3階の者だ!!

DEBがお送りするネタバレありのコミックス紹介ブログです。 短編物では一話にスポットを当てて、長編物ではこの後どうなるの?と言うところまで紹介しているつもりです!

2009年01月

本日紹介いたしますのはこちら、「西遊妖猿伝 大唐篇」第1・2巻です。
講談社さんのモーニングKCDXから刊行されています。

作者は諸星大二郎先生。
先生の紹介や他の著作の紹介は「諸星大二郎」のテーマにてまとめさせていただいております。
よろしければご覧くださいませ。

この「西遊妖猿伝」は、1983年から月刊スーパーアクションにて連載が開始されました。
その後雑誌の変更などもあり、コミックアクションキャラクターやコミックトムで1997年まで断続的に連載。
97年時点で話に一区切り付いたために長らく中断されていました。
ところが長い沈黙を破り、08年に第3部(諸星先生的には第2部と考えているそうです)がモーニングにて開始されます。
その第3部こと西域篇にあわせて単行本が再刊行されることとなったわけです。
第1部とされる大唐篇は新潮社さんから出版され、雑誌移籍後は第1部から第2部の河西回廊篇を同じシリーズにまとめて潮出版社さんから出版。
今回は第1部と第2部を大唐篇と一くくりにして講談社さんから出版されるようです。
1冊400P超の大ボリュームで、全10巻が予定されているそうです。

で、結局のところどういう作品なのかといいますと……要するに西遊記です。
西遊記といえば様々なメディアで様々な作品になってきました。
漫画ならば古くは手塚治虫先生の「ぼくのそんごくう」から「悟空道」やら最も遊んじゃうやつ等々。
アニメなら「イタダキマン」、「スタージンガー」「マシュランポー」とか。
ゲームならコーエーのそのものズバリ「西遊記」、「ソンソン」や伝説の「スーパーモンキー大冒険」他多数。
ドラマでも堺正章さんのやつ、唐沢寿明さんのやつ、最近のアレなどまだまだあります。
このように様々にアレンジされ、映像化してきた西遊記ですが、この「西遊妖猿伝」はまた一味違う諸星先生ならではの作品に仕上がっています。

お釈迦様の掌の上でもてあそばれ、封じられたところを玄奘に救われて改心し、妖怪を退治しながらお供とともに天竺を目指す……西遊記といえばそんな印象の物語だと思います。
ところがこの作品はまるで違います。
そもそも孫悟空が妖怪ではありませんし、妖怪自体は出てくるものの、メインは対人間戦。
古代中国の史実を織り交ぜ、それでいて西遊記の面影は感じさせるオリジナルなストーリーなのです。
単行本16冊に渡る今までの刊行分では玄奘に出会う前に紅孩児と出会ったり、竜児女というオリジナルキャラクターが出てきたり、そもそも沙悟淨がまだ登場していない等という事実からもそれが伺えると思います。

人間の欲望や怨念、それに妖怪等のオカルト要素が絡み合ういつもの諸星先生の中国古事漫画なのですが、壮大なスケールを感じさせる超大作のこの作品。
刊行数が多く、なかなか読み始めづらいという背景があったものの、この再刊行分でその問題も解消!
心置きなく諸星先生ワールドに浸りましょう!

西遊記漫画の最高峰、「西遊妖猿伝 大唐篇」第1巻・第2巻は好評発売中です!
11年越しの待望、「西遊妖猿伝 西域篇」の単行本は春刊行予定だそうですので、まさに読み始め&読み返しに最適な刊行タイミングといえるのではないでしょうか!
いままで諸星先生作品を未体験な人や、「西遊妖猿伝」はいっぱい出てて読み始め辛いなぁ……と考えていた俺のような人にもオススメです!お値段も1.6冊分収録されて1000円と大変お求め易いですよ!!
諸星先生のライフワークともいえるこの作品、読まずにいる手はありませんよ!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!


