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本日紹介いたしますのはこちら、「暗殺教室」第1巻です。
集英社さんのジャンプ・コミックスにて刊行されました。

作者は松井優征先生。
松井先生の代表作、「魔人探偵脳噛ネウロ」の紹介などは、「松井優征」のテーマにてまとめております。
よろしければそちらもあわせてご覧くださいませ。

さて、「ネウロ」でその独特な世界観を構築し、人気を不動のものとした松井先生。
大盛り上がりの末の完結を迎えた後、3年ほどのインターバルを経て待望の連載開始となった本作。
やはり今回もその持ち味を存分に発揮した、松井先生ならではの作品となっています!!

3年E組。
その教壇に立つ先生は、なんだか見るからに様子が変です。
顔は風船かゴムマリのようにまん丸で、その手足は一般的にいう「手足」ではなく、「触手」そのもの。
ですがその怪しげな先生は、当たり前のように言うのです。
「ホームルームを始めます。日直の人は号令を!」。
その言葉を受けて日直と思しき生徒が号令をかけるのですが、その号令の後もまた驚くべき光景が待っていたのです!
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起立の声とともに、一斉に先生へ向けられる銃器!!
一体この光景、何がどうなっているのでしょうか!?

先生は、無数の銃から発射されるBB弾のような弾を難なく避け続け、挙句の果てにそのまま出欠をとっていきます。
銃声の中なので返事は大きめに、と言う指定つきで……!
遅刻無し、素晴らしいと褒めた後、先生はその一斉狙撃へのダメ出しをはじめました。
数に頼る戦術は個々の思考をおろそかにする。
もっと工夫しないと、最高時速マッハ20の先生は殺せませんよ、と!
ですが生徒たちからは文句も聞こえてきました。
本当に全部避けてるのか?当たってるのに我慢してるだけなんじゃないか?
確かにこんなBB弾的なもの、生徒達ですら目とかに当たりでもしない限りガマンできそう。
ところがその考えは甘えでしかないことを先生自身が証明してくれました。
おもむろに自身の右触手に銃弾をあててみせると、
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先生の触手は実にあっさり破壊されてしまったのです!!
一見BB弾に見えるこの弾は、気にが開発した対先生特殊弾。
先生の細胞だけを豆腐のように破壊できるのです。
ですがその着ずも者の数秒もあれば完全に再生が可能。
なんらかのラッキーヒットでは殺せないようです。

ところでなぜこの椚ヶ丘中学校3年E組は先生の暗殺を行う「暗殺教室」になっているのでしょうか。
それはすこし前、彼らが3年生になったばかりの時に遡らなければなりません。
そのころ突如として月が爆発し、三日月のような形となってしまいました。
月を爆破したのは、他ならぬ先生。
しかもそれを堂々と名乗り出た挙句、来年には地球も爆破すると宣言したのです!!
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もちろん政府は総出で先生を始末しようとしました。
ですがあまりにもすばやすぎる先生は、どうやっても暗殺することが出来ません。
さらにこの先生は、奇妙な提案までしてきたのです。
殺されるのはゴメンだが、この椚ヶ丘中学校3年E組の担任ならやってもいい、と!
はっきり言って、マッハ20を誇る先生が本気で逃げ回ったら誰も殺すことなんて出来ないでしょう。
それなのに先生はあえてこの教室に釘付けになってくれると言うのですから、政府としては受け入れるしかないでしょう!
幸い絶対性途に危害を加えないと言う約束も先生は守ってくれています。
理由は一切不明。
それでもとにかく、こうして地球の存亡をかけた「暗殺教室」が出来上がったのです。

暗殺の重責を負う生徒達の心的重圧やいかに、と言う問題も「暗殺できたら100億円」と言う破格の報酬でかき消されました。
しかしこの3年E組、そんな暗殺云々以前にも大きな問題があるのです。
E組はENDのE。
この椚ヶ丘中学校のある特殊な方針により、このE組だけは別の校舎に隔離されて授業をしているのです。
そしてその特殊な方針のおかげで、生徒達の間には「E組だから頑張っても仕方がない」と言うようなムードが漂っていまして……
ですがそんな状況だからこそ、100億円あれば一発逆転できると言う野心を抱くのも自然と言うものです。
そんな中まず立ち上がったのが、いかにも不良生徒といった風情の寺坂達三人の不良トリオ。
彼らは気弱そうな生徒、渚を恐喝し、自分達の暗殺計画の駒にしたのです。

