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本日紹介いたしますのはこちら、「憂国のラスプーチン」第5巻です。
小学館さんのビッグコミックスより刊行、ビッグコミックにて連載されています。

作者は原作が佐藤優先生、脚本が長崎尚志先生、漫画が伊藤潤二先生。
本作は「伊藤潤二」のテーマにて紹介をまとめておりますので、あわせてご覧ください。

さて、北方領土問題に切り込んでいた政治家、都築の右腕である憂木と、彼を取り調べる検事の高村の攻防を描く本作。
どす黒い政治の裏側を赤裸々に明かす本作ですが、コンセプトはそのままに今巻で一つの転換期を迎える事になるのです!

いつもの取調べが始まりました。
今回は対ロ外交・北方領土返還問題を、歴代総理の観点から話して見ようと言うことになります。
そのお話も既に何回もしているわけですが、整理するためにもう一度、とおしきられてしまうのです。

まずは本橋虎太郎総理。
「東からのユーラシア外交」を思いついた人だ、と憂木は始めました。
東からのユーラシア外交とはなんなのでしょう。
ソ連解体後、NATOはチェコやハンガリー、ポーランドといったクニを新規加盟国にして東側へ勢力を伸ばしていこうとしました。
これが西側諸国のとった「西からのユーラシア外交」です。
ですがロシアは流れから言って、それまで敵対していたアメリカや西ヨーロッパの仲間入りをすることは難しい立場にあるわけで。
そこで本橋総理が提案した色々な提案に興味を持ったのです。
表向き本橋総理は日米中ロがこれからの世界で重要になってくると発言していたのですが、実際は成長著しい中国を牽制しようと思っていました。
ロシアもまた、同じ考えを持っていたようで。
共通の脅威が中国と言う日ロが長期的に友好関係を築き、早いうちに領土問題も解決してしまおうと本橋総理は考えたのでした。
それは93年、97年、98年に二度……と、日ロ間に多くの宣言や会談をかわしたことからも見て取れるのです。

次に出てきたのは田淵栄三総理。
98年11月に行われた首脳会談の時、時のロシア大統領エリツィンは心臓の持病のため最悪の体調でした。
そんな中でもエリツィンは弱気になることなく、「北方領土の自由訪問」に関しては一切受け入れようとしていなかったのです。
そんな会談の中で、田淵総理がいきなり言い出したのが都築の話を聞いてくれと言うものでした。
北方四島を選挙区とする政治家で、田淵総理の後継者として紹介された都築はいきなり深々と頭を下げてこういうのです。
時間がないのです、自分の知る元島民は90を超えていて、いつ北方領土に訪問できるかと待ち望んでいる。
どうか余命幾許もない老人の願いをかなえてやってくれ、と!
するとエリツィンの頬に一筋の涙が伝いました。
自分の体調と、その「余命幾許もない」と言うこの場がシンクロしたのでしょうか。
自由訪問が実現することになったのです。

最後に話題に上ったのが堀敏朗総理です。
憂木が言うには、堀は「勘の鋭い政治家」。
その証明として、こんな事件を語りました。
プーチン大統領が、ロシア外務省に耳を貸さない理由。
それはプーチンの後ろに何か強力な黒幕がいる、と言うことではないか。
堀総理は直感で感じ取ったのです。
その人物を探し、交渉ルートを探してくれと申し付けられたのが都築です。
そして都築から命ぜられて憂木が調査してみると……やはりいたのです。
その男はセルゲイ・イワノフ。
プーチンが首相になると同時に安全保障会議事務局長に出世した、プーチンの片腕にして同胞……いや、それ以上の存在と言える男なのです!
イワノフの存在を知った堀総理は、プーチンに直接こんなことを言いました。
都築を、あなたの最も神話慰するイワノフ氏にあわせてやって欲しい。
イワノフの存在を知ったことに感心したと言うのでしょうか。
見事都築はイワノフと会談し、領土問題に関する段階的解決案が見えてきたのでした。

その話を聞いた高村の顔色が変わります。
いったい憂木はどう言うルートでイワノフがプーチンの参謀だと割り出したのか?
そんなことを聞いてきたのです。
憂木はすこし考えるような顔をしますが、程なくしてあっさりと答えました。
モサドだ、と。
モサド……イスラエル諜報特務庁。
その答えを聞いたときに、あの普段は冷静な高村があからさまに驚きの表情を浮かべたではないですか!
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それに違和感を感じた憂木ですが、高村はすぐに何事もなかったかのように取り繕いました。
しかしやはり高村が驚いたのには理由があったのです。
その理由は程なくしてわかることになります。

後日、いつものように取り調べに向かう憂木。
いつもの部屋に入れば、いつものように取調べが始まる、と思いきや……
その部屋には
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高村が1人いるだけ!
他の人物がいないどころか、パソコンや資料の類、果てはメモなどの細かなものに至るまで何もなかったのです!!
そして高村は言うのです。
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「これで憂木衛の捜査はすべて終わりです。」と!
一体何がきっかけで取り調べが終わったのでしょうか?
とにかく物語は新たな舞台へと移行するのです!!

というわけで、取調べ編が終わった本作。
これからは舞台を裁判所へ移し、憂木は公判で戦うことになるのです。
とは言え、物語の骨子は変わりません。
政治の裏側の闇、泥沼を描きながら、ゆれない信念で勇気が戦っていく様を描いていきます。
大きな違いは裁判所に出ることによって、新たな登場人物が必然的に現われること。
新たな検事や裁判員、そして本格参戦する憂木の弁護士。
そして裁判を傍聴する人々もいるわけで、その「眼」を意識した戦いも必要となるわけです!!

本巻の中でもう一つ注目したいのは、あの某レスラー議員をモデルにした
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アーマンド猪熊の話題!!
一般的にはアレな議員としての見方が多いでしょう彼ですが、本作で描かれる彼の活躍っぷりはさすがといってしまいそうなものばかり!
プロレスファンはもちろんのこと、ビンタするおっさんと言うイメージしかない人も、思わずにやりとしてしまう裏側が描かれるのです!!

戦いの場を新たな舞台に移す、「憂国のラスプーチン」第5巻は全国書店にて発売中です!!
裁判所と言う今までとは勝手が違う舞台で、冷静に戦いを進められるのか。
憂木の奮闘に期待がかかりますが……?
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


憂国のラスプーチン 5 (ビッグ コミックス)
小学館
2012-08-30
佐藤 優

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