画像

本日紹介いたしますのはこちら、「藤子・F・不二雄大全集 バケルくん」です。
小学館さんより刊行されています。

藤子・F・不二雄大全集の今までの紹介は「藤子・F・不二雄」のテーマにてまとめておりますので、よろしければそちらもご参照くださいませ。

さて、本作は74~76年、そして86年に学年誌と別冊コロコロで連載されました。
藤子先生のある程度の帰還連載された作品の中では比較的マイナーな作品ではありますが、面白さは他作品に負けていません!

主人公のカワルは何をやらせてもパッとしない小学生。
ある日空き地で友達のラジコンを借りて遊んでいると、空き地の隣にある通称「お化けやしき」に飛び込ませてしまいます。
しぶしぶ中にラジコンを取りに行くカワルですが、そこにはお化けはおらずにいくつかの人形がおいてありました。
突然人の気配を感じ、身を隠すカワル。
すると1人の少年が先ほどのラジコンを手に部屋にはいってきたのです。 
少年はラジコンが壊れているからパパに直してもらおう、と言いながらおもむろに置いてあったおっさんの人形の鼻を押すと
画像

みるみると小さくなり、かわりにオッサンの人形が等身大に巨大化。
機械に強いらしいお父さんは手間がかかりそうだからご飯の後にしよう、と言いながら今度はおばさんの人形と入れ替わって部屋を出て行ったのでした。

誰もいなくなった部屋の中、でてきたカワルは好奇心から置いてあった犬の人形をみようみまねでいじってみました。
すると先ほどの少年達のように自分が人形サイズに縮み、精神は等身大に巨大化した犬の人形に入り込んでしまったのでした!

見てればなんとなくそうなることは予想できるような気はしますが……とにかく突然犬になってしまったカワルは困り果てます。
ラジコンを手に外にはでてきたものの。犬ボディでは家にも帰れずまたお化けやしきに戻る勇気も出ません。
自宅の庭でうろうろしていたところ、突如先ほどの少年が姿を現しました。
慌てふためき犬のまま家に飛び込んで両親に助けを求めますが、犬の体ではカワルであることなど解るはずもありません。
謎の少年はその犬は自分の飼っている犬だと主張し、嫌がるカワル犬をお化けやしきに連れ帰ってしまうのでした。

やしきにつくと少年はカワルにカワル人形を差し出して元に戻してくれました。
色々な体に変化している謎の少年に、一体何者なんだと問うカワル。
すると彼はあっさりと自分が宇宙人であることを明かしました。
地球に研究に来ているらしい彼は精神のみの体を持たない生命体で、人形に乗り移って生活するんだそうです。
その研究ももう終わったので宇宙に帰ると語る彼は、
画像

不必要となった人形&お化けやしきをそっくりカワルにあげて夜の空へと消えていってしまうのでした。

そんなわけでさまざまな人形を手に入れたカワルが色々と騒動を巻き起こしたり巻き込まれたりします。
人形にはそれぞれ能力と言うか長所があり、たとえばタイトルにもなっているバケルくん人形はスポーツ万能で身軽、美少女のユメ代人形は頭がよく宿題やトラブルの解決に秀でており、お母さん人形は家事などが得意……などなど。
中でも出色の超絶能力を持つのがお父さん人形です。
仕事が出来るわけでもなく、車の運転もへたっぴで身体能力も低いこの人形ですが
画像

財布から無尽蔵にお金が出てくるのです!!
この能力(?)によってカワルは甘い汁吸いまくります!!
うらやましい!マジうらやましいぃ!!
ちなみに「この無尽蔵に出てくる金ってもしかして宇宙技術で作り出した偽札なんじゃないの……?」という疑念を抱く物語もありまして、これって犯罪じゃね?と言う突っ込みも冷静にネタに転化するF先生は流石です!!

ところで、例によってガキ大将のいじめっ子的ポジションのキャラのゴン太と言うキャラがいるんですが、こいつがなかなかに不憫なんです。
いつもはジャイアン的な威張りまくりの主人公ないがしろにしまくりな彼ですが、カワルが乗り移っているユメ代にべた惚れしてしまいます。
崩れ始めた空模様の中数時間放置され、土砂降りにさらされる
画像

などの、どんなひどい目に合わされようとユメ代を愛し続けて結婚まで申し込む一途さ!
そしてその愛を散々カワルに利用される哀れさ……
中身がカワルで外見は人形、どう足掻いてもどうにもならない!こんなかわいそうなガキ大将キャラなかなかいませんよ!!
とはいえ人形は食事も出来るようですし、体も
画像

普通の人間とほぼ同じなようなので、もしかしたら子供とかも作れるのかもしれませんが!!
ここまでしっかり作る宇宙人、おそるべし!!

このゴン太をはじめ、ダメ主人公のカワルにマドンナ的キャラのユミといった、いつもどおりのF先生らしいキャラクター配置がなされている本作。
ですが本作は基本的に報われない人間関係になってます!
ユミはカワルのことを100%なんとも思っていない、好きでも嫌いでもない普通の友人扱いなのに中身はカワルのバケルのことが大好き。
そして主人公のカワルは野球大好きなのに下手糞で試合参加をしょっちゅう断られ、成績ものび太ほどではないもののパッとせず、運動もいまいちで、かと言っていじめられっこと言うわけでなく……なんていうか、誰からも特別に必要とされることがない空気的な存在なのです!!
しかも乗り移っているバケルやユメ代はモテモテで各方面で引っ張りだこという事実……
切ない!!この漫画のキャラたち、全体的に切ないです!!

本全集恒例の資料はもちろん収録。
そして今回の関係者による解説はなんと「まいっちんぐマチコ先生」のえびはら武司先生!
漫画以外もあいもかわらぬ充実振りです!

ちなみにドラえもんとの競演作である「ぼく、桃太郎のなんなのさ」はドラえもんの5巻に収録するそうです。
ここにまとまっていないのは寂しい気もしますが、先の楽しみがひとつ増えたと思えばなんてことはありませんよね!


長らく絶版状態が続き、なかなか全話読むことが難しかった本作を一挙に全作収録した「藤子・F・不二雄大全集 バケルくん」は好評発売中です!
2年以上続いた連載作品にもかかわらずアニメ化などをしていない(さりげなくドラマ化はしているようです!)本作ですが、入れ替わりと言う独特の要素を活かしたドタバタ劇は他にはない面白さを持っています!
さらに女性のユメ代人形に入ったり、ユミの体をコピーした人形に自分の精神をコピーしたりなど、さり気なくTS漫画としても楽しめたり!
これはもう読むしかないんじゃないでしょうか!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


バケルくん〔F全集〕 (藤子・F・不二雄大全集)
小学館
藤子・F・不二雄

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ウェブリブログ