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本日紹介いたしますのはこちら、「グラゼニ」第4巻です。
講談社さんのモーニングKCより刊行、モーニングにて連載されています。

作者は原作が森高夕次先生、漫画がアダチケイジ先生。
今までの本作のや「ももえのひっぷ」等、森高先生ことコージィ城倉先生作品は、「コージィ城倉」のテーマにて紹介記事をまとめております。
よろしければあわせてご覧くださいませ。

さて、生き馬の目をぬくプロ野球界で、いつ2軍に落とされてもおかしくない「中継ぎ」で奮闘する凡田の毎日を描いた本作。
薄氷を踏むような思いをしながら、日々「仕事」をしていくわけですが、最近の凡田はなんだか調子がよろしいようで。
このままシーズンを戦い抜けば、年棒大幅アップも視野に入ってきていました。
ひょっとすれば、先発ローテーション入りしてしまう、何てことも……?
今巻ではそんな彼に、ある災難が降りかかるのです!

雨の降りしきる球場。
この空模様では、今日行われる試合はよくても5回、ゲームが成立するかどうか危ういところまでしか行えないでしょう。
いつも以上に先制点が重要だ……などとスパイダースの監督達が会話をしていると、そこに緊急の電話がかかってきました。
それは、明日からの試合の舞台となる、名古屋からの電話でした。
前日に現地入りさせ、しっかりと明日の先発に備えさせていたはずの先発予定投手。
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彼がなんと熱を出してしまい、明日の先発は微妙だと言うのです!
明日はけろりと直っているかもしれませんが、もしかしたらこのままかもしれない。
そんな微妙な問題に対し、監督はちょっとした賭けを打ってみることにしました。
幸い(?)今日の試合は短くなりそうです。
ということは、ピッチャー陣は使ってせいぜい2~3人。
ならばと、1人今日の球場入りをやめさせて、今のうちから誰にも見つからないように現地へ直行を命令。
まったく前情報の無い投手を不意に先発に使う、奇襲を仕掛けようとしたのです!
そこで白羽の矢が立てられたのは、最近調子のいい凡田。
こんな便利屋のような使い方をしたら、貴重な左のリリーフである彼がかわいそうだ、と言うコーチもいましたが、監督からすればこれはチャンスでもあるとのこと。
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便利や扱いされると言うことは使えるピッチャーだと言うこと。
そしてその実力あるピッチャーが先発として仕事をすれば、当然先発ローテーション入りも可能性は十分沸いてくるわけで……
にわかに凡田に先発ローテーション入りをかけたテストがかされることになってしまったのでした!!

電話を受けた凡田が、いろいろと考えながら名古屋に向かっていたその頃。
決戦の地であるナゴヤドームで、明日試合を行うワイルドワンズは、モップスとの試合に挑んでいました。
その試合の序盤で起こったとある事件。
モップスの主力選手である梅沢選手が、一塁へのヘッドスライディングをした際に負傷してしまったのです!
復帰までは三ヶ月はかかるだろうと言うその怪我に対し、激論を交わしていたのはワイルドワンズの主力二人でした。
プロは負傷の恐れのあるヘッドスライディングは絶対にすべきではない、と言う主張の冬木。
そしてその意見を否定も肯定も仕切れない出村です。
一試合一試合に全力投球する高校野球と違い、プロ野球の要所要所で力を抜くプレイはつまらない。
そんな意見をするものもいるが、長丁場のプロ野球ではずっと全力投球などしていてはやっていけないし、プロが内野ゴロで全力疾走をしては、エラーなど中々しないはずの同じプロの相手守備に失礼ではないか……という主張をする冬木は、たとえWBCでもヘッドはしない!と豪語しております。
出村はこの冬木の持つ美学を否定も肯定もしません。
ですが、彼自身はこの冬木の美学に心酔しており、プロならばかっこよく決めていきたい!と彼についていく気持ちを胸に秘めていたのでした。
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翌日。
凡田はチームメイトの先発ローテーション投手に、ワイルドワンズの1番2番……冬木と出村を出さないことがまず鍵となるだろうとアドバイスを受けていました。
この先発が、自分のローテーション入りの試金石になることもうすうす気がついている凡田。
いつも以上に張り切っている彼に、まず襲い掛かったのは冬木のセーフティバントでした!
張り切っていた凡田はいち早くボールに駆け寄っており、キャッチしたのは一塁ではなく凡田。
そして凡田はそのまま自らタッチしに行くのですが、そのタイミングは非常に微妙で……
冬木はラインアウトにならないギリギリのラインで身をかわし、何より嫌っていたはずのヘッドスライディングでそのタッチを苦しいながらもかわしたのでした!
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セーフになったものの、一塁へのヘッドスライディングをしてしまったことにショックを受ける冬木。
しかもその直後、凡田のボークギリギリの絶妙な牽制球に慌てさせられた冬木は、再び一塁へのヘッドスライディングでリードから戻ることになってしまったのでした!!
それもなんとかファーストの捕球ミスでアウトだけは逃れられたのですが……!

