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本日紹介致しますのはこちら、「美女アマンダ」です。
ぶんか社さんのぶんか社コミックスにて刊行されました。

作者は三家本礼先生。
三家本先生は98年ごろから活躍を始めた漫画家で、ひたすら血潮飛び散る漫画を描き続けていらっしゃいます。
代表作は「ゾンビ屋れい子」で、こちらは実写ドラマ化やドラマCD化された人気作。
連載開始当初は死人を生き返らせて現世に残した恨みやなんかを解決していくような割りと正統派ホラー漫画だったのですが、連載が続くにつれ特殊能力を持つゾンビを召喚して戦わせるジョジョっぽい漫画に変化。
それにあわせてキャラクター達もたくましく描かれるようになり、いまは非常にパワフルな画風になっています。

さて、こちらの作品は近年の三家本先生の読み切りを集めた短編集になっています。
収録作品は5本。
クリーチャーの登場するアクションから最近の三家本先生的に珍しい正統派のホラー、オカルト要素のまったく無いものまで様々収録されていますが、どれにも共通しているのはやっぱりスプラッタ描写。
どれをとっても惨殺されまくり、惨殺しまくりなのです!

まず収録作をざっと紹介したいと思います。
役所で見かけた男性に取材を申し込んだことから恐怖のクリーチャーと出会うことになってしまう「美女アマンダ」。
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少年が趣味で書いていたイラストが具現化し、少年を騙そうとしていた少女たちを惨殺する「画女」。
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雇われたメイドが次々消えていく、奇妙な屋敷の秘密が明かされる「サクリファイス」。
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給食のことを何より大事に考えるあまり暴走し、給食費未納一家に襲い掛かる「給食の飯田さん」。
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そして今回取り上げて行きたい正統派ホラー、「地獄のてるてる坊主」です。
この作品はとにかく最近の先生作品では珍しいスプラッタ描写メインの話では無いホラーです。
いや、もちろんスプラッタ描写はあるんですが、そちらはあくまでホラーを形作る一要素。
あくまで「アメミヤさん」という謎の怪人が巻き起こす恐怖を描いているのです。

「アメミヤさん」と友達になるともらえるというてうてる坊主。
それを真っ直ぐつるすと必ず晴れ、逆につるすと必ず雨が降るという魔法のアイテムです。
運動会が中止になればいいと考えていた主人公とその友人は、運命か偶然かそのアメミヤさんに遭遇し、「友達になるからてるてる坊主を下さい」とお願いし、てるてる坊主をもらいます。
ですがまったく別のトラブルが起き、二人が運動会を嫌がる要素が消滅。
てるてる坊主は必要なくなり、友人は軽い気持ちで捨ててしまいました。
その夜友人の下にアメミヤさんがやってきて……
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翌朝には変わり果てた姿となって発見されたのです……

時は流れ、主人公は1児の母に。
ある時、娘に工作に使う箱が無いかと聞かれ、何気なく押入れにあった箱を取り出します。
なんと、その中にはあのてるてる坊主があるではないですか!
どこにしまっていたのかも忘れていたてうてる坊主ですが、アメミヤさんは死んだ、と言う噂を聞いていたこともあり、トラウマの払拭とばかりに遊びに来ていた娘の友達にてるてる坊主をあげてしまうのです。
肩の荷が下りたとばかりに一息つく主人公ですが、その夜……!
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うーん正統派!
ひたすら理不尽な恐怖が満載の一編になっています!
他の作品も見所がたくさんありまして、「美女アマンダ」の救いの無いストーリーや、「画女」のキャラの外道っぷりと「うお!?」と唸ってしまう衝撃の終わり方は特に必見!
各話に登場するクリーチャーのキモさもすばらしく、それ以上に「人間のクズ」の描写が上手いんです!
物凄く惨たらしく殺されていく人物達ですが、こりゃ殺されてもしょうがないよね!と何故か納得してしまうほどのクズぶりが堪能できます!!
血生臭いなんてもんじゃないスプラッタ描写も無論健在でして、なんかもう凄い勢いで血みどろまっしぐらですよ!
やってることはホラー&スプラッタなのになんだか笑えてしまうシュールな展開相変わらずありまして、特に「給食の飯田さん」はそのエッセンスだけで出来ているかのような勢い。
実はこういう作品こそ三家本先生の本領なのでは無いかという気さえします!!

また、単行本書下ろしで「刺青消しゴム」というこれまたナンセンスな感じのギャグ短編が収録。
読み手を不可思議な世界へと導いてくれること必至!
表紙の折り返しやカバー下にも手が加えられており、ページ数は少ないながらも一手間かけられた一冊です!

三家本先生の魅力がギュギュッと詰め込まれた、「美女アマンダ」は好評発売中です!
いろいろな意味で見所の多い一冊ですので、スプラッタ描写が苦手でなければ一読してみてはいかがでしょうか!
あ、スプラッタ描写といってもモツやらは殆ど無く、「ザクッ!」「ブシャーッ!!」って感じの切断&血が噴射程度(程度、といっていいのかはわかりませんが……)なので比較的グロ度は少な目かもしれません!
とにかく夏ですし、欠かせないホラー的な楽しみとしてよろしいのでは!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


ところで「画女」にでてくる女戦士もアマンダって名前なんですが……
三家本先生、アマンダさんに何かトラウマでもあるのでしょうか!


美女アマンダ (ホラーMコミックス)
ぶんか社
三家本 礼

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