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本日紹介いたしますのはこちら、「藤子・F・不二雄大全集 21エモン」第1巻です。
小学館さんより刊行されています。

第2期の刊行が始まった本大全集の紹介は、「藤子・F・不二雄」のテーマにてまとめておりますので、宜しければごらんくださいませ。

さて、本作は未来の地球で宇宙人客狙いのホテルを経営する一家の子供、21エモンを主役とした日常を描くギャグ漫画です。
その設定からしてF先生の作品の中でも特異な作品ですが、キャラクターの配置もF作品の「ダメ主人公・特別な能力を持つキャラ・いじめっ子・ずるい系キャラ・マドンナキャラ」というテンプレートを踏襲しながらもガラッと違った味付けが施してあり、F先生の連載作品の中で異色の作品といえます。
何でもこの作品はF先生のお気に入りだったらしく、かなり思い入れがあった様子。
残念ながら連載当時の人気はいまひとつに終わってしまいましたが、連載終了後10年以上たって映画化、そして更に10年ほどたってTVアニメ化と、後年評価された形となったのでした。

主人公の21エモンは飽きっぽくて移り気な少年です。
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彼は将来宇宙を駆けるパイロットになるのが夢なのですが、同時に家業であるホテルを継がなければならないという気持ちも抱えていました。
で、その家業であるホテル。
名前は「つづれ屋」といい、徳川幕府とほとんど同時に開かれた歴史あるホテル……なのですが、昔からずっと貧乏暮らしも続いており、今もなおお客さんが来ないと嘆きながら何とかやりくりしている状態なのです。
そもそも従業員は支配人である父、コックや宇宙人用に部屋の環境調整などをする母、そして元芋ほり用で礼儀も何も知らないいい加減なロボットのゴンスケのみという有様。
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そんな日々を続けているうち、ついにもういい加減どうしようもない!という状態にまで追い込まれてしまいますが、とある客が代金代わりに置いていった不思議な生物、「モンガー」が家族の一員になったことから徐々に生活は好転するのです。
モンガーは「絶対生物」と呼ばれる、あらゆる環境で生き、あらゆるものを餌にでき、空を飛んだり透視できたりするというそれはもうすごい生物。
そしてその多数ある能力のうちのひとつ、「3キロ圏内のものを3キロ圏内のどこへでも瞬間移動させられる」というテレポート能力を使い、空港からホテルへ直でお客さんを運んでくるという荒業を使って商売を軌道に乗せ始めたのでした!!
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とはいっても強制的に連れて来たお客さんがそのまま素直にみんなつづれ屋に泊まってくれるわけではありません。
すぐ隣には地球有数の超ゴイスなホテル、ギャラクシーがあるためそちらに流れていってしまったりするのです。
とはいえ0に等しかったお客さんもたまに来る程度にはなり、おせっかいすぎるところはあるもののバリバリ仕事をこなすロボットのオナベさんも加入。
悪人善人変人、様々なお客さんに振り回される日常がドタバタと繰り広げられます!

実に様々な宇宙人が登場し、その宇宙人の風習や習性も様々で、物語もまた様々に展開する本作。
ありえないような未来技術の存在もあり、バラエティに富んだエピソードが楽しめます。
なんといっても「現代に未来道具」という日常+非日常なドラえもんとはほとんど間逆といえるような、「未来に異性人」という非日常に非日常がプラスされた日常という形をとっていることから、F先生の連載作品に多いドラえもんタイプの物語とは違った味わいとなっているところがミソ。
住宅事情やら子供の遊び場やらを描くだけでもF先生のすこしふしぎワールドが展開するという、隅々まで楽しい作品なのです!
そしてマドンナキャラ的存在のルナにも要注目。
隣に住むかわいい女の子なのですが、その隣というのがかのギャラクシーなわけで、幼馴染の美少女が商売敵だという他作品にないスタンスなのです。
さらに他作品にないスタンスはその立場的なものだけでなく、二人の関係性も変わっています。
お互いホテル経営者の子供という立場を知っていて、ちゃんとそういう敵対関係だとわかっていながらも、それは置いといて……と言ったようなお隣さんの幼馴染らしい仲良しな関係も築いているのです。
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その上ルナはどうも21エモンのことが好きな様で、何かと特別扱いしてくれたり、さりげなくアプローチをかけたりしてきちゃいます!
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当の21エモンはそんなルナの気持ちにもトンと気づいていないようで、普通にスルー。
もったいないにも程があるってもんですよ!!
密かにF先生キャラ中屈指の萌えキャラな気がするルナと21エモン、二人の関係にも注目が必要ですね!

そんな見所たくさんな本作ですが、巻末の特別資料室には超レアな作品が収録されています。
なんとF先生が描く「どろろ」が収録されているのです!!
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雑誌の企画で実現したごく短い作品ですが、一瞬手塚先生との合作か?と思ってしまうクオリティの高いどろろ&百鬼丸が拝めます!

異色ながらF先生らしい色合いの濃い、「藤子・F・不二雄大全集 21エモン」第1巻は好評発売中です!
一般的な知名度はやや低いながら、F先生ファンの間では高き人気を誇っていた本作。
ドラえもん型の作品しか読んだ事の無いような、ライトなファンの方にこそ読んでいただきたい一風変わった味わいの作品ですよ!
今なら大全集第2期刊行記念と言うことで、10年12月末日まで本来1500+税円のところを1300+税円とお安くお求めになれますぜ!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!


藤子・F・不二雄大全集 21エモン 1
小学館
2010-08-25
藤子・F・不二雄

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