画像

本日紹介いたしますのはこちら、「藤子・F・不二雄大全集 ポコニャン」です。
小学館さんより刊行されました。

大好評刊行中の藤子・F・不二雄大全集の紹介は、「藤子・F・不二雄」のテーマにてまとめておりますので、よろしければあわせてご覧くださいませ。

さて、本作は「きぼうのとも ようじえほん」誌で70~74年、「希望の友」誌にて75~78年に連載された作品です。
なんかすごい能力を持った同居人と日常を過ごしていく、要するにドラえもんタイプの作品でして、ドラえもんが69年連載と言うこともあるのか非常にテイスト的には似たものになっています。
初出の掲載誌がバリバリの幼年向けですし、当初は幼年向けのドラえもんとして描いたのかもしれません。

この作品、最大の特徴はドラえもんポジションに当たるポコニャンの万能振りでしょう。
「ポコニャン」と唱えるだけで、眠っている人間を自由自在に操ったり、おもちゃのカメラを本物並みの性能を持つカメラにしたり、無機物に意思を与えたりと、その万能ぶりはハンパじゃありません。
ドラえもんの道具のようなアイテムも登場するのですが、それも基本的にポコニャンが作ったもの。
そして面白いことに、その道具を改造して使いまわしたりもするのです!

スネ夫ポジションのラッキョにビデオカメラを自慢された主人公の太郎。
しずかちゃんポジションのみきや、ジャイアンポジションのヒヒ山はビデオで撮影してもらう約束を取り付けるのですが、太郎はのび太よろしく「フィルムがもったいないから」と一人だけハブられてしまうのです。
ぷりぷり怒りながら家に帰ると、ポコニャンはこともなげに「ポコニャン(訳・カメラを作ればいい)」と言いました。
ポコニャンは空き箱を取り出し、そこに筒をくっつけてその先にビニールを貼り付けました。
そして棒の先っちょにボールを差したものを貼り付け、箱の中にはフィルムに見立てたトイレットペーパーを入れました。
画像

たしかに形だけ見ればビデオカメラに見えないこともありませんが、勿論このままではただのカタマリです。
そこでポコニャンが「ポコニャン!」と唱えるとあら不思議。
映写機能までついた、そんじょそこらのビデオカメラよりも上等なカメラになったのでした!
その後、ラッキョが嫌々ヒヒ山を撮影していたら、偶然に偶然が重なって放火魔を追うドキュメンタリーみたいな映像になってしまい、ラッキョがボコボコにされておしまいと言うこのお話。
この便利なビデオカメラはそのまま忘れ去られる……と思いきや、別のお話にも登場するのです!

ちょっとした不注意でパパの大切な書類の上にインクをこぼしてしまった太郎。
この書類、ガチで大事なもので、恐る恐る大事なものかどうか本人に確認してみたら、
画像

「アレがなくなるとパパはクビになる」とさらりとショッキングな発言をされてしまうのです!
こうなってはもう頼れるのはポコニャンだけ。
ですがそのインクまみれの書類を見せられたポコニャンは思わず
画像

「ポコギャッ。」と叫んでしまうのでした!
悩んで悩んで、やっと何かひらめいた様子のポコニャン。
どこかへと走り去り、戻ってきたときに持っていたのがあのビデオカメラでした。
ポコニャンはそのビデオカメラでいきなり映像を逆再生して見せました。
当然太郎はそれがどうしたのと言った感じで怒るのですが、ポコニャンはそのビデオカメラをいきなり改造し始めました。
空き箱とトイレットペーパーと棒とボールとビニールでできていたはずのビデオカメラからなんかバネとかねじとかコンデンサー的なものがいっぱい飛び出してきているのですが……まあそれはいいでしょう!
できた物は「実物時間逆転機」だそうで、早速ポコニャンはその効能を実践して見せました。
ガチャッとガラスを割ったあと、その逆転機でそのガラスをうつすと、みるみると巻き戻しているかのようにガラスが元通りになっていくのです!!
物体を巻き戻せる能力によって書類を元通りにし、心のつっかえが取れた太郎は早速このメカで遊ぶことに。
画像

家を破壊しまくったりとやりたい放題してもすぐ元通りになるため思うさま破壊を楽しんだり、女の子が地面に落としてしまったあめを巻き戻して元のきれいな状態に戻してあげたり、火事を巻き戻して鎮火させてあげたりと、いいことや悪いことをひとしきり満喫。
楽しんだ後、ラーメンを食べてお腹も満たしていると、そこへパパが帰ってきました。
パパも食べたがったのですが、残念ながらもう品切れ。
なら出してあげるよ、と太郎は例のメカで口からラーメンをむにゅむにゅと取り出し……!!
画像


と言うように、ガラクタを家電にするだけでなく、それを更にドラえもん顔負けの道具にしてしまうハイスペックさを誇るポコニャン。
そしてこのポコニャンのすごいところは、「ようじえほん」版だろうが「希望の友」版だろうが、第1話から居るのが当たり前のようにお話が始まっているところ!!
「希望の友」版の15話目でやっとその出会いが語られるのですが、それも「5年前ハイキングに行ったら拾った」という簡素極まりないものでして。
本人もその出自がわからないようで、「ひょっとして遠い星から来たのかもしれないね」という複線的な言葉だけが残され、結局その正体は謎のままなのです!!

このポコニャンといえば、93年に放映されていたアニメ版を思い出す方も多いと思われます。
ですがこのアニメ版、正直この原作とは別物です。
ポコニャンと言う不思議な生き物がなんかすごい力を使う、と言う部分意外はすべて違うと言うほどに!
何せ主役からしてアニメ版は女の子ですし、原作のポコニャンは「ようじえほん」版の1話目と2話目しかしゃべりませんから!
逆に何故その2話だけしゃべったのかは謎ですけど!

ドラえもんよりも圧倒的にいい子度の高いポコニャンが可愛らしい、「藤子・F・不二雄大全集 ポコニャン」は好評発売中です!
カラー原稿も再現され、色彩豊かなポコニャンワールドを堪能できる本作。
アニメ版はアニメ版で面白いのですが、原作のこの平和な感じも癒されること必至!
アニメ派の方も読んでみてはいかがでしょうか!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


藤子・F・不二雄大全集 ポコニャン (藤子・F・不二雄大全集 第3期)
小学館
2011-10-25
藤子・F・ 不二雄

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 藤子・F・不二雄大全集 ポコニャン (藤子・F・不二雄大全集 第3期) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル