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本日紹介いたしますのはこちら、「西遊妖猿伝 西域篇」第3巻です。
講談社さんのモーニングKCにて刊行されています。

作者は諸星大二郎先生。
諸星先生の各作品の紹介は「諸星大二郎」のテーマにて記事をまとめておりますので、ご興味などございましたらご覧くださいませ。

さて、羊の化け物や謎の老人、怪しげな美少女アマルカなど、立て続けに不可思議なものに遭遇した悟空たち。
騒動に巻き込まれ、あらぬ罪に問われる玄奘たちを助けるため、悟空は羊の化け物を退治してその首を持ち帰ります。
ですがその首は勘違いした人物によって持ち去られてしまいます。
悟空はその首を道中であったゾロアスター教徒の見習い僧の双子とともにその首を捜すのですが、この行動もまたアマルカと謎の老人の怪しげな企みに協力することになってしまっていたのです。

首を捜していた悟空は、とある屋敷の裏口にたどり着いていました。
何の因果かこの屋敷、玄奘に一晩の宿を貸してくれた商人の屋敷だったのです!
そんな事情など露知らぬ悟空、じゃあこの屋敷を尋ねてみるかと正門のほうへ向かいます。
すると塀の中から叫び声が。
声を聞きつけた悟空が塀の上に飛び乗って様子を伺うと、すっかり復活した羊の化け物が、首を持ち去った人物に襲い掛かろうとしているではありませんか。
悟空はすかさず如意棒で攻撃を仕掛けて化け物をばらばらにするのですが、バラバラになったそれぞれが独立した小さな化け物になって逃げ出してしまうのです。
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そんな立ち回りの最中、騒ぎを聞きつけてやってきた沙悟浄。
事情を聞こうとしますが、悟空にこの化け物を何とかしろと逆に命令されてしまいます。
どうも沙悟浄はこの屋敷の奥さん、メーウザーイと過去いい仲だったようですが……
そんなことを追及する暇も追及するものもなく、あばれまわる羊の化け物によって屋敷は大騒動になってしまうのです。
小さくなった化け物はたいした攻撃力は持っていないようで、口からなんか汚い黒いのを吐くくらいしか攻撃をしてきません。
その黒い水も、メーウザーイや八戒あたりが食らうものの、
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特に健康には害が無い様子です。
ともかく、大騒動は駆けつけてきたゾロアスター教の僧たちによって割りとあっさり収束。
悟空はというと、塀を乗り越えて逃げ出して行った一匹の化け物を追って外へ出るのでした。

事態を終息させたゾロアスター僧のリーダー格、アシャイバンダクにはどうしてもこの騒動があっさり解決しすぎではないかと気にかかって仕方が無い様子。
ふと見てみれば、ゾロアスター教の崇拝対象である炎が妙な形に変形しています。
それが指し示しているように見える方向に何があるかといえば、ゾロアスターの寺院です。
そしてその方向は、化け物をおって悟空が走っていった方向でもあります!
嫌な予感はどうも的中しそう……
アシャイバンダクはすぐさまその方向へと走り始めるのでした。

で、羊の化け物を追う悟空。
その先にある件の寺院には、アマルカが待ち受けていました。
やはりこの化け物の逃走劇も彼女が仕組んだことのようで、怪しげな術によって門番を気絶させ、悟空が勢いに任せて寺院に突入しやすいよう準備までしちゃうのです。
悟空は何も考えず化け物を追って寺院へ突進。
寺院に張られた、化け物を退ける結界の力によって羊の化け物は急ブレーキ!
そこへ突進してくる悟空=斉天大聖の力がぶつかり合い、結界の力にわずかなほころびが生じました!
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その瞬間、アマルカが何らかの力を使い結界に穴を開けます!
そして悟空の攻撃を食らい、吹っ飛ばされるまま結界の穴から寺院の中へと入る羊の化け物。
するとどうでしょう、羊の化け物の中から黒い老婆のような異形が姿を現し、寺院の奥深くへと走っていくではありませんか!!
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そこでようやくたどり着いたアシャイバンダク、これはいかんと黒い老婆の後を追います!
悟空もそれに倣うと、聖なる日を祭ってある聖火殿で黒い老婆と、白い半鳥人が争っているではありませんか!
黒い老婆は劣勢のようで、苦し紛れに仲間らしい白い半鳥人のサポートに回ろうとしていたアシャイバンダクへ飛び掛ります。
事情は良くわかりませんが、とりあえず悟空も助っ人に入り、黒い老婆を思いっきり如意棒でフルスイング。
その頃になってようやく寺院の僧たちも騒ぎを聞きつけて姿を現しました。
もはやこれまでと観念したのか、黒い老婆は聖火へとかじりつきます。
どうもこれはまずいことのようで、すかさずジャンピングニーパッドで黒い老婆を叩き落すアシャイバンダク。
黒い老婆を倒すことには成功しましたが、「火が穢された」と沈痛な面持ちを浮かべるのでした。
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悟空がアマルカに利用され、なにか企みの片棒を担がされてしまったこの事件。
ですがこの企みはまだ続行中でした。
先ほど羊の化け物に黒い汚いのをかけられたメーウザーイと八戒。
彼らはこの黒いのに心をあやつられ、メーウザーイは沙悟浄とよりを戻すために邪魔な今の夫やうるさい妹に毒を飲ませようと画策し、八戒は女と食い物に固執するようになってしまいます。
普通ならばここで玄奘あたりが身内の変化に気づくところですが、八戒はいつもの状態にちょっとブーストがかかった程度なので気がつかず……
八戒とメーウザーイは結託し、取り返しのつかない悪事を働こうとしてしまうのです!!
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果たして八戒たちはこのまま悪事に手を染めてしまうのでしょうか?
玄奘たちは旅を再会できるのか?
謎多きアマルカの目的は?
ゾロアスター教の神、アフラ・マズダーやその怨敵、アンラ・マンユの気配もにおいだし、物語はますます混迷の様相を呈していくのです!!

というわけで、まだまだゾロアスター教編が続きそうな本作。
アマルカたちの正体が明かされるのはまだ先のことになりそうですが、ぶっちゃけ一緒にいた謎の老人あたりがアンラ・マンユだったりそれに近いものだったりするのがセオリーでしょう!
当のアマルカは悟空をけっこう気に入っているようで、これからもいろいろとちょっかいをかけてきそう。
このことが今後の展開にどう影響するのか注目したいところです!
そして、仲間のうち唯一の現地人である沙悟浄の過去なども多く物語に絡んできておりまして、このあたりもまだまだ掘り下げていくことになるのでしょう!
今巻では影の薄い玄奘ともども、活躍を期待したいところです!
八戒は相変わらずアレですが……!!

新章にも突入する、「西遊妖猿伝 西域篇」第3巻は好評発売中です!
悟空の空気読まなさっぷり、八戒の駄目人間っぷり、沙悟浄のうろたえっぷり、玄奘の流されっぷりなど、それぞれ微妙な活躍を見せてくれる今巻。
今回は各メンバーのアレなところが目立ちましたが、今まで数々の困難を乗り越えてきた一同です。
先の読めないゾロアスター教編をどう突破していくのか、非常に先が気になりますね!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!



西遊妖猿伝 西域篇(3) (モーニングKC)
講談社
2011-05-23
諸星 大二郎

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