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本日紹介致しますのはこちら、「怖すぎる永井豪」です。
徳間書店さんのトクマコミックスより刊行されました。

作者はもちろん永井豪先生。
永井先生の先生自筆による作品の紹介は、「永井豪」のテーマにてまとめさせていただきました。
よろしければあわせてご覧くださいませ。

さて、本作は永井豪先生が描いてきた数多くの作品の中から、「怖い」作品ばかりを選りすぐって収録している短編集です。
永井先生と言えば、エロスなお話から馬鹿馬鹿しいギャグ、熱血アクションから背筋の寒くなりお話まで本当に様々な作品を描いていらっしゃるのは皆さんご存じかと思います。
そしてそんな作品のなかで、「恐ろしさ」が際立つ作品として有名なのは恐らく「デビルマン」ではないでしょうか。
ですが短編の中で最も有名な怖い話と言えばやはり「ススムちゃん大ショック」でしょう!
そんなわけで今回は、本書で先頭に配置されている本作を紹介したいと思います!

泣きながら地下下水道を走る少年、ススムちゃん。
なぜこんなことになってしまったのか?
思い出すのも恐ろしい、恐怖の惨劇。
それでもススムちゃんは、その光景を頭に思い起こさずにはいられないのでした。

朝、学校に行こうと家を出たススムちゃん。
ですが真っ直ぐ学校に行ってしまうと、ちょっと早くつきすぎてしまうんだそうで。
公園ですこし遊んで、時間を潰すことにしたのです。
ブランコを漕いでいると、小さい子供と遊んでいる母親が二組いることに気がつきます。
高い高いをして子供をあやしている母親。
ですがその時、突然眼を疑うような事件が巻き起こったのです!!
その母親、高い高いと頭上まで持ち上げた我が子を
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思い切り地面に叩きつけたのでした!!
その様子を見ていた、もう一組の母子の子供が驚愕し、自分の母親を振り返ります。
ですが待っていたのは、
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笑顔のまま容赦なく叩き込まれる蹴りです!!
幼子には強烈過ぎる攻撃を受け、その二組の子供は絶命してしまいました。
とんでもない光景だと言うのに、我が子を殺めた母親二人は、表情一つ変えずに世間話を続けているではないですか!
慌てて警察に駆け込もうとするススムちゃん。
しかしそのたよるべき警察官のいる交番では

その時まさに子供が射殺されていたのです!!
街を見てみれば、また別の子供が車にひき殺されており……
この光景を見て、ススムちゃんは思い知らされます。
これは殺人事件なんて生易しいものではない、「異変」なんだ。
なぜかはわからないけど、大人たちが僕達子供を殺しはじめているんだ!
この異変を知らせなければ、友達たちは皆殺しにされてしまうかもしれません。
懸命に走ったものの……やはり間に合うはずもなく……
校門前までだ取り付いたとき、鼻をついたのは猛烈な血のにおい。
そして耳を劈くのは、友達の悲鳴だったのです……!!

中川くんの、斎藤くんの、木村さんの。
多くの友達の悲鳴と、先生達の笑い声。
恐怖にかられて逃げ出し、地下下水道にたどり着いたと言うわけです。
どうしていいかわからず、下水道で泣き暮れていたススムちゃん。
そんな彼の方が、突然叩かれました。
思わず叫んでしまうススムちゃんですが、幸いにもそれは大人ではありませんでした。
友達ののぼるくんと東間くんでした。
どうやら彼らも大人の異変をいち早く察知し、この下水道に逃げ込んできたようです。
ですがもちろん彼らもまた、細かい事情なんて知るはずもありません。
幸い東間くんがラジオを持っていましたので、これで情報を集めようと言うことになりました。
三人は2時間ほどラジオを聴き続けます。
国際ニュース、政治のニュース、スポーツニュース、芸能ゴシップ……
様々な事件が報道される中……子供が殺されると言う事件に関しては何一つ触れられないのです!
なぜあんな大事件が報道されないのか?不思議がるススムちゃんと東間くんですが、のぼるくんには合点が行ったようです。
ニュースでやらない理由は一つだ。
それは、あの事件がニュースになる価値がないからだ!
そんな予測を突きつけられて、そうだと納得できるはずもありません!
大人が子供を殺すなんてことがニュースにならないわけがないじゃないか!とススムちゃんは反論するのですが……
のぼるくんはとどめの一言を告げるのです!
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「ネズミやゴキブリを殺してもニュースにはならない!」

糸が切れたんだ。
親と子を繋ぐ、一本の糸が。
のぼるくんはそう言います。
親が子を育てるのはなぜなのか?
かわいいからか?将来養ってもらうためか?
いや、違う。
恐らくそれは、本能によるものだ。
そしてその本能の見えない、細い糸が切れたんだ……!
そうなればもう苦労して子供を育てる理由なんてない。
当たり前だと思っていた親子の関係は、たった一本の糸によって支えられていたんだ……

夜になりました。
おなかがすきましたが、ここはもっとガマンして大人たちが寝静まるのを待つほかありません。
ですがそんなのぼるくんや東間くんを尻目に、ススムちゃんはフラフラと立ち上がり、家に帰ると言い出したのです!
まだわからないのか、帰ったら殺されるぞ!
必死に止めようとするのぼるくんですが、ススムちゃんは虚ろな瞳のまま、ボクのママだけは違うんだ、と絶叫。
裏切られてもいい、殺されてもいい、それでもママを信じたい。
ススムちゃんの揺らがない決意を知った二人は、涙を流しながらも握手を交わし、ススムちゃんを送り出しました。
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夜の街を、大人に見つからないように走るススムちゃん。
何とか家にたどり着くと、そこには夕食の支度をしているお母さんが居ました。
いつもと変わらない様子のお母さん。
おそるおそるススムちゃんが「ただいま」と声をかけると、お母さんは最高の笑顔で出迎えてくれたのです!
……が……

というわけで、突如として世界の歯車が狂う本作。
いつもはコミカルな作品を描く永井先生が時折描く、容赦のない恐ろしさが描かれています!
突きつけられる理不尽な恐怖は、読者を言いようのない恐怖に陥れてくれること間違いなしです!!
そしてこの他にも恐怖の短編が12編収録!
正統派のホラー「遺品」「雪」「乳房の思い出」、不条理な恐怖「蟲」「変身」、ほか作品を原作やモチーフにした「野牛のさすらう国にて」「シャルケン画伯」、単行本初収録にして実写を取り入れた超意欲的ショート漫画集「豪ちゃんのふしぎな世界」……
そんな中でも注目したいのはやはり前述の「ススムちゃん大ショック」、そして「おちこぼれクン」でしょう!
ホラーでもサスペンスでもないこの作品、人死にこそあるものの、それは決して血なまぐさい惨劇のようなものではない事故でしかありません。
そんな事故しかないにもかかわらず、淡々と描かれる永井先生の「容赦のなさ」。
もしかしたらこの作品こそ最高に怖い、と感じる方もいるかもしれません!
このなんとも言い難いおそろしさは、是非とも体験していただきたいです!!

永井先生のエネルギッシュな恐怖漫画が収録された、「怖すぎる永井豪」は全国書店にて発売中です!
エロスやコメディ、ロボット漫画でしか永井先生を知らない方にこそ読んでほしい本作。
コミック文庫ですので、お探しの際はお気をつけください!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!


怖すぎる永井豪 (トクマコミックス)
徳間書店
2012-07-03
永井 豪

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