本日紹介しますのはこちら、「栞と紙魚子」シリーズです。
朝日新聞出版(旧朝日ソノラマ)さんの眠れぬ夜の奇妙な話コミックスにて刊行。
連載はネムキで不定期にされています。

作者は諸星大二郎先生。
諸星先生についての紹介は10月18日の「海神記」の記事を参照してくださいませ。

さてこちらの作品は諸星先生の連載作品としては珍しい、1話完結の基本的に舞台が変わらない物語です。
胃の頭(いのあたま)町という大きな公園のあるどこかで見たような町に住む古本屋の娘、紙魚子(しみこ)とその親友、栞(しおり)が様々な奇妙な事件に遭遇します。
記念すべき第1話「生首事件」などは胃の頭公園にバラバラ死体が捨ててあり、その頭をつい栞が拾って帰ってしまうという恐ろしくも不謹慎なお話。
挙句の果てに紙魚子の自宅である古本屋、宇論堂にあった「生首の正しい飼い方」を参照し、水槽でその生首を飼い始めてしまう(ちゃんとエサも食べるよ!)という奇天烈な展開になり、最終的には親に隠れて買うのが大変になって川に返してしまうというオチでおわります。
……とまぁこんなあらすじからもわかるように、ホラーやオカルティックなお話を面白おかしくいい加減に描かれているのが特長です。

登場人物も個性豊かなんていうものではありません。
奇妙な怪物「ヨグ」をペットにしているやんちゃでおてんば、そして包丁を常に携帯して振り回している少女、クトルーちゃんや、人間を遥かに超越した能力と巨大な顔と芋虫のような体を持つがおっとりしてやさしい(?)クトルーちゃんのママ、そんな妻子を持つ人形のふりをして客を驚かせるのが趣味の小説家の段一知(だん いっち)、その段になぜか惚れて不倫関係に持ち込もうとするがどこか憎めない(?)女流詩人の菱田きとら(ひしだきとら)などなど、どこか……というかとにかくおかしな面々が満載です。

掲載誌がマイナーにもかかわらず今年の1月から「栞と紙魚子の怪奇事件簿」としてドラマ化されるなど、その面白さは保障済みです。
ただ歴史物や伝承物等を書いている諸星先生が好きな方はイメージが崩れるかも……
現在は6巻まで刊行されていますが、それぞれタイトルが違っているので御注意を。
それぞれ相当するのが、
1巻=栞と紙魚子の生首事件
2巻=栞と紙魚子と青い馬
3巻=栞と紙魚子 殺戮詩集
4巻=栞と紙魚子と夜の魚
5巻=栞と紙魚子 何かが街にやって来る
6巻=栞と紙魚子の百物語
です。
1巻から読んだところで主人公の紹介みたいな導入は一切ありませんので読み始める巻にはそれほどこだわらなくてもいいのですが、やはり順序よく読んだほうが順を追って登場キャラが増えていくぶん面白いことは言うまでもありません!

秋の夜長にぴったりな、ホラーなのにちっとも怖くない「栞と紙魚子」シリーズは好評発売中です。
文庫版も何冊か出ているようなのでそちらで買うのもアリではないでしょうか。
さぁ、今すぐ本屋さんに急ぎましょう!

栞と紙魚子の百物語 (眠れぬ夜の奇妙な話コミックス)
朝日新聞出版
諸星 大二郎

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