西遊妖猿伝 大唐篇 1 (1) (モーニングKCDX)
講談社
諸星 大二郎

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西遊妖猿伝 大唐篇 2 (2) (モーニングKCDX)
講談社
諸星 大二郎

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本日紹介するのはこちら、「百舌谷さん逆上する」第2巻。
講談社さんのアフタヌーンKCにて刊行、アフタヌーンにて連載中です。

作者は篠房六郎先生です。
「百舌谷さん逆上する」第1巻の紹介は08年9月12日の記事に記載しておりますので、お時間ございましたらご覧くださいませ。

さて、第1巻では竜田とデートしたと思ったら別れるという、嵐のようなお付き合いを経験した百舌谷さん。
これからどういった関係になっていくのでしょうか!!
第2巻の展開に期待です!!
……と思っていましたが、竜田とどうなるの?という展開には進みませんでした!
物語は百舌谷さんと樺島を中心に進んでいきます。

誕生日を迎えた百舌谷さんですが、腫れ物を触るかのような微妙な誕生会にいたたまれなくなって家を飛び出してしまいます。
誕生会を企画してくれた使用人の二人は誕生日会は絶対にしてあげたいので、ぶち壊しにならないようツンデレを刺激しないあえて微妙なラインのもてなしをすると言う愛の溢れた人物なのですが、百舌谷さんはそんなことを知るはずも無いわけで。
家をでたあとですが、百舌谷さんはあんな性格ですから転がり込める知人といえば勿論彼しかいません。
樺島のうちです。
彼を相手にストレス解消を図る百舌谷さんですが、樺島家のアルバムを勝手に拝見し、暖かな家族の姿を見ると激昂してしまいます。
優しそうな家族がいる樺島に、家族と一緒にすむことの出来ない自分を哀れんで見下していると叫ぶ百舌谷さん。
ところがそこにやってきた樺島の祖母に衝撃の事実が明かされます。
樺島の両親は数年前に事故で無くなり、弟は心臓に病気を抱えて入院生活が続いているのだ、と。
それを聞いてショックを受けた百舌谷さんは涙を浮かべて樺島家から飛び出してしまいました。
人の事情も知らずに最低だ、迷惑をかけてばかりの自分なんて生まれてこなければ良かったとと自分をなじる百舌谷さん。
どうにか彼女を助けてやりたいと思った樺島が思わず口にした言葉は……
「僕はドMなんです」でした。
だから迷惑をかけてくれればむしろ嬉しい、もっと迷惑をかけてくれ、と。

助けたい一身で出た方便なのか、心の奥底では本気なのかは正直わかりませんが、樺島を合法的にいじめられることで心の平静を取り戻す百舌谷さん。
歪んだ関係が続くある日、彼女は樺島を徹底的に掌握する為彼の弟を利用しようと考えました。
ウフフ……奇麗に歪んでいらっしゃる……
その問題の弟とはひょんなことから不可思議な出会いをし、さらに知り合ったナースが見事な腐女子だったおかげで空恐ろしいカオス状態になって行きます。
カオス状態はともかくその二人は実にいい人たちで、(順調に樺島をいじめる仕込が出来ているという大義名分もあり)百舌谷さん自身が気付かないうちに癒されていきます。
ツンデレの発作も出ずに和やかに過ぎていく夏休みに百舌谷さん以外の全員が、ひょっとしたら百舌谷さん自身もこのまま平和に暮らしていけるのではないか、そう思えました。
ですがやはり全てをぶち壊す何かが起きてしまうようなのです……

