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本日紹介いたしますのはこちら、「enigma【エニグマ】」第1巻です。
集英社さんのジャンプ・コミックスより刊行、週刊少年ジャンプにて連載されています。

作者は榊健滋先生。
榊先生は05年にデビューした漫画家で、本作が初の連載&単行本刊行となります。
うすた京介先生とご結婚されたようで、ジャンプ作家同士の結婚といえば多分光原伸先生と浅見裕子先生依頼でしょうか。
ここは是非うすた先生も連載を開始していただいて、夫婦同時連載というレアな偉業を達成していただきたいものです!
……でもそうなったら、締め切り前とか超ギスギスしそうですね……

さて、本作は密室からの脱出系のサスペンス物となっています。
ですが殺人事件などの類ではなく、得体の知れない存在とのゲームを強制されたり、キャラクターが特殊能力を持っていたりする、オカルティックな要素を多分に含んだ作品なのです。

学校で居眠りをしている高校一年生、灰葉スミオ。
ノートを広げ、ペンを握ったまま突っ伏しているスミオの姿は、一見すれば勉強の最中にそのまま居眠りをしてしまっただけのようにも見えます。
ですがこの眠りこそ、スミオが持っている無二の能力、「夢日記」。
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彼は突如として降りかかってくる眠気に身を任せると、その日のうちに起こる何らかの出来事を眠ったまま描く……という不思議な能力を持っているのです。
しかし彼はそれを基本的には自分のために使わず、誰かが出しているSOSをキャッチして描いているものだと考えてそこに描かれた事件を解決するために日々奔走しています。
いや、自分のために使わないというのはちょっと間違えているかもしれません。
彼はそうやって解決した事件の被害者が女子だった場合、これは運命の出会いだなどといってプロポーズをするのです!
とはいえお付き合いを強制するわけでもなく、そもそも事件とか関係ない女子にも突拍子の無い告白をしているようですので、能力を自分のために使っているとは言い切れないのですが……

9月17日、金曜日。
その日も事件を解決し、女子にプロポーズして振られ、幼馴染で風紀委員の来宮しげるに人に迷惑をかけるなと怒られる、と言う日常を送っていました。
いつもどおりかと思われていた帰り道、ふと電気屋のショーウインドウに展示されていたテレビを見ると、通常の放送に混じって
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異様な何かが映し出されました。
驚くスミオですが、それがなんなのかわかるはずもありません。
何か引っかかりながらも自宅に帰るのでした。

帰宅すると、ちょうど(?)家から怪しげなおっさんが逃げ帰っていくところ。
キャバクラで働く母親目当てのストーカーだったようですが、今日自宅に侵入してくることを夢日記で予知していたために難なく追い払うことが出来たのでした。
ストーカーも追い払う肝っ玉をもつ母は、出会った瞬間から父に運命を感じて結婚まで一気にこぎつけたんだそうで、今も父になお熱い熱い愛情を抱いています。
ですがその父は3年前突然失踪。
母は今も父を一切疑っておらず。そのうち帰ってくると明るくこの家を支えているのです。
この日も母の出勤までの間、父の失踪をきっかけに開花した夢日記と向き合うため親子一丸となって始めた、科学やオカルトや心理の勉強に取り組むふたり。
その際、スミオは先ほど見た異様なものが頭蓋骨の下顎部を前後さかさまに付け替えたものであることに気がつき、ささっとノートに描いて確認してみました。
すると母親の表情が一変し、
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「…エニグマ…」と驚愕の表情で呟くではないですか!
更に「スミオが選ばれるなんて」「あんたの中には怪物がいる」「あんたは誰より未来へ行ける、だから必ず答えを見つけて」と理解不能な言葉を次々に告げる母。
意味のわからないまま母は席を立ち、仕事に向かうと部屋を出て行ってしまいます。
追いかけようとするスミオですが、タイミング悪く夢日記の眠気が襲い掛かってきてしまい、その場に倒れこんでしまうのでした。

目が覚めると、夢日記に描かれていたのは
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自分の知っている髪の長い女性がエレベーターで真っ黒になっていなくなる、犯人はエニグマだと言う不気味な文面。
今の時間は22時、と言うことはこの事件が起こるのは2時間以内です。
描かれた絵のように髪が長く、スミオと面識がある女性と言って思い浮かぶのは幼馴染のしげる。
慌てて彼女の自宅があるマンションを尋ねるのですが、しげるの身にはなにも起きていない上に、マンションのエレベーターには「休止」と書かれた張り紙がしてありました。
しげるが日記の女性ではないとすると……スミオの脳裏に、自宅の鏡台に置かれていたロングヘアーのウィッグがよぎります。
母が仕事のときにかぶるそのウィッグ。
もしそれをつけたまま、仕事場でエレベーターに乗ったなら……!
慌てて母の仕事場へ向かうスミオ。
ですがその場に駆けつけたとき、ちょうどウィッグをつけた母らしき人物がエレベーターに乗り込んだところでした!
血相を変えて扉に張り付き、両手を差し込んで強引にエレベーターを開けるスミオ。
ところが、中に入ってすぐ開いたにもかかわらずそこには
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ウィッグと人の形をした大きなシミが残されていただけだったのです!!

