画像

本日紹介いたしますのはこちら、「クロとマルコ」です。
秋田書店さんのヤングチャンピオン烈コミックスにて刊行されました。

作者は掘骨砕三(ほりほねさいぞう)先生。
95年にデビューし、成年向け作品を10年以上一線で生み出し続けてきた漫画家です。
成年向け漫画家ということで二の足を踏む方もいるとは思いますが、物語全体に漂う独特なムードや丁寧で可愛らしい絵柄はエロス描写関係なく高い評価を得ています。
ですが青年向け作品の数々は扱っているジャンルが特殊すぎて、とてもじゃありませんが普通の方には薦められません!
よいこむけコミックスしょうかいサイトをめざしているここではとてもしょうかいできませんので、しりたかったらぐぐってね!

さて、こちらの作品はヤングチャンピオン烈に連載された表題作、「クロとマルコ」を中心に、同誌に掲載されていた短編をまとめたものとなっています。
ディープな漫画好き(と、業の深いエロス趣味の持ち主)に評価の高い掘骨先生初の全年齢向け単行本ということで、注目すべき一冊と言えるのではないでしょうか。

表題作の「クロとマルコ」は、宇宙を舞台にした二人の少年の日常漫画です。
と言ってもスペースオペラ的な超サイバーなメカメカしい世界観ではなく、獣人型から半サイボーグ型、爬虫類型などの様々な種族の人類が、太陽系の名を冠した宇宙で交流している不思議な世界観になっています。
主人公の二人、クロとマルコはその半サイボーグ型(と言っても厳密にはメカじゃないんですが)の人類で、アステロイドベルト内の小さな星に二人で暮らしています。
画像

さすがショタを得意とする掘骨先生だ!必要以上に可愛らしいぜ!!
そんなかわいらしい彼らが大小さまざまな事件に巻き込まれながらも楽しい毎日をすごしている様子を描かれております。
注目すべきなのはその温かみのある繊細な絵柄と、しっかりと構成された独特な世界観でしょう。
様々登場する人種はそれぞれに仔細な設定がされており、僅かに4話70Pの作品だと言うのに驚くほど細かく世界が構築されています。
日常漫画という楽しみ方も勿論ですが、知らない土地のガイドブックを見るような……旅漫画っぽい楽しみ方もできるのではないでしょうか。

表題作以外の短編もかなり個性の強い作品がそろっています。
殆どの作品に共通しているのが現実世界(もしくは作中の主人公)からすると物凄く異常なことが当然のように行われていると言うこと。
不老不死の妙薬とされる竜の血をを取る為にドラゴンを捕獲しようとするハンター達と、狙われた竜を必死に助けようとするネズミの話「鼠と竜のゲーム」では竜も鼠も半分人間ですし、
画像

山深い田舎の友人宅を訪ねるとタイシサンと呼ばれる不思議な生物と出会うことになる「湖のひみつ」では、タイシサンがこんな姿ですし、
画像

夜明け前の公園で出会った少女と繁殖(!)する「翼のざわめき」では繁殖と言ってもこんなですし、
画像

とにかく「おぉ!?」と声に出てしまうような想像もつかない物語ばかりです。
基本的にはおかしなことをやってはいるけど平和な作品が収録されているのですが、さりげなくホラー調の作品も混ざっていてホラー好きのオレには嬉しい不意打ちでした!

単行本オマケ要素として各作品のネーミングの由来を解説した「元ネタ集」が書かれており、そのネタはウルトラセブンからスティーブンキング、ナイトライダーからキン肉マンに到るまで幅広いにも程があるというもの!
カバー下には4コマ漫画3本が書き下ろされており、無駄なスペースのない充実の一冊に仕上がっています!

あの掘骨先生のつむぐ新世代ファンタジー漫画、「クロとマルコ」は好評発売中です!
その独特な作風はかなり特異で楽しめるものになっていますので、掘骨先生を知らない方にこそ読んで欲しい作品と言えるのではないでしょうか!
……他の作品は成年向けだし半端無いディープぶりなので他作品が薦めづらいと言うのもあるんですが!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!