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本日紹介いたしますのはこちら、「藤子・F・不二雄大全集 ベラボー」です。
小学館さんより刊行されました。

大好評刊行中の本大全集は、「藤子・F・不二雄」のテーマにて紹介をまとめております。
よろしければほか作品の紹介もご覧くださいませ。

さて、本作は「まんが王」誌にて68~69年に連載された作品です。
系統としては特殊な能力を持った同居人と共に過ごす日常モノ、ドラえもんタイプに分類される本作。
ですが、70年前後と言うF先生が最も多作だったと言っていい時期のためでしょうか、一風変わった物語作りが試みられているのです!

大体今の世の中にお化けが出てきたり、マントをつけた子が空を飛んだりなんてばかげたことがあると思うのかい?
そんなセルフパロディを織り交ぜて、漫画を全否定する浦島家のお父さん。
どうも一人息子の一郎が漫画大好きっ子なのが気に入らないようで、なんとか漫画を処分させようとしているようです。
ひろげられた漫画を覗いて大笑いしちゃうお母さんはさておいて、このお父さんはこんなものを読むのは時間の無駄だ、もっとホントの勉強をした方がいい、漫画を残らず捨てたほうがさっぱりしない?と語りかけてくるのです。
他のF先生作品のご両親とは違い、捨てるかどうかは一郎がいいと思ったとおりに決めなさいと言い残して去っていくお父さん。
そしてお母さんもお父さんを説得しといてあげるから、とそれほど漫画を否定はしていないようです。
お母さんは話がわかるなぁ、と一郎はとりあえず漫画を避難させようと風呂敷に包んで置き場所を求める旅路に出るのでした。
その姿を見かけたお父さんは、やっぱりちゃんと話せば漫画が駄目ってことはわかってくれるんだ!と大喜びしてしまうわけですが……

その道中、カメに躓いて転んでしまう一郎。
そのかめはにゅっと顔を出し、「気をつけてくれよ」と怒り出しました。
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一郎はすみませんと素直に謝って道を歩き始めるのですが、冷静になって考えると、カメがしゃべってることにびっくり仰天。
ちょっと戻って探すもののカメの姿はなく、気のせいだと気を取り直して友人の代和木くんの家を訪ねるのです。

代和木君は漫画置き場として使わせてくれないかと言う提案を快く受けてくれるのですが、周りの環境がいけませんでした。
代和木くんの兄が受験勉強真っ只中で、それはもう気が立っていたのです!
やむなく別の置き場所を探しに再び旅を始める一郎。
その道中、ガキ大将的ポジションのデカ山をはじめとした友人達が道路で大暴れしており、そんな彼らに一郎は踏み潰されてしまいます。
怒る一郎ですが、デカ山はいつもの遊び場にマンションが建つことになって使えなくなり、気が立っているんだと逆切れ。
物凄い剣幕に気圧され、一郎はなんとかなだめすかすことしかできないのです。
流石のガキ大将も、穏便に済まそうとしているいわれなき相手をはけ口にすることもできず、どこかへ去っていく……のですが、その際先ほどのカメをボール代わりに使っており、小脇に抱えていることに気がつきました。
そのカメが気になることもありますし、何より生き物をボール代わりにするのはどうかなと思った一郎、なんとかそのカメを譲ってくれないかと頼み込みます。
結局のところ、大荷物の漫画の中から何冊か渡すことでそのカメを買い上げることになりました。
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もしカメに感謝の気持ちがあれば、竜宮城につれてってもらって漫画読み放題にならないかな……などと妄想に耽る一郎。
すると、眠っていたらしいそのカメが起き出して顔を出しました。
そのカメことベラボーは、
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しゃべるどころか顔を風船のように膨らませてどこかに飛んで行ってしまったではありませんか!
あのカメは何なんだと考えたらいてもたってもいられません。
一郎は飛ぶように家に帰り、百科事典で調べだすのでした。

その様子を見たお父さん。
勉強に目覚めたんだ、と感心して調べモノを手伝ってくれます。
カメを調べるなら動物図鑑の両生類のページを見ればいい。
なんか間違っている気もしますが、パパの好意に甘えて「二本足で口をきき、空を飛ぶベラボーと言う名のカメ」と素直に調べモノの内容を伝える一郎。
そんな注文をされれば、理屈第一のパパがからかってるのか!?と怒り出すのも無理はありません。
慌てて逃げ出すと、先ほど持っていった漫画に躓いて廊下にばら撒いてしまいました。
まだ捨ててなかったのか、こんなものばかり見てるからそんなカメのでたらめを言うんだと怒り心頭のお父さん。
ホントに見たんだという一郎に対し、じゃあ一時間以内につれて来い、でなければ燃やす!と恐ろしい交換条件を持ち込んできたのでした!!

