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本日紹介いたしますのはこちら、「新装版ディスコミュニケーション 冥界編」第1巻です。
講談社さんのアフタヌーンKCより刊行、アフタヌーンにて連載されています。

作者は植芝理一先生。
植芝先生が現在連載中の「謎の彼女X」の紹介は、「植芝理一」のテーマで記事をまとめておりますので、よろしければご参照くださいませ。

さて、本作は植芝先生の処女作にしてモーニングコミックオープン大賞受賞作、初連載作品でもある「ディスコミュニケーション」を新装刊行したものです。
この新装版第1巻に収録されているのは第16話までとなっていまして、これは旧版の単行本で言いますと第3巻の半分ほどまでとなっています。
いまでは「夢使い」「謎の彼女X」と相次いでアニメ化し、特にその後者は好評を博してある程度一般的になってきた植え芝先生。
そんな今でもたんなる萌えに終わらず、涎をなめあうといった奇妙な味付けをしたことで良くも悪くも「変」な作品を描くイメージがあるとは思いますが、このデビュー作では更に上を行く、そして一捻りも二捻りもされた「変」がたのしめるのです!!

お昼休み。
仲良しの女子四人組の話題は、もっぱら恋愛に関してです。
そんな中でも今一番ホットな話題といいますと、四人の中の一人である眼鏡の少女、戸川の交際です。
戸川が最近付き合いだしたのは、松笛と言う男子。
その松笛、かなりミステリアスな少年でして……
友達もあまりいないようですし、学校にもあまり来ない。
来たと思えばいつも1人でボーっと外を眺めている、と言う、なんと言いますか、謎ばかりの存在なのです。

そんな松笛は、町外れの空きビルに一人で住んでいます。
その日の放課後、戸川は松笛宅を訪ねることにしました。
今日も学校をサボったわね、と怒りながら中に入っていくと、怪しげな小物でビッチリと壁を覆い、床にもさまざまな雑多なものが散乱している部屋の真ん中に彼はいました。
もう学校も終わっている時間だと言うのに、のん気におはようと返す松笛。
何でもプログラムを売っていたら徹夜してしまったんだそうで、今も戸川に目もくれずキーボードを叩いています。
やっと戸川のほうを向いたかと思えば、足元を指してそのお札を踏むと祟るよ、となんだか恐ろしい注意を促す言葉をかけてきまして。
もう既にこの時点で得体の知れなさが窺えると言うものですが、さらに松笛が戸川にしてきた「お願い」というのはまた謎過ぎるものだったのです。
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「お前の涙ってどんな味がするのかな」「涙 飲ませてくんない?」。
普通なら突飛すぎて引いてしまうそのお願いですが……戸川はこういった「お願い」にはもう慣れっこになってしまっているようで。
たまねぎも用意しておいたと言う松笛にそんなの要らないとことわり、目を閉じたかと思うとすっと涙をこぼし、
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それを松笛が飲むのでした。

過去の松笛の妙なお願いは、「笑い声が聞きたい」はら一時間以上足の裏をくすぐられて見たりと、こんな程度では終わらないものも多くありました。
でもそんな松笛の変な接し方も、戸川はけっこう好きだったりするんですが。
○部絵はせっかく飲ませてもらった涙に、変な味だと文句タラタラ。
かと思えば、涙を飲ませるために眼鏡を外した戸川を、メガネ外すと結構カワイイ、コンタクトにすればいいといってみたりします。
戸川はそんなふうに簡単にかわいいといわれるのが好きじゃない、と却下しながらメガネをかけました。
松笛はその答えを聞き、そういう頑固なところがまたかわいいぜ!と笑いながら戸川のほっぺたを引っ張るのでした。

