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本日紹介いたしますのはこちら、「藤子・F・不二雄大全集 海の王子」第1巻です。
小学館さんから刊行されました。

現在刊行中の藤子・F・不二雄大全集の紹介は「藤子・F・不二雄」のテーマにてまとめておりますので、そちらもよろしければごらんくださいませ。

さて、本作はF先生……というか藤子不二雄として初の週刊連載作品です。
しかも週刊少年サンデーの創刊ラインナップのひとつで、09年の時点で実に50年前の作品となっているのです!!

内容はと言うと、当時らしい「超技術で作られたすごいメカが謎の悪者集団のメカと戦う」と言うSF冒険活劇です。
題材もあってF先生がらみの作品では特に古さを感じさせる作品なのですが、その後の作品のヒントとなるようなエピソードも多数散りばめられた見所の多い作品でもあるのです!

主人公はタイトル通り「海の王子」です。
カイン王国という深海に存在する国の王子なのですが、なんか知りませんが「はやぶさ号」を駆って日本を守ってくれます!
ちなみに名前は謎です!実の親にまで「海の王子」って呼ばれてます!!
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妹のチマを相棒にして2人で操縦するはやぶさ号ははやぶさの名前がついているにもかかわらず潜水艦+飛行機+ドリルによる地中移動まで出来る万能戦闘機。
更に全身から砲門を出して射撃を放つ「はりねずみ砲」、敵をガッチリ凍らせる「氷結弾」、対象物をなんにでも変装させられる「マジックスキン」などの超絶武装に、鋼鉄の数百倍の固さを誇る謎金属で作られている無敵の装甲というマジ無敵メカなのです!
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……けっこうあっさり、しかも何度もやられますけど!!

そんな海の王子の前に立ちはだかる敵は得体の知れない悪の組織から宇宙人、機械の集団など、基本的に素性が不明と言う点と示し合わせたかのように怪しい黒尽くめという点が共通している多種多様な軍団たち。
「黒いおおかみ」「海へび大帝」など、動物+色or立場と言う名前に統一されています。
本作は連載初期のみ劇作家の高垣葵先生が原作についていたのですが、それも連載9回までだったようで、それ以降は完全に藤子不二雄の作品になりました。
そのためか、それ以降は戦艦・戦闘機による戦いがメインであった最初期と変わり、現実離れしたロボットやメカが出てくるF先生っぽさが強くなります。
4シリーズ目の「鉄の獅子の襲来」では敵の軍団が全てロボット、という「鉄人兵団」をちょっぴり連想させるエピソードですし、7シリーズ目の「海神ポセイドンの謎」では海中でアトランチスの守り神である巨大メカ、ポセイドンと戦う、という「海底鬼岩城」を髣髴させるストーリーが進行!
そんな大筋以外にも「光を屈折させて別の場所にいるように見せる」といった、のちのドラえもん秘密道具となるネタも散りばめられています!

また、後の作品にも多く見られるシュールさも所々に見られます。
「老人と海」を読んで海への帰りたさを強める(そういう話ではないような気が……)海の王子や、
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激戦の末敵を倒し、ボロッボロに壊された国の再建をするシーンがわずか1コマで簡単に説明してたり、
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はやぶさ号は光の速さで飛べるとあっさり衝撃の事実を言ったかと思うとそれをあっさり複製したり……
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時代のおおらかさも勿論あるのですが、このなんともいえない味わいは後のF先生風味を確かに感じさせるのです!

それらのFイズムの片鱗と言った数々のポイントを除いたストーリー部分もやはり注目です。
50年前の作品だけに食い入るように読み込んでしまう重厚なストーリー……という要素いんは乏しいと言わざるを得ませんが、次から次へと現れる敵集団の個性豊かさや数々使われる兵器の独自さ、重厚ではないながらもきっちりと一捻りされている展開などの見所は十分!
漫画が現代の漫画の形になり始めた時期の作品と考えると、非常に高いレベルで作り上げられている作品と言えるのではないでしょうか!

今まで3度ほど単行本化されてきた本作ですが、その際カットされていた各話表紙やカラーイラスト、雑誌の企画などの資料的価値あるものももどっさり収録!
とくに一番重要っぽいところをばっさり切った「さあ、かこう!!少年サンデー人気ものにがおえ」のコーナーは思わず「描けねえよ!」と突っ込んでしまうこと必至ですよ!!

藤子不二雄初週刊連載作品、「藤子・F・不二雄大全集 海の王子」第1巻は好評発売中です!
50年前の原稿にもかかわらず原稿欠落は少なめで、奇麗な印刷状況での刊行は嬉しい限り!
ドラえもん、パーマン、Q太郎などとはまた一味違った味わいを楽しんではいかがでしょうか!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


海の王子 1〔F全集〕 (藤子・F・不二雄大全集)
小学館
藤子・F・不二雄

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