが3人の少年に因縁をつけられていました。
ちょうど駆けつけたエレン……というかミカサに怯えてすぐさま逃げ出す3人。
アルミンに事情を聞くと、人間は外の世界に出て行くべきだと主張したら異端だと殴られたと言うのです。
エレンも外の世界に出たがっているようで、アルミンとともに外の世界をタブー視する現況を嘆きます。
100年大丈夫だったからと言ってこの先も大丈夫と言う保証なんてない。
アルミンがそうつぶやくと、町に突然衝撃が襲い掛かりました!
慌てて町の様子を見ようと駆け出すと……
壁のすぐ向こうから黒煙がもうもうと立ち上っているではないですか!
そしてそこから
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あまりにも巨大な巨人が顔を覗かせたのです!!

その巨大すぎる巨人は壁を破壊します。
100年間町を守り、そこに暮らす人々の絶対の拠り所となっていた壁を、いともたやすく。
大巨人があけた穴から続々と侵入を始める巨人達。
こうなればもうこの町は終わりです。
逃げ惑う人々の中、母の身を案じて自宅へ急ぐエレンたち。
すると自宅は無惨にもつぶれており、母は瓦礫に体をはさまれて身動きの出来ない状態になっていました。
必死に助けようとするエレンですが、子供の力だけでどうにか出来るはずもありません。
そして母は脱出できたとしても瓦礫に足を潰されてしまったため走れない、と自分を置いて逃げるように指示します。
間近に迫る巨人!
絶対絶命のところに駐屯兵団の一人が駆けつけ、巨人を倒して3人を助けると武器を抜きます!
ですが母が頼んだのは子供をつれて逃げろと言うものでした。
駐屯兵はその願いを聞くか、3人とも助けられる賭けに出るか迷いますが……目前の巨人をみるや恐怖を抑えきれず、エレンたちを抱えて逃げる方を選んでしまいます。
母はその後姿にお礼の言葉を投げかけるのですが、やはり出てきてしまうのは「行かないで」と言う言葉。
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それを必死に飲み込み、母は巨人の手にかかるのでした……

巨人の暴虐に激しい憤怒を覚えるエレン。
その心の中で一人残らず巨人を駆逐する、と誓います。
5年がたち、エレンとミカサは兵隊学校卒業のときを迎えていました。
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新たな、そして念願の大一歩を踏み出すこととなったエレン。
ですがその先には悲劇が待ち構えていたのです……


と言うわけで非常にハードなストーリーが展開する本作。
次々と襲い掛かる衝撃の展開の連続に、熟練の漫画読みでも驚かされること必至です!
更に激動の展開のみならず、いくつも散りばめられた謎も興味を惹きます!
まるで人間を減らすためだけのために生まれたような生物、巨人。
素性が一切明かされない少女、ミカサ。
やはり謎が多く、5年前からいまだ行方の知れないエレンの父。
その父が見せようとしていた地下室。
突然現れ、そして消えてしまう大巨人……
これでもかとばかりに伏線が散りばめられ、読者のハートをガッチリキャッチして放しません!
その上第1巻のラストに待っている更なる衝撃!
誰しもこの先を早く読ませて欲しいと思うことでしょう!
絵柄の面では新人漫画家ということもあり、流石に上手いとは言えません。
ですがスピード感や迫力は十分に感じさせてくれる気持ちの籠もった作画となっており、技術以上のものを感じさせてくれるのです!

驚きの連続を与えてくれる「進撃の巨人」第1巻は好評発売中です。
超ハードなストーリーが連続する上、ストーリー自体にも謎多き本作。
幾度となく読み手を驚かせてくれる目が離せない作品になっています!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


進撃の巨人(1) (少年マガジンKC)
講談社
諫山 創

ユーザレビュー:
AKIRA以来の衝撃 ...
後は画質だけだ!!久 ...
好みは分かれるかも最 ...
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本日紹介いたしますのはこちら、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん」第6巻です。
小学館さんより刊行されました。

大好評刊行中の本大全集、「藤子・F・不二雄」のテーマにて紹介をまとめておりますので、そちらもあわせてご覧くださいませ。

「年代別学年繰り上がり方式」という掲載形式を取っている本作。
今巻では66年度生まれの方が学年誌で読んだ作品がまとめられております。

今回収録分ではドラえもんの知名度も上がってきたのか、いままでちょこちょことみられたドラえもんとのび太の出会いやら最終回っぽいエピソードやらは一切ありません。
すっかりいつもの、極普通のドラえもんが展開されます。
勿論普通といってもドラえもんの普通、と言うことは非常にハイレベルな面白さは保障されているわけです!

たたでさえ面白い本作の中、レアなシーンが多数拝める本巻。
ママが酔っ払って屋根の上で踊り狂う姿が印象に残る「ようろうおつまみ」、
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ドラえもんの頭が大変なことになる「風の子バンド」
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など、シュールな絵が見られるお話。
そして後に欠かせないアイテムとなる「ひらりマント」「通りぬけフープ」の気になる初登場話など興味深い話が盛りだくさん。
さらにのび太としずちゃんの結婚のきっかけとなるエピソードなんかも入っており、人物関係的にも重要(?)なエピソードが収録されています。

そんな中、なんだかちょっとびっくりするのがネタかぶりです。
土の中を水のように動けるようになる道具、と言えばおなじみ「ドンブラ粉」ですが、本巻ではその「ドンブラ粉」とほとんどそのまま同じアイテム「ドンブラクリーム」のお話、両方が収録されているのです!
意外にも「ドンブラクリーム」の方が先に発表されていまして、「小学二年生」の74年8月号に掲載されました。
あらすじはこんなかんじ。
夏、泳げないのび太が自分をバカにするジャイアンたちから逃げ回り、隠れて泳ぐ練習をする道具をドラえもんにねだります。
そこでこのドンブラクリームを体に塗り、地面を水のようにして泳ぐ練習をしました。
割とあっさり泳げるようになり、のび太は調子に乗って地中からジャイアンの足を引っ張ったりとイタズラを働きます。
が、泳ぎ疲れたのび太はおぼれてしまい、ドラえもんに掘り出して助けてもらうのでした。
と言う感じ。
一方の「ドンブラ粉」、こちらは「小学四年生」の76年7月号にて発表。
こちらのあらすじも冒頭やイタズラシーンがちょっと厚く描かれているものの、最後のオチに至るまでほとんど同じものになっているのです!
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効果音まで!!
実際のところは多分6Pでまとめなければいけなかった「ドンブラクリーム」の出来に納得がいかないF先生が、9Pで「ドンブラ粉」としてリメイクしたのだとは思いますが……よりによって同じ人が読む雑誌に掲載されてしまうことになるとは……!

他にものび太の天才美少女バージョンなどがみられ、色々希少なものが見られるのですが、何より稀少なものが巻末の資料室に納められています。
なんとあの黒歴史の名も高い「日テレ版ドラえもん」の宣伝漫画です!
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いろいろアレだったという評判ばかりが聞こえてくる日テレ版ですが、こういうのみるとやっぱり観てみたくなりますね!
「よわみをにぎれ」とかすげえタイトルですし!!
更に藤子スタジオの面々が参加した「まんがワークブック」という非常に興味深い企画も収録されています!
マンガから資料に至るまでたっぷり楽しめるないように仕上がっているのです!


あの日テレ版にちょっぴり触れることが出来る「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん」第6巻は好評発売中です!
第6巻でゆうに400編3000P以上収録されているドラえもん。
それでもまだまだ刊行が続くわけですから、ドラえもんの底なし具合は半端無いという他ありません!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


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本日紹介いたしますのはこちら、「あさりよしとお短篇集 毒入り <カプセル篇>」です。
徳間書店さんより刊行されました。

作者はあさりよしとお先生。
あさり先生の作品等は「あさりよしとお」のテーマにて紹介をまとめさせていただいておりますので、そちらもお時間などありましたらご覧いただければ幸いです。

さて、本作は短篇集とかかれているものの、完全な読みきり作品は1作のみ。
他はショートギャグの連作的な作品と、途中で連載中断された様子の作品が収録されています。

メインとなるのは本巻の半分以上を占める「メッチェンファウスト」。
ドラゴンHGなる雑誌で連載をしていたようで、おそらくはそちらの休刊にあわせての連載中断作ではないでしょうか。多分。

内容はこんな感じです。
ちょっと頭のあったかい女の子が
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見るからに怪しげな謎生物に寄生され人間の体が耐えうる限界以上の力を発揮できるように。
ですが本来頭ものっとってしまうはずの謎生物……敵性宇宙人が何らかの理由によってのっとりに失敗。
なんだか本人は勘違いしたまま既に宇宙人と戦っていた学ランの人物とともに、襲い掛かってくる宇宙人と戦うと言うお話です。
ミギーのアレを髣髴とさせるストーリーですが、中身はしっかりあさり先生節。
限界以上の力を発揮できるものの体自体は強化されておらず、パンチすると逆に手がぶっ壊れてしまったり、なぜか宇宙人との戦いが番長ルックでのタイマンだったり、敵の能力が意味ないにもほどがあるものだったりと独自の味を醸し出しております!

