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本日紹介いたしますのはこちら、「サユリ」第2巻です。
幻冬舎さんのバーズコミックスより刊行されました。

作者は押切蓮介先生。
本作第1巻や、押切先生の他作品は「押切蓮介」のテーマにて紹介をまとめておりますので、そちらもあわせてご覧ください。

さて、夢のマイホームを中古で購入した神木家。
幸せな生活が始まるかと思ったその新たな我が家は、とんでもない呪いを秘めた屋敷だったのです。
父と祖父が相次いで変死し、弟は突如失踪。
姉は自身の舌を噛み切って悶死し、母は首を吊り……
残されたのは長男の則雄、そしてボケが始まっている祖母だけ。
この二人もこの家に巣食う女の怨霊に殺されてしまうのでしょうか……

姉と母の亡骸は忽然と消えてしまい、その死体すらも残さない怨霊に恐怖する則雄。
先日かつてのクラスメイトで「見える」と言う少女、住田に教えられた、則雄に見えるという「女の人」。
今もフフフと笑いながら則雄に迫ってくる女の影がそれだと気づかされた則雄はうずくまって震えるしかありません。
ですが、そんな則雄の頬が突然叩かれてしまいます。
叩いたのは、ボケかけてしまっているはずの祖母でした。
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今までのあいまいだった状態はどこへやら、何もいえない迫力を感じさせる形相で則雄に語りかけてくる祖母。
いままでの出来事は、ボケていた状態でありながらも覚えていたようで、大切な家族が見ないなくなってしまったことはわかっていました。
ウロウロしている女が目に付くとは思ったがそいつがやったのか、と原因までわかっている祖母。
どっかりと座り込み、タバコをふかし始めたかと思うと、このままでいいんか、やられ損でいいんか、と言い出したのです!

翌日から則雄の生活は一変します。
ですがそれは思いもよらない方向にです。
早朝のランニング、食欲がないにもかかわらず食うことを強要された食事。
健康的な日常を送り、より一層健康的に、「命を濃く」するための生活に!
家の掃除もきっちりし、勢力のつきそうな食事を食べ、風呂にもしっかりと入る。
そして夜寝るときも、何かあったら隣にいるからいつでも呼べと祖母に力づけられ……
そんな生活を送っていると、不思議と嫌なことを考えずに日常を過ごすことができるようになりました。
もちろんそれも祖母の作戦(?)のひとつ。
霊に対抗するための、人間の武器といえば「生命力」。
よく食べ、よく寝て、よく活きる。
命の濃さによって、霊に手出しできないようにしているのです!
則雄の父は意外にメンタルの弱いところがあったそうで、そこにつけこまれたんだと語る祖母。
ですが則雄は祖母に似て芯が強いため、霊などに負けるはずがないと断言します。
命を濃くして、立ち向かうぞ。
祖母と則雄は、二人で家族の無念を晴らすために戦う決意を固めるのです!!

その決意は祖母の「祓うだけではすまさない」と言う言葉に表されるように、すさまじいものでした。
まず祖母がしたことは、祖父が倒れ伏した庭の一角を掘り返すこと。
降りしきる雨の中、則雄にも手伝わせて掘り返したそこには、PHS、ぬいぐるみ、バッグなどの女性の私物といった風情のものが顔を出します。
そして最後に出てきたのは
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……人間の、しゃれこうべ……!
祖母は、じいさんはこれを知らせたかったんだなと言いながら、その人骨には興味なさそうに家に引っ込んでしまいます。
警察に知らせなくてもいいのかと戸惑う則雄。
ですが祖母は警察にヤーヤー聞かれるのはめんどくさい、後で埋めなおしとけば良いといいだします。
あの人骨がこの凶事の元凶であることは確かですが、いまさらあんな抜け殻を供養してやる気はないと言い切る祖母。
ではわざわざ庭を掘り返したのは無駄だったのか?
いえ、祖母は何よりも求めていたあるものを手に入れることができたのです。
それは、あの霊の身分証明書。
「九城小百合」とかかれた、何の変哲も無い身分証明書。
その身分証明書に貼られている写真を見ようとすると、
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鬼の形相をした「小百合」が姿を現したではありませんか!!
さすがにおびえる則雄ですが、祖母は一切様子を変えません。
そういう姿をすれば自分たちの心が弱くなるとでも思ったのか、と取り合わないどころか
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わざわざ霊を突っ切るという荒業まで披露!!
こんな実体の無い泡のような存在など恐るるに足らない、人間の怨みも強いと思い知らせてやると言い切ったのでした!!

翌日、久しぶりに学校に行った則雄が家に帰ると、祖母が出かける準備をしていました。
どうやらあの身分証明書から、小百合に復習する手段にたどり着けたようです。
一日だけ家を開けるが、お前は強い子だから大丈夫、生きろ、と言い残して車でどこかへと向かっていきました。
あの祖母がここまで自信満々になるのですから、おそらくこの手段はよほど効果的なのでしょう。
ですが問題は、今夜則雄が一人きりですごさねばならないということです。
隙あらば餌食にしようと狙っている霊と、一晩たった一人で対峙せねばならない。
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この状況を則雄は潜り抜けることができるのでしょうか?
苦しめられる則雄がどうしても気にかかってしまっている、住田も何か決心したようですが、危ないとわかりきっている則雄の下へ自ら行くことができるのでしょうか?
そして、祖母が一晩則雄をひとりきりにしてまで手に入れに行く、逆襲の術とは何なのでしょうか!

というわけで、ただただ悪霊に蹂躙される第1巻とはガラリと異なったストーリーが展開する今巻。
第1巻では邦画ホラーの傑作である「呪怨」を髣髴とさせるような、関係したものが死んでいく不条理な恐怖が降りかかっていました。
第2巻では、その霊に対しては霊能者による霊能力以外ではほぼ対抗できないという、ホラーのお約束を真っ向から打ち破ってくれるのです!
この生命力を濃くするという、いわば正攻法の対抗手段も十分面白いものなのですが、このあと祖母が持ってくる対抗手段といったらもうびっくり!
霊では決してできない、生きている人間だからこそできる恐ろしい対抗手段を披露!
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その手段は是非ともその目で確認していただきたいです!
ばあちゃんやりすぎだよ!と不思議なテンションになっちゃうこと間違い無しですよ!!

霊能力なくして霊に挑む、「サユリ」最終第2巻は好評発売中です!!
ばあちゃん無双が楽しめる今巻。
第1巻ではなりを潜めていた、押切先生得意なパワフルキャラやギャグもちょっぴり顔を出してくれます!
いまだかつてなかった霊の撃退法、刮目してご覧ください!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


サユリ 2 (バーズコミックス)
幻冬舎コミックス
2011-05-24
押切 蓮介

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