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本日紹介いたしますのはこちら、「おどろ町モノノケ録」第1巻です。
アスキー・メディアワークスさんの電撃ジャパンコミックスより刊行、電撃コミックジャパンにて連載されています。

作者は押切蓮介先生。
押切先生の作品は「押切蓮介」のテーマで紹介をまとめていますので、よろしければあわせてご覧くださいませ。

さて、本作は押切先生の得意とするホラーギャグです。
最近は「サユリ」のような本格ホラーや、「ツバキ」のようなくらい話、「ゆうやみ特攻隊」のようなホラーアクションを描いており、このようなホラーギャグは久しぶり。
鬱展開やバトル、ガチホラーなどを描きぬいてから始まった本作はどんな感じに仕上がっているのでしょうか?

道を歩く少年、貝。
どうも彼は腹ペコキャラのようで、お腹が空いて困っているようです。
ふと目に付いた見知らぬラーメン屋。
知らないラーメン屋に入るのは、アジに対する不安と期待が入り混じるものですが……
どうやらこの店は貝の舌を満足させるものだったようで。
ご満悦でラーメンをす、すっているとどんぶりのそこには何か黒くて細長いものが入っています。
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きくらげの千切りか?と思って掬い上げてみると、それはなんと長い髪の毛!!!
これは何なんだいと店主に問い詰めるのですが、店主のおっさんは逆切れ!
俺の妻が隠し味として女の命を入れたのに、侮辱するのかと怒り出し、その妻を大声で呼び始めたのです!
なんかやばいと感じた貝はお代を置いて出ようとするのですが、その前にその妻が全力ダッシュでやってきてしまいました。
その妻とは
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どう見ても幽霊です。
彼女は貝を押し倒し、マウントポジションに。
そして5分以上にわたりびんたを放ち続け、オマケに貝の虫歯になっていた奥歯を手で引っこ抜くという拷問を科してきたのでした!!

場所は変わって、とある八百屋さん。
店先には店主らしいおっさんとその娘の百子、そしてカッパがいました。
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カッパは売り物のきゅうりをもりもり食べており、店主のおっさんはすっかりご立腹。
百子にきゅうり食わないようにちゃんとしつけとけと言い付け、今度食ったら時給マイナス500円だぞ!と脅すのでした。
百子が、2時間働いたらお父さんに1000円払うってことよ、とカッパに耳打ちしていると、そこに顔面を晴らした貝が通りかかりました。

貝と百子は幼馴染。
ラーメン屋で拷問されたことをきいた百子はそれが客にしていいことかと激怒します。
亡霊の奥さんはだんだん私怨をこめて殴ってきたそうで、貝は心底オバケのことが嫌いで仕方ないとボヤくばかり。
ですが百子の怒りは収まりません!
このままでいいと思ってるのか、通報しよう!とたきつけ、早速そのラーメン屋を通報したのです!

駆けつけた警察は、相手が亡霊でもしっかり取り締まり。
最近の幽霊対策は霊媒師ではなく国家権力が行っているんだそうで、人外の存在が人間に危害を加えることは重罪なんだぞと亡霊奥さんに語りかけます。
ですが亡霊奥さんは自分の心臓が止まっているからって差別するのか、自分はもと人間だぞ!とまたまたキレまくり!!
暴れまわる亡霊を、警察は取り押さえます。
その騒ぎを聞きつけて、集まってくる野次馬は若者、ご老人、子供、そしてなんか良くわからないオバケたち。
そんなオバケも
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「亡霊は恐ろしい存在だ」といってみたり、「物騒だ」といってみたり、ともすれば「人間とオバケの争いは楽しい」といってみたり……
オバケがごく当たり前のように現われるこの町はおどろ町。
人間とオバケが一緒に住める「仲良し共存計画」が最初に適用された町。
程なくして亡霊は取り押さえられ、貝は与えられた苦痛のお返しとして亡霊奥さんのお尻をぺんぺんする権利が与えられます。
あまり気乗りしないものの、周囲はやっちゃえやっちゃえと応援ムードで引き下がれません。
嫌々ながらも群衆に見守られ、お尻ぺんぺんに励む貝。
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オバケが心底嫌いな貝は、どうしてもこの町が好きになれないのでした……

というわけで、オバケと人間の共存する町を舞台にして描かれる本作。
第一話ではかけらも登場しませんが、このあと出てくるなんか良くわからないオバケ、ノブオと貝の2人が主役として物語は展開します。
貝のパートはオバケによって普通ではなくなってしまった日常生活を描き、ノブオのパートはあることで彼がぶち込まれてしまう逢魔時プリズンの様子を描く、二本柱構成。
目を引くのは押切先生作品の王道的設定を逆転してあることでしょうか。
いつもなら主人公(ないしその仲間)だけがオバケに強いというのが押切先生のセオリーなのですが、本作ではそれが逆転し、お化けを本格的に恐れているのが主人公の貝だけに。
更にオバケの立場自体が非常に弱いものになっていて、ちょっとしたことで監獄にぶち込まれるわ、自給50円とかの超薄給でこきつかわれているわとそれはもう哀れな扱いをされているのです!
とはいえオバケもその人を驚かしたいという本能には逆らえないわけで。
オバケ差別にさいなまれながらも、主に貝を驚かせ続けるいじらしい(?)姿に注目ですよ!!

久方ぶりの押切先生のホラーギャグ、「おどろ町モノノケ録」第1巻は好評発売中です。
なぜか途中からものを食べるときの擬音が水木先生風になる本作。
この第1巻だけでもひと段落つく感じにまとまっており、非常に手を出しやすい内容になっておりますよ!
……登場キャラがひねくれ気味な人ばっかりなのがちょっとアレですけど!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


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