多少バイオレンスな描写はありますが、本書の「毒入り」と言うタイトルからすればそれほどでもない「メッチェンファウスト」。
ですがこれはほんの前菜に過ぎません!(3分の2近いのページ数占めますけど!)
本当の毒はショートギャグ(?)、「世界冥作劇場」にたんまり含まれています!

この「世界冥作劇場」、様々な名作を滅茶苦茶にアレンジしてしまうと言う……言ってしまえば割とよくあるネタです。
「フランダースの犬」「おおかみと七ひきの子やぎ」「ちびくろさんぼ」「赤毛のアン」をモチーフにした作品なのですが、バイオレンスなだけでなくもう電波的な何かを感じさせる怪作へと変貌!
「フランダース」ではネロがなんか悪魔っぽいものとともに芸術を求めて殺人を犯したり町に火を放ったりすると言うそりゃもうひどい話に、「おおかみと~」では勘違いから子ヤギ達が全員そろって哀れなことになってしまう話になってます!
これだけでも十分ひどいのですが、この後の2作にいたってはもう原形をとどめてません!
「赤毛のアン」はもうアンが電波垂れ流し状態でもはや「お話」ですらないんじゃないかと言う改変っぷり!
そしてなにより「ちびくろ~」のほうは当時物凄い勢いでバッシングされ発禁状態に追い込まれていた背景を逆手に取った毒どころじゃないネタになってます!
先ずタイトルからして「でかしろ○んぼ」!
そして主役の○んぼはくろいものが嫌いで、アリとかですら許せず踏み潰すんです!
それどころか黄色もきらいで、「せかいでいちばんえらいのはしろんぼさ」「きいろやくろやあかはこのよにいてはいけないいろなんだ」とまで発言します!!
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ひえー!あぶねー!!!
そんな彼がたどる結末もまたブラックで……あさり先生の凄みが迫ってくるようです!!
そしてこれを掲載したガロの覚悟の出来っぷりもすごいです……

この他、某豆腐屋さんの倅が峠をすごい急ぐ漫画のパロディ「プロジェクトT」、
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人体模型の内田洋行くんが童話の世界で好き勝手する「それゆけ内田くん」を収録。
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こちらも見逃せない問題作(?)となっています!!

毒入りの名に恥じない色々アレな作品を収録した「あさりよしとお短篇集 毒入り <カプセル篇>」は全国書店にて発売中です!
4月には同<錠剤篇>の刊行も予定されており、そちらも今から楽しみですね!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


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本日紹介いたしますのはこちら、「藤子・F・不二雄大全集 パーマン」第6巻です。
小学館さんより発行されました。

本大全集の紹介は「藤子・F・不二雄」のテーマにてまとめておりますので、ご興味などございましたらそちらもあわせてご覧くださいませ。

さて、本作は様々な雑誌で連載してきたパーマンのうち、「小学一年生」「幼稚園」「よいこ」「めばえ」といった幼年向けの作品を集めたものとなっています。
なんといってもすごいのは、カラーページの再現。
もともと白黒のページはどうしようもないものの、そのほかの9割以上すべてオールカラー(あるいはパートカラー)で収録されているのです!!

幼年向けということで、一作あたりのページ数は非常にコンパクト。
最長のものでも8P、最短のもので1P2コマという極短いものばかりです。
なんとその作品数70以上!
更にその全てが各誌の67年3月号~68年9月号の間、僅か1年半の間に生み出されていると言うのですからF先生は凄いにも程があるというものです!!

短編でかつ子供向けと言うことで、主なストーリーは日常生活の困ったことなんかをパーマンに変身して解決すると言う単純なものが多くなっている本巻。
パパに傘を届けたり、虫取りに行ったり、魚を取りに行ったり……
そんなのどか過ぎるお話がほとんどなのですが、パーマンの花形ともいえる怪人との対決や人助けなんかもちゃんとはいってます。
子供にもわかりやすい見た目を重視したのか、怪人たちは相当インパクトあるものぞろい。
ドラクエのフレイム……ではなくその名もずばり「火の玉男」、
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パーマンですら破ることは出来ない超絶装甲を持ちながらやることは食べ物を盗むことと言う「怪物戦車」……
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そんな出オチ的な怪人で、しかも8Pしかないにもかかわらずきっちりと最初は怪人が勝ち、パーマンが逆転勝ちするという起伏が設けられているのは流石F先生と言う他ありません!
また、目立つのがパーマンセットを誰かに使われてしまう話。
基本的にミツ夫のミスが原因なんですが、パパがマント使って空から降りられなくなってしまったり、カエルが装備してミツ夫を蹴っ飛ばしたり、挙句の果てには
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雪だるまが……!!
怪奇現象……ではなく、ちゃんとタネがあるのでご安心を!!

そして「めばえ」に掲載された1P漫画もまた変わった味わいが楽しめます。
2コマ縛り(まれに3~4コマになりますが)と言うことでかなりシンプルなものになっているのですが、その内容たるや
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シュールなものが揃ってます!!
パパがパーマンおんぶするとか……一体どういう状況でこうなったのか謎過ぎです!!

連載初期と言うことでまだ固まっていない変なカラーが拝める
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というカラーならではの見所も満載!
更に非常にレアと言わざるを得ない不二家のペコちゃんと競演するミルキーの広告なんかも掲載され、根幹はとにかく終始レアもの尽くしの一冊になっています!

大充実のカラー作品がおなかいっぱい堪能できる「藤子・F・不二雄大全集 パーマン」第6巻は好評発売中です。
スーパーマンやパーやんが1回ずつしか登場しないと言ういつも異常に不憫な彼らのファンには寂しいかもしれない本作。
パーやんラブな方には涙を呑んでいただくとして、見るだけで心躍るカラフルな仕上がりになっております。
対象年齢が低いだけにいつものような面白さはありませんが、普段とはベクトルの違う楽しさが味わえますよ!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


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本日紹介いたしますのはこちら、「藤子・F・不二雄大全集 オバケのQ太郎」第5巻です。
小学館さんから刊行されています。

本大全集の紹介は「藤子・F・不二雄」のテーマにてまとめておりますので、そちらもよろしければご参照くださいませ。

さて、待望の再刊行となった「オバケのQ太郎」。
今巻の第5巻でサンデー版の最終巻となります!

今回もやはり愉快で楽しいお話が多量に収録されているわけですが、取り上げるべきなのはやはり感動の最終回でしょう!

なにやら最近数日、真剣に思い悩んでいる様子のQちゃん。
正ちゃんのみならず、パパや兄さんもその様子に気がつくほどのあからさまな悩みっぷりなのですが……普段の能天気さがたたって(?)どうせ食べ物の悩みかなんかだろうとあまり心配せず、スルーされてしまいます。
しかしQちゃんはそんな周囲のムードになど目もくれず、とうとう明日その悩みに答えを出す決心をして歩き始めました。
その行き先はゴジラ。
なんでもゴジラに30円貸していたそうで、それを今日どうしても返して欲しいと直談判を始めたのです。
なんとかはぐらかそうとするゴジラですが、Qちゃんは異常ともいえる粘り腰で催促を続けます。
Qちゃんという貧乏キャラにお金を借りていたことの負い目でもあったのか、次のおこづかい貰ったら返すと穏便に受け流していたゴジラ。
ですがあまりにもすごい粘着振りにとうとう手が出てしまいます!
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が、Qちゃんは怒りも逃げもせずに催促を続けるではないですか!
仕方なく服まで脱いでホントに一銭もないよとアピールして追い払ったゴジラ。
そしていなくなった隙を見計らって隠し持っていた50円を持って焼き芋を買いに行くのですが、姿を隠して見張っていたQちゃんにしっかり徴収されてしまうのでした。

更に名も無きモブキャラにもお金を貸していたようで、合計で50円返済してもらうことに成功したQちゃん。
この50円で一体何をするつもりなんでしょうか!?
その答えは……意外にもハカセに借りていた50円の返済でした。
そして木佐に借りていた漫画も一挙返却。
いつでも良かったとか今返されたらまずいとか言うそれぞれに、今日でなければダメとだけ言い残してQちゃんは家に帰るのでした。

