画像

本日紹介いたしますのはこちら、「グラゼニ」第2巻です。
講談社さんのモーニングKCより刊行、モーニングにて連載されています。

作者は原作が森高夕次先生、漫画がアダチケイジ先生。
本作第1巻紹介は、11年5月24日の記事にて紹介しております。
よろしければそちらもあわせてご覧くださいませ。

さて、プロ野球の年棒を軸に、華々しいスター選手以外の視点で描かれている本作。
主人公は年収1800万と言う、普通の人から見れば高収入なモノの、実働年齢の短いプロ野球選手としてはかなり物足りない感じのサラリーで働く凡田。
彼が後の将来設計やら、他の選手の年棒を気にしながら厳しいプロの世界を渡っていく日々を描いている作品なのです!

球団にグッズすら作ってもらえていない、いってしまえば地味な凡田。
シーズンオフのそんな彼の元へ、何年振りかもわからない単独取材の依頼が舞い込んできました。
しかもお相手は全然知らない木っ端メディアなどではなく、有名どころの「少年マガジン」。
何でしがない中継ぎの自分にそんな依頼が?と、嬉しくも不思議に思いながらもその取材を受けることになるのでした。

で、その取材を申し込んできたのは「少年マガジン」なんですから当然といえば当然の漫画家さんでした。
画像

どうもこの漫画家さん、少年漫画では誰もやっていないジャンルに挑戦してみたい!と熱弁をふるい、凡田に対するインタビューも「中継ぎとして一番困るのは?」など、本気で中継ぎ投手を掘り下げて行き……本気みたいです。
凡田はその質問に、「ほとんど肩を作れないままマウンドに行かされてしまう」こと、「逆に数回にわたって何十球も投げたのにお呼びがかからない」ことなどをあげ、真摯に取材に答えます。
その答えを聞いた漫画家さん、だったら先発選手よりも中継ぎ投手の方がきついかもしれないですね、と言い出しました。
先発は週一できっちり肩を作って投球、敢闘するときもあるが、三回でノックアウトされても一週間の休みがある。
中継ぎはいつまわってくるかわからないため毎日球場で肩を作らねばならない、しかも試合の緊張感の中で。
中継ぎは先発に比べて圧倒的にブルペンで消耗するのではないか?
画像

正確に調べているわけではないが、中継ぎより先発のほうが選手生命が長いんじゃないだろうか……
その上給料も高い、という付け足しに対しては、「先発は勝敗の7~8割を左右する重責があるから」とかろうじて反論する凡田。
そんな凡田に、漫画家さんは更にこんな質問を投げかけてきました。
「いずれは先発になりたいか?」。
凡田はその質問には「そう思っていない中継ぎはあまりいないと思う」、とかろうじて返すのです……

時は流れ、シーズイン直前。
トレーニング中の凡田に、その漫画家さんからの電話が入ったのです。
そろそろシーズンイン、激励の意味もこめておごらせてくれ。
断る理由もないわけで、凡田は2人で飲み屋に行くことにしたのでした。

まずは軽く取材時のお礼から始まった二人飲み会。
どうもそのときの取材を生かした読み切り漫画が今週のマガジンに載るんだそうですが、あくまで読み切り。
漫画家さん、前作は5年連載し、単行本23巻を数えた格闘漫画を連載していたそうで、その実績もあって今回の読みきりは連載を踏まえてのものとのこと。
ですが、だからといって「次回作の席」がフリーで与えられているわけではなく、読みきりの反響如何で連載が決まるそうです。
昔からマガジンで野球漫画を連載するのが夢だったと語る漫画家さん。
ですが、漫画界で重視されるのは「過去の実績」より「今の調子」。
画像

ちょっと厳しい世界だろう、と語る漫画家さんに、ちょっとプロ野球に似てるなと思いながら同意する凡田。
ですが漫画家さんは、あんたのほうがよっぽど厳しい世界にいるだろう、となぜかここで突っ込んでくるのです!
漫画化には40超えた現役は沢山いるが、プロ野球には数えるほどしかいない。
更にプロ野球選手は恐ろしく怪我に弱く、才能はあっても生かせなかった人が沢山いるが、漫画家は極端に言えば利き腕さえあれば続けられる。
そんな厳しい世界で戦っているからこそ、プロ野球選手をリスペクトするんだ!と!!

その後、いっせーのでお互いの年収を教えあおう、などと言い出し、すっかり出来上がってしまった様子の漫画家さん、
ついには凡田にもっと稼げよと言い出し、読みきりが人気を獲得して連載になったらアンタも今シーズン中に先発に転向しろ!と言い出したのです!!
画像


後日、件の漫画が掲載されたマガジンが凡田の元へ届けられました。
地味な中継ぎを主役にしたにもかかわらず、きっちりそれをヒーローに仕上げているその漫画。
凡田は漫画には疎いらしいのですが、それでもあの漫画家さんが「プロ」だということだけはびんびんと伝わってきたようです。
連載の目も十分感じさせるこの漫画、本当に連載したら先発投手に転向しなきゃいけないのか?
酒の席で勢いで出た約束に、ちょっと真剣に考えてしまう凡田。
ですがこの漫画、意外な展開を迎えることになるのです!!

と言うわけで、凡田に意外な依頼が舞い込むことになった本作。
勿論この他にも、本作ならではの視点で描かれた物語が満載!
年棒2000万、4人しかいられない一軍登録外国人の5人目に当たるトーマスの苦悩(?)を描いたお話や、アスリートとして食事制限をしようかと悩んでいるときにあるものを目撃してしまって発奮する話、年棒500万で32歳のキャッチャーの身の振り方を中心にしたお話などなど……とにかく本作でなければピックアップされないお話ばかりなのです!
一戦一戦必死に戦う高校野球漫画、硬軟織り交ぜて一年間のトップに立つため戦うプロ野球漫画……
数々の野球漫画のほとんどがそのどちらかに分けられ、そうでない作品も大体が少年野球で熱血や、一選手にスポットを当てた人物重視のものでした。
本作はそのどれでもない新境地野球漫画と言うにふさわしい作品になっているのです!!

プロ野球の日陰と言うほどではない物の、ちょっと薄暗いところにスポットライトを当てた「グラゼニ」第2巻は好評発売中です!
主人公の立ち居力して新鮮な本作。
プロ野球が好きな方はもちろんのこと、それほど興味のない方でも楽しめること必須ですよ!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


グラゼニ(2) (モーニングKC)
講談社
2011-09-23
アダチ ケイジ

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by グラゼニ(2) (モーニングKC) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル