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本日紹介いたしますのはこちら、「藤子・F・不二雄大全集 チンタラ神ちゃん」です。
小学館さんより刊行されました。

大好評刊行中の本大全集は、「藤子・F・不二雄」のテーマにて紹介記事をまとめておりますので、よろしければそちらも併せてご覧くださいませ。

さて、本作はF先生作品の中では比較的スタンダードな超能力もちの人外生物が騒動を起こす日常モノです。
F先生作品の、とはいったものの、本作は藤子不二雄A先生との共作。
そのこともあり、A先生テイストも非常に濃く出ている作品になっているのです!!

本作が連載されたのは67年、「少年ブック」誌。
少年ブックは59年に創刊されましたが、いまひとつ人気が出ずに69年に別冊少年ジャンプと東郷と言う形で消滅してしまった雑誌です。
その末期近くに連載していたと言うこともあってか、最終回らしい最終回も存在しないまま本作は終わってしまっています。
じゃあ面白くないのかと言いますと、もちろんそんなことはありません。
F先生らしいとぼけた世界観と、A先生らしいドギツイ個性を併せ持った、特殊な楽しさを誇る作品なのです!!

なにやらどこかへ急いでいる少年、ジロー。
道中、ガキ大将のダンプに野球の練習に誘われるのですが、さっさと袖にしてどこかへ走り去っていきます。
何か妙なものを感じ取ったダンプ、子分二人を伴ってあとをつけるのですが、ジローは敏感にそれを感じ取り、秘密をばらさないように気をつけるのでした。

ジローの秘密とは、自慢の秘密基地の存在でした。
がけの中に開いている洞穴は、中にはいっていくと結構大きな空洞に繋がっていまして。
その中に漫画やらおもちゃやらを持ち込んで、小学生が一人で作ったにしてはナイスな秘密基地を作り上げていたのです。
大岩で隠していた入り口をそっと開け、中にはいるとすぐふさぎなおして存在を隠蔽。
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楽しい1人の時間が繰り広げられるぞ!!と中にはいっていくのですが、なにやら秘密基地の様子が変です。
物の配置がかわっていますし、色々お気に入りのおもちゃなんかを入れていた宝箱の中身がすべて出されていて、代わりにバナナの皮が入っているのですから!!
落書きもたくさんされていますし、ここに勝手にはいったやつは相当程度が低いなとあたりをつけるジロー。
早速犯人を捜したいところですが、ダンプたちの話し声が近づいてくるのに気がつきます。
このままでは見つかってしまうかも、と考えたジローは敢えて姿を現し、ダンプをまったく見当違いのところにおびき寄せてごまかすことにしたのでした。

結局ダンプにとっつかまり、喧嘩になってボコボコニされてしまったジロー。
ですが体を張ったその行為のおかげで、何とか秘密基地の秘密は死守することが出来ました。
痛みをこらえながらも死守できたことに笑みを浮かべ、基地に戻るジロー。
するとどうでしょう。
洞穴の中だと言うのに、基地内に雨がふっているではありませんか!!
不思議に思っていると、やがて雨は止んでかわりに暖かな風が吹いてきます。
その風の向こうに現われる謎の人影。
誰抱き身は、と思わずジローが声をかけると、その人影は
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シャワーを浴びているところにノックもせずはいるとは無礼だ、と言いながら姿を現しました!!

チンタラなどと口走る、丸っこい顔の彼は自称神様だとか。
ですがジローは秘密基地を勝手に侵されて我慢なりません!
ぽかぽかと殴りつけていると、いつの間にかその自称神はチンタラチンタラと唱えながら煙のように姿を消してしまいます。
やっといなくなったかと、ジローが荒れ果てた部屋の掃除をしているとそこにまたまた変な人が現われます。
ボロボロの服をまとったしょぼくれたおっさん……自称ビンボー神です!
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どうもほんとにこの人は神様みたいで、彼がうちわで扇ぐと仰がれたものは何でも中古品になってしまい……
うちわの風を受け、ボロボロの服を着替えに一旦帰宅するジロー。
着替えた後慌ててとんぼ返りすると、今度はたれ目で口のでかいおっさんをくわえ、チンタラの人とビンボー神との三人でパーティーをしているではないですか!!
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どうやら新顔のおっさんは福の神のようです。
ですがもうジローにとってそんなことは関係ありません!!
出て行けとばかりに飛び掛りますが、チンタラの人に雷を落とされたり嵐で吹き飛ばされたりもう散々。
とどめにはなった雪攻撃は、寒くてイヤだと仲間割れを誘発してくれたのでジローは助かったのですが……

ところがここで新たな脅威がやってきてしまいます。
慌てていた為に基地の入り口をふさぎ忘れ、ダンプ達が侵入してきてしまったのです!
このままでは機知がメチャクチャにされてしまう!
そこでジローは、やむなくこの基地を半分貸し、チンタラの人を神と敬うと言う約束で三人の自称神と契約!
チンタラの人の神通力で、見事にダンプを追い返したのでした!!
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と言うわけで、チンタラ神ちゃんとビンボー神、福の神トリオとお近づきになったジローの日常を描く本作。
基本的に神ちゃんは万能なのですが、気分野だったり見栄っ張りだったりするのでジローはどうもその恩恵にあずかりきれません。
しかもこのジロー、なかなかに腹黒いやつでして、神ちゃんの陣ついいり気に恐れをなしたダンプや不良なんかをバカにしきったりもてあそんだりするのです!!
ビンボー神は基本いい人なのですが、ついうちわで物を中古にしてしまったりして厄介がられてしまいがち。
福の神も何でも新品に出来たり、一日一枚小判を出せるなどと言うすごい能力を持っていながらイマイチ活用しきっていなかったりと、どのキャラも個性豊かでどこか抜けているのです!

F先生のものなのか、A先生のものなのかはわかりませんが、とにかくぶっ飛んだシーンがちらほらと見られるのも本作の特徴。
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頭をうった神ちゃんがクルパーと言いながらみんなの頭を叩きまわったりすると言う、色々アレなエピソードも楽しめます!
オマケに擬音や叫び声が「ドヒー!」「ウヒャー!」のA先生節なのですからインパクトも一層増大!
思わず引き込まれる作品に仕上がっているのです!!

神様トリオとジローが織り成す大騒動、「藤子・F・不二雄大全集 チンタラ神ちゃん」派全国書店にて発売中です!
本大全集で初となる全話収録、そして36年ぶりの単行本刊行となる本作。
非常に手に入れづらかった作品だけに、待ちわびた人も多いはず!
待った人もそうでない人も読むしかありませんよ!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


藤子・F・不二雄大全集 チンタラ神ちゃん (藤子・F・不二雄大全集 第3期)
小学館
2012-06-25
藤子・F・ 不二雄

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