本日紹介いたしますのはこちら、「エクゾスカル零」第1巻です。
秋田書店さんのチャンピオンREDコミックスより刊行、チャンピオンREDにて連載されています。

作者は山口貴由先生。
「シグルイ」等の山口先生作品の紹介は「山口貴由」のテーマにてまとめておりますので、よろしければあわせてご覧下さい。

さて、本作は山口先生の漫画家としての名を一気にとどろかせた、「覚悟のススメ」の設定などを下敷きにした新作です。
主人公が葉隠覚悟であったり、彼の無二の戦友である強化外骨格・零が登場するなど、「覚悟のススメ」との共通点はあるものの、様々な要素から考えて直接的なつながりはないパラレルワールドとなっている様子。
コミカルな描写も多かった「覚悟」とは違い、「シグルイ」のそれに近いハードな描写で描かれているのです！

21世紀末。
人類は発展を続け、ついに世界中を恒温化させることに成功しました。
しかしそのエネルギーを生み出すためのシステムは、あまりに強大すぎたのです。
暴走したシステムは瞬く間に世界中を破滅へと導き、人類は壊滅状態に。
いくつかの地下施設に、僅かな食糧の備蓄とともに細々と生き続ける人々が残るばかりとなってしまったのでした。

地下施設の一角で目を覚ます一人の少年。
ここはどこなのか、と言うようなもろもろの疑問を解決するより前に、彼にはしなければならないことがありました。
目の前にいる、一匹の豹。

飢えているのか、今にも飛び掛らんと言う姿を見せる豹をどうにかしなければなりません。
構えを取り、豹の強襲に備える少年。
そのときはすぐさまやって来ました。
飛び掛ってくる豹、組み伏せられる形になる少年。
豹はそのまま温かな臓物のつまっている下腹部に牙を突きたてます。
鮮血に染まる少年の下腹部。
ですがその血は少年のものではありませんでした。
少年の足の甲から飛び出している金属の刃。
それによって豹の頭部は切断されていたのです！

そして牙を突きたてられていたはずの下腹部もまた金属と化しており、その体は無傷。
彼の体に埋め込まれた8つの鉄球は、体の一部を金属にすることを可能としているのです。
豹を撃退すると、間を空けず閉ざされていた扉が開きました。
するとそこから現れたのは、至近距離で対戦車用地雷の直撃を食らっても致命傷を避けると言う防護服に身を包み、サブマシンガンのような銃を構えている男。
その男は有無を言わさずサブマシンガンを掃射！
すかさず少年は鉄球の力で阪神を金属化して防御します。
そのまま蹴りでサブマシンガンを蹴り飛ばし、すかさず男の胸部に掌打を叩き込みました！

相手は圧倒的防御力を誇る部祖運身を固めており、生身の攻撃ではダメージを与えることは不可能でしょう。
ですが少年の掌打はその力の波紋によって男の中で暴れ狂います。
男は装甲服を一切傷つけないまま口から臓腑を吐き出して絶命したのです！！

この武器にも鎧にもなる鉄球、人知を超えた戦闘技術「零式防衛術」を身に着けた少年は葉隠覚悟。
「牙を持たぬ人」のために代々悪と戦ってきた一族です。
そんな彼の元へ現われた、一台のバイク。
機械化軍用犬、「月狼（モーントヴォルフ）」と呼ばれるそのバイクは、その背に大きなカバンを結び付けていました。
そのカバンに対し、覚悟が呼びかけたのは

「零」と言う言葉。
その正体は、最強の矛と最強の盾を合わせ持つ強化服、

強化外骨格「零」！！
彼はその鎧に搭載されたガス兵器「戦術神風」によって、襲い掛かってくる動く屍を一掃。
施設の探索を行い、ある部屋にたどり着きました。
そこにあったのは、風化してすっかりさび付いた覚悟の愛刀、そしてふたの開いた6基のカプセルが。
そのカプセルには覚悟をはじめとした6人の戦士が眠っていた様子。
強化外骨格「零」と同じ異名、「エクゾスカル」をそれぞれ持っている6人の戦士は、それぞれ異なったタイミングで目を覚まし、いずこかへと去っていったようです。
それ以上の情報は得られないと判断した覚悟は、モーントヴォルフの機能を使い、地上への道を歩き始めます。
大気汚染も予想される地上。
覚悟は防毒マスクを装着し、警戒しながら外へ出ます。
するとそこに待っていたのは、

エクゾスカル霹（ひゃく）を名乗る少年、九十九猛。
豹を脇に従わせている彼こそ、目覚めた覚悟に豹と武装した男をけしかけた人物にして、同じ部屋で眠っていた「正義を行うもの」の一人です。
豹や武装した男をけしかけたのは、覚悟の力を試すためだと言う猛。
ならばこの男は見方なのかと言うと、決してそうではありません。
彼が覚悟に向けて言ったのは、こんな衝撃的な言葉だったのです。
「僕は　君を殺すんだ」。
右も左もわからない中、いきなり同じエクゾスカルをもつものと戦うこととなった覚悟。
この線の細い少年にしかみえない猛、見た目とは裏腹に相当な実力の持ち主です。
いきなりの苦しい戦いを強いられる覚悟は、果たしてこの世界で何をなすのでしょうか……！？

と言うわけで、謎だらけの開幕を迎えた本作。
覚悟たちがカプセルで眠りに付くこととなった理由とは？
眠らせた6人を覚醒させたのは誰か、なぜか？
なぜ「正義を行うもの」同士で戦うことになるのか？
数々の多すぎる謎の中で、覚悟は有無を言わせない戦いを強いられ、絶望の世界を歩むことになります。
この高配しきった世界で彼を待っているものなど存在するのでしょうか。
守るべき牙を持たぬ人すら見当たらないこの世界で、彼は戦えるのでしょうか。
覚悟の戦いは、辛く、長く、険しいものとなりそうです。
そしてこれから気になるのはやはり残り4人のエクゾスカル。
その中には「覚悟のススメ VOLTEX」に登場した「雷電」の名前もあり、あの数ページの外伝がこの作品にも関連してくるのかと言うところも注目したいところ。
多くの謎とともに、今後の展開を見守っていきたいところです！！

葉隠覚悟の新たな戦いを描く、「エクゾスカル零」第1巻は全国書店にて好評発売中です！
ハードな世界を描き続けている山口先生の作品中でも屈指のハードな物語となりそうな本作。
絶望ばかりの世界で覚悟が何と出会うのか。
これからの展開に目が離せませんね！！
さぁ、本屋さんに急ぎましょう！！