本日紹介いたしますのはこちら、「ハイスコアガール」第1巻です。
スクウェア・エニックスさんのビッグガンガンコミックスSUPERより刊行、月刊ビッグガンガンにて連載されています。
作者は押切蓮介先生。
押切先生の作品は、「押切蓮介」のテーマにてまとておりますので、ご興味等ございましたらそちらもご覧ください。
さて、本作は押切先生が得意とするジャンルのひとつ、90年代のゲーム少年を主役にした作品です。
以前押切先生が描いて来た、「ピコピコ少年」などは、自伝的側面の強い作品でした。
本作でもゲームと共にすごしてきた少年時代の経験は多分に含まれているのでしょうが、今回はそれだけではありません!
先生作品としては珍しく(?)きっちりとしたヒロインを作り、主人公とのラブコメディ的な要素の強い作品になっているのです!!
湾岸戦争勃発、雲仙普賢岳噴火。
日本国内外を問わず大きな事件があった91年ですが、当時の少年達には下手をすればそれよりも大きいかもしれないあるゲームが登場しました。
日本各地に点在する、ゲームセンターをインベーダーブーム以来かもしれない大熱狂に巻き込んだそのゲーム葉…・・・
そう、「ストリートファイター2」が!!
その大ブームは、ハルオのよく行くゲームセンター、マルミヤも例外ではなく巻き起こっていました。
いつものように対戦に没頭するハルオですが、その日はちょっぴり様子が違います。
怒涛の27連勝をおさめる猛者が現われ、ハルオもまたその人物に7勝を謙譲してしまっていたのですから……!!
そんな強敵がどんな顔をしているのかが気になってしまうのはいたしかたのないこと。
体を傾け、対戦相手の顔をのぞいてみれば、そこにいたのは
なんとも可愛らしい美少女ではありませんか!!
しかもその少女、ハルオと同じ6年2組のクラスメイトなのです!!
彼女の名は大野晶。
美少女なだけでなく、成績優秀で運動も出来る上、クラスの皆にも慕われる金持ちの娘……という、クラスのヒエラルキーの頂点に座っていると言っても過言ではない存在です。
そんな彼女が、タバコの臭いが漂うゲームセンターでゲームに没頭しているなんて。
にわかには信じがたいことですが、今まさに喫してしまった8敗目が彼にその現実をまざまざと思い知らせるのです!
後ろで待っていたプレイヤーに席を譲り、ハルオは考えます。
稼動当初からプレイし、「豪指のハルオ」を自称するほど自信のあったスト2。
そのスト2を、いわゆる勝ち組であるはずの大野が、28連勝と言う大勝をおさめている。
それも、玄人好みの難しいキャラクターである、ザンギエフを使って!!
「盛り場に行ってはいけない」と言う学校の目をかいくぐるため、わざわざ隣町まで言って探し当てたこのゲーセン。
学校ではこれ以上ないくらいにくすぶっているハルオの、憩いの場に乗り込んで荒らし放題の大野……
これはこのまま負けを認めて引き下がるわけにはいかない!!
そう考えたハルオは、残された最後のワンプレイで大野を打ち砕く最終手段に出ることにしました。
選ぶキャラクターは……押しも押されぬスト2最強キャラ、ガイル。
研究が進んだ今でこそ、ダルシムのほうが強い説もありますが、稼動から間もない状態ではガイルの圧倒的な、それもわかりやすく使いやすい強さは多くのプレイヤーに最強と認められていまして。
その最強と囁かれていた理由はひとえに、近距離ではしゃがみ中キックで相手を追い払い、一定の距離が取れたらソニックブーム、ジャンプしてきたらサマーソルトキックで撃墜するだけの対応型戦術……「待ちガイル」ゆえ!
現在の格闘ゲームではプレイヤー層も熟成が進み、出来る戦法はどんな戦法をとっても文句を言われる筋合いなどない、ストロングスタイルが浸透しています。
ですがこの時代では、暗黙の了解で取ってはいけない戦法や、使ってはいけないキャラなどが決められているローカルルールのようなものがごく当たり前に存在していました。
その最もメジャーなものがこの待ちガイル。
相手に近寄らなくては話にならない投げキャラであるザンギエフにとっては、100パーセント無理……とまではいかないものの、かなり厳しい戦法です!!
実際、一ラウンド目は難なくハルオが奪取。
2ラウンド目は調子に乗ったハルオが片手プレイをしたために会えなく負けてしまうものの、3ラウンド目は再び両手プレイに切り替えて気を取り直します。
一本ずつ取った状態で迎えるファイナルラウンド。
ここでハルオは、なんとザンギエフにグイグイ近寄っていくではないですか!
最終ラウンドは正攻法で行くのか?と周囲のギャラリーは固唾を呑んで見守りますが、ここでハルオがとった戦法は、相手に隙の小さい業をガードさせ、その直後に投げを仕掛けると言う、
「投げハメ」でした!!
……正直近づいてきてくれる分には待ちガイルを徹底されるよりザンギにとってはまだマシな気がしますが……
それでも初代スト2では完璧なタイミングで投げを仕掛けられると運以外では逃げられない、脱出困難な連携であることは確か。
周囲のどよめきと、対戦相手とのトラブルの危険性をを無視し、ハルオはその戦法を徹底!
見事なドラゴンスープレックスが炸裂し、勝利をおさめた……と思ったその瞬間!!
あの完璧な美少女であると思われていた大野が、思い切り筐体をキック!!
あまりの勢いで大きく動いた筐体で腹を強打したハルオにつかつかと歩み寄り、強力な右フックを叩き込んできたのでした!!
これがハルオと大野、同じクラスの一員なのに交わることはなさそうだった二人の、長くて短い因縁の始まりとなるのです……!
というわけで、スト2をきっかけに親交(?)を持つようになる二人。
基本的に大野はハルオに話しかけることはなく、ハルオはスト2だけでなくファイナルファイトも高いレベルでハイスコア狙いプレイをする大野をやっかんだりしながらも協力プレイやら対戦やらをしていくのです。
当初は大野を単なるにくき相手としか見ていないハルオですが、だんだんとその距離は近づいていきまして。
二人の距離はとある事件と、あるゲーム機……ぶっちゃけますとPCエンジンをきっかけに結構大きく縮まり、なんだか一挙にラブコメ風味を増すのです!!
そして二人がなんだかいい感じになってきたようなこないようなところで、物語は急展開!
まさかの感動のフィナーレが待っているのです!!
……といっても完結と言うわけではありません。
物語は第2巻から中学生編に突入!
装いも新たに、「スト2以降」のゲームのお話を交えた治夫の日常が描かれていくようです!
30歳前後のゲームっ子ならば打ち震えること必至の「ハイスコアガール」第1巻は好評発売中です!
多くのゲームメーカーさんの協力を得て、当時の香りをリアルに漂わせてくれている本作。
前述どおりおさまりのいいところで終わっておりますので、本作が描く年代になじみのない方も試しにと買って見るのもよろしいのではないでしょうか!
大野さんに萌えることも出来ますしね!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!
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