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本日紹介いたしますのはこちら、「月光条例」第7巻です。
小学館さんの少年サンデーコミックスより刊行、週刊少年サンデーにて連載されています。

作者は藤田和日郎先生。
藤田先生関連の記事は「藤田和日郎」のテーマにてまとめておりますので、そちらも合わせてご参照いただければ幸いです。

さて、前巻では苦心の末あかずきんちゃんを救った月光。
今までとは一味違ったあかずきん編でしたが、今巻では更に毛色の変わったシリーズが開始されます!

第7巻ではショートエピソードが2編繰り広げられた後、長編エピソードに入ります。
今回の御伽噺は「フランダースの犬」。
パトラッシュが月打され、彼ともども読み手の世界にやってきたネロとおじいさん。
なにやら月光は天道ともどもこのお話に納得のいかない点があるようで、その怒りのままにパトラッシュを生身で殴りつけます。
もちろん生身で殴っても月光条例は執行できないわけで、せっかく直接対決になっていたパトラッシュはあっさりと逃げてしまうのでした。
とりあえずネロたちにラーメンを振舞う月光ですが、悲劇的結末を迎える「フランダースの犬」と言う作品に対しては明らかに怒りを覚えている様子。
とりあえず御伽噺の崩壊を防ぐために天道とイデヤ、一寸法師を身代わりに送ったのですが、正直信頼できない面子にエンゲキブたちは不安を隠しきれません。
そんな時飛び込んできたのはなんと
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浦島太郎!
乙姫が月打されてしまっており、助けを求めてきたのです!
すぐさま追いついてきた乙姫がいやおうなく襲いかかり……
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「フランダースの犬」「浦島太郎」の同時進行となったのです!

海水を大量に吐き出す「船の竜宮城」をかり、世界中を海の世界にしてしまおうとする乙姫。
おぼれてしまっている人々を鉢かづきに安全な本の世界の中に誘導させ、月光はひとり乙姫に挑みかかります。
ところが突然月光に現れていた極印が消えてしまいました!
どうやら鉢かづきが近くにいないと月光条例の力を行使できないようなのです!
絶体絶命のピンチに月光たちを逃がしたのはなんと乙姫側であるはずの亀でした!!

そこにとり残されたネロ。
異様過ぎる乙姫たちにおびえるのですが、突然乙姫たちは正気を取り戻しました。
まだ月打による変化が不完全で、正気と狂気をいったりきたりしている状態なのでそうです。
今の正常な状態のうちに浦島を捕まえなければとあせる乙姫。
なんと浦島が玉手箱を開け、老人になることで出現する絶望が月打を治す薬になると言うのです!!

その事実を知り、当然おびえる浦島。
亀は本来その薬の素を溜め込んだ玉手箱を回収する役目だったのですが……浦島に助けられた恩義を忘れられず、逃げる手伝いをしたのです。
ですが隠れていた学校にすぐさま乙姫が攻め込んできました。
巨大戦艦に改造された竜宮城、竜宮丸で!
必死に浦島を逃がそうと奮闘する亀。
ですが多勢に無勢なうえタイやヒラメのような強力な戦士(戦魚?)もおり、倒れるのも時間の問題です……

月光たちはとりあえず助けを求めに警察署に向かいますが、すでにそこは乙姫たちに占拠されていました。
浦島に玉手箱の煙を使い、薬を作り出せば全てが解決する……嫌がる浦島を取り押さえ、無理やり眼前に玉手箱を押し付ける乙姫の部下。
警察署長も浦島は護る義務のない御伽噺の登場人物であり、これで町の人々が助かるなら……と、状況を見守るだけ。
そんな時月光はネロに問います。
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どっちにつく?と。
その問いを受け、ネロは誰にも利益を出さず死んでいった最低の運命である自分に比べれば、浦島の死は有意義なものである、という乙姫にかけられていた言葉に同意してしまいます。
ですが月光はネロが最低な人生なのは誰にも利益を出さなかったからではない、と言葉をかけ……

たった一人で乙姫たちに戦いを挑んだのです!
しかし生身では御伽噺のキャラクターにダメージは与えられず、ただ打ちのめされてしまう月光。
このままじゃ無駄死にで、最低の人生になってしまうと止めにかかったネロに
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自分の物差しではこれが最高である、ネロの人生が最低なのは自分で最低だと思っているからだ、と怒鳴ります!
瞬間、止めとばかりに飛び掛ってくる乙姫の部下!
ですがその時、月光の体に異常な変化が起こったのです!!
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と言うわけでいよいよ新展開を始めた本作。
同時2作品の条例執行という驚きの展開のみならず、月光が今までになかった新たな能力を発揮しました。
月打がどうしておきるのか?という根幹の謎だけでなく、月光自身にも謎が生まれ、より一層物語に奥深さを作り出しました。
藤田先生ならばこの謎を膨らませてグワッ!と明かしてくれるであろうことは確実!!
相当先だとは思いますが、その日が今から楽しみですね!!
また、先のための要素だけでなく今回もしっかりとテーマが組み込まれています。
まわり全てのために一人が殺されてしまう、そんな状況に陥ったときにどう動くのか。
いくら悲惨な人生であろうとも周りではなく自分の尺度で物事を決める。
正しいとか正しくないとかを超越した、月光の(藤田先生の?)もつ「男」の生き方と言う問題を投げかけてくるのです!
その強烈な筆致で描かれたほとばしる主張の数々、是非はともかくとして……熱い!熱すぎます!
単行本描き下ろしのサイン会レポート(?)漫画も収録し、まさに藤田先生入魂の1冊となっています!!

驚愕の新展開に更なる謎が紡がれる、「月光条例」第7巻は好評発売中です!!
藤田先生がネットの評価を気にしていることが分かるコメントも必見ですよ!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


月光条例 7 (少年サンデーコミックス)
小学館
2009-11-18
藤田 和日郎

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