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本日紹介いたしますのはこちら、「HIDEOUT(ハイドアウト)」です。
10年11月、小学館さんのビッグスピリッツコミックススペシャルより刊行されました。

作者は柿崎正澄先生。
柿崎先生は01年にデビューした漫画家で、主に小学館の青年誌で活動されていました。
代表作は10年にテレビアニメにもなった「RAINBOW 二舎六房の七人」。
現在は活動の場を移し、ヤングマガジンにて「GREEN BLOOD」を連載していらっしゃいます。

さて、本作は孤島で恐怖と出会うホラー漫画です。
冷え切り始めた夫婦のお互いの心の傷を治すためにやってきた、孤島で繰り広げられる惨劇とは?
2人に理不尽な恐怖が降りかかるのです!

海外の孤島のビーチで優雅なバカンスを楽しむ桐島とその妻、美樹。
去年ある事件が二人を襲い、それ以来のギクシャクした関係を改善できたら……と、桐島はこの旅行に美樹を誘いました。
カップルで見ると幸せになれる滝。
そんなものがあると言う話を地元の人から聞いたらしい桐島は、もう一度やり直せるならなんでもするさ、と美樹をその滝へといざなうのでした。

豪雨が降りしきる中、山中をジープで走る二人。
ですが山道を一時間も走り続けているにもかかわらず、その滝には一向に着かないのです。
迷ったのか?あんたといるといつもこうだ、使えない。ついてくるんじゃなかった。
矢継ぎ早に桐島への暴言をつむぎだす美樹。
車載ラジオをいじるものの、ここは電波も通っていない本当の山奥。
その上、桐島はこの土地はかつて激戦地になっていて、兵隊の血が多くしみこんでいるんだ……と、怪談めいたいわくがあることまで明かします。
それを聞いた美樹は、やはりこの旅行も桐島の仕事である文筆業のネタ探しに過ぎなかったのか、いらだたしげに吐き捨てました。
そしてこう続けるのです。
アンタのそのくだらない小説のせいでどうなったのか忘れたのか。
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あの子が死んだのは全部あんたのせいだ、と。

その言葉を聞いた桐島は、ある決心を固めたようです。
程なくして車は停止。
ガス欠になってしまったとのことで、これは1キロほど引き返したところにあった民家で助けを呼ぶしかない、とのこと。
やむなく合羽を着込み、2人で来た道を引き返し始めます。
ですが歩けども歩けども民家など見えず、またも美樹は文句たらたら。
ホントに民家なんてあったのか!と怒りを露にすると、桐島はどうだったかな?と言い出し、美樹を振り返りました。
するとその手には、大きなスパナが握られており……
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お前が純を、息子を殺したんだ!と叫び、そのスパナで美樹の頭を殴りつけたのです!!

しかしそのスパナは美樹の頭をかすめただけ。
逆に美樹は手近にあった石を投げつけ、その隙に逃げ出したのです。
霧島はゆっくりとあとを追いかけます。
誰も助けになんて来ない。
そしてここでお前の骨が見つかったとしても、沢山うずもれている兵隊の亡骸と誤解されて事件にすらならない。
そういいながらゆっくりと美樹を追いかける桐島。
するとその前に、岩壁にぽっかりと開いた洞穴が現われるではありませんか。
おそらく美樹はここに逃げ込んだのでしょう。
桐島は悠々と歩を進めるのです。

洞窟に入ると、間もなく座り込んだ美樹の姿が現われます。
どうやら足を怪我してしまったようで、もう走って逃げることは叶わないようです。
流石の美樹も話し合おう、全て忘れてやり直そう……と命乞いめいた言葉を投げかけるのですが、
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桐島は一切の容赦なくスパナを振り下ろします。
これで全てをやり直せる。
そう言って引き返そうとする桐島の背後に
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不気味な少年が姿を現すではありませんか!!
「オカアサン」と搾り出すようにつぶやくその少年。
「オカアサン イジメタ」と続けるその少年、あまりに突然すぎる登場を見て、うろたえて美樹の方に視線をやる桐島。
すぐ少年の方に視線を戻すのですが、そこには一切人影がないのです。
幻覚を見たのか、とと頭を整理しようとする桐島。
ですが来たときは一本道だったにもかかわらず、歩いても歩いても出口にたどり着きません!
あせるあまり、躓いてしまう霧島。
すると倒れ伏した地面に、自分のものでも美樹のものでもない靴が落ちていることに気が付いたのです。
ここに自分達二人以外の人が?そんなことを考えながら、なんとなく後ろを振り返ると
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いきなり奇怪な老人が鉈を振りかぶって襲い掛かってきたのです!!
更にその頃、先ほどの幻かと思われた少年が美樹を引き摺ってどこかに連れ去っており……
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一体この気味の悪い二人は何なのでしょうか!?

と言うわけで、孤島で繰り広げられる恐怖を描く本作。
本来ならここは主人公がんばれ!と手に汗握るところですが、いろいろ事情があるとはいえ主人公も決して褒められたもんじゃない犯罪者。
相応の報いを受けるのが妥当なところですが、果たして……?
そのいろいろな事情も徐々に明かされていくわけですが、それとリンクするかのように主人公の心も変化。
この奇妙な老人と子供の正体を明かすことよりも、桐島の行動に焦点を当てた物語になるのです。
続々と巻き起こされる意外な展開と血なまぐさい惨劇。
その結末は、物語を読み始めたときの印象からすれば意外に取れるものの、読み進めるにつき納得してしまうような、それでもショッキングなものになっているのです!!

主人公を血にまみれさせる惨劇、「HIDEOUT」は全国書店にて発売中です。
緻密に描きこまれた恐怖が迫ってくる本作。
その描き込みだけでも一見の価値ありといってもいいかもしれません!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


HIDEOUT (ビッグ コミックス〔スペシャル〕)
小学館
2010-11-30
柿崎 正澄

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