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本日紹介いたしますのはこちら、「絶対君主症候群」です。
日本文芸社さんのニチブンコミックスより刊行されました。

作者はイワシタシゲユキ先生。
イワシタ先生はそらみみくろすけ名義で91年にデビュー。
デビュー後すぐに「放課後戦隊ゴタッキー」を連載したものの、その後はしばらくあちこちで夜見霧を書いていらっしゃったご様子。
ですが03年の「バドフライ」連載を皮切りに、数々の雑誌や携帯コミックで連載をこなしていらっしゃるようです。

さて、本作は最近のイワシタ先生らしい作風のエロス要素・フェチ要素を押し出した作品です。
女王様気質の姉に、気弱な弟が振り回されると言うお話なのですが、その振り回され方がちょっぴり変わっているのです!

特に将来の夢や明確な目的もなく、ただだらだらと毎日を送っていた大学2年生の拓人。
父親が単身赴任中な為母親と二人暮らしをしていたのですが、そこへ突然居候がやってくることになりました。
就職のため上京してきた22歳のいとこ、桐子です。
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子供の頃一緒に暮らしていたこともある彼女、一見明るく人当たりのよい言うことなしの美女。
ですが彼女は拓人の前でだけはその本性をさらけ出すのです。
それは超ドSな女王様ライクな性格で、その子供時代には目の前に椅子があると言う状況にもかかわらず拓人を人間椅子として使ったりしていたのでした!
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そしてその性格は大人になった今でもまったく変わっておらず、2人きりになった途端椅子になるように指示するのでした。

そんな憂鬱なような、ちょっぴり嬉しいような日が幕を開けた後のある日。
エロスな話題を交わす友人に気になる噂を聞きます。
エンゼルチャットなるライブチャットで、絶妙なパンチラでランキングのトップを争う「kinaco」という美女の噂を。
その人気の所以は下着のセンスやら足の肉付きのよさやらの外見的な部分も大きいのですが、なんといっても彼女が超がつくほどのドMだと言うところなんだそうで。
お年頃な拓人がそんな話を聞かされれば、確認せずにいられるわけがありません!
そそくさと家に帰ると、なにやらちょうど自宅から作業服姿の男が出て行くところでした。
なんでも桐子の部屋に鍵をつけたんだそうで。
うら若き女性の部屋に鍵、と言うのは別に不自然でもなんでもないわけで、お前に覗かれないようにつけたと茶化す母親に、むしろ自分の部屋にも鍵をつけてくれと言い返して部屋に戻るのでした。

夜、家が寝静まったことを確認して件のエンゼルチャットを覗いてみる拓人。
で、例のkinacoのチャットルームに入室してみます。
確かに大人気なようで、同時に入室している人数は1572人などと表示されています。
映し出されているkinacoとやらは、確かにエロスの沸き立つような体つきをしており、誰とも知れぬチャット相手のこれこれこういう服に着替えろ、といった内容のぞんざいな命令にも嫌がらずに従っているMな人のご様子。
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自分は匿名でも誰かにこんな命令なんて出来ないよ、とただ傍観していた拓人ですが、その画面に信じられないものを見つけてしまったのです!
それは右もも内側の付け根付近にあるホクロ。
自分を椅子にして座る時に見える、桐子の右ももにあるものとまったく同じ位置にあるホクロが!

ただ、同じ位置にホクロのある女性なんて珍しいだろうけれども決め手になるほど少ない筈もなく、そもそも超ドSな桐子がこんなMっぷりを発揮していると言うことが考えられません。
それでも拓人は確認せずにはいられませんでした。
もしkinacoは桐子ならば、今まさに桐子はこのチャットで映し出されている姿と同じ服装をしているはず……
そっとベランダに出て、ほんのわずかに開いていたカーテンの隙間から覗き込むと
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まさにディスプレイに映し出されているkinacoと同じ服装をして、パソコンに向かっている桐子の姿があったのです……!

このような衝撃的な事実が明かされても。拓人はまだそれを心の中に押しとどめて毎日をいつもどおり過ごすことしかできません。
その間にも桐子の拓人いじめ(?)はどんどんエスカレートし、足で踏みつけたケーキを食べさせたり、拓人のおしっこ姿をなにを言うでもなく目前で眺め続けたりと、日に日に女王様っぷりに磨きをかけ続けていきます。
そんなことが続いていたある日、チャット姿を目撃したときからくすぶり続けてきた想いがとうとう爆発!
何食わぬ顔をしてエンゼルチャットでkinacoと会話し、正体を明かさないまま「お前がどこの誰か知っている」「今すぐその部屋へ行って、お前の望みを叶えてやる!」と発言。
そしてそのまま本当に桐子の部屋を訪ねたのです!
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今まで拓人にしてきたことは、本当は全て自分がして欲しかったことだろう。
まるで別人のように高圧的に迫ってくる拓人に、桐子はそれを肯定。
ここから2人の関係性はがらりと変わるのです。
SとMの関係が、がらりと反転した新たなものに……!

その後の2人は、普段はいつもどおり桐子が上位のような関係ながら、いったんスイッチが入ると完全に主従関係の入れ替わる不思議な関係となります。
そこへ桐子の気まぐれから、拓人に思いを寄せていたドジっ娘の引地川を巻き込んでより複雑怪奇な関係へともつれ込んでいくのです!
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このかつてない三角関係はどのように広がっていくのか?
物語はいっそう摩訶不思議なエロスワールドへと落ち込んでいくのです!

というわけで、SとMの逆転をテーマに描かれた本作。
と言っても直接的なエロス描写は少なめで、特に第1巻には皆無と言ってもいいくらい。
それでもエロスは確かに感じさせてくれるのです!
直接的な描写だけが能ではない、エロスの世界の奥深さを垣間見せてくれていると言えるのではないでしょうか!!
友達から本気でSMプレイをするのにピッタリのサークルがあるとふられていたり、拓人と桐子の関係に巻き込まれる引地川が登場するなど、今後の展開を左右する様々な要素が出てきてこれから!と言う感じになった第2巻。
ですがここで残念ながら本作は完結となってしまいます。
連載していたケータイコミックブレイクが更新停止となったそうで、無念の打ち切りを迎えてしまったのです!
うーん、残念!
エロス目的だけじゃなく、お話的にもどうまとまるのかが気になるところだったんですが……

男女の主従逆転とその不思議な関係をケレン味たっぷりに描く、「絶対君主症候群」は全2巻で好評発売中です!
作者さんによれば、「限りなく第2部の可能性の低い第1部完」を迎えた本作。
単行本第2巻がよっぽど売れなければ2部はないだろうとのことで、興味がちょっとでもある方はぜひともご購入をお願いしたいところ!
「バドフライ」みたいな作品もまた読んでみたいところですが、この作品の続きもお願いしたいもんです!
Sな美女が好きな方もMな美女が好きな方も、一冊いかが?
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


絶対君主症候群 1 (日文コミックス)
日本文芸社
イワシタ シゲユキ

ユーザレビュー:
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絶対君主症候群 2 (ニチブンコミックス)
日本文芸社
2010-10-18
イワシタ シゲユキ

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