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本日紹介いたしますのはこちら、「空が灰色だから」第1巻です。
秋田書店さんの少年チャンピオンコミックスより刊行、週刊少年チャンピオンにて連載中です。

作者は阿部共実先生。
阿部先生は10年に「破壊症候群」でチャンピオンの漫画賞を受賞し、同作でデビュー。
その後ウェブ上で刊行されていた「日刊!浦安」にて「ドラゴンスワロウ」を連載した後、11年に「空が灰色だから手をはなそう」を短期集中連載します。
それが好評を博し、程なく「空が灰色だから」に改題し本格連載開始、単行本発刊の運びとなりました。

さて、本作は主に十代の少年少女に巻き起こる様々な日常を描く作品です。
とはいってもよくある気楽に読める癒し系やギャグの類ではなく、様々な悩みや心の問題を抱えた彼らの、かみ合ったりかみ合わなかったりする日常を描く、独特の味わいの作品なのです!

いい感じにも悪い感じにも心に残る短編が12編収録されている今巻ですが、その中で今回紹介したいのは第6話「今日も私はこうしていつもつまらなさそうな顔してるあいつとつまらない話をして日をすごしていくのだ」。
一見よくある日常漫画のそれに見えるお話なのですが……!

駅のホームで通学に使う電車を待っていた少年、慶太。
そんな彼の元に、眼鏡の少女、あおいが親しげに声をかけてきます。
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ですが慶太はなんて名前だっけ、とつれない返事を返してきまして。
クラスが違うからって名前忘れたの?幼馴染でしょ、と突っ込むあおいですが、慶太はああーとこれまた冷めたお返事。
幼馴染と言うか、小中高が一緒なだけですよね、と続けるのでした。
さらにあおいは突っ込みつつ、高校生にもなって私がいないと駄目なんだから、といいながら慶太のネクタイを直してあげました。
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小学校のとき遠足で、慶太が自分の弁当を落として食べられなくなってしまったときもわざわざこんなこともあろうかと一つ多く弁当を作ってきてあげたこと。
受験前日も願書を忘れてしまい、慌てて届けてあげたこと。
かいがいしく世話をしてあげた思い出を語っても、慶太はそんなこともあったっけ?と首を傾げるばかりなのです。
そんな彼に、あおいはフェアじゃないからといいところもあげました。
小学校の頃、友達がいなくて一人で遊んでいたところ、慶太が声をかけてくれた。
それが出会いだったんだ、というその思い出だけは慶太も覚えているようで。
なんか都合よくない!?とあおいは突っ込まざるを得ないのでした。

やがて電車がやってきます。
あおいが段差に気をつけて、と声をかけても慶太はスルー。
無視かとまた突っ込みを入れていると、慶太はなんだかため息をつき始めます。
朝から何ため息ついてんのとあおいが声をかけると、慶太は疲れた、電車を降りてどこか行きたいともらすのです。
1年からそんなこと行っててどうするんだと突っ込み続けるあおい。
ですが慶太はそれを意に介していないように、
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2人でどこかに行こうかと語るのです。
あおいはそんなツンデレとも取れる発言に顔を真っ赤にし、サボりは駄目に決まってるでしょ、と照れ隠しとばかりに慶太の肩を叩きながら大声を張り上げました。
そんな葵の表情をじっと見つめ、慶太は言いました。
電車内なので静かにしてもらえますか、と!
あおいはまたまた顔を赤くしつつ、アンタがそうさせたんでしょ、敬語ムカつく!と叫ぶのですが……
ここで慶太はキッパリと言い切るのです。
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「ぼくはあなたには話しかけてません」と!!
そんなきたの横には、ショートカットの少女が寄り添っていました。
あおいは一瞬戸惑いの表情を浮かべた後、いつまでふざけてるの、本気で怒るよ、と声を張り上げます。
その大声にびくりと怯えた様子を見せたその少女を指差し、その子は誰なんだ、高校の友達なのか、私は知らない、と息を荒げました。
そんなあおいを刺すような視線で見つめ、彼女は幼稚園からずっと一緒の幼馴染だと言う慶太。
あおいのことは小中高が一緒だっただけで幼馴染だと思っていない。
会話をしたことすらほとんどないのに、急にそんななれなれしく離しかけられても困る……
その言葉を聞いたあおいは、血相を変えて慶太の両肩を掴み、揺さぶりながら叫びます。
急にって、なれなれしいって、しゃべったことがないって何なんだ。
私達はずっとずっと一緒だったのに、慶太こそどうしたんだ。
記憶を失っているんじゃないのか、お願いだから私のことを思い出して!
涙を流しながら搾り出したあおいの言葉に反応したのは、慶太の横にいた少女でした。
私はあなたのことを憶えている、そしてさっき言っていた記憶は間違っている、そう怯えながら少女はあおいの記憶を訂正していきます。
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遠足の思い出も、受験前の思い出も、全て少女と慶太の思い出。
あおいはそれをそばでこっそりと見つめていただけだったのです……!
ですがひとつだけ本当の思い出もありました。
小学生の時、一人ぼっちのあおいに慶太が声をかけたこと……!
実は慶太、その時あおいが抱えていたボールが使いたかったから声をかけたというのですが、一人ぼっちで泣いていた自分に声をかけてくれたあおいにとって、慶太と言う存在が何よりも素晴らしいものに見えたのでしょう。
彼女の脳裏には、それ以来慶太と言う存在が焼き付けられ……
ついには少女と慶太の思い出を、自分のものに書きかえてしまったのです……

いつかこうなると思っていた、慶太を見る目が普通じゃなかった、と泣く少女……本当のあおい。
彼女にありがとう、もういいよと優しく語り掛ける慶太。
その二人のそばで、眼鏡の少女は膝から崩れ落ちながら慶太の名前を呼び続けるのでした……
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というわけで、こういった一ひねりされた日常ものとなっている本作。
この他にもわりとハッピーだったりするお話や、前述のどんでん返しのようなものが用意されたお話、ちょっぴりホラー風味のお話などなど様々なシチュエーションが描かれています。
本作で特徴的といえるのは、どのお話もだれかしらが悩みやゆがみのようなものを持っており、それが物語の描くとなっているところ。
それが読み手に不安や焦燥感、あるいは共感のようないろいろな感情を呼び起こさせ、独特の読後感を生むのです!
すっきりする話からしない話まで、実に様々なお話が展開するこの作品、どんな作品なのか説明するのが大変難しいところ。
是非ともこの読み味は、ご自身で一読していただいて確認していただくのがよろしいのではないかと思います!!

人の心が物語を生み出す、「空が灰色だから」第1巻は好評発売中です!
「心がざわつく」と煽られている本作。
このなんともいえない、なんとも説明しがたい味は読んでみるのが一番ですよ!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


空が灰色だから 1 (少年チャンピオン・コミックス)
秋田書店
2012-03-08
阿部 共実

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