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本日紹介いたしますのはこちら、「ブラック・ジョーク」第5巻です。
秋田書店さんのヤングチャンピオン・コミックスより刊行、ヤングチャンピオンにて連載されています。

作者は小池倫太郎、田口雅之の両先生。
本作の今までの紹介は「田口雅之」のテーマにてまとめておりますので、そちらのほうもご覧くださいませ。

さて、カジノや売春などが合法となっている「ネオン島」と言う土地でホテルマンとして厄介ごとを解決していく2人の男を主役とした本作。
第4巻では肉体派の小玉がメインとなるお話が多数収録されていましたが、今回は逆に小玉の出番が控えめで、頭脳派の吉良が中心となったお話がメインとなっています。

吉良が社長に命ぜられた今回の任務は、いつもとは一風変わったものでした。
ホテルの顧客である青柳コンツェルンの御曹司がオカルティックな殺人事件を起こしてしまったとのことで、その調査に言って来いと言う……「名探偵」をやってくれと言うものだったのです。

吉良はあかりをパートナーにしてその青柳家へとたどり着きました。
被害者はこの青柳家の長男、天馬。
2階から転落したとのことで、警察は事故とみなしている様子。
ところが、次男の海斗は「自分がこの右腕で突き飛ばしてしまったんだ」と言うのです。
しかしその右腕は肘と手首の中間辺りから失われています。
普通に考えれば華奢な海斗がその右腕で、4歳も年上の天満を突き落とすと言うのは考えづらいところ。
ですが海斗は、自分の右腕には恐ろしい腕が生えていて、自分の意思にかかわらず暴れだし、兄を突き飛ばしてしまったと言うのです!
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海斗は一年ほど前の事故で右手を失ってしまいました。
絵画(萌え絵ですけど!)を趣味としていた海斗にとってはかなりの苦痛であったでしょうが、何よりも海斗の生活を様変わりさせてしまったのが幻肢、そして幻覚だったのです。
ないはずの右腕を感じたり、感じるはずのない痒みや痛みを感じると言う幻肢というのはよくあることなんだそうです。
ですが、「ピンクのパラソルを差した大きな女がビルを通り抜けていた」「小さな象の群れがテーブルの上を通っていた」という幻覚まで見ると言うのですから普通ではありません。
更に問題なのは、その幻覚なのであろう右腕で兄を2階から落としたのだと言うところ。
海斗本人は俺の秘められし力が……!!と言わんばかりの中二病な犯行を自供しているわけですが……だましだまされのシビアな大人の世界に生きてきた吉良にとってはそんなドリームは信じようと言う気すら起きないわけで。
ともかくもっと良く事情を知るべく、青柳家に縁深い人物に話を聞いてみることにするのです。

母親から聞けたことからわかったのは、どうも海斗はいろいろ情操教育のようなものを強いられたりの押さえつけられた生活を過ごしてきたと言うこと。
そして海斗と相当なかよしな巨乳眼鏡メイドさんからは、
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海斗は例の事故で頭の手術などもしたおかげで今の霊能力チックなものを手に入れたのに違いないと言うことと、「キリコ」というネット界隈で有名なスピリチュアルアーティストとやらに傾倒していることがわかりました。
何でもそのキリコは、生放送のネット配信の最中、海斗の怪我や能力のことを名指しであてて見せたのだとか。
その放送をきっかけに海斗の右腕はひめられしパウワを解放しはじめ、それ以来海斗がキリコの番組を見るたびに青柳家の建物が揺れると言う海現象が起こり始めたのだそうです!
そしてその放送視聴&建物揺れが2度続いた3度目の晩、件の事件が起こったんだそうで。
番組の視聴中に建物が揺れ、天馬は2階から落下、命を落とした……右腕の暴走で海斗は兄を殺してしまったと思い込んだわけです。

様々な情報を聞いて吉良が思案に暮れていた時、青柳家に訪問者が訪れました。
屈強な体つきの男、摩仁藤(まにとう)と、
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噂のスピリチュアルアーティスト、キリコその人が!!
どうも海斗の母親が気を利かせて(?)呼んだようで、こういったことを信じていない父親は苦々しい表情を隠しませんが、海斗くんはそりゃもう嬉しそうな表情です。
現われるなりキリコは部外者である吉良を指し、冷静に見えるけど物事の本質を受け入れず皮肉をこめて捉えることで自分を守ってると言うオーラが出てるよ!と軽いオカルティックジャブを放ってきました。
そんな先制パンチをもらった吉良、キリコにこう返すのです。
そういうのを不確実な主観で他人をディスって主権を握ろうとする霊的嫌がらせ、オカルト・ハラスメントって言うんだぜ!俺の造語だけど!と!!

