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本日紹介いたしますのはこちら、「魍魎の揺りかご」第3巻です。
スクウェア・エニックスさんのヤングガンガンコミックスより刊行、ヤングガンガンにて連載されています。

作者は三部けい先生。
本作の紹介は「三部けい」のテーマでまとめておりますので、よろしければあわせてご覧くださいませ。

さて、前巻でカナの感染が確定してしまった本作。
カナは何故自分だけこんな目に会うのか、といったような歪んだ情念に支配され、感染を隠しながら真琴たちと脱出する手段を探し続けます。
ですが観戦の恐怖におびえるカナが大人しく探し続けるはずもなく、自分の感染が疑われないよう同じく同行している島田が感染している、などと嘘をついて一行を混乱させるのです。
更に一行にはトラブルが降りかかり、滝川がはぐれてしまった上、足の動かない縞田が水中に落ちてしまいました。
カナはここぞとばかりに見捨てようといいだし……

まとめ役である滝川がいなくなってしまったことにより、早くも亀裂が走り始める一同。
とはいえ簡単に見捨てることはせず、縞田は春日が助けることになりました。
程なく縞田を水中から引き上げることに成功した春日。
ですがその時、驚愕するのです。
先ほど襲来した地震によって上半身と下半身に真っ二つとなった殺人鬼。
その下半身はすぐそこにぷかぷかとういているものの、上半身が見当たらないのです。
なんなんだ?と考える間もなく、その答えは明かされることに。
殺人鬼は
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ずるり、と上半身だけで水中から這い出してきたのです……!

その頃、縞田と春日を引き上げるためにロープのようなものを捜し歩いていた真琴とカナ。
ガタガタになった船内でようやく開きそうな扉を見つけ、その中にあったカーテンをロープ代わりにしよう、と真琴はリールからカーテンを引き剥がします。
するとカナがその部屋に入り込んできて、後ろ手で扉を閉めてしまいました。
そしていらだたしげに扉を指で引っかきながら、何を考えているんだ、縞田は感染している、おいていくのが当然だろうともらすのです。
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ですが真琴はこう返します。
感染者が確実に殺人気になるとは限らない、縞田はそうならないと信じているし、滝川も生きているに違いない。
この絶望的な状況で生き延びるには、知恵や力、非情さも大事かもしれないが、「希望」こそが大事なんじゃないか。
縞田をおいていくことはそれを否定するように思えてしまうんだ、と。
それを聞いたカナは憑き物が落ちたように表情を和らげ、まだ殺人鬼になると決まったわけではない、と心の中で反芻。
そしていつも真琴の言葉には救われている、と感謝の言葉を漏らしながらカナは真琴の手を取るのです。
……が。
その瞬間、
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カナは真琴の腕に歯を立てたのです!!
傷があったほうが皆に疑われづらいはず、真琴には生きていて欲しい……といい台詞を言うかなですが、本心はそこではないことが噛み付いたあとの嫌な笑みに表れています。
そう、カナは自分を疑わせないまま。まんまと真琴を感染させるための噛み付きに成功したのです!

真琴とカナが縞田と春日がいた場所に戻ると、その場には誰もいません。
それもそのはず、春日は縞田を背負い、上半身のみになった殺人鬼から逃げていたのですから!
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何故この殺人鬼は上半身のみになっても活動を続けているのか。
その原因の一旦であろう要素がついに明かされます。
真琴たちとは別の、腕に焼印のないモノは感染者とみなして即殺すという過激な行動に出ているグループ。
彼らは殺人鬼がうなじの辺りを破壊すると動かなくなることからそのあたりを調査し、
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延髄の辺りに気味の悪い寄生虫が張り付いていることに気が付いたのです!!

恐る恐る2人を探し回っていた真琴とカナ。
持っている武器は棒切れ一本。
殺人鬼に襲われたらひとたまりもありません。
そんな2人の目の前で、ゆっくり開きだす扉。
姿を現したのは……春日でした。
ですが背負っていたはずの縞田の姿がありません。
春日が言うには、必死で逃げたものの縞田は殺人鬼に頭をわしづかみにされてしまい、見捨てていくしかなかったとのこと。
縞田がいなくなったことにほくそ笑みながら、仕方がないと慰めの言葉をかけるカナ。
真琴もまた春日だけでも無事に戻ってこられたんだから……と一応言うのですが、どうしても不安は拭いきれません。
今はそのことを喜ぶべきなのに、何かがどうしても引っかかる。
何かが変だ……
心の中で鎌首を擡げる、モヤモヤした嫌な予感。
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真琴の不安は解消されないまま、自体はどんどんと絶望的な状況に陥っていくのです……!

というわけで、僅かながら感染者の真相が明かされた本作。
首筋に寄生した寄生虫が原因とのことで、そうなれば必然的に彼らの目的は自分達の数を増やすことであろうことは予想に難くありません。
ではこの寄生虫は一体どこからどうやって入ってきたのか?
転覆して密室になった船。
暴れまわる感染者。
偶然とは思えないこの積み重なった状況、そこにひとつの仮説を立てることになる一同。
その仮説は残された生存者にとっては絶望しかないモノで……
この仮説は事実なのか?それならば真琴たちはどうすればいいのか?
誰が生き残るのか、真相にたどり着くことはあるのか。
そして、カナに噛みつかれてしまった真琴は!?
様々な要素が絡み合う物語はどう展開していくのでしょうか!!

徐々にその姿を露にする絶望、「魍魎の揺りかご」第3巻は好評発売中です!
舞台の密室度ではホラー漫画中でもかなり高い部類の本作。
それでも絶対脱出不能でもなく、ほんの僅かながら希望が残されているさじ加減がナイスな具合となっています。
果たして彼らはどんな未来を迎えるのでしょうか?
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


魍魎の揺りかご(3) (ヤングガンガンコミックス)
スクウェア・エニックス
2011-08-25
三部 けい

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