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本日紹介いたしますのはこちら、「イコン」第1巻です。
講談社さんのアフタヌーンKCより刊行、アフタヌーンにて連載されています。

作者は田中一行先生。
田中先生はあの四季賞で06年に佳作、07年に準入選を受賞した漫画家です。
本作が初連載の初単行本でいらっしゃるようで、今後ますますの活躍が期待されます!

さて、本作はふとしたことから特殊な力を持ってしまい、それがきっかけとなって様々な事件が起こる……といったような作品となっています。
期せずして過ぎた力を手に入れた彼に降りかかる、数奇な運命とは……?

とある山中にある、鳥居の立ち並ぶ奇妙な場所。
そこに一人の大学生が侵入していました。
彼は民俗学を専攻している金子直也。
彼がこの遺跡に忍び込んだのは、ちょっとした心当たりから、この遺跡らしきところにあるモノが金になるのではないかと思ったからです。
ここに安置してある奇妙な石版。
もしこれが歴史的な発見ならば、大金持ちとまでは行かないまでも、生活に困らないくらいになり、民俗学の調査も新幹線とかでいけるようになるんじゃないか?という浅はかな考えからその手を伸ばしたのです。
立ち入り禁止と表示してある奇妙な遺跡に侵入し、その中のものを勝手に持ち出す。
そんな誰が考えても悪いことに手を伸ばした彼ですが、もともと研究やらが大好きでそこまで考えが及ばない性格の様子。
さっさと家に帰ってちゃんと調べてみよう、とその石版をもって安置されていた洞窟から這い出るのでした。

するとその瞬間、いきなり奇妙な仮面をかぶった男に襲われてしまいます!
必死に抵抗するものの、仮面の男の手は完全に直也の首に食い込み、外すことができません。
明らかな殺意を感じさせる男。
このままでは死んでしまう!そう感じた直也は、視界の隅に入った先ほどの石版で相手を殴りつけて脱出しようと画策。
その瞬間、仮面が取れた男の体に奇妙な文字が浮かび上がりました。
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その文字が何のかは一切わかりませんが、とにかく感じたのは圧倒的な殺意!!
もはや直也にできるのは「放せ」と叫ぶことぐらい……
もはやどうにもならないと思われたその時、本当にその男は手を放すではありませんか!
しかもその顔には先ほどの奇妙な文字が、「放せ」という文字に変わって!!
とにかく間近に迫った死から逃れた直也は丸太で男を殴りつけ、窮地を脱出。
ですがその男の仲間らしい人々の声が聞こえてきたため、何もわからないままその場を逃げ出すことになったのでした。

家に帰りついた直也は、同棲している彼女、室井沙也に事情を説明します。
小さい頃秘密基地として遊んでいた場所がある民話の舞台になっていて、そこを調査に行ったら変な石版を見つけた、と。
大事なことは隠したまま、喜んでそんなことをかたる直也に対し、沙也は冷静に勝手に持ってきちゃ駄目じゃないと突っ込みを入れるのですが……
突っ込みを入れたらすね始める直也に対して強く責めることができないままうやむやになってしまうのです。
で、落ち着いたところで直也は、沙也に「上にまたがって首を絞めてくれ」と頼みました。
そういうプレイ……ではなく、先ほどの出来事を再現してみようとしたのです。
実際やってみると、先ほどと同じく石版を手にしたところで沙也の体に文字が浮かび上がります。
そして「放せ」とつぶやくと、その文字は「放せ」に変化し、沙也は放心したような表情でその手を放したのでした。
沙也は手を放したことを覚えていない様子。
その状況を改めてみたとき、直也は先ほど言っていたある民話の一説を思い出しました。
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「山奥に物の怪あり その手に触れし者 たちまち心透かされ その声に抗う術なし」。
まさに今、直也はその物の怪になり始めていたのです……!

この石版が歴史的に価値があるのかはともかく、「金になる」と考えた直也。
街に出た彼は、奇抜なファッションに身を包んだ女性に目をつけます。
経験上、ああいった服は高価だと確信している直也は、イコール彼女は裕福であると考えたのです。
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おもむろに声をかけると、彼女はナンパか?と大はしゃぎ。
カッコだけでなく、性格まで変わってるのか……という考えは胸にとどめ、彼女の腕を掴む直也。
すると彼女の顔に文字が現れるのですが、その内容は「触るな」と「殺すぞ」でいっぱい。
こりゃおっかない子だと思いつつ、直也は次のような命令を下すのです。
○×公園の男子トイレに行き、掃除用具入れの中にある紙袋に所持金を全部入れてこの場に戻ってきて、俺のことを全て忘れろ、と。

せめて光熱費くらいになれば。
そう思って直也は掃除用具入れの紙袋を見ました。
とてもじゃないが褒められたことではありませんが、まあそのときの所持金を失うくらいなら「どこかに落としちゃっ
た」程度で済むでしょうし、能力の万能具合からすればまだ優しい悪事と言えるのかもしれません。
ですが用具質の扉を開けた瞬間、直也は凍りつくことになります。
中に入っていたのは……
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500万!!
あまりにも高額すぎる金額ですが、置いていくわけにも行きませんし、警察に届けるにしてもどう説明していいものか。
何とか返したい、とは思うものの、それきりバイバイの予定だっただけに相手の情報は何もわかりません。
自宅に帰り、どうしようと思案に暮れているとそこに沙也が帰ってきました。
帰ってくるなり沙也がいうのは、向かいのアパートからこの部屋のをじっと見ている変な人がいる、ということ。
覗き穴からそっと様子を伺ってみれば、
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明らかに怪しすぎるオーラをまとう人物がじっとこちらをねめつけているのです!!
異常すぎる何かを感じた直也は、咄嗟に山奥で自分を襲った仮面の男関係か、あるいはあの500万円の女の関係かと敏感に反応。
気分が悪くなって外の空気を吸おうとまどにもたれかからうのですが、そとにあの仮面の集団が練り歩いているではありませんか!!
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慌てて沙也に戸締りさせ、警察に電話をする直也。
ですが、なぜか警察に電話がつながらないのです!
家は完全にばれており、相手は多人数。
自分だけならあの力で何とかなるかもしれませんが、沙也もいる今そう簡単に脱出は……
いきなり降りかかったこの窮地、直也は脱出することができるのでしょうか!?

というわけで、奇妙な力を手に入れた直也の捻じ曲がってしまった運命を描く本作。
このあとは勿論この怪しげな団体から逃げようとする展開となるわけですが、敵はそれだけではありません。
あの500万円持っていた女性は意外すぎる厄介な素性の持ち主でして、そちら方面の魔の手も伸びてくるのです。
更に、人の心を読める上、あやつれると言う力は恐怖の対象そのもの。
勿論それは味方であるものにとっても同じなわけで、直也が守ろうと必死になる沙也も例外でなく。
その上、その力をもつ直也自身も、沙也は自分のことを信じてくれているのかわからなくなり……
襲い繰る敵だけでない、疑心暗鬼などにも苦しめられることになるのです!

過ぎた力を得た男の運命は?「イコン」第1巻は全国書店にて発売中です!
渦巻く周囲の思惑に翻弄されていく本作。
数々のただならぬ雰囲気をまとう人物も登場し、物語はどう転がっていくのかが気になるばかりですよ!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


イコン(1) (アフタヌーンKC)
講談社
2011-07-22
田中 一行

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