本日紹介いたしますのはこちら、「藤子・F・不二雄大全集 ドビンソン漂流記」です。
小学館さんより刊行されています。
本大全集の紹介は「藤子・F・不二雄」のテーマにてまとめておりますので、よろしければそちらもご参照くださいませ。
さて、本作はこどもの光誌にて71~72年に連載された作品です。
この作品終了後に同誌にて名作「キテレツ大百科」が連載されるのですが、本作も発明要素が盛り込まれています。
ですがこちらの発明品は技術が超進んだ宇宙人の作り出すオーバーテクノロジーでして、過去のロストテクノロジー(?)を扱っていた「キテレツ」とは一風変わった味わいになっています。
乗っていた客船が事故を起こし、命からがら救命ロボ&ボートのロボートに乗って宇宙をさまようことになったドビンソン。
あわててSOSを送るドビンソンですが、ロボートはそれは無駄だと頭から否定。
通信機も壊れてるし、宇宙の地図も無い、惑星探知機も故障、さらに食料を合成するメカも故障中……と、絶望的な状況であることがわかります。
このポンコツがと怒り狂うドビンソンですが、喧嘩が発展していく前に緊急事態が起こりました。
突然近くの星に引き寄せられてしまったのです!
ブレーキも故障していて墜落してしまうのですが、幸運にもドビンソンにもロボートにも目立った怪我は無い様子。
ですがあたりは真っ暗でほこりっぽく……手探りであたりを探っていると。上のほうから光がさしていることに気が付きます。
そこから這い出ると
われわれが良く見慣れた地球ではないですか!
しかしドビンソンから見れば宇宙の果てにある辺境の未開星。
飛び込んだ民家を動物の巣であろうことを推察するのですが、こんな未開の星にいるならば凶暴な肉食獣かもしれないと疑いまくり。
勝手に地球をドビンソン星と名づけ、自分が飛び込んでしまった動物の巣の調査を始めるのでした。
時はちょうどお正月。
マサルは両親と一緒にお節やお餅に舌鼓をうっていました。
その様子をそっと窺っていたドビンソン、人間に見えるが自分達と違って耳が小さくて尻尾が無いことから動物だと決め付け、更に調査を続行。
ちょうどおなかがすいてきたので、動物たちがうまそうに食べている料理をそっと採取して味を見ます。
うまいと感激するドビンソンですが、採取の際に結構無造作に伸ばしていたロボートの腕がマサルのパパに目撃されてしまいました!
……が、
マサル一家は気のせいだろうと思い、普通に生活を続けるのでした。
結局その後、マサルたちに発見されてしまうドビンソン。
必死で逃げてコタツの中に隠れるのですが、逃がしたかと思い込んだマサルがコタツの中でおならをしたため悶絶!
覚悟を決めて食べるなら食べろと大の字になりました。
ですがちょっと変わっているとはいえ、マサルたちから見てもドビンソンは人間。
当然食べるはずも無く、ドビンソンが宇宙人で遭難しているということを聞くと、パパは助けが来るまでうちにいてもいいと提案します。
喜び勇むドビンソンですが、やっぱりどこか地球人を動物扱いしているようで。
マサルが友達にドビンソンを紹介した時、その友達が俺たちも力になるよと握手をしたのですが
「前足を握るのが友情な証だ」とドビンソン星調査レポートに録音。
握手相手に烈火のごとく怒られるのでした!
と言うわけで、F先生作品では比較的良く見られる宇宙人訪問&同居型のお話である本作。
宇宙からの訪問者が墜落して帰れなくなり、帰れる日を夢見ながら超技術道具を作ってくれる、と言う「宙犬トッピ」に似た感じのパターンとなっています。
ですが本来頼れるポジションになるはずのドビンソンが、地球にはろくな部品が無いと言い訳しながら欠陥品を作ってしまったり、自分達と地球人は頭の出来が違うと上から目線になってみたり、いろいろ作るためにお金を稼ごうとしたり……と、独特なキャラ付けがされています。
性格的にもまだまだ子供で、パパやママに会いたいと涙したり、意地を張って喧嘩をしてみたりと物語の中心に位置。
いわゆるドラえもんポジションではなく、キテレツとコロ助を混ぜたような、事件の発端から解決まで1人でこなせる正真正銘の主役になっているのです!
ロボートはと言うと、地球の常識知らずという点でドビンソンとかぶっていたためか徐々に出番が減少。
乗り物として以外はあまり登場しないかわいそうなキャラになってしまうのでした……
そして、きっちりと完結しないことも多いF先生作品ですがこの作品はちゃんとしたラストを迎えます。
奇跡的なすれ違いによるがっかりから感動へと急展開する感動の最終話、見逃せませんよ!
F先生の宇宙人来訪ものの隠れた名作、「藤子・F・不二雄大全集 ドビンソン漂流記」は全国書店にて発売中です!
今までも2度単行本が刊行されていましたが、88年の藤子不二雄ランドから長らく絶版状態が続いていました。
価格も高騰していましたので、未読の方にとっては非常に魅力的なタイトルとなっている本作、興味のある方は買わない手はありませんよ!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!
コメント
コメント一覧 (2)
風邪がようやく治りましたので、お邪魔しにきました、のっとです。新しい年になりましたね。
今年もよろしくお願い致します。
ドビンソン漂流記!!存在は知っていたのですが、未読でした~。面白そうですね。
>上から目線…という点では少しウメ星デンカと通じる物がありそうだなと思ったりしました…ドビンソンの方は王族とは関係ないでしょうけれども。
ドビンソンは表情豊かで見ていてかわいらしいし、楽しいですね。是非読んでみたいです。
お風邪でしたか。
自分も年末から体調を崩しておなかが急降下しておりました。
お互い健康には気をつけて行きましょう!
ドビンソン、自分もこの本ではじめて読みました!
こういったなかなか読めないものが読めるのもこの全集の楽しみですよね。
「ウメ星デンカ」とは似てるかなとも思いましたが、家族で来てなかったり、道具がお手製だったりと違う点も多く、そもそも俺が「ウメ星デンカ」を全部読んでないのであえてスルーさせていただきました!
ご存知の方ならば共通点を探しながら読むときっとより楽しいのではないかと思います!