夕飯もご飯10杯しかたべず、明らかに様子のおかしいQちゃん。
しかも大きな荷物を荷造りし、挙句正ちゃんに漫画ばっかり読んでいないで宿題やらないとまずいよとお説教まで始めます!
テレビを見ようとしても野球をしようとしても勉強を無理やり進めてくるQちゃん。
ゴジラに殴られてもおこらず、勉強をするように勧める……まるで人が変わったようなQちゃんに驚く一同ですが、そこにやってきたドロンパがそれなら自分がカーッとさせてやるとイタズラを仕掛けるのでした。

ところが髪を引っ張っても蹴っ飛ばしてもQちゃんは今日だけは喧嘩したくないと無抵抗を貫きます。
その上下手したら命よりも大事な溜め込んだお菓子をそっくりそのままP子にあげてしまうのです!

夜、寝ようとする正ちゃんに月が奇麗だよ、今夜くらい夜更かししようよとQちゃんは積極的に話しかけます。
正ちゃんのところにQちゃんが来てから3年ほど。
いろんなことがあったけど、正ちゃんはいつでもいい友達だった……と語るQちゃん。
しかし振り返ると正ちゃんは既に布団の中でおねむです!
Qちゃんは正ちゃんを起こしますが、何か用かと聞く正ちゃんにQちゃんは顔を見たいだけと返します。
冷静に考えれば物凄い意味深なのですが、なんといっても寝てると子起こされて顔見たいだけなんて言われたら怒るのも当然です!!
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Qちゃんは一瞬寂しそうな顔を見せますが、すぐにお休みと告げて踵を返すのでした。

翌朝、朝食にQちゃんが姿を現しません。
珍しいこともあるもんだと正ちゃんが起こしにいくと、そこには置手紙が!
なんと「正ちゃんたちはみんな良い人だが、いつまでも甘えられない」「世の中のことを知らない自分が恥ずかしくなった」「世間に飛び出して見聞を広めたい」ということが書いてあるではないですか!
最近の態度がおかしい理由がようやくわかり、号泣する正ちゃん。
すぐに家を飛び出し、友達一同にこのことを告げました。
涙ながらにQちゃんを惜しむ一同。
ドロンパにいたっては
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クールな普段の姿をかなぐり捨て、転がって泣き喚いちゃいます!!
……なんてツンデレなんだドロンパ……!可愛いなんてモンじゃないぞ……!!
遠く空に向かってQちゃんと呼びかけ続ける正ちゃんたち。
勿論その方向から答えるものなどなく、そのコマには「おわり」の文字がむなしくクレジットされるのでした……
が!実はもうすこしだけ続きがあります!!
そのQちゃんらしい本当のラストシーン、あなたの目でご確認ください!!


といったわけで感動のお別れが収録された本巻。
身辺整理するQちゃんの普段見せることのない男気もステキなのですが、何より印象的なのが超萌えるドロンパ!!
子供のころはドロンパなんて嫌なヤローだとしか思っていませんでしたが、今こうしてみるとその萌えキャラぶりに胸がときめきますな!

そんなドロンパ萌え感動話だけでなく、逆にドロンパがアメリカに帰ろうとする話や、正ちゃんQちゃんドロンパの先祖が出会っていたことが判明するびっくりエピソード、
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正ちゃんが金棒で打ち据えられ鉞でギロチン状態にされるシーン
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などなど、色々な方面で注目のお話が満載です!
単行本恒例の当時の企画や資料、カラーカットも勿論収録!
そちらの今回の目玉は「オハゲのKK太郎」でしょうか!
赤塚先生との合作で、Qちゃんと「おそ松くん」のチビ太が対決する注目作なのです!
更にこちらも企画で描かれた「7年あとのQちゃん一家」という正ちゃんが高校生になったころを想像して描くという1P漫画も収録!
有名な「劇画オバQ」とは違った、でもさりげなく同じテーマの非常に興味深いエピソードになっています!


ドロンパがもう愛しくて仕方ない、あとオバQが帰っちゃう「藤子・F・不二雄大全集 オバケのQ太郎」第5巻は好評発売中です!
サンデー版完結ということで、第1期でのオバQの刊行はこれにて終了。
第2期からは学年誌版の刊行が始まるそうで、そちらも今から楽しみですね!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


オバケのQ太郎 5 (藤子・F・不二雄大全集) (てんとう虫コミックス)
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