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本日紹介いたしますのはこちら、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん」第6巻です。
小学館さんより刊行されました。

大好評刊行中の本大全集の紹介記事は、「藤子・F・不二雄」のテーマにてまとめさせていただいております。
よろしければあわせてご覧くださいませ。

さて、笑いあり涙ありの冒険が描かれる大長編をまとめてきた本シリーズ。
「のび太の創世日記」、「のび太と銀河超特急(エクスプレス)」、そしてF先生がお亡くなりになってしまった、96年に連載を開始した「ねじ巻き都市(シティー)冒険記」の三作品が収録され、今巻を持って大長編は完結となります。


はじめに収録されているのは「のび太の創世日記」です。
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のび太は大空に向かって嘆きの雄叫びを上げておりました。
今こうして学校や宿題に追われる辛い毎日を送らされているのは、全部あの二人が悪いんだ。
意味不明の嘆きを聞きつけ、ドラえもんもたまらずのび太に事情を聞いてみました。

どうやらのび太が悪態をついていたのはあの神話の二人、アダムとイブのようです。
ぶっちゃけますと、やつらが知恵の木の実なんて食べるから楽園を追われてしまったんだ!といいたいようです!
まあ確かに一日中遊んで食べて、男女でキャッキャしているだけの毎日はちょっとうらやましい気もしますが……
あくまで神話のお話なわけで、力説するのび太の横でドラえもんはしらけるしかないのでした。

ですがいまはそんな世迷言を言っている場合じゃないのです。
夏休みも半ばを過ぎたと言うのに、のび太は夏休み最大の敵とも言える宿題、そのボス格である自由研究にまったく手をつけていないのですから!!
いつもの面子はなんのかんのと順調に宿題を進めているようで。
のび太は困り果てたすえ、奇策を考案!
未来の自分の部屋に行き、完成しているはずの自分の宿題を写してしまおうと考えたのです!!
もしその未来でも宿題をやっていなかったら……?と言う不安はありますが、まあとにかく行ってみないことにはしょうがありません。
とりあえずタイムマシンに乗り込むのですが、いつもの超空間の様子がなにやらおかしいのです。
大きなタイムパトロールの船が姿を現し、のび太のタイムマシンを止めて、職務質問的なことをしてきたのです!!
いきなりの展開にきょとんとするのび太ですが、その質問に答える前にサイレンが鳴り響きました!
そしてアナウンスされる、密航タイムマシンらしきものが現われたと言う言葉!
それを聞いたタイムパトロールは、慌ててそちらのほうへ向かっていってしまったのでした。

結局のび太は自分の宿題を見ることはしませんでした。
タイムパトロールの物々しさに怯えたから……ではなく、丁度未来デパートの宅配人に出会い、荷物を受け取ったからです。
それは結局世話を焼いてくれたドラえもんが取り寄せてくれた、未来の自由研究用アイテムでした。
「創世セット」。
神話の神よろしく、新たな世界を作り出してしまうと言う超優れもののアイテムなのです!!

楽しく世界作りをするのび太。
ですが珍しくドラえもんのミスによってジャイスネあたりも巻き込んでしまい、結局いつもの4人で世界を作ることになるのです。
適度に地球に刺激を与えたり、進化を促すように進化を促す光線を魚に浴びせてみたり、原始人の生活を見守ったり……
この創世の様子を記した自由研究が先生に認められるのかはちょっと疑問な気もしますが、まあのび太たちの先生も懐の広い方なので大丈夫でしょう!
楽しく順調に世界を作っていくのですが、なにやら気になる存在も見え隠れするのです。
創世セットの自慢話とかを何も考えず別の友達とか西てま和ているジャイアン。
そのジャイアンの様子を、物陰からカマキリのような謎の生物が監視していて……!
果たしてこの謎の昆虫人は何者なのでしょうか?
気になる密航タイムマシンの正体は?
そして、のび太たちの作り上げたもう一つの世界はどういった世界になるのでしょうか!!


2番目に掲載されているのが「のび太と銀河超特急(エクスプレス)」です。
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行き先不明の電車旅行が楽しめる、ミステリートレイン。
そのチケットが三枚入手できた、あと二人誰にしようかな……と、いつもの自慢をするスネ夫。
いつもならばのび太だけはぶられて「ドラえも~ん!」となるところですが、今回はのび太の様子が違いまして。
ミステリートレインなんてどうでもいいとスネ夫の自慢をシャットアウトし、ドラえもんを見なかったかと尋ねてくるのです。
何でもドラえもんがもう3日を家に帰っていないそうで。
交通事故とか、悪者にポケットを狙われるとか、そんなトラブルに巻き込まれていないかと心配でならないようで、彼に何かあったら僕は……と、のび太はすすり泣くのです!
そんなシリアスな様子を見て、さしものスネ夫たちも自慢話のムードを収めてシュンとなってしまいます。
一転して三人はあのドラえもんに滅多なことなんてないよと力づけてくれたのでした。

日がくれるまでドラえもんを探し回っても芳しい成果が得られず、のび太は気の沈んだまま自宅へと帰ります。
すると、ドラえもんはなんか家に帰ってきてました。
こんな時間までどこに行っていたのとけろっとするドラえもんに、それはこっちの台詞だと起こった直後、心配したよと泣きつくのび太。
ドラえもんはそりゃ悪かったと言いながらも満面の笑顔。
なぜかといえば、いなくなった三日間ずーっと並んで、未来で物凄い大人気のミステリートレインの切符を手に入れたと言うのです!!