といったわけで、今巻も見所満載!
百舌谷さんのツンデレっぷりはますますパワーアップしていますし、樺島の頑張りもますます空回ります!
凄まじい百舌谷さんのいじめっぷりがそれはもう濃厚に描写され、いじめ・かっこ悪い!を自負する俺もそのこっけいな姿と、それによって救われて輝くような笑顔を見せる百舌谷さんのギャップによって素直に楽しめてしまいます。
……樺島はやっぱり根はMっぽいですしね……!
また、新キャラの樺島の弟、勇次郎と腐女子ナースの珠美さんの二人が加わることによってますますテンションアップ。
ギャグも更に濃密になっています!
それだけに百舌谷さんや樺島の実は暗い生い立ちもより際立ち、悲劇の到来を予感させる次巻への引きが更に印象深いものになっています。
個人的に言わせて頂ければ、第1巻よりも格段に完成度の上がった良作に仕上がっているのではないかと思いました!
この漫画面白い?買う価値ある?と考えている方は是非とも2巻まで読んでみて決めて欲しいです!2巻からが本番!あくまで個人的な考えなんですけど!!

21世紀漫画界に波紋を立てる、ツンデレとは何か、ツンデレの功罪とは、を訴えかけるハイテンションでスピーディーなツンデレ漫画の決定版、「百舌谷さん逆上する」第2巻は大好評発売中です。
ウチも参加させていただいた、「古本屋の戯言・営業日誌」のヒロさんが主催された企画『このマンガが凄いから読め!(仮称)2009』γ版で見事1位を獲得したこの作品、漫画好きでなくとも「ツンデレ」の響きに興味のある方なら必見ですよ!!
俺はベスト5に選出しませんでしたけどね……
単行本派だからこの2巻収録分の内容を知らなかったんだよ、と言い訳してみます!
さぁ、本屋さんに急ぎましょうか!!


百舌谷さん逆上する 2 (2) (アフタヌーンKC)
講談社
篠房 六郎

ユーザレビュー:
刮目して見よ!食傷気 ...
2巻になってからいき ...
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本日紹介いたしますのはこちら、「少女ファイト」第5巻です。
講談社さんのイブニングKCにて刊行、イブニングで月1で好評連載中!

作者は日本橋ヨヲコ先生。
「少女ファイト」の簡単な紹介は08年9月1日に記事にて記載しておりますのでそちらもよろしければご覧くださいませ。

さて、第4巻では合宿を経てチーム全体の結束が強まり、練とシゲルがラヴい関係になったりと順調に物語は進んでいきました。
ところがついに姿を見せた唯。
狂犬と呼ばれたいた時代の練にやすやすと付いていっていた彼女は、圧倒的な力で黒曜谷を撃破します。
そのバレーの実力だけでなく、ミチルや練達との関係を揺るがす不安要素を持つ彼女の登場で、物語は大きく動く予兆を見せ始めました……

そんなところで第5巻。
いきなり唯が黒曜谷にやって来てしまいます。
人を思いのままにコントロールしてしまう唯の登場にミチルは戸惑いますが、唯はかまわず黒曜谷のメンバーに次々と揺さぶりをかけてくるではないですか。
学の芯の強さのおかげで大きな被害は無いまま唯をやり過ごすことに成功しますが、今後も彼女の動向には目が離せません……。

そして大阪遠征が始まります。
賭けバレーの件などで関東で試合のしづらい黒曜谷はわざわざ大阪まで行って大会に参加することになったのですが、そこはいわば伊丹の地元。
彼女は極道の祖父を持つがゆえ、どんなにバレーで活躍しても八百長をしていると言われ続けてきました。
そんな過去をリセットすらために関東に来たわけですから、大阪に行くこと自体がかなり不安だったようです。
地元での試合をする不安や、唯の揺さぶりもあってイライラが募り、キャプテンに注意されたことをきっかけに「1ローテしか体の待たない人に注意されたくない」と暴言を吐いて伊丹は宿泊先から飛び出してしまいました。
たまたま飛び出すところに居合わせた三國によって様々な事実を知り、自分の間違いを認めてチームと和解することが出来たのですが……
伊丹と三國にフラグが立つ羽目になってしまいました!
畜生!!伊丹さんは俺の嫁なのに!!許さん、許さんぞ三國!!!!
……すみません、取り乱しました……