戸川はなぜ松笛を好きになったのでしょうか?
その理由は謎の一言に尽きますが、きっかけだけはハッキリしています。
忘れ物を取りに戻った放課後の教室。
そこで、1人外を眺める松笛を見て、突然好きになってしまったのです。
その想いは抑えきれず、後日松笛に告白する戸川。
その時初めて戸川は松笛の変なところを知ることになりました。
好きだと告白した後、かえって来たのは「おれの家に来いよ」と言ういきなりのお誘いでした。
ちょっぴり警戒しながらついていくと、通されたのは寝室でした。
告白したその日に突然……?!
こんなつもりで来たんじゃない、と震える声で抵抗の意思をあらわす戸川に、松笛はと言うとかみそりを持ち出して走りよってくるではないですか!!
ですがその後に松笛が言った言葉は予想外にもほどがあるものだったのです。
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「襟足剃らせてくれない?」

それ以来、二人は付き合い始めました。
髪の毛をいじれたり、耳掃除されたり、ただ一緒に並んで眠ってみたりと、妙なことはするくせに、松笛はそれ以外の恋人らしいことは一切注文してきません。
それこそ、恋人同士ならば普通にするであろうキスですら!
松笛には性欲がないのだろうか?
そんな疑問の他にも、謎はあります。
松笛の部屋には妙な宗教的なオブジェが山ほどあるのですが、それは単なるコレクションとのこと。
それなのに松笛はたまにあらぬ方向を見つめることがあり、そのときは必ずその方向にある物や天井なんかがすごい音できしんだり揺れたりするのです。
松笛には見えないものが見えているのかもしれない。
あのオブジェはそれに何か関係あるのかもしれない……
そんなことを考えながらも、二人は付き合い続けます。
今日のお願いは、心臓の音が聞きたい、というものでした。
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そっと胸に耳を当て、音に聞き入っている松笛。
そんな彼に、戸川は言うのです。
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どういうわけか私は松笛くんを好きになっちゃったんだから、謎を解くまでずっと注文を受けていくからね。
松笛くんの謎を解くことは、私自身の謎を解くことでもあるの、と。

どんな女の子も男の子も、その謎を解かなくキャいけない男の子や女の子が必ず一人はいると思う。
だから私が松笛くんを好きになったってことは、私が松笛くんの謎を解かなくきゃいけない人間だと言うことだ。
戸川はそんなことを考えながら、松笛との距離をより縮めていくのです。

というわけで、戸川と松笛の奇妙な恋愛を描いていく本作。
すぐ直接的な行為に走らず、体液を口に入れると言うような「奇妙な恋愛」と言うテーマは「謎の彼女X」に近いといえるかもしれません。
あちらの卜部もはさみ使いや感覚の鋭さに関しては人間離れした能力を持っているといえますが、本作における卜部ポジションの松笛はより人間離れしています!!
本巻の最初のほうでは謎行動こそありますが、わりと普通のお付き合いをしている彼。
ですが今巻の後半部分あたりから様々なアイテムを使い出し、明らかに普通の人ではなくなります。
なんと物語はそのまま、オカルトバトル物へとシフトしていくのです!!
とは言えもちろん植え芝先生らしい味付けは健在。
さらにそのバトル展開もこの「冥界編」に限っての事といっても過言ではありませんは!
とにかく今となってはレアかもしれない植芝先生のバトルが楽しめるのは確か。
未読の「謎の彼女X」から植芝先生ファンになった方は新鮮なのではないでしょうか!?

「謎の彼女X」と共通した部分もある「謎多き恋愛」を描く、「新装版ディスコミュニケーション 冥界編」第1話は全国書店にて発売中です!!
第1巻の諸般がでてから20年経ってからの新装版となる本作。
旧版カバー下本体に描かれていたオマケなども掲載しつつ、初版限定として巻末に旧版の扉絵をカラーで収録!
さらに現在の植芝先生が本作を振り返るコメントや、雑誌掲載時の作者コメントなんかまで詰め込んでありまして、まさに決定版といえてしまうかもしれない充実振りとなっています!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


新装版 ディスコミュニケーション(1)冥界編1 (KCデラックス)
講談社
2012-10-23
植芝 理一

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