スネ夫に軽く自慢返しをし、そっちのミステリートレインと日程が重なってて残念だと笑って旅行に出るのび太たち。
このミステリートレインは、宇宙を巡ってどこかの目的星までゆったり進む、銀河ミステリートレインです。
やってきた汽車に乗り込みますが、なぜかお客さんどころか車掌さんの姿も見えないもぬけの殻。
不安になるのび太たちですが、木星を通過するころようやく車掌が姿を見せました。
車掌は本社のほうに用事があって少し席を外していたとのこと。
そして他のお客さんも600人くらい乗っているとのことですが、3万8000光年を5日間、と言う長旅の為に個室で」やすんでいたり、どこでもドアで用足しに行っていたりするのだろうと言うことです。
他のお客さんの姿もちらほら見えはじめ、安心した二人。
ワープのための超空間にはいってしまったため景色が楽しめなくなってしまったこともあり、その日は各自の部屋で眠ることにしたのでした。

翌日、結局こっちに連れて行ってくださいと頭を下げたジャイスネしずちゃんを招きいれ、いつもの面子でミステリートレインのたびを楽しむことになりました。
各自備え付けのゲームをやったり、車内放送のアニメを見たり、銀河の誕生を描いた学習ムービーを見たりして旅を満喫。
そのどれもに乗り切れないのび太は、ドラえもんは何しているかなとフラフラします。
そんなのび太には、一つ懸念がありました。
なぜか今までこの列車内で、忍者だのドラキュラだの、不思議な曲者をちらほら見かけていたのです。
するとどうでしょう。
スネ夫も部屋から飛び出してきまして、海賊が出たと言い出すのです!
オマケにジャイアンも恐竜が出たと這々の体で部屋を出てきて……
一体この列車はなんなんだろう。
3人はドラえもんを探してまわるのですが、その時列車内に緊急事態を告げる汽笛が鳴り響いたのです!!

なんと凶悪な盗賊団、ダーク・ブラック・シャドウ団がこの列車をねらっているとのこと。
各自部屋にこもってかぎでもかけてお祈りしてくれ、と無責任なことを言う車掌さん。
列車は小惑星軍の中を急旋回しながら進み……
そしてその物陰から、件のダーク(略)団らしき宇宙船が現われ、熱戦を照射してきたのです!!
続々現われるダー(略)団の宇宙船!!
果たしてのび太たちはこの緊急事態を乗り切れるのでしょうか?
そしてこのあと、自体は思いも寄らない方向へと急展開!!
もはや恒例となった、世界の命運をかける戦いへとむかっていってしまうのです!!


そして大トリに収録されているのは「のび太のねじ巻き都市(シティー)冒険記」。
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本作は少々特殊な作品となっておりまして、本巻の解説を書かれている、当時の藤子プロ所属の漫画家、麦わらしんたろう先生が描いております。
連載第1回の、1色ページから「キャラの顔にペン入れされていない原稿」が渡されたとのことで、その第1回目、第2回目はF先生のアドバイスを受けながらペン入れをされたんだそうです。
そして、第3回目を執筆時にF先生はご逝去。
3回目の原稿は全て下書きがされた状態で用意されていたそうで、むぎわら先生はそのプロ根性に感服しながら原稿を完成させたとか。
ですが問題はその後です。
F先生が遺されたアイディアノートを元に完結まで描くことが決まったのですが、ブロックごとにまとめられた箱書きの上、F先生の特徴的な字は解読にも手間がかかりまして。
何とかその中から、F先生好みであろうアイディアをいくつか拾い上げて、苦心して物語を作り上げたのです。

そんな事情ゆえ、イラスト面では多少の違和感を禁じえない出来となっているこの「ねじ巻き都市」。
F先生自身による作品ではないためでしょうか、後半の展開もやはりすこし弱さを感じてしまうところもあります。
ですが、さすが藤子プロの皆さんが精力を傾けただけあり、F先生テイストをしっかりと感じさせる出来上がりに!
今までの大長編の中でも最大ともいえる大物キャラが登場する反面、敵キャラがすごい小物(強敵ではあるんですが!)と言うギャップなんかも面白い作品になっているのです!

と言うわけで、3作品が収録されて完結となる大長編。
今巻の3作品もそれぞれ題材にしているものが違い、それぞれの味わいを楽しませてくれます。
のび太が新世界の神となる「創世日記」、宇宙の電車旅を楽しむ「銀河超特急」、そしておもちゃの国を描く「ねじ巻き都市」。
どれも舞台や題材は違うものの、わくわくドキドキできる楽しい冒険が楽しめるのは共通しています!
今巻も安心のクオリティを、存分にお楽しみください!!

F先生の遺作を収録した大長編最終巻、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん」大州第6巻は全国書店にて発売中です!
ドラえもん達の活躍が長編で楽しめる本シリーズもとうとう完結。
F先生の最期の作品も含め、見所満載ですよ!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 6 (藤子・F・不二雄大全集 第3期)
小学館
2012-05-25
藤子・F・ 不二雄

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