失踪として扱われることになった母。
異様すぎる出来事にしばらく落ち着くことの出来なかったスミオですが、何とか落ち着きを取り戻しました。
失踪などするはずの無い強い母が消えたのは「誰かにさらわれた」か「消えざるを得ない状況に追い込まれた」かしかないと考えたスミオ、ならばその原因であろう「エニグマ」とやらを何とかして母を迎えに行けばいいと思い立ちます。
雲をつかむような話ですが、夢日記があれば何とかなるかもしれません。
戦う決意を固めたスミオですが、エニグマは逆に自分からスミオを招きます。
奇妙なゲーム、「e-test」に……

9月18日、23時。
スミオは取り乱していたために入れられていた病院で眠っていたはずですが、目を覚ますとなぜか学校の体育館にいました。
傍らには学校で何かが起こることを予告している夢日記。
同時にエニグマのマークが描かれていることに気がつくのですが、他に誰かがこの部屋にいることにも気がつきます。
1年E組の支倉モト、2年C組の九条院ひいな、3年G組の祟藤タケマル、3年B組で生徒会長の祀木ジロウ、2年H組でなぜか着ぐるみを着ている水沢アル、そしてしげる。
全員は寝ていたはずなのに気がついたらここにいたそうで、誰も状況が理解できていません。
しかも不思議なことにどこの扉も窓も固定されたようにびくともせずに脱出不能。
オマケに22時と言うまだそんなに遅すぎる時間でもないというのに、窓から見える外には明かりひとつ灯っていないのです!
わけがわからない一同が戸惑っていると、突然ステージに例のエニグマのマークが映し出されました。
そして全員の名前を呼び、これから全員の本質を図る「e-test」に参加してもらうと命令してくるのです。
これから72時間密室となったこの校舎で、脱出するためのパスワードを全員分集めるというこのゲーム、成功したときには脱出だけではない報酬が用意されています。
それはおのおのが今一番求めているもの。
いつの間にか各人の左ポケットに入れられていたカードにはその商品が書かれているのですが、澄夫のものには確かに今一番求めているもの……「親」と書かれているではないですか!
ゲームの詳細はわかりませんが、普通の一般人ならば困難であるらしいe-test。
ですがエニグマはこう告げるのです。
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ユニークな才能を持った君達になら可能だ、と!
理解できない出来事を次々に巻き起こすエニグマとはなんなのか。
スミオ以外の人物にも夢日記のような特別な能力があるというのか。
突然課せられたe-testではどんな困難が降りかかるのか。
謎多き物語が今、幕を開けます!

と言うわけで、ジャンプらしからぬ謎の多いサスペンス風の物語である本作。
サスペンス調の物語自体は、近年でも記憶に新しい「デスノート」等が連載されていますが、本作のように能力や設定の全容がほとんど明かされないまま進んでいく話は多くないのではないでしょうか。
そんな謎の多さは物珍しさだけではなく、きっちりと物語の興味を引く要素として作用しており、一人一人の能力や望むもの、それぞれの過去等を徐々に紐解いていくと言う形の展開を生み出しています。
得体の知れないのはエニグマだけではなく、付き合いが深いのにどんな能力を持っているのかわからない、しげるを含めた仲間のほうにも気を配っていく必要がありそうです!
また、消えた母にも注目してみたいところ。
消えたシーンで母らしき人物は一切顔が映っておらず、それが本当に母であるということをはっきり描いていないことに何かあるはず。
はっきりしたことはいえませんが、母がかつてエニグマと何らかの接触があったことを示唆している描写や、エニグマの登場と人が消えるという事実の関連性から、父の失踪にもエニグマが関わっているであろう事は予想できます。
もしかしたら父と母の運命的な結婚もエニグマによる報酬か何かだったんじゃないか、という見方も出来るような気がしますが……
ともかくおそらくそれらは今後関わってくるでしょう!
とりあえず今しばらくは多分各キャラの能力や過去をメインに話が進んでいくでしょうし、謎の解明を楽しみにしながら読むのがよさそうです!

単行本のオマケ要素も、単行本での連載となりそうな描き下ろしの過去編に加え、校舎の見取り図や各キャラのプロフィール、小ネタのカットが収録。
単純な付加要素だけでなく、物語を探る鍵にもなるかもしれません!

閉ざされた校舎で行われる奇妙なゲームを描く、「enigma【エニグマ】」第1巻は全国書店にて発売中です。
とにかく謎の多い本作。
過去の出来事などもいろいろと今後に絡んできそうで、どんな種明かしが行われるのかが非常に気になるところ。
ジャンプらしくないところがあるため、途中で物凄くはしょられたり突然終わらされてしまったりしないことを祈るばかりです……!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


エニグマ 1 (ジャンプコミックス)
集英社
2010-12-29
榊 健滋

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