伊丹も加わってフルメンバーの黒曜谷は難大会を勝ち上がって行きます。
他チームからの陰口はルミコや練によって振り払われ、観客からの野次はすっかりフラグが立ってしまった三國からの応援で克服。
そうなればもはや敵無しといったところなのですが、そんな時伊丹の祖父が危篤だと言う一報が届いたのです!
しかし決勝の相手は伊丹のかつてのチームメイトのいる高校。
元気でやっているという姿を見せたい伊丹は祖父の元には行かず、試合に出場することを選択します。
祖父は嫌いだと言い張る伊丹ですが、心の底ではやはり心配のようで試合の中で焦りを見せ、ミスを連発します。
かつてのチームメイトにも心配され、今のチームメイトにも祖父の元に行くべきではないかと説得される伊丹ですが、彼女は皆の優しさに涙を浮かべながらも頑なに断り続けてしまい……

と、このような感じで今回は伊丹さん大活躍の一冊になっています。
伊丹の祖父はどうなるのか?大会を優勝で飾ることが出来るのか?ついでに男子の方も優勝できるのか?結論はすべてこの単行本にあります!
貴方の目で確認してください!
それにしても第5巻は伊丹さんのツンデレッぷりが遺憾なく発揮されていまして、この巻で伊丹さんの魅力が判る方も多いはず!!
でもダメですよ!伊丹さんは俺の嫁ですから!
……えー、それはおいておきまして、伊丹さんを取り巻くドラマだけでなく、監督や練の姉の過去や、成長を続ける黒曜谷の実力が見られる充実の内容です!
とくに伊丹さんを説得するチームメイトの優しさというか、強い絆を感じさせるシーンは涙なくしては読めませんって!マジで!
更に巻末にはいつもの脇役や小物の解説に加え、黒曜谷女子1年生の仔細なプロフィールが収録されてお得!
同時発売の特装版には豪華声優陣+日本橋先生書き下ろしシナリオで贈るドラマCDが付いており、ファンの方なら必携のブツです!
制作協力・プロダクションI.Gとクレジットされていますので、アニメ化なんかも密かに進行している可能性も……?

青春がぶつかり合う高校生女子バレー漫画、「少女ファイト」第5巻は好評発売中です!
09年も注目のこの作品、アニメ化とかの前に買っておけばミーハー扱いされずに済みますぜ!
さぁ、今すぐ本屋さんにダッシュです!!



少女ファイト 5 (5) (イブニングKCDX)
講談社
日本橋 ヨヲコ

ユーザレビュー:
純な青春スポコン漫画 ...
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本日紹介いたしますのはこちら、「制服ぬいだら♪」第6巻です。
講談社さんのシリウスKCにて刊行、チャンピオンREDにて連載されていました。

作者は渡辺航先生。
このブログで幾度となく取り扱わせていただいております。
「渡辺航」のテーマにて紹介記事をまとめていますので、お時間ございましたらご覧くださいませ。

さて、今日の渡辺先生を語る上では欠かせないと言っても過言ではないこの「制服ぬいだら♪」。
チャンピオンREDの創世記に産声を上げ、「こいこい7」とともにREDの萌エロ路線の礎を築きました。
2年半ほど続いたこの作品ですが、企画物の「電車男~でも、俺旅立つよ。~」の連載開始の為急遽連載が打ち切りに。
「電車男」終了後、そのまま連載再開することもなく渡辺先生は活躍の場をコミックバンチへと移動。
ページ数の不足もあり、最終巻となる6巻は刊行されずじまいでした。
ですが現在「まじもじるるも」を連載しているシリウスのシリウスKCから再刊行されることとなり、満を持して発行されたのがこの最終巻。
RED版5巻が2005年2月20日発行と奥付にありますから、発売は確か05年1月……丸4年のブランクを経てついに封印は解かれたのです!