渚はその気弱そうな風貌どおり、自分の存在に嫌気が差していました。
先生のようにみんなから暗殺の標的にされると言うのは、裏を返せば実力をみんなに認められていると言うこと。
そんな怪物に、期待も警戒も、認識すらされなくなった自分の気持ちなんてわかるはずがない。
と同時に、こんな気持ちも湧いてきました。
そんな認識されていない自分だからこそ、やれるかもしれない……
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その作戦は短歌を作る授業中に決行されました。
短歌を書く短冊の裏に、対先生用ナイフを忍ばせて近寄る渚。
短歌をは提出するふりをして、すばやくナイフを取り出してつき立てようとするのですが……あっさり先生には防がれてしまいました。
もっと工夫を、とダメだシしようとする先生ですが、実は渚には次の一手が用意されていたのです!
寺坂に渡されていた、リモコン式のBB弾グレネード!
渚がすかさず先生に抱きついた瞬間、爆裂するそれ。
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三百発の対先生弾が超高速で飛び散るそれは、火薬が増量してあるおかげで相当な殺傷力が備わっています。
ですがそれは対先生用だけではなく、爆発の只中にいる渚にもダメージを与えてしまうもので……
死んでしまうような火力でこそないものの、渚はボロボロに……なっていませんでした。
渚の体はなんだか変な膜で包まれています。
実はそれ、月一回脱皮すると言う先生の皮。
それをすかさずかぶせてグレネードの威力を殺したのです!
月1で使える奥の手を使わせたと言うのは相当追い詰めることが出来たのかもしれません。
ですが、先生が顔色をどす黒く変貌させて憤怒しているのは、それが原因ではないようです。
猛烈な勢いで教室を出て行き、一瞬で戻ってきた先生は、その触手にクラス全員分の自宅の表札を抱えていました。
政府との約束だから、決して先生は君たちに危害は加えない。
だが、君達以外はその限りではない!!
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次また今の方法で暗殺に来たら……家族や友人、いや、君たち以外を地球ごと消すかもしれない!!
……この先生からは逃げられない。
逃げたければ、先生を殺すしかない。
そう実感せざるを得ない生徒たちに、先生は表情を一変させて言いました。
アイディア自体をすごくよかったし、渚の自然な体運びは100点、見事だった。
だが寺坂は渚を、渚は自分を大切にしなかった、そんな生徒に暗殺する資格はない!と!

確かに地球は滅亡寸前にまで追い込まれているかもしれません。
ですがこの先生なら、なんでも、それこそ殺意ですら受け止めてくれるかもしれない。
暗殺対象と殺し屋。先生と生徒。
奇妙な関係は、確実な信頼関係とともにしっかりと築かれ始めているようです。
名前なんてないと嘯いていた先生。
なかなか殺せない先生を、クラスのみんなはこう呼び始めるのです。
殺せんせー。
殺せんせーと生徒達の奇妙な師弟関係は、まだまだ続いていくようです。
……少なくとも後一年弱は!

と言うわけで、異質極まりない学校生活を描く本作。
「ネウロ」にも引けをとらない、先生ならではの持ち味はもうたっぷりと加えられております!!
本作は「どうやって暗殺するのか」という要素を軸に進んでいくわけですが、お話の肝なのはやはり先生と生徒の関係性。
暗殺と言う物騒極まりない言葉と、人の道を教える教師と言う対局とも言えるものがきっちりと同居しているさまはまさに松井先生らしい奇妙な味わいといえるでしょう!!
暗殺するものとされるものの関係性なのに、巷の先生モノにも引けを足らない生徒達への向き合いっぷり……
実に興味深いじゃありませんか!!
そして興味深いといえば、やはり何かあったような「先生」になる前の殺せんせーの過去。
それが紐解かれていくのはおそらくクライマックス間近となるのでしょうが、やっぱりそこが気になって仕方ないです!!
そして今巻中にも油断ならない新キャラが登場。
クラスの仲間達のキャラも掘り下げつつ、新キャラ投入でマンネリも防ぐ。
話の都合上どうしても学校以外を舞台にはしにくいこの作品で、読者を飽きさせない構成をしっかりと作ってくれているのです!

誰が殺すの殺せんせー、「暗殺教室」第1巻は全国書店にて大好評発売中です!
松井先生最新作は、奇抜極まりない学園もの。
他に類を見ないと言う言葉がしっくり来る教師モノを、是非その目でご堪能ください!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


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