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本日紹介いたしますのはこちら、「水木しげるの遠野物語」です。
小学館さんのビッグコミックススペシャルより刊行されました。

作者は勿論水木しげる先生。
水木先生のほか作品は「水木しげる」のテーマにて紹介をまとめております。
そちらもよろしければご覧ください。

さて、本作はかの柳田國男先生が書いた「遠野物語」を水木先生独自の解釈によって漫画化したものです。
「遠野物語」といえば「うしおととら」「孔雀王」等にも引用された、現代に伝わっている妖怪の祖とも言える神仏妖怪関係の物語を集めた説話集。
現代の妖怪の性質や姿はこの「遠野物語」と鳥山石燕による浮世絵でほぼ形作られたと言っても過言ではありません。
それを更に親しみやすく描きなおし、「ゲゲゲの鬼太郎」などで世間一般にまで浸透せしめたのが水木先生と言うわけです。

と言うわけでいよいよ本格的に柳田×水木のタッグが組まれることになった本作。
もともとが119話からなる短編の説話集ということで、本作はおそらく水木先生がピンと来たのであろう話を抜き出す形で漫画化しています。
更に説話集と言うことで別段小説的な起承転結などがない話も多く、基本淡々と進んでいきます。
だからと言ってつまらないわけではなく、昔話の中に水木テイストもきっちり織り交ぜられた興味深い作品になっているのです!

「遠野物語」119話は全て怪異のお話というわけではなく、土地柄や言い伝えなんかを書いたものもありまして、水木先生はこの辺を背景+文章などでさくっと消化。
全29回の連載の中で漫画化されているのは各回1~2話ずつです。
漫画化されている話は実に多種多様。
狼の鳴きまねをしながら帰っていたら狼がついてきてしまって、びびって逃げ帰り翌朝になると自宅の牛が全部食い殺されていた、という怖いと言えば怖いけど妖怪とか関係なくね?と言う話、
出し抜けに熊と出くわしてしまい肉弾戦になりながらも生き延びたと言う現代でも極まれに聞く気がするような話、
山の中で天狗と出くわすと言うスタンダードな妖怪話、
死にかけの男が死んだはずの肉親と出会うという臨死体験の話……
挙げはじめればきりのないバラエティの豊かさです。
そして回が進むにつれ水木先生ご自身の出番が増えていき、
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いつしかさりげなくモブに混じってたり!
挙句の果てにねずみ男っぽい相手に
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自分の金持ち自慢まで!!
すごいよ水木先生!自分で「お金が大好き」と言うだけのことはあります!!

また、「女神転生」シリーズやら「孔雀王」やらに登場し、知る人も多いかもしれない「オシラ様」のエピソードでは濡れ場までバッチリ描写!!
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しかも馬と!!
まぁ原作どおりなので当たり前と言えば当たり前ですが、本作唯一のエロス描写が「馬と」ってのが……
水木先生流石だぜ、と言う他ありません!!

今年88歳となる水木先生ですが、点描を駆使して書き込まれた圧巻の画も健在!
迫力の妖怪から
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自然の香りまで感じさせる風景まで
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水木しげるここにありという健在振りをまざまざと見せ付けてくれています!

最終話では現在齢90を迎えた柳田先生の息子のお嫁さんと会談し、更に柳田國男本人ともであいます(こちらは水木先生得意の夢オチですが!)!
更に水木先生、前世は遠野に住んでたと確信して完結。
そこまで言うのでしたら是非とも続編的作品、「遠野物語拾遺」の方も漫画化お願いいたします!!

現代妖怪の祖を作り上げた柳田國男先生と現代に生きる妖怪になりかけている水木しげる先生の超協力ツープラトン、「水木しげるの遠野物語」は好評発売中です!
漫画に加えて「2010年、遠野の風景」と言うこちらも興味深いコラムが掲載。
今年は「遠野物語」が出版されてから100周年とのことで、遠野市と記念企画でのタイアップもしているっぽいです!!
まあそこはそれ、水木先生の最新作と言うだけでも価値あるのに、内容が「遠野物語」なんですから妖怪好きが避けて通れるわけもないですよね!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


水木しげるの遠野物語 (ビッグ コミックス〔スペシャル)
小学館
水木 しげる

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