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本日紹介いたしますのはこちら、「イマワノキワ」です。
ぽるぷ出版さんのフレックスコミックスより刊行されています。

作者はうえやま洋介犬先生。
うえやま先生のほか作品の紹介は、「誘怪犯」「誘怪犯 紅」 「妖幽戯画~おどろ怪異譚」それぞれの記事にて紹介しています。
よろしければそちらも併せてご覧くださいませ。

さて、本作は数ページのショートホラーコミックを集めた作品となっています。
怪談を食べるという謎の女性、忌野奇話(いまわの きわ)が、様々な人物に出会って彼らが体験した怪談を食べていく。
その結果として怪談を語った人々は、その怪談の結末に遭遇することになってしまうのですが……
全22編を収録している本作の中で、今回紹介したいのは「破棄堕目ニ散~ハキダメニチル~」。
しつけのために思わず口からついて出た言葉が、思わぬ方向へと転がっていくお話です!

公園を歩く母娘。
彼女達の前で、とても褒められたものではない光景が繰り広げられました。
殺虫剤か何かの、スプレー缶。
それをためらいもせず公園の空き缶入れに投げ込んだ男がいたのです。
純真なお子さんである娘さんは、あの人ジュースじゃないの捨てたよ?とすぐさまお母さんに尋ねるのですが、相手は体格のいい若い男。
面と向かってしかりつけてもなにをされるかわからない昨今ですし、お母さんは「真似しちゃダメよ」とムスメをたしなめることくらいしか出来なかったのです。
ですがそれだけではパンチが弱いと思ったのでしょうか。
お母さんはその場で考えたでまかせを付け加えます。
ジュースのゴミ箱に違うゴミを捨てたら、怖いお化けが出る、と。
もう子供だましと言う言葉がそのものピッタリなでまかせではありますが、相手は子供さんですから問題ありますまい。
怖い、自分は捨てないようにしよう。
そんな反応が返ってくるのをお母さんは予想していたはずです。
ところがそこで帰ってきたのは
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知ってるよ。「ポイちゃん」が怒って来るんだよね?と言う言葉だったのです!!

娘さんは饒舌に語り続けます。
ポイちゃんは女子高生だった。
でも、殺されてジュースのゴミ箱に捨てられてしまったんだ。
ポイちゃんにとってジュースのゴミ箱は聖地。
だから間違ったことをすると、その夜怒って現れるんだ……
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いきなり娘がそんなおそろしげな話を始めたことに驚きを隠せないお母さん。
そんな話を一体どこで、誰から聞いたのか?
そんな疑問を持つことは自然と言えるでしょう。
ですが娘は答えるのです。
さぁ、わからない、と……

一体娘はこんな話をどういう経路で知ったのか。
いや、もしかしたら知らないのかもしれない。
人ではない「何か」が娘の口を借りて言ったのではないか……?
そんな不安はどんどんと膨れ上がるばかりです。
たまらず奇話に相談をしたお母さんですが、そんなことは奇話にもわかるはずがありません。
ですがいくら出所のわからない恐ろしい話とは言え、生活のルールを正しく学べたと言うことはまちがいないわけで。
お母さんは不安を抱えたまま家に帰るしかないのでした。
その帰り道。
あの公園のあのゴミ箱の前を通りがかりました。
いくらなんでも、あのお話は出鱈目に決まっている。
そう自分に言い聞かせながらも、自然と視線は缶を投入する穴へと向かいます。
するとそこに……あったのです。
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缶の中に埋もれている、手が。
そして、苦悶の表情で息絶えている、あの男の亡骸が……

と言うわけで、でまかせが真実を呼んだエピソードを収録した本作。
このお話は現在、フレックスコミックスさんのサイトで公開されていますので、ご自身の眼で確認していただくのもよろしいのではないでしょうか!
このお話はそうでもありませんが、他のお話は簡単に言うと「後味が悪い」ものばかり!
救いのないお話、取り返しのつかないお話。
そんな部類のお話がお好きな方ならばより一層楽しめる作品になっているのです!!

もともと週刊少年チャンピオンにて連載されていた本作ですが、秋田書店さんが単行本を出さないのはままあること。
本作はよい縁があった様でフレックスコミックスさんから単行本発行の運びとなりましたが、それに当たって連載分の他、未発表作4作が収録されています。
今回紹介したお話もその一つですが、最終話となるお話で謎過ぎる存在だった奇話の招待が僅かながら明かされることになります。
連載が突然終わってしまった感のある本作ですが、これにてきっちりと完結となっているのです!!

後味悪さ満点、「イマワノキワ」は全国書店にて発売中です!
恐怖が多数で襲い掛かる本作。
現実的なものからファンタジー風味なものまでさまざま取り揃えております!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


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ほるぷ出版
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