いきなりキリコの仕事(?)の全否定にかかった吉良に、ボディーガード的ポジションらしい摩仁藤が掴みかかります。
そうなれば今度は吉良のボディーガード的ポジションであるあかりがだまってはいません!
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いきなり殺気むき出しで戦いを繰り広げる2人ですが、その戦いはキリコの唇をプルプルさせると言う謎行動で摩仁藤の気持ちを鎮めることによって中断することとなりました。
とりあえずその場が収まり、キリコはこの家にやってきた目的を果たすことにします。
それは、間もなく配信されるキリコの番組で今日も青柳家が揺れると予言しているのを確認し、そのゆれを止めて見せようと言うもの。
いつもはライブで配信される番組ですが、今日はわざわざその為に録画放送としているそうで。
要するにわざわざやってきた目的は、この録画した過去の放送での揺れの予言とその揺れを止めて見せることで自分の霊能力が確かなものだと証明しようと言うことなのです!

番組が始まって程なくすると、本当に建物が揺れだします。
そしてキリコが止みなさいと叫んだかと思うと、すぐさまその揺れは収まったのです!
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キリコの霊能力は本物であるとの確信を強め、信頼のまなざしで見つめる海斗。
吉良はその場では何もキリコを否定できず、その姿をため息をつきながら見つめるしかないのでした。

キリコの能力を見せ付けられ、付け入る隙はないかに見えたこの事件。
ですが、実はもう吉良にはこの事件の実態が見えているようです。
吉良が向かったのは幻肢に詳しい美人女医のもと。
そこで幻肢に関しての詳しい情報を掴み取る吉良。
その一方であかりには、どこか良くわからない地下の配管を調べさせて……
それらの情報を得た吉良はにやりと会心の笑みを浮かべるのです。
勝利を確信したかのような笑みを!!
そして吉良は不敵な笑みをそのままに、キリコの種明かしに挑むのでした!
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と言うわけで、一見オカルトな事件の謎解きに挑むと言う珍しい展開を迎える今巻。
この後とうとう謎解きパートとなるわけですが、本作らしいワイルドな仕掛けなんかが明かされつつ、揺れとか幻覚とかに直結しないあたりはスルーなの?というおおらかな謎解きが披露されます。
いやらしい吉良の追い詰めっぷりはまさに堂に入っており、見ているこっちもニヤニヤしてしまうこと必至です!!
もちろん素直に頭脳戦オンリーで終わる本作ではありません。
キリコの種明かしが終わった後は、見るからに只者ではない雰囲気をまとう摩仁藤とあかりとの直接対決が収録!
こちらはいつもどおりの色々飛び散るバイオレンスバトルとなっているのです!!
このほかにも珍しく吉良がバトルを担当するエピソードと、第2巻でハッスルしたアドミラル・ジョニーさんが再登場するエピソードを収録し、今回もボリューム満点!
しかもこのアドミラル・ジョニー再登場のお話では、田口先生作品のファンの方ならば思わずにやりとしてしまう場所が登場!!
いつにもましてファン必見の内容となっております!

今回も単純に楽しめる娯楽作品に仕上がっている「ブラック・ジョーク」第5巻は好評発売中です!
表紙の雰囲気ががらりと変わり、シックな印象を受ける今巻。
ですが内容はいつもどおりのハチャメチャでエロスでバイオレンスな作品となっておりますのでご安心ください!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


ブラック・ジョーク 5 (ヤングチャンピオンコミックス)
秋田書店
2011-03-19
田口 雅之

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