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本日紹介いたしますのはこちら、「鬼の作左(おにのさくざ)」第1巻です。
メディアファクトリーさんのMFコミックスフラッパーシリーズより刊行、コミックヒストリアにて連載されています。

作者は西条真二先生。
西条先生の簡単な紹介と代表作のひとつ、「鉄鍋のジャンR」の紹介は「西条真二」のテーマにてまとめさせていただいております。
よろしければそちらもご覧くださいませ。

本作は本多重次を主役に据えた、本格時代漫画です。
帯に「戦国漫画」と銘打ってあるにもかかわらず戦闘シーンはほとんどなく、鬼作左の異名をとる重次の破天荒且つ忠義の心にあふれた生き様を描く人間ドラマがメインの作品となっています!

駿府城には20万をこえる兵が集まっていました。
これも全て「北条攻め」を前にして、時の関白である豊臣秀吉が本丸へ招かれていたためです。
その軍勢を目の当たりにした徳川家の忠臣の1人、大久保彦左衛門忠孝は流石の北条もこの多勢を相手にしては堪るまいが、これだけいてはどれが我が徳川家の者かわからんと呟きます。
それに答えたのが本多作左衛門重次。
鬼作左と恐れられていた彼は、
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「ここに居るのは全員が敵」「徳川家の者以外は全てが敵、それが我らの信条」という物騒ながらも徳川家に全てをささげていることがわかる男らしい台詞を吐いたのでした。

その頃、本丸では秀吉と家康が対峙していました。
ですが、本来駿府城の城主である家康が、本来城主の座るべきところでふんぞり返っている秀吉に頭を下げているのです。
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実際織田信雄や長曽我部、上杉に伊達と数々の軍勢を味方に付けていた秀吉に対等な立場で物事を言うのは難しく、この家康の態度も仕方の無いこと。
当の秀吉は以前の負け戦をようやく払拭できたとご満悦の表情で高笑い。
本多平八郎忠勝をはじめとした家康の側近達は何も言えず、戦を起こすことが出来ないため従わざるを得ない家康の心中を察して歯噛みすることしか出来ないのでした。

そんな時、異変が生じます。
突然鳴り響きわたった怒号は、「なにをしておるのかこのバカ殿」と言う過激なもの。
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そしてそんな言葉を緊迫したこの場で言えるのは作左を置いて他にいません!
作左は主君である家康に対し、三河藩士の表看板がはいつくばって頭をさげるなと叱り付けるのです。
下がっていいと言う家康の言葉もはっきりきっぱりと拒否し、家康の城であるにもかかわらず城内外によそ者をあふれさせ、その上頭を下げている三河武士など見たことも無いと怒鳴り続けました。
普通でないその態度と隻眼+片足というわかりやすい特徴に、作左を見知らぬ秀吉側の者も皆これが噂の「鬼作左」であることに気が付きます。
まだまだ続く怒号。
その中にあった「この性根では城どころか奥方まで貸せといえば貸しかねん」と言う言葉は秀吉も聞き捨てならないものでした。
何せ家康の正室である旭姫は秀吉の妹。
実の妹を「人に貸す」など、たとえに出すにしても無礼きわまりありません。
そこで秀吉、作左の度肝を抜いてやるかと言う思いもこめて、誰もがたまげるという持ち前の大声で「下がれ無礼者め、徳川殿も困っておろうが!」と怒鳴りつけたのです!
ですが作左はまったくひるむ様子もなく
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「貴様こそ黙っておれ」と秀吉がひるむほどの勢いで迫ったのでした!

作左の熱き忠義から来る叫びと、それを貫くために作左をはじめとした(忠勝以外の)三河武士達全てが負っている傷を見せられた家康。
ようやく自分の取るべき姿を思い出し、
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立ち上がってどっかりと秀吉の横に腰を下ろしました!
あっけに取られる秀吉達を尻目に、早速そのまま北条攻めに向かう作左。
その勢いのまま、圧倒的な強さで北条水軍を全滅させてしまいます。
この凄まじい強さと、家康を篭絡させても曲げることの無い忠義を持ち、決して秀吉の思うとおりには動かない三河武士。
とりわけその中でも存在感を有する作左に、秀吉すらも冷や汗をたらして怯えるしかないのです!
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というわけで、並ならぬ忠義心ゆえ主君すらも平気で怒鳴りつける作左の活躍を描く本作。
この後も単なる豪快なだけではない、作左の様々な一面が描かれていきます。
ただ頭がいいだけでは決してたどり着くことのない「覚悟」から生み出される戦略、家康のためならば自らがどんな汚れ役になろうとも一切かまわない思いもよらない奇手、そして負けたら斬首の上引き廻しと言う運命が待っている恐ろしいゲーム「鉄火」で見せる尋常ならざる意志の強さ。
そんなただただ圧倒される作左の人物像が描かれ続けるのですが、今巻収録最後の1話でいよいよ連続したストーリーも始まりそう。
十分豪快で面白かったとはいえ、簡単に言えば人物紹介だけになっていた本作に大きな動きが起こりそうで、ますます先が楽しみな流れになっているのです!
その豪快だったり、痛みなどを我慢する鬼気迫る形相などはまた西条先生の絵柄がバッチリマッチ。
西条先生の持ち味のひとつである、迫力が遺憾なく発揮された作品に仕上がっています!
ちなみに西条先生作品に欠かせないもうひとつ(?)の持ち味、巨乳(あるいはペタンコ)女性キャラは未登場ですけど!

豪放磊落にして端倪すべからざる頭脳を持つ作左の生を描く、「鬼の作左」第1巻は全国書店にて発売中です!
「鉄鍋のジャン」などの料理漫画、「となりの格闘王」といった格闘漫画、その他にも将棋漫画や大工さんの漫画、挙句の果てには「キガタガキタ!」という恐怖新聞のスピンオフ作品まで描いちゃう幅広すぎるジャンルを手がけてきた西条先生。
その西条先生が描く本格時代漫画、ファンならずとも見流すことなかれです!
12月にはその「キガタガキタ!」の単行本も発売予定となっており、西条先生作品が同時期に2作品発売と俄かに盛り上がっております!
せっかくですのでジャンしか知らない方はこの作品を、この作品で西条先生を知った方などは他作品にモテを伸ばしてみてはいかがでしょうか!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!


鬼の作左① (MFコミックス フラッパーシリーズ)
メディアファクトリー
2010-11-22
西条真二

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