画像

本日紹介いたしますのはこちら、「ミスミソウ」第3巻です。
ぶんか社さんのぶんか社コミックスにて刊行されました。

作者は押切蓮介先生。
押切先生の他作品は「押切蓮介」のテーマにて紹介しておりますので、お時間ご興味等ございましたらそちらもご覧くださいませ。

さて、押切先生作品としては異質なオカルト要素の無い物語である「ミスミソウ」。
しかし他のどの著作よりもホラーと呼ぶにふさわしい作品になっています。
そんなこの作品もとうとうこの第3巻で完結です!

第2巻では春花が次々と復讐を結実。
殺人という後戻りのできない道を選んだ春花ですが、時を同じくして恨みの炎を燃やす人物がいました。
春花の家を焼いた実行犯である流美です。
彼女は今まで尽くしてきた妙子に冷たく突き放され、怒りを燃やしたのでした。
春花の心の支えになろうとしていた相場もなにやら異常な素顔を見せ始め、村中を巻き込む惨劇はますます混迷を深めたのでした。

そこでこの第3巻、最終巻を迎えます。
まず明かされたのは相場の過去でした。
幼い頃から父親による母親への虐待を見続けていた彼は、ある日母親を痛めつけ続ける父に我慢ができなくなりカッターで切りつけてしまいます。
どうやら大事には到らなかったようですが、それがきっかけで両親は離れることに。
ですが母親は父親を本当に愛しており、甘んじて虐待を受けることによって夫婦の仲を繋ぎとめていたのです。
無気力になった母親は、自らを父親と引き離した相場を「生まなければ良かった」と罵ります。
その台詞を聞いた瞬間から相場の中で何かが音を立て……
画像

偏執的な歪みが目覚めたのです。

自分の劣情をぶつけるのにふさわしい相手と見込んだのか、春花と共に東京の高校に行く決意をする相場。
そんな時春花はバス停でいじめグループのリーダー格、憎む対象であるはずの妙子と出会っていました。
ですが春花は妙子が転校後の自分に一番最初に話しかけてくれたことや、自分に夢を打ち明けてくれたことなどから本来は優しい人物であると考え、逆に落ち込んでいる彼女を励ましたのです。
妙子はそんな春花に心の底から謝罪をするのでした。

春花と和解し、一人帰路につく妙子。
そこに突如として襲い掛かってくる人物が現われます。
包丁を振りかざし殺意を露にするその人物は流美でした。
妙子も隠し持っていた刃物を取り出し、お互いの中に秘めたお互いへの思いをぶちまけながらきりつけ会う二人。
体を刻まれ、石をぶつけられ、顔を切りつけ……
雪中に倒れその命を散らしたのは妙子でした。
画像

妙子を殺害し、次に流美が狙うのはやはり春花。
しかし春花に迫る真の手は流美だけではなかったのです。
「二人で東京で暮らそう」と言う誘いを断られ、怒り心頭となった相場もまたドス黒い怒りを抱いたのです!
画像


春花、相場、流美。
三人の恐怖と狂気の惨劇は様々な人物を巻き込みながらクライマックスに突入。
画像

愛憎入り混じる復讐は衝撃的な結末を迎えます……


とうとう完結した「ミスミソウ」。
たとえ許すことのできない相手への復讐の為とは言え、人を殺めたからにはハッピーエンドと言うのは考えづらいものがあります。
ではこの作品はどういう結末を迎えるのか。
それはぜひ貴方の目で確かめてください!

この作品に欠かせないスプラッタ描写は最後までこれでもかと収録。
画像

ともに描かれ続けてきた狂気は最後まで圧倒的迫力と共に詰め込まれています。
鬼気迫る筆致で描き込まれたその描写は特筆物で、押切先生の個性が強い絵柄と合わさってより一層緊迫感の増した凄みを感じさせてくれます。
事件の渦中にいた人物達の殆ど全てに決着をつけ、スッキリはしないものの考えうる最善に近いラストを向かえ、押切先生が今まで見せることの無かった風呂敷を畳む力までも見せ付けてくれました。
まさにこれからの創作活動の幅を広げたといえる、押切先生史に欠かせない一作になったのではないでしょうか。

狂気と愛憎の本格サイコサスペンス、「ミスミソウ」完結の第3巻は本日発売です!
ギャグをまったく含まない、押切先生のもう一つの顔を垣間見ることのできるこの作品、ファンならずとも必読ですよ!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


ミスミソウ 3 (ぶんか社コミックス ホラーMシリーズ)
ぶんか社
押切 蓮介

ユーザレビュー:
やっと終わった…この ...
amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ウェブリブログ