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本日紹介いたしますのはこちら、「まじめな時間」第2巻です。
講談社さんのアフタヌーンKCより刊行されました。

作者は清家雪子先生。
本作第1巻の紹介は、12年6月1日の記事にて記載されております。
よろしければあわせてご覧くださいませ。

さて、交通事故で死んでしまった一紗が、死後の世界で暮らす様を描く本作。
とはいっても本格的に死後の世界にいったわけではありません。
人間が死んだ後、この世に未練がなくなってひかりになって登っていく……いわば「成仏」をするまでは幽霊としてこの世をさまようと言うのが一般的(?)なようで、一紗も同じく幽霊となって今まで暮らしていた町をふらつく身分となってしまったのです。
ですがそんなある日、自分の死で憔悴しきってしまった母が倒れてしまったところを目撃。
助けおこそうとしても幽霊となった自分ではどうすることも出来ず……
世の理とは言え、自分の無力さを歯がゆく思うしかなかったのでした。

母の病状は大事には至りませんでした。
ですがこのままでは、本当に手の施しようがない状態になってしまいかねません。
何とか母親の気持ちを前向きにしてあげなければならないところですが……
そんな時、母と祖母の会話から、母があるものを気にしていることに気がつきました。
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それは、一紗が通学カバンにぶら下げていたあるもの。
それがなくなっていることが、母には気になって仕方がないようなのです。

一紗は自分の死因を作ってしまった男に助力を頼み、それを見つけ出します。
道路の側溝の中のドロに半分埋まってしまっていたそれは、ぬいぐるみのキーホルダーでした。
事故の衝撃で千切れとび、この側溝の中に偶然入り込んでしまったのでしょう。
このぬいぐるみは、一紗の母の手作りなのです。
母のセンスは微妙の一言で、手作りのものはどれも一紗にはピンと来なかったのですが、このぬいぐるみだけはなぜか気に入ってしまったのだとか。
そこでカバンにぶら下げて使っていたのですが……
見つかったのはいいものの、問題はそれを拾い上げる手段がないと言うことです。
そこで一紗の脳裏に浮かんだのは……

以前自分の存在を感じ取ったことのある、霊感ありの少女岡部さん。
ですがそのときは、片思いの彼氏に好かれていることを知っての恨みパワーがあっての存在感ゆえ。
実際岡部本人に恨みはないわけで、気がついてもらえるほどのパワーは出せません。
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そこで彼女と関係無い想像とかでパワーをましてみるものの、せいぜいが一瞬その気配を感じさせるくらいでして。
大勢の幽霊仲間に助力を求めてみるのですが、なかなかうまいことはいきません。
やはり手っ取り早く生きている人に気がついてもらうには、恨みパワーの強い霊の力を借りるほかないでしょう。
そこで一紗がお願いに行ったのは、ちょっとだけ知り合いの引きこもり悪霊、たまおのところだったのです!

もちろんそう簡単に悪霊が協力してくれるはずもないでしょう。
ですが、一紗の真剣な態度と、霊感が強いと言う猫が通りがかったおかげでたまおは態度を変え、手を貸してくれました。
ねこにちょちょっと細工をしてくれ、その猫がぬいぐるみをひろいに行くようにしてくれたのです!
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誰にも心を開くことのないたまおでしたが……一紗の何事にも真剣な態度と、自分に対しても分け隔てなく接してくれる気持ちのよさに惹かれて行ったのでしょうか……?

とりあえずぬいぐるみを拾い上げ、岡部さんに渡すことまでは出来ました。
ですが、それからどうして欲しいかを伝えることが出来ません。
集まった霊たちの意識を集中させ、誰かに渡してほしいらしいことは岡部もわかってくれたのですが、それが誰かまでかはわからないのです。
このままでは結局ぬいぐるみが見つからなかったのと同じでしょう。
そこで、一紗にアドバイスをしてくれた大先輩の幽霊のおじさんが言い出しました。
「怨霊レベルの力が必要だな」と。

たまおも広い眼で見れば怨霊なのですが、あれはぶっちゃけ端くれも端くれ、言ってしまえば「よくない霊」どまりです。
そこで彼が力を借りようとしたのは……おじさんの奥さんの霊です。
おじさんへの恨みによって、霊に成り果ててしまった奥さんは、怨霊たちが寄り集まって暗雲のようなものになっている中で今も怨嗟の声をあげています。
そこにおじさんが声をかけると……奥さんはその暗雲から這い出てきます。
その姿は本格的に怨霊そのもの!!
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おぞましき姿と化してしまった彼女の力があれば、生者でも感じ取る何かがあるはず!!
そのまま岡部の元へと怨霊をおびき寄せようとするのですが、その岡部の元にようやくたどり着いたその時、
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おじさんは奥さんに飲み込まれてしまい……!!
果たしておじさんはこのまま怨霊に飲み込まれてしまうのでしょうか?
そして、ぬいぐるみを母に渡すことは出来るのでしょうか!!

というわけで、母を助けるための作戦に挑む一紗。
ですが母を助けると言うことは、自分の存在を忘れさせると言うことにも繋がるわけで。
自分の行動が、自分が死んでしまったことを寄り実感させる行動であると言うことを、一紗もわからないわけでもないわけで……
それでも物語はすすんでいきます。
変わっていく生者達の生活、そしてゆっくりながらも同じく死者たちも変わっていきます。
一紗も幽霊ライフをある程度満喫するのですが、せいへの執着が薄れていくと死者は徐々に感情が薄れていき、やがて光を発して天へと消えていくわけで。
幽霊生活を満喫すればするほど、そして母たちが自分無しでもやっていけることがわかればわかるほど、その日は近づいていくのです。
一紗もまた、その定めには逆らえません。
光を放ち始めた一紗も、よかったと言っていいのかわかりませんが、この世から消え去る日が近づいてきたのです。
ところがそこで、一紗はある行動にでるのです。
まわりのみんなも驚愕する、死んだ一紗に言うのもなんなんですが、命を懸けた作戦とはなんなのでしょう!?
最後の最後まで、一紗のやさしさが溢れる物語になっているのです!!

死後の世界に行くまでの世界、「まじめな時間」最終第2巻は全国書店にて発売中です!!
全2巻ながら、非常によくまとまった感動の物語となっている本作。
巻末には清家先生のデビュー作で四季大賞受賞作品「孤陋(ころう)」を収録!
清家先生の最新と最初が楽しめる一冊となっていますよ!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!



まじめな時間(2) <完> (アフタヌーンKC)
講談社
2012-09-21
清家 雪子

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