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本日紹介いたしますのはこちら、「最底辺の男-Scumbag Loser-」第1巻です。
スクウェア・エニックスさんのガンガンコミックスJOKERより刊行、月刊ガンガンJOKERにて連載されています。

作者は山口ミコト先生。
山口先生は06年にガンガンの漫画賞を受賞しデビュー。
その後読み切りなどを発表した後、その中で好評を博した「死神様に最期のお願いを」を09年より連載。
11年に同作を連載終了し、本作の連載を開始しました。

さて、本作はホラー漫画となっています。
得体の知れないものと出会い、そのものと遭遇した主人公が命の危険に晒される……という、構成自体は比較的スタンダード。
ですがもちろんそれだけの作品ではありません。
まずその主人公像から独特の味付けがなされているのです!

村井雅彦。
ふくよかすぎる体系にくわえ、根暗で……いわゆるいじめられっ子です。
いじめられる人は本人にもいじめられる原因がある。
正しいか間違っているかはおいておくとして、彼の趣味を見るとなんとなくその言葉が思い浮かんできてしまうのです。
たまたま見かけた、村井がクズだ、「最底辺」だと認定した人を携帯で撮影。
その画像を見て、クズ特有の臭いがする、生きていても仕方がない、と見下す……
それだけならまだしもその最中、村井の部屋中に写真が貼られた「遥」なる女性のものらしい下着の匂いをかぎ続ける、と言う趣味を!!
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クラスのいじめっ子的ポジションの男子に頭を踏みつけられ、媚びることを強いられる村井。
ですが彼は、そんな苦境の中にも一筋の光明を見出していました。
頭を踏みつけられるどころか、靴をなめさせられている……クラスの「最底辺」、山田の存在です。
踏まれるだけの自分、上履きをなめさせられている山田。
この差は大きい、と村井は自分を鼓舞していたのです。

ところで、村井には別の趣味、と言うか嗜好と言うか、特技のようなものがありました。
それは、何かとモノの匂いを嗅ぎ、それをかぎ分けると言うものです。
そんな村井によれば、山田の臭いはあらゆる悪臭を混ぜたような奇跡のブレンドスメルなんだとか。
愛好家からすれば芸術品ともいえるその臭いですが、一般の人からすればただの悪臭に過ぎない。
そんな自分を越える悪臭もちだと言うことも、山田が「最底辺」であるとの認識を強めさせているのでしょう。
そんな彼をいつものように撮影しまくる村井。
ですがそんな時、山田から衝撃的な言葉が発せられたのです!!
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「彼女が出来た。」
しかもその証拠としてみせてくれた画像にうつっていた彼女は、なんだかすごく美人じゃないですか!
こうなるとクラスのみんなも俄然興味が湧いてきます。
いきなりそれは誰だと聞き出すためにちやほやされはじめる山田。
美人の彼女もちとなれば、うらやむのも若い男子高校生からすれば当然のこと。
そうなれば自然に彼のヒエラルキーは上昇するわけで。
となれば、クラスの最底辺は……村井のものに?
それだけは絶対に避けなければならない!
そう考えた村井は、咄嗟に例の「遥」の画像をみせ、僕の彼女だとうそをつくのです!
山田の彼女よりかわいいな、とクラスの興味は分散。
この「遥」ですが、どうやら数年前までこのあたりに住んでいて引っ越してしまった「水沢遥」なる人物のようで。
当時のことを覚えている佐藤と言う女子もいましたが、幼馴染だから遠距離恋愛している……となんとか村井は言い逃れしました。
が、当然画像だけ見せられて信じきるほどクラスのみんなも甘くありません。
どっちが彼女の存在を完全に証明できるか?
そんなを勝負することになってしまうのです!!

ところがこの勝負、翌日早々に決着がついてしまいます。
なんとその水沢遥がこのクラスに転校してきた上……
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「村井と付き合っている」と宣言したのですから!!

付き合っている二人は、学校の帰りにファミレスによって生きます。
そこで村井は単刀直入に質問をするのです。
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「君は誰?」と!!
私は水沢遥だと臆面もなく答える彼女ですが、村井はすぐそれがウソだと否定。
なぜなら、水沢遥が幼馴染であることこそ本当であるものの、彼女は自分のことを嫌っていた。
そして何より、カマをかけるために昔よく食べていたとウソをついたパンケーキを、甘いものが大嫌いだったはずの彼女がどんどん食べているのですから!
そこで遥も観念したのでしょうか、昨日佐藤から電話があって、自分と村井が付き合っているのかと聞かれた、だから最初は付き合っている不利をしてからネタ晴らしをしてからかってやろうと思っていた……と言うのです!
パンケーキの件も、村井のことなどよく憶えていなかったから適当に話をあわせた、とのことなのですが……
それもまた村井は否定!
村井が自慢げにクラスのみんなに見せ、自分の部屋中に引き伸ばして貼り付けていた遥の画像。
それは、村井が子供のころの遥の画像を、今位の齢ならばこうなるだろうと予測して「作った」画像なのですから!!

しかも本物の水沢遥は……5年前に死んでいる。
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村井はそう断言します。
その5年前、遥は行方不明になっているのです。
誘拐の可能性が高いからと言って、当時のクラスメイトには引っ越したと言うことにしたそうなのですが、村井はその犯人を知っていると言うのです。
結局その犯人らしい人物は証拠不十分で捕まらなかったそうなのですが。
ともかく、これで遥が遥ではない事が確定し、遥自身もそのことをほぼ認めたようです。
じゃあそれで、村井はどうしたいのか?
遥はそう村井に尋ねるのですが、村井は躊躇なくこう応えるのです。
どうか僕と付き合ってください!
相手が得体の知れない人物であろうと、「最底辺」にはなりたくないと言う一心であおう懇願する村井。
何でも言うことを聞くから、と土下座をすると、遥はじゃあ足をなめてと素足を差し出してきます。
村井はこれくらいの臭いなら平気だ、とその足をペロペロ。
さらに遥は村井を踏みつけるのですが、村井はこんないい臭いの足に踏まれて幸せだ、とウソとも本気とも取れないような言葉でそれを受け入れます。
最底辺になりたくない。
そのためにら相手は偽者でもいいのか、素性の知れないヤツでもいいのか?
躊躇なくハイ、かまわない、と応える村井ですが……
遥は最後にこう尋ねるのです。
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「人間じゃ…なくても」。
……そんなの小さな問題です。
村井はそう答え……二人の関係は、始まったのです……!

と言うわけで、得体の知れない女性との交際を描く本作。
物語はこれからが本番!
遥の目的は一体難なのか?
その手伝いをすることになってしまった村井は、自分の命を天秤にかけた選択を強いられることになってしまうのです!
果たしてその選択に、村井はどんな選択をするのでしょうか。
物語は第1巻にして、早くも予想外の急展開を迎えるのです!!
何のために村井の想像の産物でしかないはずの遥の姿を模したのか?
そもそもこの謎の人物は何なのか?
気になる謎も満載で、今後が非常に楽しみです!!

恐怖の選択が待ち受ける、「最底辺の男」第1巻は全国書店にて発売中です!
設定の奇抜さだけでなく、数々の謎と、言い知れない恐怖感をしっかりと内包する本作。
主人公の得意なキャラ付けで引き込んだあと、畳み掛けるように襲う恐怖。
ホラー好きのみならずとも楽しめる内容ですよ!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


最底辺の男-Scumbag Loser-(1) (ガンガンコミックスJOKER)
スクウェア・エニックス
2012-05-22
山口 ミコト

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