待望の第6巻の中身はといいますと、勿論長らく単行本化されていなかった26~28話はしっかり収録。
一応というかなんと言いますか、「第1部 完」と銘打たれておりますが、打ち切り臭などを感じさせないハッピーなエンドを迎えています。
……「制服ぬいだら♪はしばらくお休み」見たいな台詞を無視すれば、ですけどね!!!
最後の最後に新キャラが出たりもして続けたかったんでしょうねぇ……渡辺先生……
おれも続けて欲しかったですよ……
とにかくみのりと道真はめでたく結ばれ、大団円!
最後の最後まで楽しい気持ちにしてくれたこの作品に感謝です!!
……この新装版の最終話の最後のページの柱に「制服ぬいだら♪第一部おわり」と描いてありますので、なにかの奇跡が起きたら第二部もあるのやも知れません!!
ファンの皆様、期待し過ぎない程度に期待しましょう!!

そして04年に別冊ヤングマガジンに掲載の「アフロスピード」「アフロスピードセカンドアクセル」が収録されています。こちらも未収録作品です!
更に恒例となった書き下ろし4コマも8P収録。
しかも28話の続きとなるストーリーで、ファンには嬉しいことこの上ないおまけとなっております!
「アフロスピード」の方にも単行本用に書き下ろしがあるそうで、雑誌掲載時とは違うラストになっているそうです!
雑誌掲載版を読んでない自分には違いがわかりませんが、読後感爽やかなエンドであることは間違いないです!!
第6巻の書き下ろしは約20ページだそうで、週刊連載と月刊連載を抱えて忙しい中でこの気合、渡辺先生の相とサービス精神がうかがい知れるというモノです!

渡辺航先生の原点、超平和着替えラブコメディ「制服ぬいだら♪」第6巻は本日発売!!
この作品を見ずして渡辺先生ファンを名乗る事なかれ!!
やっぱり発行部数は少なそうですので、本屋さんに急行ですよ!!


せっかくですので感動のフィナーレを祝して、集合させて見ました!!
うひょう!コリャ壮観!
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「制服ぬいだら♪」よ永遠に!!





本日紹介するのはこちら、「水木しげる 怪異 貸本・短編名作選」の「水木しげる 妖奇 貸本・短編名作選」です。
集英社さんとホーム社さんのタッグによるホーム社漫画文庫にて刊行されています。

以前ご紹介しました「水木しげる 貸本名作選」の「怪奇」「恐怖」2冊に続く水木先生の古い作品をメインに収録した短編集です。
ちなみにそちらの紹介も含めて「水木しげる」のテーマにてまとめておりますのでご興味ある方はご覧くださいませ。

さて、こちらは2冊同時刊行され、両者ともにメインとなっているのは140ページ超を誇る貸本時代の怪談となっています。
昭和36~7年に刊行されていたそれら4作の140ページ超の作品は、どれもがなかなか読むことの出来ない作品で、今回の文庫化によってぐっと身近になりました。
その4作だけでもすでに600ページ近い大ボリュームなのですが、それでは終わらずに水木先生が大活躍されていた、昭和41~53年の短編が2冊合計で24作も収録!
1冊あたりでも500ページ、2冊あわせて1000ページを超える圧倒的ボリュームの内容になっています!