続く出村。
こちらも凡田の虚をつくためバントを敢行して来ました。
虚を突くということは、もちろん送りバントではなく、一塁走者を三塁まで行かせる気まんまんのエンドランです。
打球は先ほどの冬木のものと同じような形となり、出村も同じように避けながらのヘッドスライディングで辛くもセーフ。
ですが今度は冬木が二~三塁間の中央あたりまで走ってしまっていて、どちらに走っても投げられてしまえばほぼアウトになると言う状態に陥ってしまったのです!
そこで凡田は、ボールを持ったまま距離をつめ始めました。
サードはそれ以上ボールを持つなと凡田にボールを要求してきますが、凡田は1・2番を塁に出さない方がいいというアドバイスを思い出し、この隙に二塁に向かってきている出村もろともにアウトにしようと考えていたのです!
無理にタッチに行かなくてもいいというチームメイトの声も聞こえていない凡田、そのまま冬木をタッチアウト。
出村は二塁へ先ほどのように回り込んでヘッドスライディングをしようとしていたのですが、冬木はアウト直前に「回りこまずまっすぐ足から滑った方が速い!」と出村に叫んでいました。
彼に心酔している出村は、咄嗟にそのまま足からスライディング!
凡田はどうしてもアウトにしたいという意識から、その出村にも自らタッチしようと走りこんでいました!
当然そうなれば発生してしまうクロスプレイ!
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激しい衝突の末、出村をアウトにすることには成功するのですが……
このプレイで凡田は右腕を骨折してしまったのです!!
大事な大事な試合で、そのチャンスを掴もうとあせるあまり負ってしまった大怪我。
完治にはおよそ四ヶ月がかかり……復帰するのはなんと9月、シーズンも大詰めと言うところに!
一大チャンスを一転して大ピンチに変えてしまった凡田、彼はそのミスをカバーするような活躍をすることができるのでしょうか!?

というわけで、凡田が負傷してしまう今巻。
好事魔多しとはよく言ったものですが、誰よりもプロの厳しさを知っている凡田が更に厳しい局面に立たされてしまったのです。
先輩からはクロスプレイでもなければ怪我しない丈夫な体を持っていると慰められたりもした彼、シーズンの大詰めで大活躍をすればまだ年棒アップなどの目はあるはず。
凡田の踏ん張り次第ですが、勝負強いほうではない気がする凡田の性格や、ファームで調整済みとは言えブランクのある一軍での登板が大事な試合ばかりと言うのは不安なところ。
いつも以上の奮闘を期待するしかありません!
そんな彼の前に、怪我のときに参加していた二軍で気になる選手と出会いました。
二軍選手なのに悲壮感がなく、まるで草野球を楽しんでいるかのように気楽にプレイする奥さんもちプレイヤー、樹です。
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凡田の一軍復帰という息詰まる毎日に、彼の物語も絡んでくることになりまして。
凡田とともに、彼の奮闘も楽しめるのです!

チャンスから一点アクシデントに見舞われてしまう、「グラゼニ」第4巻は好評発売中です!
コージィ先生ならではの切り口で描かれる本作。
凡田の先発転向はなるのか、そもそも怪我からの復調はバッチリなのか?
気になる要素を孕んだまま、彼のプロ野球人生は続いていくのです!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


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