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本日紹介いたしますのは「ギョ うごめく不気味」です。
小学館さんのビッグコミックスにて刊行されました。

作者は伊藤潤二先生。
伊藤先生のほか作品の紹介は「伊藤潤二」のテーマにてまとめておりますのでそちらもご参照くださいませ。

さて、こちらの作品は伊藤先生の得意とする謎の物体がきっかけとなって恐ろしい出来事が起こるホラー漫画です。
伊藤先生らしさの溢れる、グロテスクで退廃的、そしてどこかギャグチック。
ファンならば安心して恐ろしがれるというものです。

主人公の忠は恋人の華織ととも沖縄へバカンスにやってきていました。
楽しいバカンスのはずが、華織がにおいに超敏感なことをカミングアウトしたことがきっかけで喧嘩をしてしまいます。
外に飛び出した華織は謎の何かを見かけたことで怯え、結局すぐに忠の借りた別荘へと戻ってきました。
ところが家の中に得体の知れない腐臭が充満。
そのにおいの正体は機械の足がついた魚でした。
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忠はすばやく動き回る足のついた魚、歩行魚を石を叩きつけて壊し、袋詰めにして捨てたのです。
においの原因を撃退したことで自体は終わるかと思われました。
しかしその一匹は始まりに過ぎず、海から続々と似たような歩行魚が上陸を始めたのです!!

歩行魚は小魚からホオジロザメまで大小さまざまで、町は大混乱。
忠達はさっさと東京に帰り、借りた別荘の持ち主である科学者の叔父、小柳をたずねました。
例の騒動で別荘が壊れたことをお詫びする為です。
いきさつを聞いた小柳は歩行魚に興味を持ち沖縄まで行って研究しようかと考えますが、すぐにそんな必要はなくなります。
沖縄で退治したはずの歩行魚が袋詰めのままガスを充満させて浮遊し、東京の忠のもとまで飛来したのです!
それを小柳に渡す忠。
小柳は歩行魚が出す異様な匂いは人間の死臭のようだと言い残し、研究を始めたのでした。

そしてとうとう恐れていた事態がおこります。
歩行魚が上陸場所を徐々に北上させ、とうとう関東地区にまで現われたのです!
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しかも恐ろしいのはそれだけではありません。
戦時中沖縄で開発され、採用されなかった細菌兵器があり、それは生物の体から死臭のような匂いを出すガスを猛烈な勢いで吐き出させる効果があるそうです。
感染した生物を敵陣に放ち、においで相手の士気を落とそうと考えたのですが、感染した動物はすぐに動けないほど衰弱してしまって思惑どうりには行きませんでした。
そこで考え出されたのが精製されるガスの圧力で動く歩行器。
開発は成功し、それを本土へ輸送しようと言うところで輸送船が撃沈してしまいます。
結局その新兵器は海の藻屑になった……と言う話を小柳が明かしました。
歩行器とはどうやらこの騒動の元になっている魚についていた機械の足。
その上恐怖の細菌はどうやら人間にも感染するようで……
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最初の犠牲者はなんと華織だったのです……!

ここから物語は一気に加速していきます。
華織をはじめとした多くの人間もこの細菌に感染。
魚に限らず、動物も人間もどんどん歩行器に捕獲されて生ける屍、燃料タンクとされてしまいます。
歩行器の足や捕獲用の針は鋭く、それによる犠牲者もどんどん増えていきました。
そして華織は歩行器の魅力に取り付かれた小柳によって新型歩行器の燃料タンクにされてしまいます。
その上自ら作ったその新型歩行器によって小柳も重傷を負い、その傷口からなのか細菌に感染!
忠の周囲の人間は全滅し、日本中ももはや右を向いても左を向いても死体か歩行魚という凄惨な事態になってしまったのです……

伊藤先生の持ち味である気持ち悪さやグロテスクぶりはもうおなかいっぱい描かれ、これでもかこれでもかとキモス描写を積み重ねるその姿勢は頭が下がる思いです!
ストーリーもどんどんカオスに進み、もう描ききったよ!とばかりの逆にすがすがしいほどの投げっぱなしのラストは驚くこと間違いなし!
なんだか奇麗にまとめてるような気がしてしまうラストシーンは力技と言うかなんと言うか……見てみるべきでしょう!
表題作のほかに4Pのギャグ分大目読みきり「大黒柱秘話」、断層に現われた不気味な人方の穴にまつわる恐怖を描いた「阿彌殻断層の怪」を収録し、なんだか得した気分になれます。
カバーもこれまたビックリマンのヘッドみたいな(初期の四角いキラキラがあしらわれているアレ)加工がされており、きらびやかにグロイ、不可思議な表紙になっております!
魚のうろこみたいなのをイメージしたんでしょうかね……?

伊藤潤二先生がおくるキモ分過多のホラー漫画、「ギョ」は全2巻で発売中です。
とにかくグロイ描写が多く、性質上不潔と言うか臭う感じの描写が多く描かれておりますので、そういった描写が苦手な方は敬遠した方がいいと思います!
そういうのイケるよ!と言う方は間違いなく楽しめる、キモさ120%の怪作ですよ!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!



ギョ 1 (1) (ビッグコミックス)
小学館
伊藤 潤二

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悲しさ斬新で面白い発 ...
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ギョ 2 (2) (ビッグコミックス)
小学館
伊藤 潤二

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終焉謎はあやふやです ...
そしてこうなる!あれ ...
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