やっとお盆期間が終わりを告げ、新刊が出始めました。
今まで秋田書店さんのまわしものサイトのような活動をしてきた当ブログもやっとこさ本来の買ってきた本の紹介&感想みたいなことが出来そうです。……それ今までとかわらねえな……

そんなわけで本日買って来ましたのは「ミスミソウ」第2巻です。
ぶんか社さんのぶんか社コミックスホラーM(ミステリー)B6シリーズより刊行されております。
作者の押切蓮介先生は幽霊を肉弾戦で破壊する独自のホラーギャグと、自虐的な嘘とも本当とも付かない過去話を暗く描写する鬱過去ギャグなどを様々な雑誌で連載する大人気漫画家です。
ヤングマガジンで連載している「でろでろ」でブレイクし、ホラーファンなら誰もが知っている清水崇監督と親交があるようで怪奇大家族のイラストを手がけたり、短編が映像化されたりもしています。

そんなホラーギャグが持ち味の押切先生ですが、この作品「ミスミソウ」はかなり毛色の違う作品となっています。
幽霊などのオカルティックな要素は一切排除し、それでいて人間関係などから来る陰鬱なホラー臭を先生の作品中最も強く放っている意欲作なのです。

主人公の野咲春花は家庭の事情により過疎の進んだ寒村へと引っ越してきます。
今年廃校が決まった大津馬中学校に転入するのですが、よそ者であり美人でもあった春花はいじめの対象となってしまいます。
毎日続くいじめられる日々。両親からももう学校に行かなくてもいいと諭されます。ですが両親に心配を掛けたくない春花はけなげにもいじめに耐え続け、学校に通い続けるのです。
しかしそんな春花の姿はいじめグループの首謀格、小黒妙子の更なる怒りを呼んでしまいます。
閉塞的な冬の寒村が生み出す空気がそうさせたのか、彼女たちはとうとう一線を踏み越えてしまいました。
なんと春花の家に火をつけ、全焼させてしまうのです。
その火事により両親は焼死、妹は全身やけどの重体。
外出していた春花は難を逃れますが、目の前で我が家が炎に包まれ、黒焦げになった妹の姿を目の当たりにすることになります。
春花の心にやりばのない、どす黒い感情が渦巻いてしまったのは仕方が無いことなのかもしれません……

そして春花の復讐は始まります。
凄惨な、血の惨劇が。


という話がこの「ミスミソウ」の導入です。
本日買ってまいりました第2巻には春花の復讐の姿が淡々と、そして悲痛に描かれています。
放火事件に関与していた同級生3人、そして逆に先手を取ろうと襲い掛かってくる男子生徒を2人……続々と復讐を成就させていく春花。
担任教師である南、春花の転入前にいじめられ放火事件を起こしたことで逃れた佐山なども緩やかに自我を崩壊させていきます。
そしていまや春花の心の拠り所となっている相場にもなにやら黒い背景が見え隠れしてきたのです。
相場の口付けに人の心を取り戻したかに見える春花。
しかし相場は春花に口付けをしてわかれた後、野に咲く花を踏みつけてしまいます。
その踏みつけ、無残につぶれた花をなんともいえぬ壮絶な形相で見つめる相場。
……これは相場のゆがんだ愛情の形を示しているのでしょうか。
物語は簡単に収束してくれないようです……

連載誌はホラーM(ミステリー)、ぶんか社さんが刊行されています。
あのいろいろな意味で話題になった「ソンビ屋れいこ」と同じ雑誌です。
なんだか隔月刊になってるようですが……
掲載誌がマイナーなせいか今ひとつ話題になっていない感がある「ミスミソウ」ですが、その圧倒的なまでの黒い情念を感じさせてくれる注目作に仕上がっています。
幸せな結末は待っていないでしょう。ですが劇中では語られていない悲痛なまでの春花の情念が読者に何かを感じさせ、結末を見守らなければならない気分にさせてくれるはずです。
貴方の本棚の彩りにぜひ1冊、いかがなもんでしょうか。
ミスミソウ 1 (1) (ぶんか社コミックス ホラーMシリーズ)
ぶんか社
押切 蓮介

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