必死の思いでベラボーを探す一郎。
ですがその最中により一層気が立っていたデカ山に出くわしてしまい、襲い掛かられてしまいます。
なんとか隠れてその場をやり過ごすことのできた一郎ですが、そのタイミングで空飛ぶ円盤を探しているらしいベラボーと出会うのです。
タイミングはともかく、これで助かったと自分のうちに来てくれるようお願いする一郎。
ですがベラボーもタイミングが悪かったようで、すたすたと走り去って言った上、アラヨと言う掛け声と共に地面に吸い込まれて消えてしまったのです!!
またまたベラボーにびっくり仰天した一郎、その場所を探ってみるとそこには何か赤い石のようなものが張り付いています。
ここでベラボーがとんとん跳ねてたな、とその行動を再現してみると、一郎もまた地面に吸い込まれてしまいました!
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その先には物凄く広大なトンネルと言うか建物と言うか、空間が拡がっています。
出口もわからない空間の中で、さまよう一郎。
うっすら涙がにじみ始めたその瞬間、奇妙な音が耳に入ってきました。
その音の聞こえる部屋にはいってみると、そこには見たことのない機械がわんさかあり、その奥ではベラボーが鳴いています。
奇妙な音はベラボーの泣き声だったようで。
事情を聞いてみると、どうやらベラボーは同行していたはずの飼い主の宇宙人と共に地価へこの広大な施設……別荘を作っていたのですが、忘れ物をした飼い主に置き去りにされてしまったようなのです。
しかもその飼い主が戻ってくるのは3万年後……!!
ベラボーは物凄く落ち込んでいますが、一郎もまた漫画が焚書の危機にあるところ。
事情を説明すると、それは気の毒だ、とベラボーは快く同行してくれることになったのでした。

お父さんはベラボーを見てもその存在を信じてくれず、むしろ自分がおかしくなったんだと大慌て。
やむなくベラボーは持ち前の超能力のようなものでお父さんの記憶をいじり、ベラボーのくだりと漫画の件についてのことを忘れさせてくれました。
これにてこの事件は一件落着。
こうなれば気になるのはベラボーの身の振り方です。
あてがないならウチへ来い、友達になろうと提案する一郎。
ベラボーもまたその提案は魅力的なようで、どうせ三万年留守なんだから、と変わりにあの広大な別荘を貸してくれるというではないですか!
あの赤い石は世界のそこかしこにあり、この別荘への出入り口になっているんだとか。
高速で移動できる動く床や、数多くの部屋、思ったものを作り出せる不思議な装置。
そんな数々の胸躍る秘密基地を手に入れ、一郎は声高に宣言するのです!
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「ここでうんとマンガを読むぞ!」と……!!

というわけで、不思議な宇宙生物のベラボーと友達になった一郎。
この出会いのお話は比較的普通のドラえもんタイプのお話の導入です。
ですが違うのはここから。
ベラボーの不思議な力で日常にいろいろトラブルが巻き起こる、と言う要素ももちろんあるのですが、なによりこの秘密基地がお話の大部分を占めるのです!
この秘密基地が町中の子供たちの遊び場となり、一郎はその「少年の町」の町長になることに。
ひとつの特殊な舞台が物語の中心となり、そのリーダーに主人公が就任する。
F先生作品としては実に珍しいシチュエーションの物語となるのです!

この他にも珍しいところが数多くある本作。
理屈っぽいお父さんにおおらかなお母さんなどのほかとは違った設定の両親、一話中の三分の一くらいオバケのQ太郎が出ずっぱりになる、コラボレーション色が強い作品や、少年の町に大人が押しかけてきて商売の場にしようとする生々しいお話……
何より異色なのは、本作は一郎とその両親、そしてベラボー(とQちゃん)以外のほとんどのキャラクターが当時のアシスタントであったしのだひでお先生の筆によるものだと言うことでしょう!
脇役の男キャラなんかは、A先生風味やF先生風味、それに赤塚先生先生のテイストも感じられる筆致なのですが、女性キャラがとにかくしのだ先生独特な画風。
そんなほかのF先生作品では感じられない、本作ならではの味わいを堪能できるのです!!

数あるドラえもんタイプ作品の中でも異色な、「藤子・F・不二雄大全集 ベラボー」は全国書店にて発売中です!
異色具合では「仙べえ」に勝るとも劣らない本作。
勿論変わっているからといってつまらないと言うわけではありません!
他作品と変わらぬ面白さもしっかり提供してくれる内容に仕上がっておりますよ!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


藤子・F・不二雄大全集 ベラボー: 藤子・F・不二雄大全集 第3期
小学館
2011-11-25
藤子・F・ 不二雄

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