水木先生といえば妖怪漫画、そう考える方も多いと思います。
事実、水木先生自身が妖怪なんじゃないかというくらい摩訶不思議で魅力的な人物ですし、代表作も「ゲゲゲの鬼太郎」「河童の三平」「悪魔くん」あたりですからそういう印象が強いのも当たり前でしょう。
ですが水木先生は妖怪の出ない怪談物も描かれていますし、前回の「水木しげる貸本名作選」の記事で紹介した「サイボーグ」のような宇宙やロボットを題材にした作品も多く作り出しています。
今回もなにやらそっち方面で興味深い作品を収録。
「円盤同乗記」です。
売れない漫画家(主人公が漫画家って話が水木先生作品には凄く多いです)の主人公は出版社からUFO同乗記の執筆依頼を受けて困り果てていました。
乗った事は勿論、見たことも無い物をどうして描けるだろう、と頭を抱えているとベランダにするすると縄梯子が降りてくるではないですか。
とりあえず登ってみる主人公。
その縄梯子はUFOに繋がっているではないですか!!
UFOから!縄梯子!!
突っ込みはおいておきまして、本当にUFOに乗ってしまうわけですが、中にいたのは当然宇宙人……ではなく、サングラスをかけた鬼が2匹。
ええ、鬼です。虎縞パンツをはいたお馴染みの鬼がUFOを操縦していたのです。
UFOはそのまま宇宙を進み、やがて月にたどりつきます。
月には穴が開いており、その中にはなんと扉が!!
扉の中にはまた別の鬼がいて、「アカサタノハマヤラヤ」とか「イキシチニヒミイリ」とか会話をすると、UFOにたくさんの人魂が入ってきます。
主人公はビックリして「こりゃあいったいどういうことですか」と叫ぶと、鬼は突然流暢な日本語でこんなことを言い出すではありませんか。
これは地球から運んできた魂で、月の裏側にある魂の洗濯工場に運ぶ。
記憶を奇麗に取り除かれた魂は再び地球に運ばれる。
これをしないと地球の生命はなくなってしまう、と。
……これって地球上の人類(あるいは全生物)の数が恒久的にある程度同じじゃないと成り立たないような……
後なんかにたような設定ドラゴンボールの映画にありましたよね!!ジャネンバのやつ!!!
えー、話を元に戻します。
人類は生かされているに過ぎない、この事実を知るものは死んだものだけである、と語る鬼。
そうすると自分は特別なのかと聞く主人公ですが、「いいえべつに」と鬼はそっけなく答えます。
つまり主人公はもう死んでいる、そういうことなんだそうです。
とんでもない、おろせと興奮する主人公ですが、鬼はおろしてもいいですよとあっさりおろしてくれます。
……縄梯子で。
喜び勇んでおり始める主人公ですが、縄梯子はやたら短く、物凄く高い位置から落ちてしまう主人公。確認しようよ!!
何かが落ちる音を聞きつけ、倒れている主人公に駆け寄る家族の皆さんですが、当然主人公は事切れています。
医者によればベランダから落ちて打ち所が悪くて死んだようだとの診断。
やっぱり主人公は死んでいたのでした……

落ちてない。水木先生オチてませんよ!!いや、ベランダからは落ちているんですけど!!
とはいえ水木先生の独自の解釈によるUFOはこういった「死の世界の使者」的な面を持っていることが多く、おまけに妖怪や何かとも絡ませてあったりもしまして、強い興味と独自の理論を持っていたことが伺えます。
しかもなんか水木先生はミーハーなところもありまして、今回収録されている中では「ネッシーさま」というネッシーをモチーフに描かれたお話も収録。
世の中に不思議の種は尽きまじ、ということなんですね!水木先生!

他にも墓場鬼太郎の「水神さま」「アホな男」を下敷きにリメイクした「地獄の水」「妖怪原稿」や、4Pの無声漫画「博愛」「迷宮入り」、お馴染みの妄想オチ「もやもや革命」、妖怪無しの世知辛い世の中を描く「浮気会社」「一陣の風」等などの実にバラエティ豊かな品揃えになっています。
当然メインの妖怪や怪談もありますので、ファンでなくともお手元に備えておきたい一冊に仕上がっていますよ!

水木しげる先生の真髄ともいえる様々な短編をギュッと詰め込んだ「水木しげる 怪異 貸本・短編名作選」「水木しげる 妖奇 貸本・短編名作選」は大好評発売中です!
今回も存分に発揮される水木節、是非ともご照覧あれ!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!

表紙はこちらですよ!
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